橘雪翼の、侃侃諤諤喧喧囂囂

2022年3月分

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2022年3月31日

これだからスマホは

 先日電車の中で、日本将棋連盟公式サイトの「まいにち詰め将棋」を考えていた。電車の中なのでスマホで見ていたのだが、多分スリープしないように途中で画面に触れたときだと思う、誤タップで「ヒント」を表示させてしまった。最初は気付いていなかったのだが、う〜ん、分からんなあと首を傾げたときに視野にぱっと入ってしまった。余程分からない時を除きヒントは見ずに解きたいので、これは大“失着”。しかも普段、分からなくなって見たときは役に立たないことが多いのに、こういう時に限ってとても的確な助言。お陰で正答することはできたのだが、悔しさの残る一問となった。
 というわけで、いつもの月末のやつ。

【ドラゴンクエストダイの大冒険 勇者アバンと獄炎の魔王】3巻(既刊):☆☆☆
 『ビィト』で思ったことで、一度書いた記憶があるけど。物語中の“価値観”が昭和から平成初期の頃のままなのだな、と。『ダイの大冒険』のスピンオフ、それも『ダイの大冒険』よりも前の話なので、むしろ平成後期〜令和感を出されても読者が困惑するかもしれないが。どの辺りを指して言っているのかというと……私の今の感覚だと、人間と魔物が相容れないのは当然。言ってみれば虎やライオンが人間を捕食するのと同じで、オトギリ姫の「人間の命を奪うのに理由がいるのか?」のセリフや思考も自然の掟に沿ったもののような気がする。勇者アバンは「どうして人間と共存できないのか」と問いかけるが、そりゃ無理ですよー。ただ、虎やライオンと大きく違う点は、同じ言語を使い、対話できること。その点を考慮してアバンの意見にも耳を傾けるべきだろうけど。
 同じくオトギリ姫の「本当のクイーンマーマンの醜い姿を見られたくはなかった」に関しても。種族が違えば美意識とかも違ってくるだろうに、どうしてこの人(?)人間に寄せた偽装をしていたのかね。ま、それを言い出すと、『ドラゴンボール』のザーボンの時にはそういうのを感じなかったから、私も自分本位の勝手な意見を述べてるんだろうけどね。
 アバンの「呪文で体を重くして鍛える」はさすがジャンプの漫画と思わせる修行法(笑) 伝統芸ですな。

【Dr.STONE】25巻(新刊):☆☆☆★
 おいおいおい、展開早いな。本当に年内に終わりそう……と思って読んでいたら、数日後に連載終了のニュースが飛び込んできた。7月発売の26巻が最終巻になるとのこと。寂しいような、下手な引き伸ばしをしなくて良かったような、複雑な気持ちである。
 宇宙ロケット完成!なのだが、失敗する。何度も何度も失敗する。何年も何年もかけて改良を繰り返しようやく偵察衛星を飛ばすことに成功する。思うにこの間ホワイマンはずっと待ってくれているわけで、これがホワイマンの正体に関係してくる?
 宇宙に行くには訓練が必要。ということで体力に不安のある千空もトレーニング(体力ゼロではないと思う……それではあの世界で生きていけない)。『ロケットマン』でもやってたなあ、としみじみ。現実世界でも普通の人が宇宙行ってたみたいだし、頑張れば割とイケるものなのかもしれない。
 龍水の「宇宙へ行きたかった」が染み渡る。やはりここでも思い出すのは『ロケットマン』。「我々はロケットを作りたかったのではない、宇宙へ行きたかったのだ」――主人公たちを送り出す技術者たちの言葉だ。そうか、みんな宇宙へ行きたいのか……(橘雪翼は怖がりで飛行機すら乗れないので宇宙なんて論外です(笑))。
 メデューサの暴発事件は結局分からず仕舞いのまま宇宙へ飛び立つ。おそらくこれが月面での何か、大きなトラブルの引き金になるような気がする。あれれ? ホントにあと1冊で終われるの??

【怪獣8号】6巻(新刊):☆☆☆
 成る程、怪獣化できない原因は敵からの干渉ではなくカフカの内面の問題だったか。
 というわけで9号撃破……と思わせてからの急転落下。四ノ宮功のもつ怪獣2号の力が、まあ多分6巻最終ページでは奪われた後なんだろうなあ。この物語の最終地点は今まで見えていなかったが、とりあえずは9号がその位置にいた。で、きっと、9号が奪った2号の力を……9号は「怪獣に戻ろう」と言っていたが、2号が怪獣2号として蘇るのか、9号が2号の力を取り込んで「9+2」号になるのか分からないが、その辺が最後に倒す敵になるんだろう。

【ドラゴンクエスト ダイの大冒険 勇者アバンと獄炎の魔王】4巻(新刊):☆☆☆
 魔王ハドラーと交戦。私はドラクエはやったことがないのだけれど、RPGは作品によっては「最終決戦前にも何度かラスボスと戦う」ものがあるので、それっぽい感じ。何だかんだでお互い決定打に欠け、勝負はお預けになるっていうパターン。ま、ゲームだけでなく漫画でもありがちか。
 という本筋以外のところでいちいち細かく面白い。マトリフがロカを連れてディードックのとこへ行く辺りとか、料理を二人分平らげたアバンとか。そんなに食べてすぐ動いてお腹痛くならないのかね?(笑) 一つ残念なのは、マトリフの「アバンはクソ真面目だから〜」のところでくしゃみするアバンのひとコマが欲しかったかな? 対ハドラー戦の後の“会議”では、「雲を掴むような話」に対して「雲を掴むにはうってつけの場所」……ネット的な表現にすると「雲を掴む(物理)」になるだろうか。不死鳥のかがり火をくすねたマトリフはちゃっかりしているが、それをきちんと分かっているディードックもなかなかこの世界で生きていくのに必要なしたたかさを備えている。これはあれだ、最終巻のエピローグ的なページで、マトリフとディードックが代金のやりとりする様子が1コマで描かれてるやつだ。
 というわけで次巻、ついにアバンストラッシュが完成するのだろうか? マトリフが師匠にボコボコにされるシーン(推定)も楽しみだ。

【ここは俺に任せて先に行けと言ってから10年がたったら伝説になっていた。】8巻(新刊):☆☆☆★
 ケーテは悪くない(笑) 他にこれといった連絡の方法ないもんねー。しかし声がデケぇ。そんな大声出さんくても図体デカいんだから見えてるよ(笑)
 しばらくのんびり路線で行くのかなー、というか行って欲しいなー、と思っていたが、この作品はとことん敵陣営との戦いに明け暮れるようである。ま、そーゆーもんか。そしてケーテはラックに会いに行くために人型化する(龍の姿で人里に下りると大騒ぎになる)。なんかこういうの多くない? 定番化してるね。屋台の串焼き屋でのやり取りも定番。「よいのであるか?」は「お金持ってないけど」よいのであるか?の意味。いいわけないだろ(笑) でも「もちろん」って答えちゃったおっちゃんの方にも非があるかも。3万ラックと聞いてぼったくりか?と思ったが、100本も食べちゃったのね……流石はドラゴン。ナリは小さくなっても重量そのままだし、胃袋のデカさもそのまんまだ。っていうか途中でおかしいなって気付けよ串屋! っていうか後払いなのかよ! で、ドラゴンなので一般人から逃げるのは訳ないことのようで、ピンチのセルリス達の元へ駆け付けて吸血鬼どもを一蹴。放った言葉が「助けてくれ」(土下座付き)。お金払わなきゃ、って意識はあるのね。「いや、助けて欲しいのはこっちなんですけどー」(セルリスの心情を想像)。ケーテは吸血鬼退治、セルリスは串代の支払い、でウィンウィンというやつになりそう。セルリスがそんなお金持ってるかどうか知らないけど、ケーテのやったことなんだし誰かが何とかするでしょう。多分主人公とかギルマスとか国王にかかればはした金☆

【ウォルテニア戦記】4巻(既刊):☆☆★
 なんか村ごと異世界転生とかなかなかスケールのデカい……いや、前にどこかで日本列島丸ごと異世界転生って作品見たような気がするか。ま、それはともかく。亮真と厳翁のやりとりによく分からん部分がある。どうして事情を聞いちゃいけないのかね? これ、原作読んだらもうちょい詳しいこと書いてあったりする?

【銀の匙 Silver Spoon】5巻(既刊):☆☆★
 ん? あれ? 御影と駒場が話してた事情は結局どうなったんだろう? 一旦お預け? このままなかったことにされたりすると結構もやもやするんだが。

【はじめの一歩】117巻(既刊):☆☆★
【はじめの一歩】118巻(既刊):☆☆★
 「孤独ではなく孤高と呼べ」――鷹村の放ったこの一言がカッコ良すぎる。鷹村も最初は孤独を感じていたんだろうけど、きっと早いうちに気が付いたのだろう。俺様は特別製だから誰も付いてこれなくて当然。誰も付いてこれないなら独りで登って行こう、と。そこで寂しいと思う人間には決して辿り着けない境地。いいなあ、俺もこういう人間になりたかった。

【殺し屋は今日もBBAを殺せない。】3巻(既刊):☆☆★
 全体的にネタは好きな方なのだが、3巻最初の話だけはちょっと理解不能。どこが面白いのかよく分からない。あまり核心めいた事項もないし、これはちょっとハズレ回だったかな。
 野沢マコトが大塚ヨネに対して「なんだこのババアは」と驚くが、あんたがそれ言うのか(笑) おでこあたりに付いてた物体が実は閃光放つタイプの手榴弾(?)だったってのはこの時まで気付かなかった……髪をカールさせるやつ(名称知らん)と思って普通にスルーしてたわ。この時の攻撃が瞬獄殺かKOF'98のルガールの必殺技('94の時はこんな打撃技なかったような気がする)を連想させる。この作者、かなりゲーム好きだね。

【葬送のフリーレン】7巻(新刊):☆☆★

【ブルーロック】18巻(新刊):☆☆★
 話に一段落付いて物語は次のステージへ。とその前に、サッカーから離れて日常を謳歌するワンシーンあり。高校生楽しそうだな。
 というあたりでちょっと里心付いたりしそうなものなのに、世一君、あっさりと次のステージへの闘志をメラメラさせる。サッカーの本場から選手たちがやってきて生き残りを賭けた戦いに? コミュニケーションどうするんだろう、と思ってたら小型のデバイスで瞬時に通訳……おいおいおい、この世界の科学力はどうなってるんだよ、って突っ込んではいけない。前のところでも電子キーパー(?)みたいなのが登場してるし、そこはご都合主義ってことで、ストーリーを円滑に進めるための些事と考えておこう。

【となりの吸血鬼さん】3巻(既刊):☆☆★
 ちょっと推定入るが、理世に引き続き灯とも友だちになりたい。お人形さんのお洋服の作り方教えてもらいたい!(理世と友だちになりたい理由は、うさぎのぬいぐるみの作り方を教えてもらいたいから……下心満載だな)

>どじょう
ちょっと待って!? どじょう売ってるスーパーって凄くない!?

>大洗とかもいいんじゃないか?(アニメで見た)
何のアニメかな?(私は観たことないけど、名前は知ってるし「いいぞ」って勧められたこともある)

>『夜の遊園地』扉絵
扉絵だと猫耳カチューシャ(?)付けてるのに、本編ではそんなシーンがない。某イケナイことを教える漫画だと入場するときにそういうやりとりがあったのにね!

>30分お人形タイム取っても間に合う!
分かる分かる。いいペースで進んでるときの罠だな。

>マジャル語
その前にトランシルヴァニアが生まれ故郷って言ってたから、整合性が取れているのか調べたら……ニアミス? 一応おかしくはないのか?

>こんな壁も蓋もない寝具で眠っているだなんて
何という斬新な観点。っていうか棺のあれは壁だったのか??? その他狭いところで寝ると落ち着くようだが、噂によると猫もそういう場所が好きらしい(だから箱に入ったりする)。

【吸血鬼すぐ死ぬ】2巻(既刊):☆☆★
 どうしよう? 正直なところ、この漫画は半額で買えた3巻まで、その続きは読むつもりなかったんだけど、ちょっと面白いと思ってしまっている。
 「並べんじゃねえ!!」(電子版のページ数では121頁)のところで声を上げて笑ってしまった。その後クッキーに反応して出てくるがすぐ帰っていくヒナイチもいい感じ。この子結局優秀なの? アホの子なの?
 ……というあたりで、4月に読む予定の3巻次第では計画変更で4巻以降も買うかもしれない(既刊がかなりあったはずで、どこまで付き合うかは分からないが)。

【とんがり帽子のアトリエ】3巻(既刊):☆☆★
 キーフリー先生が意外に俗っぽいというか、善良なだけじゃない人だった。つばあり帽に対して何か因縁がありそう……復讐系かな? そしてそのためなら多少以上にルールを無視するのも、こうした漫画ではなかなかいないタイプではないかと。弟子たちに対しては誠実だと思うけどね(ココに関しては、自分の目的のために利用している部分があるけど)。

【狐のお嫁ちゃんと息子ちゃん】1巻(新刊):☆☆
 『狐のお嫁ちゃん』の続編。子育て漫画っぽくなる。っぽいというかまんまそのままか。
 あとがきで作者が男性であることが判明。いや、女性作家と思ってたわけじゃないけど、たまーにどっちだろう?と疑問を感じたこともあったので。

―――――
 『狐のお嫁ちゃんと息子ちゃん』は『狐のお嫁ちゃん』と同じく紙書籍版出版未定の電子版なので、例によって事前チェック不可能(作者のツイッターを細かくチェックしていればあるいはなのだが、正直それは面倒くさい)。というわけで今月は1冊増えた。
 4月発売の購入予定新刊は、『魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい?』、『冒険王ビィト』、『SPY×FAMILY』、『将棋の渡辺くん』、『あおざくら 防衛大学校物語』の5冊。久々な漫画が2つもある! 『ビィト』は話の進行度合いを忘れかけてるから、読み返して復習しておかなきゃね! 
 既刊は、『はじめの一歩』2冊、『銀の匙 Silver Spoon』、『ウォルテニア戦記』、『シャドーハウス』、『姫様“拷問”の時間です』、『パンゲアの娘 KUNIE』、『吸血鬼すぐ死ぬ』、『けなげなですげ』、の計画通りの9冊を消化予定。『けなげなですげ』は2巻が出ていたのを1年ぐらい知らなかった。原因は『言ったよきいちゃん!』の時と同じで、紙版でチェックしていたから電子版オンリーの2巻が検索網に引っ掛からなかった。この作者、いっつも2巻の紙版出して貰えてないね!(まだ2回目) ちなみに、気付いたのは去年の11月頃で、1ヶ月待って例の30%で買って、そして読むのは4月まで先送り……扱いが悪いね!
 4月と言えばゴールデンウィークの始まり。今回も某ヨの電子書籍30%ポイント還元キャンペーンがきっとあるはず! 例によって色々と候補は挙げてるんだけど、冷静に見返すと年末に買った作品が軒並み順調で枠(*1)に余裕がない。若干の補充はするけど、いつものような感想文を2回に分ける量にはならないだろう。

*1 橘雪翼の脳内に存在する仮想的な枠。前にも書いたが久々なので再度説明しておこう。ひと月に読む漫画の量を制限しているのは、お金が理由というわけではない(*2)。最近、面白いと感じられる漫画が減ってきている。たくさん買って一気に読んでしまうと、“面白い漫画”があっという間に枯渇するのではないかと危惧している。そう、“面白い漫画”は限られた“資源”なのだ。SDGsじゃないけれど、なるべく先の未来まで漫画が楽しめるよう、一度に読み切ってしまわないように制限しているのだ。人生一寸先は闇、明日突然事故などでおっ死んで、気になるあの漫画の先を読まないままあの世に旅立ってしまう可能性もあるが、そん時はそん時でしゃーない。
*2 とは言え、電子化で本棚の空きを気にしなくなった今、何らかのブレーキがないと際限なく浪費してしまう危険性もある。金銭的な理由も決してゼロというわけではない。

(2022-27 03-09)


2022年3月30日

 「月末のいつものやつ」の前に綴っている文章は、意図的に「漫画と関係のないちょいネタ」をチョイスしている。どうしても捻り出せなくて省略することや、漫画ネタなこともあったかもしれないけれど、基本的にはそういうスタンスだ。月の早い段階で「コレで行こう」というときもあれば「今回は何も思いつかないな」とギリギリまで粘ることもある。今月は「これ、普通に侃侃諤諤の更新一回分になりそう」ということになり、今日の更新はそのお題。

旧国のクハばかり買う橘雪翼

 某Jから始まる家電量販店の通販で、予約品、在庫品甲、在庫品乙、取り寄せ品、を混合して注文した。ところが在庫品乙の在庫数が足りなかったようで、翌日「取り寄せになります」という連絡が来た。元々予約品、取り寄せ品が混じっているので出荷に日数がかかることは織り込み済。予約品は発売1〜2日前の注文だったので、取り寄せ品の入荷次第と思っていた。というわけで今は、取り寄せになった在庫品乙と元からの取り寄せ品、どっちが先にお店に入って来るかな?と、毎日入荷状況を確認して楽しんでいる。
 さて、この予約品と取り寄せ品乙が何なのかもう少し具体的に書くと、先日も話題にしたグリーンマックスの旧型国電キットである。「予約」というと「新製品」を連想して「40・51系宇部・小野田線セット」かと思われるかもしれないが、そちらではなくて再生産品の単品車両だ。そして予約品、取り寄せ品乙共に「クハ」ばかりを各5つずつ注文した。何故「クハ」ばかりなのか。
 GMの40、42、51系の旧国キットのクモハとクハの違いは、屋根板の配管のありなしと、セットされる床下機器の違いの2点である。私の場合、キットの配管は削って真鍮線他で引き直すので、クモハであってもクハの屋根板を使った方が楽だったりする。特にクモハ51の屋根板はランボード取り付け穴が開いているが、今はそれも埋めるようになった(*1)ので、圧倒的にクハの屋根板の方が作業量が少なくて済む。そんなわけで、床下機器が上手く工面できた場合はクモハを作るときにクハのキットを開封することもあるし、元からクモハよりクハのキットを多めに買っている。床下機器の工面はどうやるのかというと、例えばクハ55の半流形を作るときに、クハ68とクモハ41のキットを使う。こうするとクモハ41付属の床下機器が余るので、次回クモハを作るときにクハのキットが使える、という塩梅だ。後は素直に、GMストアに行ってバルクパーツを買ってくることもある。
 先日新発売となった「旧型国電床下機器セット」、これのお陰でこうした面倒から解放されることになった。クモハ、クハどちらを作るにせよ、どうせ床下機器は別売りパーツを使う。クハを開封して、配管を自分で工作して、床下機器にクモハ・モハ用を持って来れば立派なクモハの完成だ。そう、あの日私の中でクモハのキットは、クハの下位互換となったのである。今まであれこれしてストックした従来パーツの利用価値は大きく下がってしまったが、まあそれはそれで仕方がない。過去にも似たようなことがあった。後から出来のいい、あるいは都合のいいパーツが発売されることがあるのはこの世界の宿命。むしろ今回は、出来のいいパーツがリーズナブルな値段で世に出たことを喜んでいる。前にね、リトルジャパンがとても気合の入った部品作ってくれたんだけどね……ありゃあ流石に高すぎた。キット本体の2〜3倍。しかも安定供給が見込めないのではちょっと採用できなかった。
 ちょっと事情が異なるが、以前にクハ76を大量買いしたことがある。こちらは「モハ70をクハ76を切り継いで作るぐ」という橘雪翼独特の制作方法が理由である。この場合もやはり床下機器の調達の問題があり、今回解決……したわけでもない。モハ70の床下機器は新製品のパーツとは一部形状が違っていて、従来品の方が適している。先ほど従来パーツについて「利用価値が大きく下がってしまった」という表現をしたが、「なくなった」ではなく「下がった」というのはこれが理由。モハ70や初期の頃を除くモハ80、それから73系の新製車についてはまだまだ従来パーツを使う必要があるのだ。まだあまり細かく見ていないのだが、新パーツを軸に一部を従来品から持ってくる形になるんじゃないかと。成型のシャープさに差があるが、形状の違いがあるので仕方がないと割り切ろう。もしかすると後になって、「戦後型用」の「床下機器セットC」が出たりするかもしれない……というかちょっと期待している。80系300番台が再販されるタイミングとかでね。
 先ほど名前を出した「40・51系宇部・小野田線セット」はお値段が魅力的。4両で税抜4500円は一見して割高なのだが、新製品の床下機器が入っている分を考慮しなくてはいけない。あと、40系の半流形を作るためのクモハ51の側板、屋根ランナーが余分に入っているそうだ。半流形40系を作ることを前提にすれば、単品5両分が入ったパッケージと考えることができて良心的な値付けである(窓セルやウエイトが少ないが、GMのキット組む人なら余らせてるはず……多分!)。そんなわけで1、2セット買っておこうかとも思ったのだが、結局「クモハは下位互換」であることを鑑みて見送ることにした。ちなみに宇部・小野田線の旧国もいずれ作りたいと思っている題材である。ところで今回GMがこういうセットを発売したのは、やっぱり『シン・エヴァンゲリオン』にからめてのことなのかね?

*1 ランボードの寸法が違うような気がするので、キット付属のパーツを使わなくなった。クモハ51だけでなく、半流クモハ41やクモハ60もこの屋根板を使うので同様。この方針を“初適用”したのは実はつい最近のこと。先日完成した旧国大糸線のクモハ41と60からである。以前に組んだ半流クモハ各種もいずれ手直ししたいと思っているが、いつになるか本当に実行できるかはちょっと分からない。

(2022-26 03-08)


2022年3月27日

「旧型国電大糸線 黒標記時代」完成

 1月時点では「仮」完成だった「旧型国電大糸線 黒標記時代」が本完成となりました。

「旧型国電大糸線 黒標記時代」完成

 新製品のパーツを取り付けた“だけ”なのだが、先週の「阪急3000系 3064F」の完成から1週間以上もかかったのは……机の上を片付けていたから、ではない。ついでに白標記の大糸線旧国各種の床下機器もアップデートしようとしたら、作業量が膨大になって時間が掛かってしまったのである(しかも白標記の方は完了していない。この辺りに付いてはまた来週にでも。

(2022-25 03-07)


2022年3月24日

グリーンマックスの動向

 「阪急3000系 3064F」の完成報告でも話をしたが、グリーンマックスが新製品としてFS345形台車を発表した。おそらくではあるが、完成品用のFS345をエコノミーキット用に“ダウングレード”したものになるのだろう(つまり、出そうと思えばもっと早く出せたはず)。その他、最新の発表ではあっと驚くようなものも含めて、キット関連で新規の製品が多かった。考えてみればその前は、クモハ11、クハ16のリニューアル、さらに遡って旧型国電用の床下機器と、ちょっとびっくりな新製品が増えている。
 作るのが好きなのでこういった傾向は大歓迎。だがしかし、ちょっと悩むというか不安というか、そんな思いもある。クモハ11、クハ16のリニューアルが商業的に成功した場合、それが他の旧型国電の各種キットに波及するのだろうか。順当に行けばそうなるだろうし、世間的にはそれが歓迎されるだろう。だが、私の場合は今まで作ったものをどうするのか、という問題を抱えることになる。大糸線、新潟、阪和線、片町線、東海道山陽線……大昔のものを除いても、80両前後の旧型国電を組み立てて来た。拙いながらも時間と手間と情熱を込めて完成させた愛しい我が作品である。もし、元となったキットがリニューアルされた場合、そちらから作り直した方が格段に出来は良くなるだろう。今まで作ったものは「過去の遺物」として、新製品を軸にまた新たなシリーズを作り始めるのがモデラ―としては正しい道かもしれない。でも、それはちょっとキツいと思っている。既存品がリニューアルされ始めたとしても、各形式が出揃うのにあと何年かかるか分からない。戦前型だけじゃなく70系や80系も新しくするとなれば、今度は製造年次による違いも再現することになるだろう。一度に何種類も出せるとは思えず、1年に2種類新しくなれば上出来なほうだろう。既存製品の置き換え完了には10年待つぐらいの覚悟が必要だ。とりあえず発売されたものから順次消化……は旧型国電の場合難しい。形式が入り混じって編成されていたりするからだ。さらに言えば、これまでのGMの経緯があるので、新製品による置き換えも信頼できない部分がある。時間がかかっても完遂してくれればいいが、半分ぐらい進んだところで急にストップしそうな不安が残る。それに、10年後にラインナップが出揃ってもそれでは遅い。焦っているわけではないが、私は自分の「模型制作寿命」がここ10年ぐらいの勝負だと思っている。特に今、体のどこかに不安を抱えているわけではないが、10年後に同じように模型が作れている自信がない。目か、手か、気力か、どれかが衰えて制作からは手を引くことを考えていると思う。何より、今は作る方ばかりに力を入れて、走らせる時間がほとんど取れていない。“老後”は作った車両と完成品をたっぷり走らせて遊びたいのだ。
 もう1つ、キットが新しくなって出来が良くなると困ることがある。今まで作って来たもののうちのいくつかは、製品を加工して別形式、あるいは別形態の車両として組み立てている。同じことを現代水準のシャープなキットでやると私の技量が追い付かない。ちょうど数日前の「阪急3000系 3064F」の中間改造車の元運転室部分がいい例だ。あの写真を見てもらえれば分かる通り、私の腕前で窓を作ると、何十年も前のGMキットにすら見劣りするものしか出来ない。が、しかし、何十年も前のGMキットが相手であれば見劣り幅を許容範囲内に収めることができる。もし、阪急キットがリニューアルされて今の水準のモールドになったらどうなるだろう? 周りの部分だけがグレードアップし、私が加工した部分は旧GMキット以下。それはちょっと見れたものではない。私はGMのキットを、その古さを逆手にとって制作しているのである。キットが新しくなってしまうと、基本の部分で組みやすくはなるだろうけど、手を出しにくくなる場所も出てくるのだ。もちろん、ラインナップや付属パーツが旧シリーズより充実し、パーツの組み換えぐらいで各形式各形態が揃うようになってくれるなら話は別だけど……それでもクモハユニ64は製品化されないよね? 
 詳細は割愛するが、ちょうど去年の今ぐらいに「GMっていつ廃業してもおかしくなさそう」と思った。そこで私が取った行動は、旧国の各キットの買い溜めである。製品が市場からなくなる前に、私がこの後必要とする分をストックしようと思ったのである。とりあえず小手調べの第一弾の段階で止まっているのだが、主に40系、42系、51系を買い増し。70系はモハがアレなので以前からクハをかなり買い込んであり、80系や73系も再生産されたときに多めに積んである。40系、42系、51系はまだ全然足りなさそうなので、もうちょっと詰めて必要数を割り出し、余裕を持ってプラス5ぐらいで買っておきたいところ。というところで止まってしまっているのだが、まさか別の理由で急ぐ必要が出てくるとはね。廃業じゃなく、キットリニューアルによる廃版を警戒。製品が新しくなるのがピンチってのも、橘クオリティってやつだ。
 尤も、小野田線セットとか身延線セットとか73系の着色済キットとかが“新製品”としてラインナップされているのを見ると、既存品のリニューアルは今のところ「ない」話なのかなあとも思う。GMはまだまだ既存金型で稼ぎたいようだ。ではどうしてクモハ11、クハ16を急に新しくするんだろう? というあたりを考えると油断はできない。あるうちに買っておくのが正解だろう。なぁに、そんなに高い買い物でもない。在来製品のもう1ついいところは、100両買っても10万円もしないその安さ(一部の製品は値上げで千円超えてしまったが、種類的にはまだまだ800円台のが多かったはず)。10や20の買い溜めぐらい余裕なのだ。
 恒例の余談。今度新しくなるクモハ11、クハ16の旧版は、5セットぐらいストックしてあります(笑) 微妙なところ市場在庫が安定してない気がして、作りたいときに作れるよう何年か前に買い込んだのだ。まさかこんな形で市場在庫が払底するとは予想外過ぎるが、我ながらいい判断だったと思っている。一方で、リニューアル版もそれなりに気になっている。予約とかはしていないのだが、発売されたらなんだかんだで買ってそうである。もちろん買う以上は作るつもりだ。旧版とは別シリーズで考え、そして新しくなって作りやすくなっているはずだから、あれこれ凝ったことはせずキットほぼそのままで組み立ててみようかと。線区を特定しないフリーランスか、青く塗って「大糸線に17m級が残っていたら」というお遊びもいいかもしれない。まあ、なんだかんだで新製品を楽しみにしているってことだ。

(2022-24 03-06)


2022年3月20日

「鉄道模型制作報告」の効能

 今年からの試みで、「鉄道模型制作報告」をしている。毎週更新することで緊張感が生まれ、最近ダラダラしがちな模型制作が引き締まるのではないか……という期待が込められている。制作開始から報告したのは昨日の「阪急3000系 3064F」が初となるが、その効果はどうだったか。着工から完成まで2ヵ月を切るぐらい。目に見える工期短縮に繋がった!と思って過去ログで確認すると、阪急5100系原形の2本は概ね2ヵ月少しで完成させていた。一応1週間ちょっと短縮しているように見えて……

・5100Fは初の試みで手探りの部分があり、時間かったはず
・5136Fは5100F用の増結車両と合わせて10両制作した

ということを考えると、数字ほどの効果なし? ただ、今回も屋根上配管で悩んだり、前面加工や中間車改造車もあったりで、作業量としてはそう見劣りしないはず。うーん、判断が難しい。
 成功か失敗か、現段階ではよく分からない。そもそも、阪急は完成までのロードマップがはっきりしていて途中でダレにくい。真価を問われるのは、制作期間が長くなりがちで、面倒に感じる工程が2、3ある旧国制作時ではないかと。即ち次が本番。来月も続けて行こうと思う。

ん?
「今月はまだあと一週間あるんじゃないか」って?

来週も“完成報告”になる予定ですよ。

 余談。その他の車両がどの程度の期間で制作されているか見ていたら、東急旧3000系リバイバルカラーが僅か20日で完成しているのを見つけた。ちょっと信じられない。3両だけだし、ドア交換みたいな面倒なことはしていないが、張り上げ屋根の加工や、個体差のあるランボードで苦労した記憶がある。何ヶ月もかかった印象はないが、そんなにあっさり片付けた覚えもない。最近工作スピードが落ちたと思うが、5年前はまだそこまで鈍っていなかったのか???

(2022-23 03-05)


2022年3月19日

「阪急3000系 3064F」完成

 完成を目前にして「梅の開花」という毎年恒例のビッグイベントがあったが、制作への影響を最小限に抑えて無事完成させることができた。

「阪急3000系 3064F」完成

(2022-22 03-04)


2022年3月13日

鉄道模型制作報告「阪急3000系 3064F」その7

 もうちょっとで完成しそうだが、家の梅ももうちょっとで咲きそうだ。咲くとどうなるかって? 「模型制作の時間が減る」のだ。

鉄道模型制作報告「阪急3000系 3064F」その7

(2022-21 03-03)


2022年3月9日

Aマウントの終焉

 ソニーがAマウントレンズの販売を終了したそうな。既にボディは販売終了していたので、いよいよミノルタα-7000から始まったシステムが過去のものとなるようだ。アクセサリーは残っているものもあるが、完全終了も時間の問題と思われる。そんなわけで私はバッテリーを1つ買い足した。去年の7月時点ではもうしばらく先だろうから慌てる必要はない、と思っていたのが全然先の話じゃなかった。手持ちのバッテリーはこれで4つ。うちα77に付属していたものは、充電できなくなったα350付属分と劣化度がそう変わらないので、近いうちに使えなくなってもおかしくない。なので、4つあるが3つに近い状態だと考えている。果たしてこれで十分なのか、それとももう1つ買っておくべきか。α77は室内で使うことが多く、ACアダプターで給電するので問題はα99IIのほう。現在のメインカメラはD810、α99II、α7IIIの3台体制だが、α99IIの使用頻度はかなり低めである。最悪の場合、α99IIはα7IIIで代用することも出来る(画素数? 4240万画素がどうしても必要、なんてことは滅多にないよ)。以上を踏まえると3個あれば十分に見える。が、私は心配性なので、気持ちが変わってα99IIとミノルタレンズでガンガン写真を撮るようになる可能性を考えてしまう。LA-EA5対応機買って、Eマウントでガンガン運用する方が有り得る話なんだけどね。LA-EA5経由で使う場合はテレコンが使えないので、一部の撮影ではα7IIIでの代用が利かないのが難しいところだけど。
 テレコンと言えば、どうやらZやRはマウントアダプター使用時にテレコンの併用が可能のようである。ソニーだけが出来ないという不思議な状態。理由はよく分からない。ソニーが手を抜ているのか、それともAマウントにはそれが難しい何かの理由があるのか。考えられるのが絞りの制御方式だが、それとてマウントアダプターを介したところで間に挟まるものが増えるわけじゃない(Eマウント機本体とアダプターの間は電子的な接続である)。話は逸れるが、Z移行後もテレコンが使えると分かったので、200-500mm F5.6用に1.4倍のテレコンを導入することを検討中。最近1.2倍クロップで2500万画素残ることに気付いたので、それ以上伸ばす必要があるかどうかはやや疑問なのだが、視野には入っている。Z機でZ7系に行くかZ6系に行くかでまた違ってくる話だが、Fもいずれ生産終了になるだろうから、Z機をどちらにするかの前に決断する必要が出てくるかもしれない。
 で、また全然違う話。しばらく前に海外サイトで「ソニーのAマウントサンニッパをLA-EA5を介してEマウント機で使ってみる」という記事が出ていたらしい。私は有志の和約を読んだだけだが、連写速度が遅めになるものの、AF速度はそれなりに速かった模様。一番問題視されたのは解像力。最新のレンズと比べて弱いのは分かるが、特に高画素機ではかなり厳しめの評価だった。レンズの設計自体はミノルタ時代に遡る古いレンズなので仕方ないのだろう。そしてそのレンズの評価が低いということは、さらに古い旧型サンニッパ(私が持ってるやつ)はもっと低い評価になる事は想像に難くない。そのふる〜いサンニッパを、「今でも結構行けるやん!」と評価した私の目は……相当悪いようである(苦笑) α77にテレコン付きで装着して撮った写真を、さらにトリミングした上でA3ノビに引き伸ばしたプリントがあるのだが、今見ても特に不満がない。「α77が2400万画素だから(高画素機ではないから)」は当てはまらない。センサーサイズがAPS-Cなので、画素ピッチで言うと35mm判の高画素機、6000万画素相当ぐらいになる。それを伸ばしに伸ばした上で合格印を押しているわけだから……橘雪翼にG Masterレンズとか豚に真珠もいいとこだね! ま、でも、これはこれで悪いことばかりじゃない。世の中完璧なレンズというのは存在しない。目が良すぎると、最新設計のお高いレンズを買っても「このレンズ○○はいいけど□□が弱点だなあ」とかいう風に欠点ばかりに目が行ってしまうだろう。中庸なレンズを買って「おっ、いい写真が撮れた♪」と満足できた方が人生楽しくないだろうか? ひょっとしたらレンズの性能を厳しく鑑定できる審美眼があった方が楽しいのかもしれないけれど、橘雪翼にはそれがないので、「どんなレンズでも写真が楽しめる」方が楽しいと思って満足しておくことにしよう。
 という、冒頭と締めにまるで繋がりのない、橘雪翼クオリティ全開の哀悼Aマウント譚でした。

(2022-20 03-02)


2022年3月6日

鉄道模型制作報告「阪急3000系 3064F」その6

 今週の作業内容は「配管」。来週中に塗装に移れる見込みだが、思ったより時間が掛かっている。

鉄道模型制作報告「阪急3000系 3064F」その6

(2022-19 03-01)


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