大阪−東京を安くする方法

はじめに 片道の場合(新幹線) 片道の場合(在来線) 往復の場合 バスの場合 おわりに

はじめに
 大阪から東京(またはその逆)へ行くのに、あなたは概ねいくらかけてますか?
 まずは参考までに新幹線(新大阪−東京:指定席)と飛行機(大阪(伊丹)−東京)の通常期の運賃を表にまとめてみました。
手段・区間列車・会社ねだん
新幹線
新大阪−東京
「ひかり・こだま」利用(指定席・通常期)13,750円
「ひかり・こだま」利用(グリーン車・通常期)18,390円
「のぞみ」利用(指定席・通常期)14,050円
「のぞみ」利用(グリーン車・通常期)18,690円
飛行機
大阪(伊丹)−東京
通常期16,700円
往復通常期(往復運賃の半額)15,900円

注:飛行機は航空運賃に加え「航空保険特別料金」(2003年10月1日現在、片道300円)が必要です。

 これを見て頂きますと、新幹線「ひかり」利用でも片道13,750円と、どうしても福沢諭吉さまが1枚分必要です。普通車を利用するとして、この中の方法ならどれを使おうが、往復するとなると、福沢諭吉さまはどうしても3枚は必要となってしまいます。
 そこで、JRのトクトクきっぷや飛行機の各種割引運賃などを利用するという方法が考えられます。ここではJRを利用して安くあげる場合を説明することが目的ですので、飛行機の各種割引については詳しく述べませんが、モノによっては50%ほど割引となるので、前もって割引航空券が入手できれば相当安く往復できることになります。しかし座席数に限りがあったり、繁忙期だと設定そのものがなくなるなど難点もあります。また、飛行機の場合は都心部から空港までが離れており、空港アクセスの運賃を考慮すると、実際には余分に費用がかかる(片道で1,000円前後)ことが多くなります。他に飛行機の回数券を利用する方法(金券ショップで12,000円ほどで売ってます)などもあるのですが、空港アクセスを考えるとそれほど大きなメリットがないことも多いです(ただ、最近はシャトル便の運転で本数的に便利になり、共通の回数券や往復運賃が出ているので、かなり便利になっています。また、マイルをためるなどのサービスもあるため、脅威になっているのは事実です)。
 そのほか、普通列車乗り継ぎやバスという方法もありますので、これらについても後段で解説します。近年は格安バスの台頭が目立ってきているのが特徴です。
 以下、大阪−東京を安く行く方法について紹介します。

片道の場合
新幹線利用の場合

 新幹線利用の場合、新幹線回数券金券ショップで購入するのが最も一般的な方法です。欠点としては、回数券には利用制限が設けられておりGW(10日間)・盆(10日間)・正月(10日間)の計30日に利用できないことです。他にも途中下車を禁止していたりするのですが、こちらの制限は利用制限ほどネックとなることはないでしょう。

 2003年の10月からは、「早特きっぷ」が発売されるようになり、7日前までに購入することを条件として格安で購入できる割引きっぷです。その代わり、各列車の座席数に限りがあります。ちょうど航空券の事前購入割引と同様の形式となっております。

 回数券以外の方法として、あまり知られていませんが、JR東海ツアーズなどで発売している「ぷらっとこだま」があります。これはあらかじめ指定されたこだま号を利用するもので、所要時間は4時間強かかりますが、格安で、ジュース券(ビールも飲める)が付いてきます。こちらは新幹線回数券のような利用制限はありませんが、他のきっぷが利用制限のかかる時期に利用すると通常の価格よりも高くなります(といっても通常購入と比較するとだいぶ安い)。

 他にもインターネット等で予約することで安くなる「エクスプレス割引」があります。指定席利用のみ利用可能で、JR東海エクスプレスカードへの入会が前提となりますが、近年は割引率が上がって新幹線回数券よりも安くなりました。また、GW・盆・正月の利用制限もなく(年間を通じて同じ価格)、予約変更が何度でも可能などメリットもあります。なお、予約方法やチケット受け取りなどは、東北・上越新幹線などで導入されている「えきねっと割引」や航空券のインターネット予約による割引サービスと同様です。

 また、JR東海の株主優待券を利用することも考えられます。特急券も割引となるのはうれしいのですが、欠点としては1枚利用では10%しか割引にならない点です(JR東日本やJR西日本は20%引)。よって1枚利用の場合では新幹線回数券よりも確実に割高になります。大阪−東京間の移動での株主優待券の利用は新幹線回数券の利用制限の時期や、グリーン車を利用する場合に有効となります。なおJRの株主優待券は、株主優待券を取り扱っている金券ショップで買うといいでしょう(JR東海の株主優待券は800円ほどで売られています)。

 なお学生の場合は、学割を利用すると普通乗車券が2割引になりますので、自由席やグリーン車利用の場合は学割利用の方が安くつきます。

 以下に、これらのきっぷのねだんを通常価格とまとめて比較してみました。

表 大阪市内−東京都区内(新幹線)を利用したときにおけるきっぷ別のねだん
きっぷの
名称・割引
自由席指定席(通常期)グリーン車利用制限備考
ひかり
こだま
のぞみひかり
こだま
のぞみ
新幹線回数券―――13,240円(13,100円)18,390円(18,200円)あり 
 
ひかり早特
きっぷ
―――12,000円―――14,500円―――なし繁忙期は設定数が少ない
ぷらっと
こだま
―――10,000円
利用制限期
11,500円
―――14,000円
利用制限期
14,200円
―――割増指定されたこだま号を利用。東京都区内・大阪市内の在来線は使用不可
エクスプレス
予約
―――13,200円17,840円なしJR東海エクスプレスカード
への入会(年会費1,050円)
が必要
株主優待券
(2枚利用)
*10,580円
(12,180円)
*10,990円
(12,590円)
*11,230円
(12,830円)
*14,700円
(16,300円)
*14,940円
(16,540円)
なし*印は株主優待券代を除いた価格。東京都区内・大阪市内の在来線は使用不可
株主優待券
(1枚利用)
*11,900円
(12,700円)
*12,360円
(13,260円)
*12,630円
(13,430円)
*16,530円
(17,330円)
*16,800円
(17,600円)
なし*印は株主優待券代を除いた価格。東京都区内・大阪市内の在来線は使用不可
学生割引11,530円12,040円12,340円16,680円16,980円なし学割が使えること(別途必要)
通常購入13,240円13,750円14,050円18,390円18,690円――
 ねだんは、回数券については各々について1回分に割った価格です。またカッコ内は金券ショップでの標準的な料金を掲載しています。なお金券ショップでのねだんは、店や季節によって若干の違いがあります。なお、金券ショップでの発売価格は2003年10月時点のものを掲載しており、従来発売されていた回数券類が利用できなくなる時期になると販売価格が変化する可能性がありますのでご了承ください。
 また「ぷらっとこだま」は正規運賃、株主優待券・学割は正規割引運賃を記載しております。なお株主優待券については、カッコ内に金券ショップで株主優待券を購入した場合の合計金額を記載しています(株主優待券の価格も2003年10月現在)。

 金券ショップでは「指定席」「グリーン車」の分類で販売しているところが多いようで、指定席は「新幹線回数券」の価格より若干安く(約13,100円)売られています。またグリーン車も新幹線回数券より若干安く(約18,300円)売られています。

 「ひかり早特きっぷ」はひかり号利用の事前購入型の割引きっぷで、7日前までに座席数を限定して発売されています。JR東海・西日本の発着駅および旅行会社で発売されています(JR東日本の窓口では発売されませんのでご注意願います)。座席数が限定されているので、7日前とはいわずに旅行日が決まった時点で購入するとよいでしょう。指定された列車のみ有効のため、乗り遅れた場合に自由席を利用するといったことは出来ません。

 「ぷらっとこだま」はきっぷの性格上(列車を先に指定する必要がある点や、主催旅行の扱いになる点など)、金券ショップでは発売されていません。東京駅や新大阪駅構内にあるJR東海ツアーズで早めに買うとよいでしょう。なお、この「ぷらっとこだま」は東海道新幹線専用なので、東京都区内や大阪市内のJR線を利用することはできません。

 「エクスプレス予約」は割引きっぷではありませんが、インターネットや携帯電話でのぞみ・ひかり・こだま号の指定席料金が割引になります。エクスプレス予約で購入するとのぞみ指定席の場合は13,200円(のぞみ利用時の割引額は850円)と新幹線回数券の1枚当たりの価格よりもお得です。 自由席利用の場合は割引にはなりません。
なお、列車の変更は通常に購入すると1回限りですが、エクスプレス予約の場合は変更は何度でも可能です。また、きっぷは駅の券売機で受け取る形となっており、みどりの窓口の行列に並ぶことなくチケットを受け取れるのも便利です。
JR東海エクスプレスカードへの入会(年会費1,050円)が前提となっているのが唯一のデメリットで、エクスプレスカードの年会費1,050円を考えると、新幹線回数券の1回あたりの値段と比較すると年間27回乗らないと元が取れない計算になります。

 JR東海の株主優待券は、JR東日本・西日本のものに比べて割引額が小さい代わり、金券ショップではその分安く売られています。金券ショップでの発売価格は2003年10月時点では800円程度ですが、回数券類の値上げによって販売価格が1000円程度になることが予想されます。株主優待券を利用する場合のねだんは、販売価格が1000円程度とすると新幹線回数券と似たような価格になりますが、グリーン車利用の場合は株主優待券がお得です。また、株主優待券には利用制限がありませんので、GW、お盆、正月に新幹線を利用する場合には非常に有効です。なお東海道新幹線のきっぷを株主優待券で購入する場合も、東京都区内や大阪市内の在来線はJR東海の路線ではないので利用できません。

 また、こどもの場合は以前に存在した自由席回数券の場合は1枚でこども2人が利用するといったことも出来たのですが、現在のものではこれはできません。株主優待券はこどもでも利用可能ですが割引額を考えるとメリットは低いです。なお、「ぷらっとこだま」にはこども料金が設定されていますので利用価値があるかと思います。

 この中で一般的なのは「新幹線回数券」ですが、これは安直な考えです。「新幹線回数券」避けたほうが良い手法となっています。今までは知名度は高く汎用性も高い回数券でしたが、2003年には値上げされたのを期に、他の割引きっぷが台頭してきましたからです。
 私はズバリひかり早特きっぷをお勧めします。価格的には以前の新幹線ビジネスきっぷ程度であり、事前購入・座席数という条件がありますが、まずはココから狙うのがいいでしょう。なお、ひかりが遅いというイメージがあるかもしれませんが、2003年10月のダイヤ改正でひかりもスピードアップしており、のぞみに抜かれる本数が増えても所要時間的には遅くなっておりません。  次いでお勧めなのは株主優待券です。旧来からある方法ですが知名度が低く今までは注目されていませんでしたが、今となっては少なくなった自由席にも使用できる方法で、かつ利用制限がないというのも魅力です。
 また、グリーン車を利用する場合、新幹線回数券(グリーン車用)が2003年に相当値上げされたため、ひかり早特きっぷの利用がいいでしょう。
 なお、絶対価格の面では「ぷらっとこだま(指定席)」の格安さが光ります。
 また、今後注目したいのは「エクスプレス予約」です。利用制限がないのはいいのですが、JR東海エクスレスカードの年会費が高いのが欠点です。

在来線利用の場合

 在来線利用の場合、まず使用時期が重要になります。「青春18きっぷ」や「鉄道の日記念・JR乗り放題きっぷ」の発売時期に、昼間に普通列車を乗り継いで行く場合は、これを使った方が間違いなく安くなります。近年は格安バスが台頭しているものの、この時期でしたらバスのほうが割高です。 参考までに例年の発売時期をねだんを表にまとめました。これらのきっぷはJRの普通列車(快速も含む)に限り利用でき、1回分で1日乗り放題というものです。きっぷの詳しい説明はここでは省略します。
きっぷ時期発売期間通用期間ねだん
青春18きっぷ2/20〜3/313/1〜4/1011,500円(5回分)
[1回あたり2,300円]
7/10〜8/317/20〜9/10
12/1〜1/1012/10〜1/20
鉄道の日記念・JR乗り放題きっぷ10/4〜10/19
(前後に利用日が
追加されることがある)
10/4〜10/19
(前後に利用日が
追加されることがある)
9,180円(3回分)
[1回あたり3,060円]

 ただしこの時期でも、ムーンライトながらを利用する場合は、列車を2日にまたがって利用することになるので、1回分の値段で行くことはできません。青春18きっぷの発売されている時期にムーンライトながらを利用する場合、以下のようにすると安くあがります。なお、大阪→東京の場合、「鉄道の日記念きっぷ」の時期は0時を過ぎる駅まで普通乗車券で行ったほうが安くなります。
列車方向0時を過ぎて最初に停車する駅
までのきっぷ
その後のきっぷねだん
ムーンライトながら
による普通乗り継ぎ
下り東京−横浜間の乗車券(450円)青春18きっぷ2,750円
上り青春18きっぷ青春18きっぷ4,600円
ムーンライトながら91・92
号による普通乗り継ぎ
下り東京−川崎間の乗車券(290円)青春18きっぷ2,590円
上り青春18きっぷ
※近鉄利用でさらに安い方法あり
青春18きっぷ4,600円
 この他に「ムーンライトながら」を利用する場合は、指定席料金(510円(閑散期は310円))があわせて必要となります。

 これだけ見ると大阪→東京の夜行の場合は青春18きっぷ2回分と指定席料金を加えたら5,000円程度となりますが、これもさらに安くする方法があるのです。「近鉄株主優待券(約1,400〜1,500円)+名古屋−安城の乗車券(460円)」とすれば440円程度節約ができ、結果的に5,000円程度の格安バスよりも安くなります。
 「(青春18きっぷの時期に)大阪→東京ならむしろバスのほうが安い」と紹介されているサイトもあるようですが、これは誤りです

 「青春18きっぷ」や「鉄道の日記念・JR乗り放題きっぷ」が発売されていない時期で、大阪−東京を片道で移動するとなると、基本的には普通乗車券となります。普通乗車券を購入する場合、普通に買うよりも何枚かに分割して購入する方が安くなる場合があります(JRの運賃体系に特異な点があるため)。大阪−東京の場合、大阪−京都、京都−大津、大津−横浜市内、川崎−東京と4枚に買うと140円安くなります。普通乗車券だとどうしても高くついてしまいますが、「ムーンライトながら」を使うのであれば夜行バスと同程度のねだんで東京へ行くことができるのです(ただし、近年台頭してきた格安バスには負けます)。
 また大阪から東京へ行く場合は、料金を払えば寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」を使うこともできます。この列車は個室寝台を中心に連結されていますが、特急料金のみで乗れ、横になって東京まで行ける「ノビノビ座席」も連結されています。大阪を0時30分過ぎで東京着7時過ぎと、大阪に夜遅くまでいる必要がある時には便利です。
 なお学生の場合は、学割を利用すると普通乗車券が2割引になりますので、学割利用の方が断然安くつきます。

 さらに安くあげる方法として、並行する私鉄を利用することが考えられます。JRの運賃体系は私鉄と違って、かなりの距離を利用しないと、遠距離逓減制がなかなか働いてくれません(1kmあたりの運賃が安くなりにくい)。JRの場合は安くなる段階が2回あるのですが、東京−大阪間程度の距離でしたら、まだ1段階の域にしか達していないのです。ですからこの段階なら私鉄を利用する方が安くなる場合も出てきます。関西圏−首都圏で並行しており、比較的長い距離が使える私鉄と言うと、近鉄、名鉄、小田急が考えられます。
 また、私鉄部分をさらに安くする方法があります。私鉄の株主優待券を金券ショップで購入しておくのです。ちなみに近鉄の場合は1回限り全線有効のものが約1,400〜1,500円で売っています。この方法を利用し近鉄急行を乗り継ぐと難波−名古屋間が約1,400〜1,500円で行ける事になりますので、「鉄道の日記念きっぷ」や「青春18きっぷ」の時期、上り「ムーンライトながら」に乗る場合に利用すると0時まで有効の部分を節約できます。ただし株主優待券の発行時期の関係で、特定の時期に在庫がなくなるのが欠点です。
 私鉄を利用する場合は、最寄りの駅から目的地へ向かう私鉄を選択すると言うのも一つの手です。出発地・目的地にもよりますが、東急・阪急などは結構利用できるでしょう。なお、どれだけ安くなるかは都心部での出発場所によって結構変化します。

 私鉄利用は全体を通して変化があるので楽しい反面、乗り換えが増えたりきっぷをその都度購入しなければならないと言うデメリットもあります。

往復の場合
往復とも新幹線利用の場合

 新幹線同士の往復の場合、往復とも新幹線回数券を使うのが一般的です。ただし学割で「のぞみ」利用や、自由席利用の場合は、普通乗車券の方が安くなります。利用制限がかかっている時は株主優待券が安いです。
 新幹線で往復する場合も、普通乗車券は東京−大阪間の片道の運賃を倍にするだけで特に割引されることはありませんが、大阪市内−東京都区内の往復乗車券を買うのは考えものです。普通乗車券は601km以上の往復の場合は往路・復路とも1割引になりますので、大阪市内からの東京都区内を経て(または東京都区内から大阪市内を経て)601km以上(640km以下)の駅までのきっぷを買えばいいのです。大阪市内からの場合なら小山、熊谷、成田などが、東京都区内からの場合は明石(垂水や舞子は神戸市内となるので駄目です)、和歌山などが挙げられます。目的とする駅がある方角の延長上にある駅までの往復きっぷを選択するのがいいでしょう。
 周遊きっぷの利用は、大阪市内−東京ゾーンのように600kmまでのゆき・かえり券だと、東海道新幹線を利用する場合では5%(学割20%)と、かえって割高になってしまいます。東京で周遊するなら別ですが…。

往復とも在来線利用の場合

 往復在来線利用の場合、「青春18きっぷ」や「鉄道の日記念・JR乗り放題きっぷ」の発売時期の場合は、これらのきっぷを往復とも使うと安くなります。
 「青春18きっぷ」や「鉄道の日記念・JR乗り放題きっぷ」が発売されていない時期に、大阪−東京を往復する場合は、片道の場合のように行き帰りとも分割したり、新幹線の項で述べたように往復乗車券にすることも考えられますが、これらの方法より安くなる「大回り乗車」という方法があります。
 大回り乗車というのは、経路が途中で重ならないようにしながら、出発駅から目的とする駅を経て出発駅に戻ってくるという乗り方です。つまり、「往復乗車券ではなく、非常に長い片道乗車券を購入する」という方法を考えるのです。
 大阪から東京を経由して大阪に戻ってくる大回り乗車券の中では、「大阪市内(関西本線(大和路線))名古屋(東海道本線)東京(中央本線)多治見(太多線)美濃太田(高山本線)岐阜(東海道本線)大阪市内」という経路が1114.3kmと最も短くなります。JRの運賃は距離に応じて安くなる段階が2回あるのですが、この程度の距離でしたら、充分2段階目の運賃に突入しておりますので、12,810円と安くなるのです。
 ちなみにこの乗り継ぎだと、中央本線が夜行になる場合は行楽期や繁忙期に運転される臨時列車「ムーンライト信州」が利用できます。

 ただこの大回りは、中央本線のように本数が少なくて不便なところや、太多線、高山本線や関西本線(加茂−亀山間)いった非電化区間を通ることから、東海道本線経由に比べて所要時間がかかるという欠点があります。
 そこで片道は前述した近鉄を利用して、「大阪市内(東海道本線)名古屋(中央本線)東京(東海道本線)名古屋市内」という大回り乗車券と、近鉄の株主優待券を揃えるとさきほどより若干支払うだけですみます。また、このルートだと、前述の「ムーンライト信州」以外にも、大阪−塩尻間でこちらも臨時列車の「ちくま」に乗ることができますので、「ちくま」運転日には朝早めに大阪に戻ることができます。
 他に大回りルートとして、大阪市内(東海道本線)東京(東北・高崎・上越線)長岡(信越本線)直江津(北陸本線・湖西線)京都市内(大阪まで戻るには、西大路−大阪の乗車券が必要)というルートがあります。この場合は東海道本線経由の往復乗車券と似たようなねだんになりますが、「ムーンライトえちご」「きたぐに」「能登」といった夜行列車が利用できます。

 なお学生の場合でも、大回り乗車券はあくまで片道乗車券ですから、学割利用で20%引きにすることも当然できます。また、「大回り乗車券の往復乗車券」も購入することが可能でして、この距離だと往復割引も適用されるので、短期間に2回移動する場合はかなり安くできます。

片道新幹線、片道在来線利用の場合

 片道のみ在来線利用の場合、「青春18きっぷ」や「鉄道の日記念・JR乗り放題きっぷ」の発売時期の場合は、新幹線を使う時は回数券(ビジネスきっぷなど)、在来線を使う時は「青春18きっぷ」や「鉄道の日記念・JR乗り放題きっぷ」を使うと安くなります。利用制限がかかっている時は株主優待券が安いです。
 「青春18きっぷ」や「鉄道の日記念・JR乗り放題きっぷ」が発売されていない時期の場合は、行き帰りとも分割したり往復乗車券にすることも考えられますが、先ほど述べた「大回り乗車」も検討の余地があります。
 片道新幹線と言う前提で、大阪から東京を経由して大阪に戻ってくる大回り乗車券の中では、「大阪市内(東海道新幹線)東京(中央本線)名古屋市内」「名古屋(東海道本線)大阪」という経路が代表的です(往路新幹線の場合。復路新幹線の場合「大阪市内(東海道本線)名古屋(中央本線)東京(東海道新幹線)名古屋」「名古屋(東海道本線新幹線)大阪」となる)。この経路だと「連続乗車券」の条件に当てはまりますので、学割は1枚でOKです。
 ちなみにこの乗り継ぎだと、在来線側が夜行になる場合は、臨時急行「ちくま」運転日には急行料金を支払えば大阪−塩尻間で利用できます。なお、名古屋−大阪間を分割(名古屋−岐阜、岐阜−京都、京都−大阪)するとさらに安くなります。
 もちろん先ほど述べたように「大阪市内(東海道本線)名古屋(中央本線)東京(東海道本線)名古屋市内」という大回り乗車券と、近鉄の株主優待券を揃える方法も利用できます。ただ大阪−名古屋間で片道は近鉄利用となるので、夜行利用の場合は「ムーンライト信州」か「ちくま」の名古屋−塩尻間の利用とするかしましょう。臨時列車なので利用できないこともありますが。
 「大阪市内(東海道本線)東京(東北・高崎・上越線)長岡(信越本線)直江津(北陸本線・湖西線)京都市内(大阪まで戻るには、西大路−大阪の乗車券が必要)」というルートだと、大阪市内−東京間で確実に新幹線が使えます。もっともこの場合は東海道本線経由の往復乗車券と似たようなねだんになるので、目的地が高崎線内にあるなどこのルートに乗っかっていなければ利用価値は良くないかもしれません。

バスの場合
 大阪から東京(またはその逆)を安く移動するのに最近台頭してきた方法として、格安バスの利用があります。
 大阪−東京間のバスといえば、従来からあるドリーム号などの夜行バスが今も主流であることには変わりはないのですが、ドリーム号は3列シートの車両を使用していて快適であり、値段はJRの普通運賃並み(回数券を金券ショップなどで購入すると7,650円とさらに格安)とあってそこそこ利用されていますが、近年は4列シートにする変わりに大阪−東京を4000円台という夜行バスも出ています。また、昼行便にも大阪−東京が往復10,000円利用で、しかも3列シートという「昼特急」が登場しています。次に格安バス(従来の夜行バスの代表としてドリーム号を記載しています)の比較をします。
区間列車・会社片道往復備考
格安夜行バス
関西−関東
関西バス
(オリオンツアーなど)
5,000円9,800円特定日割引(片道4,000円)有り
Star Express
(アベニュートラベルなど)
4,300円8,500円スタンダードタイプの場合。
青春ドリーム大阪号
(JRバス)
5,000円10,000円 
カジュアル・ツインクル
(近鉄バス・西東京バス)
4,800円9,600円 
格安昼行バス
大阪−東京
東海道昼特急大阪号
(JRバス)
6,000円10,000円3列シート
夜行バス
大阪−東京
ドリーム大阪号
(JRバス)
8,600円13,300円3列シート


 単純に値段だけで比較すると以上のように相当安くなりますが、格安バスのうち昼特急以外は4列シートでサービスという意味では満足というわけにはいきません。翌朝に寝る場所・時間がある場合、体力は消耗しても安く済ませたい場合にはいいと思います。
 なお、往路がドリーム号、復路が新幹線(ひかり・こだま号)という「ドリーム&ひかり」という割引きっぷもあります。6日間有効で19,820円です。

 また、格安夜行バスには大きく青春ドリーム号などの「バス会社が運行しているもの」と関西バスなどの「旅行会社が企画して観光バスを使用しているもの」の2種類に分類されます。これらの比較を次に示します。

 バス会社が運行しているもの旅行会社が企画しているもの
代表例青春ドリーム大阪(JRバス)
カジュアル・ツインクル(近鉄バスなど)
関西バス(オリオンツアーなど)
Star Express(アベニュートラベルなど)
予約方法バスの予約センターや駅などで受付旅行会社やインターネットで受付
運行区間
の特徴
東京、大阪のみ神戸・京都発着、横浜発着も可能
価格4,800〜5,000円
往復割引なし
4,300〜5,000円
特定日割引、往復割引有り
バス車両JRハイウェイバス(JRバス)
観光バスタイプ(カジュアルツインクル)
観光バスタイプ
その他通常の路線バスとして運行旅行会社の主催旅行として運行
(会員制バス)
特徴・客層は若者が多い
・1〜2人など少人数の利用が多い
・知名度が高い
・満席になりやすい
・客層は若者が多い
・4人程度のグループ利用が多い
・TDR、USJ利用者が多い
・歯磨きセットが付いてくる
・知名度が低い
・満席になりにくい

 格安バスを紹介しているサイトは近年複数出ておりますが、後者のタイプのものを紹介しているサイトが少ないです。その理由として後者は主催旅行の扱いのため、路線バス好きの関心の対象外となっていることが揚げられます。他に旅行商品と同様に「期間限定のような形」で発売されていることを理由に紹介していない可能性もあります。
 なお、運行開始から数年間続いていることから、今後も現在の状況のままで推移するでしょうし、利用客にとってみれば、大阪と東京を移動できればどちらのタイプでも気にする人は少ないでしょうから、私は積極的に後者のタイプを紹介しようと思います。
 私のお勧めのものは、やはり旅行会社が運行しているものです。やはり、予約がとりやすい、横浜や京都・神戸でも利用できることがメリットです。運行している時間帯もいいです。予約については、以前、格安バスの乗り比べをしようと思い、青春ドリームおよびカジュアルツインクルに残席を確認したら残席ゼロでしたが、「関西バス」は無事確保できたということもあり、とくにそう感じます。
 関西バスの乗車体験記1乗車体験記2もご参考願います。

 最近はJTBがツアー用に運行している大阪−TDRの夜行バス「パンプキンX-PRESS号」が新たに品川に停車し、バス代のみ(片道5,000円)でも利用できるとのことです。

おわりに
 以上に述べたように、大阪−東京を安く行く方法は数多くあります。安くしようとすると何かと制約がついてくるわけですが、条件(時間)と予算を自分と相談しながら決めるのがいいでしょう。

 なお、私は新幹線で移動する際、「新幹線エコノミーきっぷ」(「新幹線回数券」の前身)「ぷらっとこだま」とも利用したことがありますが、きっぷの購入に不便ですが「ぷらっとこだま」の方が安くていいです。使いたい時間に走っているとは限らないのも難点もありますが、また使いたくなるきっぷです。
 在来線利用の場合は「青春18きっぷ」の利用が多く、「鉄道の日記念・JR乗り放題きっぷ」も発売時期が観光シーズンとあって使う機会がよくあります。夜行バスも時々利用していますが、列車のほうが絶対的に多いです。ただ、金沢に引っ越してからは大阪−東京間を移動することが減ったため、これらの手法も使用する機会も減りましたね…。

 今後、回数券のラインナップはさらに変化すると思います。現状のままでは「株主優待券でののぞみ自由席の利用」に集中する可能性が高くなるように思うからです。また、のぞみグリーン車は1編成に3両も連結されているのに大して相当割高なため、さらなる割引を実施する可能性があると私は予想しています。

 最後に、最近は私のサイトと同様に大阪−東京の安い行き方を扱っているサイトを見かけますが、せいぜいが「ぷらっとこだま」や「青春ドリーム大阪号」あたりまでの紹介に留まっており、株主優待券、「エクスプレス予約」、関西バスといった手法について取り上げているサイトが少ないですね。

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