Stray Cat
02.5 「18歳」〜β版
「あっ、だめ……」
「大丈夫よ、とったりはしないから」
直後の気だるさに浸っていたアスカの指から、スルリと小さなリングを抜き取ってリツコが囁いた。
「羨ましいわ、アスカ」
しなやかな指先、赤く光らせた爪に摘んで、明かりを落とした執務室の照明に透かし見る。
シンジが贈った、婚約指輪。それは、アスカより一回り多い時間を女として過ごしていてもリツコには縁の無かった、そしてこれからもと諦観を抱いている代物だ。
ソファに並んで寝そべるアスカは、緩い締め付けを失った薬指に不安そうにしている。
そんな年下の愛人に横目だけを向けて、微かに微笑んだリツコから宥めるような口付けが。
「んっ……」
「んぅっ、ふ、む……」
くちゅりと絡まる水音。桜色の唇の中から熱い吐息を引きずり出した真っ赤な舌が、もう一度深く差し込まれて、互いの間に唾液を循環させる。
鼻筋を傾けあってより深く吸い合う濃密なひと時を過ごして、美女と美少女は再び情欲の熾り火に情熱を吹き込んでいった。
「言ってみれば……これはシンジ君があなたに付けた鎖だわね。たった一人と決めた男の子に拘束される喜び、私には縁遠いものかしら?」
「んは……ぁ、そんな、リツコだって……きっと……」
『その内に……』と喘ぎを震わせるアスカは、ゲンドウとの事を知らない。
自覚はなかろうが、アスカという少女がリツコの魅せたレスボスの愛戯に最早ペット愛奴と飼われてしまっているように、リツコもまたゲンドウという主人に支配されているのである。
目に見えずとも、その首には指輪よりも遥かに強固な戒めが巻かれている。天才の誉れも高い彼女を雌奴隷という身分に貶めて久しい、外し方も忘れてしまった鎖付きの首輪だ。
―― そしてそれは、罪も無くリツコに懐いてしまったアスカも同じことだった。
「ねぇ、アスカ」
婚約指輪を摘んだままペット少女の胸を揉みこねていたリツコは、悪戯心にそのリングを天辺へと滑らせた。
高潮した肌に冷たい金属を滑らされ、くぅんと鼻に掛かった啼き声。
そのまま、ツンと小さく勃ち膨らんだ薄い色の乳首に引っ掛けてしまう。
「やぁン!」
身じろぎを封じ込めるように組み敷くと、リツコを指先を忙しくさせた。
「あっ、やっ、やぁってば……リツコぉ」
「いやらしい乳首だこと、アスカ。大事なフィアンセを放っておいて、他所でこんなに硬くしてるだなんて」
「んはっ、言っちゃだめぇ……」
敏感な突起をミニチュアサイズの輪投げに見立てたような、リツコの指輪責め。
硬い円環の内側にくりゅくりゅと転がされるアスカは、金属の肌触りにゾクリと背筋を震わせて、短い息を噛み締める。
そうして喘ぐ間にも明らかに膨らみへ集まる充血を濃くしているのだから、少女がリツコのその愛撫に一際の快感を覚えていることは明らかだった。
「ふふ、シンジ君も油断よね。こんな浮気な女の子だもの、もっとしっかり……、そう、ここもきちんと捕まえておくべきだったわね」
アスカの初々しい膨らみの先端にリングを宛がうリツコの蕩けた目には、それは愛奴の印に取り付けるリングピアスの輝きに見えていた。
「素敵よ。貴方にはこっちの飾りも良く似合いそうだわ」
「ああ、リツコ……。そんなに……胸、いじめないで……」
箱入りに育てられたこの愚かなお嬢様の知る世界には、きっとそんな淫らな装飾の知識は無いのだろう。
その処女に女同士道具を使って愛し合うことを教えてあげたように、裸を痛みで飾る恍惚を知らせてやったなら、今度はどんな美しい顔を見せてくれるのだろう。
(楽しみだわ……)
真っ白なお腹を波打たせて性愛の感覚に耽溺しているアスカは、やがての日に向けて己が着々と作り変えられていることに気付いていない。
「いあっ、あっ……だめっ、だめよリツコ……。そっちはもっと……敏感になって―― ぇあ、ハアッ!」
「あら、だってオッパイばかりじゃ物足りないんでしょう? アスカがいやらしいのは、こっちの方がもっとだものね」
とろんと目尻を緩め、疑いをまるで抱くことなく一心に甘えきっている―― この小娘ときたらと、不意に荒々しい興奮に駆られたリツコは、緩やかなタッチを捨ててアスカの下肢を割り開いていた。
「ンアッ!」
たった今さっきまでリツコの指を二本と受け入れかき混ぜられていた蜜の園は、まだ複雑な形には成熟しきっていない清楚な花弁を、絶頂の愛露にしっとりと濡らしてほころんでいる。
無意識に腰を浮かせたアスカの期待は、再び入り口から奥までをしなやかな指先にくすぐって貰うことだろう。
しかし、リツコの気分が今求めるのは、より激しい牝の本能をさらけ出す反応。18歳の少女がいつしか慣れ覚えていたぬるま湯の官能には無い、奥底からつんざくような淫惑の叫びだ。
「ふぁあ……?! ン、あぁーっ!」
がくんとソファーを揺らしてアスカの肢体が弓なりに。
胸から下ってきた指先のリングが金糸の恥毛の丘をさらに降りて、乳首よりもずっと神経の鋭敏な小粒を襲った戦慄きだった。
「だめっ、らめぇぇ……! 感じっ……ッ、感じ過ぎちゃうのよ、そこはぁあ!」
愛らしい唇からあられもなく涎を飛ばして。女の指先のような優しさの無い刺激を突き付けられるアスカの美しい貌は、澄んだ碧眼を震わせる怯えと、その目元を赤く染める飽くなき官能への好奇心を入り混ぜさせたもの。
秘めやかな蜜源にくぐらせ濡らしたリングが、入り口の襞をそよぎ、真珠色に息づく間際の輪郭にぬるりぬるりと周回するのを、ああんと鼻声に歓迎さえ浮かばせて―― 、
「きゃふハッ、冷たっ、んンン!」
しかし、リツコの仕掛けようという姦淫の趣向は、そんな微温の程度に留めるものではない。
(ふふっ、啼かせて……あげる!)
「……あぐっ!? ひゃうゥウッ!!」
コリ……と包皮すら剥いてダイレクトにひっかかれた花芯の痛み。刹那それは、器官に集中した快楽神経から打ち寄せる圧倒的な波濤へと変化した。
「やめっ……、アァッ! ダメぇっ、いたいのよ……ぁああー!?」
ヒィと目を剥き、とどめようとする細腕は、美女の片腕一伸ばしにあっさり頭の上で押さえ込まれた。
哀れにもがく小鳥を捕らえた猛禽のように、冷然とした薄笑いでアスカの涙顔を見下ろし嬲る。
そこには甘いタッチでアスカをレズ性愛に誘う姉の姿ではなく、時に躊躇いさえも許さず、淫具の使用、アナル感覚の開発等と、更なる深みへ引きずり込んだドミナの素顔が顕れていた。
「リツコ……リツコぉ、あぐっ、うぁあ……! あ、お願いぃ〜」
「お願い? まだ足りないのかしら、淫乱子猫ちゃん」
「違うのっ、そこはっ、ああっ! クリト……きつっ、きつすぎるのぉ」
硬質な金属感触で肉芽をこねくり回されて、細い顎が跳ね上がる。
下半身に猛り狂う、痛み間際の官能に身を躍らせるばかり。
我知らずの期待すら忍ばせていた少女の浅はかな余裕など、瞬く間に掻き消されていた。
「はひっ、ヒッ、ひぁぁ……」
ソファーのスプリングを軋ませてもがいても、しなやかな両脚の間にリツコのむっちりとした太腿が地歩を固めていて、こじ開けられた秘所はまったくの無防備状態。
抵抗を封じられたアスカは、髪を振り乱し、汗と涙を撒き散らすだけ。
陶磁器のようにすべらかな下腹が怖れに立ち竦んでビクビクと震えているのも、寧ろリツコの食欲にも似た攻撃性を刺激する一方で、心ゆくまで貪りたいと、
「どう? どうかしら? ほら、アスカのえっちなクリちゃんに、好きなだけ指輪をあげるわ」
「ああっ! くぁああーッ!」
獰猛な手探り、残酷なリングステップで、生々しいピンク色に濡れそぼつ女の溝を縦横無尽に踏み荒らし嬲る。
「凄いわね。こんなにドロドロにヒクつかせちゃって……。注意していないと、アスカのいやらしいオマ×コの中で大事な指輪をなくしてしまいそうよ?」
「―― !?」
ほらと首を持ち上げさせて直視させるそのいやらしい光景は、腰を浮かせのた打ち回っていただけにぱっくり開いた淫花が良く見えて―― 汁気を十分に含んだ赤毛の叢の先にちょこんと載せられたシルバーの円環、そして飾られるように引っ掛かって屹立の存在を強調させている、淫らな淫らな雌の尖り。
「あ、ああ……」
ぬめり汚れた銀の光沢と、充血した肉真珠の浅ましいコントラストがアスカの息を飲ませる。
リツコの中指に抉られたまま、彼女の意識を離れ勝手に蠕動を繰り返す媚肉のヒダ花弁は、確かにそのままリングを呑み込んでしまいそうで―― 。
「やっ、やっ、やぁぁあ……!」
ヒリヒリと視床下部から焼き尽くしそうな羞恥感は、この無様な様がアタシ自身なのだと、アスカの脳裏を倒錯した興奮で駆け巡る。
『ジュクン……!』と蜜汁が滲み溢れて、背筋に快楽電流がざわめき走った。二つの乳房の先が甘やかな微痛に張り詰めた。喉の渇きが喘ぎを掠れさせた。
(なんて……いやらしいアタシ……)
脳裏にぞろりと蠢くものがあって、初心な乙女の部分がまた一歩、堕落の蛇が突き立てた毒牙に侵され陥ちたのだ。
戦慄と陶酔を交互に過ぎらせるサファイアの瞳に、くくと喉を鳴らすリツコの満足。
たっぷりと自覚させた後は、もう理性が飛び砕けるまでの玩弄に悦がり狂わせるだけだった。
「あうっ! あぅうっ……!! 許してっ、許してぇえ〜!」
「うふふ、おバカさんねぇ。あんまり暴れても、かえって自分でキツくしてるだけよ?」
「くるっ、狂っちゃう……! そこっ、凄すぎるのぉぉ」
『ヒイッ、ヒィイ……』と哀れっぽく息を切らし、涙ながらに縋る視線……。
リツコは容赦せず、指の間に今や甘美な拷問具と化したエンゲージリングを押さえ持って嬲り続けた。
アスカがたまらないと腰をくねらせる度、ぬめぬめと半透明の汁液を吐出させるラヴィアの縁で、いよいよ切なげに硬くしこる淫核を、こんな背徳的な扱いにされるとは彼は思いもしなかっただろうリングに捉え、転がして。
「ふぁああ、はぁあ! んぁあは―― ッツ!」
そもそも、我を失った全裸をこうもセクシィにしならせ悶えるアスカの姿すら、彼は知らないのだ。
「どう? アスカ。シンジ君の指輪の味は? こんないやらしいクリトリスを飾って貰って嬉しいでしょう?」
「ひっ、ひぁああっ! シンジの……ゆびっ、指輪ぁぁ……あ、あたしのっ、気持ちい―― !」
「よっぽど気に入ったのね。ふふふ、それならいっそ、彼にお願いしてみたらいかがかしら? 私のここにも買って下さい、リングを取り付けて下さいって」
「そんなっ……ああぁっ、許しへ……もうっ、もうらめ……。ひんじゃう、死んじゃうのぉ……ぉ、ンはッ、あぐっ、硬いのっ、アタシのにぃぃ……! ぃ、あぁぁあ゛あ゛あ゛ー!」
ついには号泣しながら寛恕を願うペット少女に、指輪責めと、乳首に甘噛みし摘み転がした三点愛撫で愉悦の爆発まで追い上げる。
「ああっ、そんな―― もうっ、苦しっ……た、助けて……。あああ……!」
一度では許さないと、残酷なドミナは続けざまに二度三度の絶頂をアスカに叫ばせた。
更には散々に苛め上げたとどめだと、少女のぐちゅぐちゅと粘っこい泡を立てんばかりになった膣肉の奥底へ指輪を沈めてしまって、
「ほら、頑張ってひり出しなさいな。そろそろシンジ君の部屋に帰る時間じゃなくって? 大切な指輪をそんなところに飲み込んだままじゃ、いくら恥知らずなあなたでも、彼に合わせる顔が無いでしょう」
「ひどいわ、リツコ……。ああ、シンジ……。ゆっ、許して……」
嗚咽をこぼしながらも、言い付けられた通り手を使わずにぽとりと指輪を産み落としてみせたアスカは、既にすっかりと屈従のマゾヒズムに魅入られてしまっていたのだろう。
その日一番の絶叫に身を打ち揺すったオーガズムには、感極まりすぎてか、ビシャビシャと多量の愛液を潮吹かせさえしたのだ。
「ひぁ……。は、はっ……」
「ふふふ。ほんとうに……良く似合っててよ、アスカ」
腰骨の折れ砕けんばかりよじらせて繰り返したアスカの痙攣は、まだすぐに収まる気配は無い。
苦しげな呼吸でソファに身を横たえるその左乳首、ぷっくりと膨らんだ淫突起にリングを飾り置いた眺めを、リツコはそう遠くない先のイメージにうっとりと重ねていた。
哀れな生贄少女は、何も知らずに着々と淫らな熟成を重ねている。
熟しきった果実はやがて、処女のまま完璧な性愛奴隷への堕天を迎えて―― その時、愛する少年に誓った筈の純潔を、むくつけき中年男の腹の下、自ら差し出し散らすことになるのだ。
その日が本当に楽しみだわと、リツコは膨らみ広がる愛しさを込めて、少女の穢れない唇へ口付けた。
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