旧国片町線 第一部

クモハ73 023

  この系列、73系と呼ぶべきか72系と呼ぶべきか迷う。モハが72のくせしてクモハが73だから悩むところなんだけど……73系と呼ぶことにしておく。なお、今回ご紹介する5両は、前回の阪和線と色が同じことに加えて画像が小さいため、旧国に詳しくない人は「前のと同じ」見える可能性が高い(苦笑)
  という前置きを経て、73系クモハ73。車体を載せ替えた全金車。模型はタヴァサホビーハウスのコンバージョンキットを組み立てたもの。タヴァサの説明によると、関東で工事を受けた車両は窓にRが付いていると言う。023はその後に関西にやってきたらしい。で、手すりを珍しく実車に合わせて増設。但し窓間のものはスペース的に難しかったので割愛。

クハ79 948

  同じく73系のクハ79、全金車の920番台。クハはクモハと違い、在来車の車体載せ替えによる全金車は生まれなかった(ハズ)。920番台は900番台の試作の後に生まれた車両で、そのせいで920と言う中途半端な番台区分になったのだと思われる。推測とか憶測が多い説明でゴメンね。模型はこれまたタヴァサホビーハウスのコンバージョンキットを組み立てたもの。やはり同じく手すりを実車に合わせて増設。なお、これらの車両はグリーンマックスからもキットが発売されているが、ちょっとアレなのでタヴァサのキットを採用。但し、GMキットを徹底改良してみるという案も後から浮上してきたため、別線区の車両を組み立てる時はそっちの線で行くかもしれない。

モハ72 151

  73系モハ72。取り立てて書くことがないほどごくごくノーマルに組み立てられてい……る? 阪和線のときは偶数化改造をしたが、それすらもない。あ、GMの73系中間車は2両セットになっている。モハとサハ各1両。説明書には「1段窓がモハ、2段窓がサハ」と書かれているのだが、厳密に言えばモハとサハを違えているポイントはパンタグラフ下に位置する手すりの有無である。モハにはあってサハにはない。よって2段窓モハを作りたければ、"サハ"の側板を使った上で手すりを付けてやればいい。ということを今回のモハ72で行っている。ドアは両面1箇所ずつだけエッチングパーツに交換し、残りはキットのままで手抜きをさせてもらった。今回の編成の動力車となっている。

クモハ31 004

  系列は……「?」。モハ43改造のクモハ31(当初はモハ64)。改造ポイントは扉の増設で、片側2扉だったものが4扉になっている。模型でもクモハ43からの改造で、扉の増設及び一部窓の作り直しが主な作業となる。元あった扉が1100ミリ幅、増設された扉も1100幅なのは実は少数派だったらしい。前面は木枠、屋根上ではベンチレーターや配管に製造直後の面影を残す姿で模型化しているが、ひょっとしたら厳密な時代考証をすると他の4両と合わない部分が出てくるかもしれない。しかしそこは、模型ならではの楽しみ方と言うことで。

クハ79 049

  形式こそ73系クハ79であるが、クモハ31と同じく42系のクハ58を4扉化改造した車両。一時期クハ85を名乗っていたが、80系が計画されたために不都合が生じ、「4扉車だし、73系に入れちまえ」という乱暴?な処置によってクハ79にまとめられた。同じ論法でモハ64(クモハ31)がクモハ73に編入されなかったのは不思議だ。というか、旧クハ85が空いていたはずの35あたりにならなかったのが不思議なのか。この辺の時代背景はよく分からないが……とにかく模型ではさっきと同じ。クハ47 100(クハ58)からの改造で、こちらは増設扉が1000ミリ幅で窓配置も結構変わっている。クモハ31は片側2枚だったのがこちらでは片側6枚。加工量が多くて大変だった。

全金車2両の前面を見る

  クモハ73、クハ79の全金車の前面。同じ73系なのに前面形状が違うのが面白いところ。このクモハ73のようなクハ79は存在しなかったし、このクハ79のようなクモハ73も存在しなかった。国鉄が車両の前面形状についてあれこれ試行錯誤していた時代なのだろう。この流れを汲み、新性能電車101系のデザインが生まれたのだ。
  窓の両脇にある手すり……この角度からは目立たないが、これが増設した箇所になる。他の線区では見られないが、片町線の車両には付いている。おそらく片町線の事情があって取り付けられたのであろう。普段はあまり手すりの工事をしないのだが、片町線の特色だと思って取り付けてみた。たまにはこういうこともやっておかないと、「橘雪翼は省略してるんじゃなくてできないからやってないんだぜきっと」って思われてしまうかもしれないからね(笑)

4扉改造車の前面を見る

  こちらはクモハ31とクハ79、元42系の前面。左のクモハ31は原形に近い木枠で、右のクハ79はゴム押さえに改造された後の姿で製作。いずれも雨どいが原形のままの丸い形状で作ってある(この画像では分かりにくいけど)。本当は裾部にもリベットがあるんだけど、良い再現方法が思いつかなかったために削ったままにしてある(テールライトや雨どいの加工時に一部が削れてしまうのだが、一部だけだと悪目立ちなので全部削った)。貫通形状を活かし、実車では編成中間に入ることも多かったようだ。今回作った車種構成でも、全金車の73系2両が非貫通で編成両端に居座るため、この子達が先頭に出ることはない。次に片町線の車両を作るまで晴れの舞台はお預けだ。

クモハ73のパンタグラフ周り

  製作途中をお見せした時にもアップ画像を載せていたクモハ73のパンタグラフ周り。配管が前面に回りこまないので楽だった。

側面ステップが厄介ト

  ところで……車体脇に見えるコレ。実車ではパンタグラフの点検時などに保守員の人がこのステップを登って屋上へ上がるわけだが……模型でも再現してある。キットにパーツが付いていたから取り付けた、のだが、ここが鬼門というか弱点になってしまった。付ける前から分かりきっていたが、非常に弱い。ちょっとしたことですぐ曲がる。製作中何度歪んだことか。直すたびに金属疲労で根元からポロっと取れないかどうか冷や冷や物だった。模型とはもともとデリケートな品物であるが、その中でも取り扱い要注意な一両になってしまった。

最後に、クモハ31の屋根を見る

  特徴の多いクモハ31の屋根。配管の一部がカバーに覆われた独特な形状。元々旧国はこうしたものだったらしいが、時代が下るにつれて省略?されていったようだ。このクモハ31も前面窓がゴム押さえになるころには配管のカバーもなくなっていた様子。ベンチレーターも、他車のような丸いグローブ型ではなく原形のガーランドベンチレーター。こちらはクモハ31004の末期でもそのままだったらしい。クハ79でもガーランドタイプのままで残っていた車両もあるらしく、なかなか趣深い。なお、ヘッドライトは実車のこの時代は小型だったようだが、模型ではタヴァサ製パーツを使う関係上再現できなかった。銀河製品を採用していれば小ぶりな100ワットタイプもあったのだが……。

(2010.08.07)

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