Returner Rei

Original text:引き気味


EPISODE:02 THE BEAST

15年振りの使徒の襲来。
第3新東京市を舞台に展開された迎撃戦は、ファーストチルドレン・綾波レイの操るエヴァ零号機の圧勝で幕を閉じた。
人々はひとまずの勝利に胸を撫で下ろしたのだが、極一部、そこには思惑外れたストレスを抱え込んだ者達が居たのだった。

「レイ、何を考えている?」

薄暗い司令室。
査問に掛けられた形となったレイは、冬月がいくら言を費やして尋ねようとも、リツコが零号機に残されていた僅かなデータによる傍証を突き付けようとも、頑ななまでにその寡黙な態度を崩そうとはしなかった。

曰く、ATフィールドの結界の中、自分はただそれまでの状況を推移させて使徒を殲滅しただけなのだと。
使徒の残骸が一切残っていない事の不審についても、それまでの実験において一度たりとも達成し得なかった高いシンクロ率を弾き出したことも、ATフイールドの展開にすらも成功してみせたことも、全ては自分が理由を挙げられる現象ではないと、そう繰り返すだけだった。
そして、その態度がゲンドウに対しても微塵の揺らぎも無く貫かれた事は、冬月にシナリオへの影響と、“三人目”への交換を考えさせる事となっていた。

「だがそれも理由を突き止めてからでなくてはな……」

レイを退出させた司令室で、リツコは前兆に気付かなかったのかと尋ねられていた。

「つい先日までの様子とは明らかに何かが違う。レイの精神はフラットな状態に保たれていなくてはならないのに、あれではまるで―― そう、まるで普通の女の子ではないか」
「反抗期を迎えたように見えると? ……まさか、有り得ませんわ。レイ自身、言った通りに何も分からないでいるのでは?」

「語る言葉を持たないでいるのが、頑な姿勢に見えただけだとでも言うのかね? 馬鹿な。赤木博士、君も分かっているだろう」

珍しく苛立たしげな表情を見せる冬月だが、リツコとしては口を濁すしかなかった。
言われるまでも無く、レイが何らかの隠し事をしていることも、そんな行動を綾波レイというパーソナルがしてみせた異常さも分かっていたのだ。
だが、リツコにはなまじその理由にあてがあっただけに、はっきりとした事を言うわけにはいかなかったのだった。

「とりあえずは、暫く本部内に留め置いての観察処分とします。その結果如何によっては……よろしいですか?」
「構わんよ。……それで良いな、碇?」

無言のまま、鼻の下に手を組んだいつもの姿勢。
だが、確かにゲンドウは頷いて見せた。
綾波レイの交換をリツコの判断に委ねる、と。
それはレイに最も固執していた男の態度にしては不自然だったのだが、シナリオの第一歩から躓いてしまった苛立ちを抱える冬月も、そして内心密かな安堵を洩らしたリツコも気付く事はなかった。



◆ ◆ ◆



―― 数日後。
中学校への編入以前に過ごしていた本部地下深くの部屋に軟禁されていたレイは、夜分遅くにリツコの訪問を受けていた。

「窮屈そうにしているかと思ったけど、そうでもないわね、レイ。それとも却って落ち着いたかしら?」

ここはあなたにとっての「子供部屋」だしねと、レイのように他人とのやり取りに疎い少女にさえそうと知れる、あからさまな挑発だった。

「なにが言いたいの?」
「レイ、あなたは立派に役目を果たしたわ。エヴァのパイロットとして、今後に何の不安も感じさせない見事な働きぶりだった。……でも、そうなると当然、予備の必要性は薄れるわよねぇ……?」

『……サードチルドレン、碇シンジ君』と意味有りげに続けた声に、レイは露骨な反応を示した。
無機質に整った白皙に、微かな怒気が浮かぶ。

「……彼に何をすると言うの?」

この綾波レイがリツコの想像した通りでないのなら、碇シンジに拘る理由は無いのだ。
叩きつけるような鋭い視線を推測の証明と受け取って、最後の躊躇いを捨てたリツコが白衣の裾を翻した。
まるで西部劇のガンマンのように―― 抜く手も見せずに突き出した手の裡から、赤黒い切っ先がレイの頬を掠める。

「……槍。そう、あなたもなの」
「ええ。あなたと同じく、還ってきたのよ!」

レイの飛び退いた残像を切り裂いて、赤い斬撃が蒼銀の前髪をはらと宙に舞わせる。
続けざまに槍は振るわれて、コンクリートの床に円弧の切り口を次々と生み出した。
天井も低い室内にあって、易々と全てを切り裂くロンギヌスの槍の鋭利さが、長物の取り回しの難しさを完全にカバーしている。
意外な運動神経の良さもリツコは見せていたが、形だけの戦闘訓練しか受けていないそのリツコをして、数々の実戦を潜り抜けてきたファーストチルドレンに反撃の暇を与えない。

「あなたに代わりが居るのがこんなに嬉しく思えるなんて……想像もしなかったわよ、レイ!」

予備であるシンジが居れば使徒迎撃に差し支えは無いとリツコは知っていたし、シナリオの遂行を願う上層部も“三人目”の起動は願うところ。
それ故に、

「何の後腐れも無く、“あなた”を殺す事が出来る! それに……!!」

初期化されたレイには、契約した使徒を御する事など出来よう筈が無い。
その隙を狙えば……

「あなた、まだ契約していないものね」

一方的に追い込まれていながら、レイがニィ、とリツコを嘲笑う。
リツコは一瞬で沸騰してしまった。

「あなたを殺して、使徒を貰うのよ……!」

部屋の隅を背中にしたレイに逃げ場は無い。
残酷な愉悦を覚えながら穂先を突き出したリツコだったが――

キン……ッ!

「……あなたはエヴァに乗った事も無いもの」
「ATフィールド……! まさか生身で……、いいえ! これは使徒の!?」

宙に黄金色の波紋が八角に広がる。
絶対不可侵のシールドに阻まれた一撃。
リツコは両手で槍を突き出した姿勢のまま、呆然とその光に照り返しを受けていた。

「心の壁を知らないあなたが、どうして使徒を扱えるの?」
「使徒のATフィールドを借りた? ガードベントとでも言うというの……!」

一歩踏み出したレイに怯えるように、じりじりとリツコは後退る。
レイの背後には、ゆらと揺らめく蜃気楼のようにサキエルの姿が現れていた。
その真黒の眼窩と、血の色のレイの瞳が既に敗北を悟ったリツコの心を凍えさせる。

「槍を使うまでも無いわ……」

震えるリツコの蒼白の貌。
そこに確かに、レイは胸踊るものを感じていた。

―― 楽しい。

そう、これは愉しいと思う気持ちなのだ、と。

かつての赤木リツコがレイの存在を疎み、どこかしら辛く当たっていたことを、レイはそのままにただ受け入れて過ごす日々を送っていた。
不快に感じることはあっても、敢えて反抗しようとしたことはない。
何事も流れのまま、滅びをのみ願う自分が殊更に感じるべきは無い筈だと、無意識にシャットアウトしていたのだ。
それでも心のどこか奥底に嫌悪は有ったのだと、今更ながらに知る。
その嫌う相手の恐怖や苦痛が自分には喜びをもたらすという新鮮な事実を、無垢な少女が覚えた瞬間だった。

「殺しはしないわ。……でも、使徒には餌を上げないといけないから」

薄っすらと冷たい笑みを浮かべながら、差し伸べたレイの掌には、サキエルのパイルと同じ輝きが生まれていた。



◆ ◆ ◆



「ヒィッ! こ、来ないで、来ないでーっ!」

無人の通路にどれだけ悲鳴が響いても、聞き届ける者が誰一人としていない隔離区域なのだ。
最低限の監視機構さえ存在しないここを戦いの舞台に選んだ事を、今、リツコは心から後悔していた。

「レ、レイっ! お願いだから止めさせて。止めさせて頂戴!!」

ぺたんと床にへたり込んで、身体にはまるで力が入らない。
レイの攻撃に吹き飛ばされた時に足を痛めてしまっていたし、そうでなくともアレを見せ付けられてしまっては、嫌でも予感させられる絶望の将来図が、リツコの心の平衡を失わせてしまう。

―― それは紛れも無い、ペニスだった。

猫背の背中を天井に擦り付けんばかりにしてリツコを見下ろす使徒の黒い股間には、そうとしか呼びようの無い、いきり立つものが鋭角に屹立していた。
使徒は一種一体、単独の存在なのだから、それが生殖器である筈が無い。
そうは思ってみても、外観から推測される機能が、どう考えても自分を女性として陵辱する為のものにしか見えないのであれば、何の慰めにもならなかった。

「わ、わたしが餌……? 私を食べるというのは……」

女を喰うという形容が何を示すのか、リツコには容易く連想された。
精気を奪うと言うのか、セックスを通じてエネルギーを交流させるという考え方が有る事も知識として知っている。
そんな思考を巡らせてしまうのも、怪物に犯される一瞬先の自分という、悪夢の未来予知から目を背けたいばかりの逃避なのだった。

だが、それでどうなる筈も無い。

「イヤよ、イヤ……。そんなのはイヤーっ!!」

綾波レイの血色の瞳が無慈悲に見詰める中、リツコはぬめぬめと黒く光る巨体に圧し掛かられて、埃だらけの床へと押し倒されていった。

三本爪の手に引き裂かれ、上着もブラもあっという間に布切れと化した。
弱々しくもがく腕からは、ズタズタの白衣が奪い取られ、タイトスカートも直ぐに同じ運命を辿った。
長い腕の中に抱え込んだ女の肢体を上に下にと自在にひっくり返して、使徒は意外な器用さ示し、薄皮を剥くようにしてストッキングや下半身を覆う最後の一枚も引き剥がす。
異様な執拗さをもって、リツコの素肌を隠す一切の衣服を奪い取った使徒は、満足したように熟れたヌードを見下ろした。
豊かな胸を隠そうとした腕が鷲掴みにされて左右の床に押し付けられた。
さらけ出された大ぶりの乳房は重みで形が崩れ、先端でゆっくりと乳首が揺れている。
両脚の間に入り込んでリツコの下腹部にぴたりと押し付けられた使徒の腰の為に、彼女のむっちりとした太腿は惨めな程大きく開かれてしまっていた。
逆らいようの無い暴力に身体を開かされる恥辱に、リツコは頬を零れ落ちる涙をせめてレイには見せせまいと顔を背けた。

「……随分嬉しそうね。私にはわからないけれど、良いわ。思い切り、楽しみなさい」
「!? おぅ、うぅ……ッ!!」

唐突と言って良い灼熱感が、リツコの股間を貫いた。
使徒のペニスは化け物に相応しく暴力的なまでに長大で、経験を積んだ大人の女であるリツコにも容易に受け入れがたい苦難を与えてしまう。

「うっぐ……う、ウゥ! あ、おお……おおう! んぐ、おおぉう……!!」

―― ぬ、濡れてもいないのに……。く、苦しい……!

カッと目を見開き、獣じみた悲鳴を上げるリツコだったが、直ぐに己が肉体の異常に気付いて、より以上の混乱と恐怖に追い込まれることになった。

「ふぁ、ああ……ど、どうして?」

ミリミリと軋みを上げて蹂躙されていた肉襞が、何時の間にか充分な潤滑油を溢しながら使徒のピストン活動を受け入れ始めている。
苦痛の中に甘い痺れが生まれ、瞬く間に膨れ上がって快感が苦痛を覆い隠した。

「嘘、こんな……あはぁっ! ッ、こ、ことって……。ああ……。ああ〜っ!!」

これまで経験した事も無い異常な速さで、リツコの躯は快楽に蕩け始めていた。
もう随分と昔に感じる過去、レイプではじめての男を咥え込まされた時は始終苦痛しかなかったのだ。
いかにその後今日まで経験を重ねて来た、開発され切った躯だと言っても、この火の燃え広がりようはどう考えても異常だった。

「こ、これは一体……。ふぁああン! ……ああっ、だめっ! うぁ、あ、ぐぐ……こんな、感じるだなんて……! 」

強烈な官能がリツコの躯を打ち震わせる。
今や進んで使徒のペニスを受け入れている淫唇はしとどに蜜に塗れて、悩ましい下腹の茂みも濡れそぼって恥丘に張り付いている。
ぐんぐんと使徒が腰を使う抜き差しに合わせて飛沫を上げながら、リツコもまた自分でヒップをくねらせてしまっていた。

「あ、はうっ、ううー、うぁ、ああ……気持ちイイ……!」

ズッ、ズッ……と、黒い人外の陵辱器官がヴァギナに打ち込まれ、また引き出される度、引き止めるように肉襞が絡み付いて、仰け反った喉が快楽に甘ったるい悲鳴を上げる。
リズミカルに揺れる重たげな乳房の頂は、ジンジンと刺激を求めて疼きながらしこり立ってしまっていた。

―― し、子宮が燃えるよう……。いけない、これは……ああ、わ、私、使徒の存在感に酔ってしまっているんだわ……!

めくるめくる快楽に今にも千切れ飛びそうな理性は、人間より高位な存在である使徒との交合に浸る危険性に思い至って、リツコにしきりに警告を叫んでいる。
しかし、その血の気の引くような恐怖さえも、怪物との禁忌の交尾に溺れるリツコには、官能にくべられる燃料となって一層熱くその精神を灼くのだった。
使徒のペニスに貫かれる牝の器官から広がるように、全身がビリビリと快感に震えている。
そこから軽いオーガニズムが絶えずさざ波のように押し寄せて、愉悦に酔いしれるリツコの魂を揺さぶり続けるのだ。

「や、あン……だ、だめ! だめだわ。ふぅン……ッ! た、耐えられない……! 溶けてしまいそうっ!!」

金に染め上げた髪を揺らしながら、いつもの怜悧さをかなぐり捨てたリツコは喘ぎ喘ぎ卑猥な叫びを上げ続けていた。
悶えるよがり声に乗せてあられもなく涎をこぼし、蠱惑的に濡れ光る朱の唇から突き出された舌は淫らに揺らめいて、時折恋人の胸元にするように怪物の黒い肌を舐め口付けての愛撫を捧げてすらいた。

「はうっ、うぁ……ま、また……。ああ、イッちゃう……イッちゃってるわ。私、また……あああっ!」



コンクリートの床を陵辱の褥に、異形の怪物に組み敷かれて泣き叫んでいた美女は、今や下から蛇のように使徒の巨躯に絡みついて、うねうねとしなやかな裸身をくねらせながら、絶え間無い嬌声を張り上げるまでに墜ち切った姿を見せていた。

「赤木博士、すごい……」

はじめて見る―― それもあまりに背徳的で濃厚なセックスの様子に、大した性知識を持ち合わせていなかった少女は、目を丸くして絡み合う淫らなシルエットから目を離せないでいる。
30の、熟れきった美女のきめ細かい肌は発情のピンクに染まって、興奮を示すようにエラをひくつかせる使徒の抽送に玩ばれるまま、汗に濡れた裸身からむせ返るような牝の芳香を辺りに漂わせていた。

―― この気持ちは一体なに? 胸がどきどきしてる……このやるせない気持ちは何?

ふらふらと知らず近付いていたレイに見えやすいよう配慮してか、それとも積極的にこの睦み合いに耽溺しようとする美女の自由にさせるためか、使徒は女の両腕を掴んだ手はそのままに、ごろりと身体を入れ替えてリツコを腹の上に跨らせた。

「あはぁ……! う、嬉しいわ……。もっと、もっと感じたいのよね」

潤んだ眼差しを歓喜に綻ばせたリツコの頭からは、もう理性の戒めは消え去っていた。

「あ……ああ……」

深々と熟し切った性愛器官に咥え込んだ剛棒を味わうべく腰を打ち揺すって、更に秘裂の端に尖る敏感な肉芽を使徒の腹に擦り付け、貧欲そのものに快楽を得ようとする。

「……い、いいわ、とっても良い。そ、そうよ! イイっ!! あはぁ……あっ、堪らないっ!!」

悩ましい声はいかにも気持ち良さそうだと、自慰すら知らないレイのような少女にさえ興味を起こさせていた。

(そう、そんなに気持ち良いものなの……)

「ンフン、んぅ……。ふぁ……! あひぃぃ……!!」

弾ける快美感に酔いしれるリツコの形の良い豊満なバストが、リズミカルな腰使いに合わせてぶるんぶるんと打ち揺さぶられている。
喘ぐごとにエロティックに波打つ下腹では、成熟し切った膣襞が怪異のペニスを歓迎するようにぎゅっぎゅっと蠢き締め付ける。
胎奥に人外の欲望を激しく打ち込まれながら、クールな科学者の仮面を脱ぎ捨てた美女は、今や無意識のうちに年上の情人に仕込まれた技巧を凝らして使徒の責めを迎え撃つほどに、この禁断の悦楽に溺れきっていた。
小娘と侮っていた年下の少女の前に跪かされ、その使役する怪物に嬲られるという嗜虐的な喜悦が箍を外せたのか、『フン、ウフン』と甘い鼻息を漏らしながら、とどまる事無く燃え盛る官能に、一層深く身を沈めていこうとさえする。

「うぁ、は……。はうっ! はううっ! すごい、凄いわ……。ああ、もっと……もっとよ……!!」

―― もうどうでも良い。ただ、もっと気持ち良くなりたい。もっともっと高い絶頂を味わいたい……!

快楽の頂点をさ迷うリツコは、とろんとした瞳を宙に泳がせる。

「あは、……ああ、レイ……」

混濁した意識の中に、呆然と自分の痴態を映して立ち竦む幼い瞳を捉えたリツコは、ただいかにも嬉しそうに微笑んだ。

「ねぇ……。お願いよレイ。私、もっと気持ち良くなりたいの」

身も心も魔悦に溶け落ちたリツコには、たった今味わされた敗北の屈辱も、長年鬱々と溜め込んできたジェラシーも思い出せないのだろう。
この子に助けてもらえれば、更なる快感が愉しめるに違いないと、それだけの思考ではしたなくせがむのだ。

「ねぇ、レイ。私の胸を舐めて欲しいの。ね、ね、お願いだから。良いでしょう? ねぇ、オッパイを食べて、乳首を吸ってぇ〜」

使徒の鉤爪は柔らかな肌を愛撫するのには不向きだったからか、人間の男だったなら放っておかなかっただろう、たわわに実った魅力的な乳房は手付かずのままだったのだ。
自分で慰めようにも、両腕は厳しく拘束されている。
勿論、その身に既に充分過ぎるほどの快楽は在った。
人外の男根に貫かれる膣口から子宮の扉まで、背筋を貫く愉悦は熟れた女体を甘く淫らに翻弄している。
使徒の与える快楽は人の身が叶えられるより遥かに麻薬じみて強烈なのに、しかし一方で、傲慢な上司の責めの記憶が色濃く残るリツコの乳房は、使徒の持たぬ口舌器官による愛撫をも求めてしまうのだった

だから、レイに――

普段のプライドもかなぐり捨てて、リツコは欲望のままに恥知らずなおねだりを、事もあろうに敵対する年下の少女に向ける。

「……いいわ」

果たして願いは聞き入れられた。
或いは少女もまた、女の奏でる悦楽の歌に魅惑されていたのかもしれない。

「はひっ! ひぃぃ〜〜っ! そうっ、それが良いのよ。ああ、気持ちイイわっ、レイ……!!」

少女の柔らかな舌を乳首に感じて、乱れきった美女は歓喜の声を張り上げた。
ぴちゃぴちゃと、「舐める」という字面のままの素っ気無い舌遣いが量感のある双丘を交互に這い、ムチッと張り詰めた柔肉に無造作に歯を立てる。
その痛みも、今のリツコには性感に添えるスパイスとなる。

「ヒッ、イッ……! そうよレイ。食べて、私のオッパイを……ああっ!!」

ぴちゃ、ちゅ、ちゅう……

らしからぬ熱心さでレイはリツコの雪白の美乳に吸い付いていた。
女の胸肉に押し付けた表情は判然としなかったが、その可憐な頬は薄くピンクに―― リツコの頬と同じ色に染まっている。
舐めしゃぶるもう一方の乳房も片時とも離さず、たおやかな指先を自分の青い膨らみとはまるで違う、豊かな双丘に伝わせてやわやわと揉み解し、鳶色の突起をこねくり遊ぶ。

「ああ、レイ……。レイっ、レイっッ……!!」

下からは黒い巨躯の怪物に貫かれ、胸元に中学制服姿の少女を張り付かせて悶えくねる美女は、幾度も弓なりに背筋を仰け反らせて絶頂の叫びを上げていた。

「はぁ、はぁぁ……! こんなの、初めて……」

異種族同士の交尾がもたらす汚辱感が、初体験さえ陵辱の内に踏み躙られ今日へと至る、リツコの秘められたマゾヒスティックな部分を強く刺激していたのだ。

「はうんっ! いいっ……もう、狂っちゃうわ……。ふわ、んあンっ! そう、突いて。突いてぇ……!」

柔らかなカーブを描く大人の女の曲線が果てしなく踊りくねり、原始的なリズムで子宮口を叩く使徒のペニスと、その荒々しさとは対極の拙い刺激の狭間に溺れて喘ぎ続ける。
もしもその場に科学者のままのリツコが居合わせて、牝に堕ちたリツコを見たのなら、精神汚染が始まっていると看破しただろう。
まさしく麻薬に等しい破滅の快楽に爛れて、リツコはどこまでもあさましく、使徒の腹の上で艶かしいヒップを振り続ける。

「あはっ、またっ……いいえッ! もうっ、最高の……! エクス……タシィ、……クるのぉっ!」

白痴の狂態が、ネルフ本部最高の頭脳を誇っていた筈の美女を塗り潰していた。
魂をも染め替える、凄まじい官能に酔いしれて、もう悦楽を貪ることしか考えられない。

「レイ……レイ、レイっ! ね、お願い。ン、ああ……! わ、私、イッちゃいそうなの。イッちゃいそうだから、ね?」

きつく眉根を寄せて咽び泣く、その愉悦の貌でどこか無邪気に……

「わたっ、わたしのッ……。ン、んふぅ……ぅ! クリトリ……スを、ね?」

母性の象徴にむしゃぶりついたまま、上目遣いに見上げる少女に、リツコは頼み込んだ。
コクリと頷いたレイが身を屈める。
愛蜜でぐちゃぐちゃにぬかるんだ粘膜の奥に深々と肉茎を突き立てられる様を、また目を見開いて魅入る気配に、リツコは背筋をゾクゾクと震わせた。
何も知らない童女にいけない遊びを手ほどきするのにも似た背徳感に、またも陶酔が深まる。

「レイ……ああ、レイ! 分かるでしょう? 乳首と同じ、プックリと膨らんで勃起しちゃってる……。や、あン……そうよ、それよ!!」

世のいかなるタブーにさえも縁無き無垢に育てられたレイに、躊躇いは無かった。
その小さな舌を差し伸べて、興奮のあまりに震える肉色の尖りを捉える。
女の最も淫らな部分に少女の唇が重なり、舌の攻撃を受けた刹那、リツコの愉悦は全身の血を沸騰させるように熱く身を灼いて――

「ふわぁぁぁッ! イッ、イッちゃう―――― !!」

強烈な収縮に埒を開けて、吹き上げた怪物の飛沫を子宮奥に浴びながら、ぶるぶると汗まみれ愛液まみれのヌードをうち揺すり、

「は……、あ、あ……」

閃光の中に全身が溶けて消えるような強烈なオルガスムス感覚をうっとりと味わいながら、リツコは使徒の胸に崩れ落ちた。



痙攣する白い太腿の間から、レイは絶頂の瞬間に浴びせられた粘液に塗れた顔を起こした。
年上の美女の秘部に埋めたその口元の汚れとはまた別の、すっきりと鼻筋の通った形良い鼻梁から左の瞼までをべっとりと汚す、女の潮吹きに使徒の精の混じった白濁。
桜色の唇にまで伝い落ちた粘つく滴を、チロと舌先に舐めて、

(苦い……)

片目を開けられぬルビーの瞳が不快げに細められた。
顎の先からねっとりと糸を引いて制服の胸元に垂れる粘液に顔を顰め、レイはシャワーを浴びようと戦いに荒れ果てた部屋を後にした。




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次回予告

モンスター使徒と契約していないライダー帰還者など、所詮レイの敵ではない。
リツコを退けたレイは甘々LRSな学園生活を妄想して夢見て、登校する。
しかし、そこでレイを待っていたものは、第3のライダー帰還者と苦い敗北の味だった。
それでも、戦わなければ生き残れない!

次回、 仮面ライダーReturner Rei 第参話「鳴らない、電話」
レイのアドベントカードが、第1中学校に嵐を喚ぶぜ!