鉄道模型制作報告
「旧型国電 片町線 第二期」その1
まず金属コンバージョンキットから入る

 次なるお題は「旧型国電 片町線」となった。以前、1編成5両を作ったのでこれが二回目となる……当時は「第一“部”」としていたが、今後は「期」表記にしてみようと思う。今回も1編成5両を制作予定で、最初期の予定では第二期で完結するつもりだったが、作りたい車両すべては網羅出来なさそう。阪和線(既に二期で合計14両制作)にもちょっと心残りのある車両があるので、合わせて「阪和三期、片町三期」という形で補完したい(阪和線のは70系や阪和形とは別口)。
 さて、まずはタヴァサホビーハウスの金属コンバージョンキットから取り掛かった。「モハ72全金車 窓隅R付」、旧型国電に力を入れることに決めた10年以上前に買い込んだうちの1両である。タヴァサでは「全金車」という表現で、間違っているわけではないようだが、一般には「近代化改造車」と呼ばれているようである。「窓隅R付」は、大井工場、浜松工場で改造車で、多数派となる。

キット内容

 キットには組み立て説明書の他、エッチング板が3枚にプラスチックの床下機器(GM製)が付属している。他にGMの101系の屋根、床板ランナーや、ウエイト、窓セル、台車、パンタグラフなどが必要になって来る。エッチング板はメインの側板、それから妻面、銀色のは窓サッシである。床下機器は去年新発売されたパーツを使うので、残念ながら不用品となる。

メインの側板

 タヴァサの新しいキットは、側板の外、内張りをブリッジで折り畳むとそのまま位置決めが出来る設計になっているのだが、今回私が開封したのは旧設計の製品。従って一枚一枚切り離し、しっかりと位置決めする必要がある。

クリップで止めてはんだ付け

 外、内張りをしっかり位置決めし、クリップで止めてはんだ付けする。ちなみに説明書には瞬間接着剤での組み立て手順が書かれており、はんだ付けしたのは完全に私の好み。

しっかりとはんだを流す

 車体の裾や内張りの窓部の開口部などから、しっかりとはんだを流しておく。ここまでやんなくても大丈夫だとは思うけど、一応念のため。

洗浄、乾燥

 フラックスは酸性で、はんだ付け終了後に残っていると腐食が起きる可能性がある。そのため、その日の作業が完了したら水洗いし、ドライヤーを当ててしっかりと乾燥させておく……ステンレス定規やピンセット、やすりやクリップなども念のため一緒に洗っておいた。
 ちなみに一度実験で、洗わずに2、3日放置してみたことがあるのだが、特に目立った腐食は起きていなかった。たまたま上手く行っただけかもしれないので、その一回以外は必ずきっちりと洗浄している。
 この後、余分なはんだをキサゲやヤスリなどを使って落としておいた。

妻面を取り付ける前に……

 次に妻面を取り付けて「ロ」の字型にする。妻面を付けるための“のりしろ”があるのだが、単に曲げただけでは取り付け位置が怪しいので、妻板を当てながら曲げ直して微調整する。

妻面

 妻面は4枚付いている。どうやら右の2枚は同じもので、非パンタ側妻面。左がパンタ側妻面で、上が配管表現済み、下が自分で配管する人用。今までエッチングキットは配管表現済みを使っていて、今回は自分で配管しようと思ったのだが……予め開いている穴の位置が「?」だったので、今回も配管表現済みを使うことにした。

「ロ」の字型へ

 もちろん妻面も、しっかり位置決めしてクリップで動かないようにしてからはんだを流す。過去に瞬間接着剤で金属キットを組んだ時、この「ロ」の字型のときに妻面がぽろぽろ外れて苦労したので、以降は金属キットは必ずはんだ付けするようになった。
 はんだ付けを使う工程はここで終了となる。

屋根が合わない

 ここからはいつものプラ工作に入る。まず屋根を合わせてみる。ところが合わない。絶望的に合わない。が、しかし、慌てない。良くある話である。

高さチェック

 妻面が大きすぎるのか屋根板が薄いのかを確認するため、過去に組み立てたGMキットのモハ72と比較。GMキットの方が0.5mmほど高いが、近代化改造車は屋根高さが少し低くなったのでこれぐらいがちょうどいい。従って合わない原因は屋根板のほうということになり、裾部分にt0.3mmプラ板を貼りつけて嵩上げすることにした。

ちょうどいい具合に……?

 プラ板接着、ヤスリ掛け、の工程を経て0.3mm高くなった屋根板。ちょうどいい寸法になった……と思ったけど(続く)

少し足りなかった

 いざ屋根に固定してみると、あともう一声足りなかった。仕方がないので妻面側を少し削って調整した。

101系屋根の元のモールド

 話は少し前後する。今回は101系の屋根は配管ありを使ったのだが、その配管モールドは細かいことを気にしなければ妻面の配管表現とジャストフィットだった。しかし橘雪翼は割と気にする方なので、ちょっと勿体ないなあと思いつつ全て削り落とした。

ランボード

 引き続き話が前後しているが、ランボードはいつもの別パーツではなく、屋根と一体になっているのでこの段階で接着、継ぎ目消し(?)を行っておく。ランボードは101系屋根ランナーに入っていたものを、長さ調整の上で使用した。

動力車に設定

 この車両に動力を取り付けるので、鉄道コレクション用動力ユニットがワンタッチで取り付けられるように加工。スペーサーの厚みは1mm(金属キットで側板が薄いので、その分スペーサーが厚くなる)。
 もちろんだが、屋根やこのスペーサーは、車体に瞬間接着剤で固定する。はんだ付けしたらプラスチックが溶けますよ……と。

モハ72が形になった

 という感じでまず1両目、モハ72が車両の形になった。もちろんまだ配管やベンチレーター取り付け穴などがまだだが、それは5両揃ってから行うことにする。

(2023.02.05)
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