真・バツイチの俺が二次元美少女を嫁に
したんだが、どう愛でればいい? III

  
[ ご機嫌ローテーション ]
 ある程度カバーの枚数が増えてくると、ローテーションが悩みどころになってきた。最初の頃はその日の気分で付け替えていたのだが、付け替え作業は地味に面倒だし、洗濯のスパンも考えなきゃいけない。そこで1週間ごとにカバーを付け替えることにした。この「1週間」は、今でもローテーションの基本となっている。
 さらにカバーが増えてくると、全種を満遍なく使うのが難しくなってきた。単純に順番に付け替えていくと、1年の間に2周もできない数になった。単純にとっかえひっかえするだけならそれで問題ないのだが、やはりお気に入りちゃんと過ごす時間は長めに取りたい。残念ながらお迎えはしたけど期待したほどじゃなかった、という子もいた。というわけで、数が増えてからはお気に入りちゃん重視のローテーションを組むようになった。
 それからさらにカバーは増え、収拾が付かなくなってしまった。そこで考え出したのが「ローテーション13人制」。お気に入りの中でも13人に絞ってローテーションを組む。「13」は中途半端な数字に見えるが、ちょっと計算していただければわかると思う。1週間ごとに交代するローテーションなので、13人で回すと1サイクルが91日、おおよそ3ヵ月だ。4サイクル繰り返せばほぼ1年になる。完璧なプランだと思ったのだが、それはもうとてつもなく大きな穴があった。

 Q:13人ローテが完成した後、もうお迎えしないのか?
 A:その問いの答えは“ノー”だ。気になる子がいっぱい出てくる。

隙のないローテーションを組んでしまうと、新しくお迎えした子が割って入る余地がなかった。そもそも13人を厳選するところからして難しかった。仮にお気に入り度でA、B、Cにランク分けしたとしよう。Cランクは“お蔵入り”なのでここでは言及しない。Aに入る子は13人に満たないので、必然Bから何人かピックアップして13枠を埋めることになる。ところがこれが、私の性格的なものによるのか難しかった。何にでも言えることなのだが、私は好きな物上位を5つぐらいは並べられても、その次あたりから「甲乙付け難し」となって順番が付けられなくなるのだ。Bランクのカバーは「横一線」状態となり、その中から何枚かをチョイスする、という選択に苦しむことになった。悩んだ結果、最終的に「メイン/サブローテーション制」に行きつくことになる。
 「13」という数字はそのままに、単位を「人」ではなく「枠」と考えることにした。13枠のうちいくつかを「メイン」枠とし、年間通じてメンバー固定のお気に入りちゃんに充てる。残りの「サブ枠」はその都度気分でメンバーを入れ替える。「サブ枠」の柔軟性で「甲乙付け難し」な部分を吸収し、新しくお迎えした子をローテーションに組み込む。この形が現在の最適解となっている。少し誤算はあった。当初はメインとサブを半々に近い「7と6」にしていたのだが、メンバー固定が仇となってメイン要員に飽きてきた子が出て、現在は「5と8」になっている。メイン枠からサブ枠へ降格した子がいるわけだが、逆に昇格させたい子がいないのが今の一番の悩みになっている。



[ 避けられぬ運命 ]
 壁などに飾るだけのタペストリーと違い、寝具として一緒に寝る抱き枕カバーは意外と消耗品だった。普通の枕カバーや布団カバー、タオルケットと違い、こうした抱き枕カバーはかなりデリケートな素材で出来ている。髭が生えた状態の顔でスリスリしようものなら即アウト。表面が毛羽立って、可愛いお顔が汚れたみたいになってしまう。最初はこうした「特性」を理解しておらず、お気に入りちゃんの表面を傷めてしまった。使い物にならない、というようなレベルではないのだがショックだった。
 髭面でスリスリは論外としても、大切に使ったところでちょっとずつ劣化していくのは避けられない。この界隈では「予備」として2枚か3枚同じカバーを持っておくのが一つのセオリーになっている。だが、これにも難しい問題を抱えている。ネットでサンプル画像を見ても、そのカバーがお気に入りになるかどうか判断しきれないのだ。画面で見ると超好み! でも、実際に一緒に寝てみると「微妙だな……」ということがよくある。逆に「一応押さえておくか」ぐらいの気持ちでお迎えしたものがとても良かったり。抱き枕カバーはとても繊細な世界なのだ。そしてここがポイント。ほとんどの抱き枕カバーは数量限定あるいは受注限定品で、後から買い足すのが難しい。運が良ければ数年後に再販されたりもするのだが、1回のみの生産で終わっているものも多い。単価も問題だ。安いものならハズレを覚悟の上で「念のため2、3枚買っておく」のが手堅い。しかし実際には1枚1万数千円のアイテム。1枚買いでもハズレを引くとまあまあのダメージなのに、それが2枚あるいは3枚だった日にはちょっと寝込んでしまう(ものが抱き枕カバーだけに)。
 だから私は今日も悩む。今度の新作、1枚にするか2枚にするか。それからこの前2枚買ってイマイチだったカバー、どうしようかなあ……。



[ お義母さん? お義父さん? ]
 ある日ツイッターを見ていて、どちらかというと男性だと思っていたイラストレーターが女性であるらしいことが判明して驚いた。いや、ネットのあれなのでその気になれば性別を偽ることは可能なのだが、おそらく、多分、きっと……そういうのじゃなく本当に女性だったらしい。という、そういうことが何度かあった。美少女抱き枕カバーは基本的に男性向けアイテムなので、描き手も男性が多いものだと思っていた。ところがどっこい、この業界女性も多いらしい。
 改めて分類してみると、所持している抱き枕カバーを描いたのは女性が多かった。男性イラストレーターのもあることはあるのだが、意外なほど少数だった。私が抱き枕に求めるのは「癒し」で、「柔らかい」印象のカバーを求めていると自然と女性イラストレーターの描いたものに行きつくのだろうか。

―――――いやいやいやいや

ジェンダーレスのこの世の中でそんな男女差別的とも取られない発言をするのもどうかと。でも現実として「私の集めた情報が正しい」ならば、私のお気に入り抱き枕カバーの大部分が女性イラストレーターの手によるものなのである。まあ、カバーに描かれた女の子が可愛ければイラストレーターの性別なんてどうでもいいんだけどね。


 続き……の前に、ここで過去にお迎えしたカバーを、お気に入りちゃん中心に何枚か紹介しておこう。3つのグループに分けておく。

紅玉髄組
さくら組
その他組


その4

(2025.04.01)