「でね、匡。お隣に引っ越してきた四阿さん、凄く綺麗な人でね。猫を飼ってるんだけど、凄くカワイイ仔猫なんだよ〜」
「へー。そいつは良かったな」 匡は新聞から顔も上げず、気のない返事をした。どうやらあまり興味のない話題らしい。 「おい、和己。ちょっと来い」 「うん」 夕飯の後片付けの最中だったが、和己は濡れた手を拭きすぐに匡の傍までやってきた。 「ここ座れ」 促されるままに匡の隣に座る。すると匡は和己の膝を枕にソファーの上で横になった。 膝枕をするのは初めてではないが、膝の上に乗った匡の頭の重さに和己はどきどきした。 「耳掃除してくれ」 耳かきとティッシュを手渡された。 「……うん」 和己はどきどきしながら、匡の耳の中を慎重に綺麗にしていった。こうして理由つきで、正々堂々と匡に触れられるのは嬉しい。 匡は気持ち良さそうに目を閉じている。 「匡、今度は左の耳、掃除するね」 「ああ」 匡は向きを変えた。和己はわざとゆっくり匡の耳掃除をした。もうちょっとこの時間を楽しんでいたい。 和己がようやく左の耳も綺麗にし終えた頃には、匡は穏やかな顔で眠っていた。 「…………あ、あれ? 匡……?」 呼びかけても返事はない。 ……寝ちゃってる。 ……ちょっとぐらい……触ってもいいかな? 和己は匡の髪をそっと撫でてみた。匡が起きる気配はない。 もう少し大胆になって、和己は匡の髪を梳くように手を動かした。匡のしっとりとした艶やかな髪が指に絡まる。 幸せだと和己は思う。 口元に自然と笑みが浮かぶ。 「匡、好きだよ」 匡が起きている間にはけっして言えない言葉をこっそり囁く。 ……好きだよ、匡。ずっと好きだから……。 匡と出会えてよかった。 匡を愛してよかった。 きっとずっと好き。 傍にいられるだけで、それだけで自分は十分幸せになれるのだ。 一生自分の気持ちを伝えられなくてもいい。 ただ、傍にいさせて欲しい。 ずっと傍にいさせて欲しい。 これは過ぎたる願いだろうか? ……お願いだから、匡。俺が傍にいることを許してね? 匡の傍にいられるのなら、自分はなんだってする。どんなものでも犠牲にする。 ……ごめんね、匡。こんなに好きになってごめんね。きっと匡は迷惑だよね。でも、自分の気持ちを止められないんだ。 自分で自分の気持ちをコントロールできないことを、和己は不思議に思う。 匡を求めて止まない自分の心。 こんなことを考えてはいけないのに、考えずにはいられない。 ……どうか匡に恋人が出来ませんように。 もし匡の前に、匡が大切に思える相手が現れたら、自分の居場所はなくなってしまう。今だって匡の中の自分の存在なんて、ちっぽけなものなのに。 ……匡。お願いだから、俺をいらないと言わないで。 匡が望むのならなんだってする。それはけっして嘘じゃないから。 だから願わくは、死の瞬間まで匡の傍にいられますように……。 ……鬱陶しい。 匡は自分に襲い掛かってくる魔物たちを、次々と慣れた手つきで切り捨てた。 『ギィギィ……』 『ギューギルギル……』 言葉も喋れぬ低級な魔物ばかり。こんなもので自分を葬り去ろうとするとは愚か過ぎる。 いくら人間界において力が制御されるとはいえ、この程度のものたちなら力など使わず刃だけで倒すことができる。剣技は得意ともいえないが、苦手というほどではない。 天界の後継者、グレス=ファディルの腕前に比べれば、自分の技など拙(つたな)いものでしかないのだが。そして、そのグレス=ファディルのさらに上をいくのが我が母であり、魔界を統べるキアセルカ王だ。母からは幼少の頃から武術を叩き込まれたが性に合わず、及第点をもらったところで稽古をつけてもらうのを止めてしまった。己の全ての技術を伝授したいと願っていた母は残念がっていたが、武術にはあまり興味がもてなかった。 今にして思えば、もっと真面目に取組んでおけば良かったと、少々後悔していたりもする。誠司ほどの強さがあれば『力』をほとんど封じられている現状でも、困ることはないのだろう。 「めんどくせぇっつーの。そんなに死にたいんかね、キミタチ?」 魔物の攻撃を軽々と避け、一撃で急所を突く。先ほどからこれの繰り返しだ。匡の回りには、すでに魔物の累々たる死体が横たわっている。 ……ザシュッ! ザクッ! 一瞬にして複数の魔物が肉片へと変わった。匡の仕業ではない。 紗那だった。 「お兄様は、随分と人気者じゃねぇか」 紗那は匡以上の手際のよさで敵を倒しながら、状況に不似合いなのんびりとした口調で言った。 「よお、紗那。……俺と遊びたいっつう、聞き分けのない悪い子が多くてね。少々困っていたとこだったのさ」 匡も手を止めずに死体の山を築き上げながら答えた。 「不本意ながら、聞き分けてくれるように説得するのを手伝ってやるよ。オヤジ殿に頼まれてね」 「そうかい。お礼にあとで、ケーキでも奢ってやるよ」 「……ケーキぃ?」 紗那はすっとんきょうな声を出した。ケーキは嫌いでもなければ好きでもない紗那に、なにゆえケーキを奢るというのか。その理由が分からないのだろう。 「新宿のデパートで有名なケーキ店の支店が横浜に出来たらしい。今日、さっそく和己が買いに行っている」 「……ああ、はい。さいですか」 甘いものが大好きな和己は、ケーキに目がない。紗那もそのことは知っていた。 「ホールで買ってくるっつってたからな。お裾分けしてやるよ」 「そいつはどーも」 紗那も父である誠司もケーキにはさして興味はないが、優也は和己と同じくケーキが大好きだ。持って帰れば喜ぶだろう。 「……って、匡、さりげなく戦線離脱して高みの見物してるんじゃねぇよっ!」 「いやー。俺、体力なくって。年だから……」 「お前と俺は同い年だ! それに俺はもともとお前の手伝いだっつーの!!!」 文句を言いつつ、紗那は着実に自分の『仕事』を果たしていく。匡は手を休めてその様子を観察していた。 さすが、というべきか。 紗那は幼い頃から天城誠司……グレス=ファディルの手ほどきを受けている。天界において最高の剣技を持つ男、グレス=ファディルの養子であり一番の弟子が紗那だった。 多方向から同時に攻撃を受けても、危なげなく紗那はそれをかわして反撃している。隙のない動きは、まるでなにかの舞踊のようだ。返り血で濡れた身体は醜悪だが、同時に美しくもある。鋭い刃のような美麗な舞。 いっそ芸術的ですらあるが、和己に見せたい光景ではないと匡は思った。 和己の背には、純白の見えない翼が生えている。それを引き裂きたいと思うより先に守りたいと思うあたり、自分はそうとうはまっている。 気に入った相手なら、それなりにいた。 紗那や誠司、部下のシアもその一人だ。 だが、自分が守りたいという思いを抱くのは、和己にたいしてだけだった。 おそらく、人はこれを『愛』と呼ぶのだろう。 必要があれば紗那も誠司も、忠誠を誓うシアさえも、自分は手にかけることができる。気に入っていると言っても所詮はその程度だ。自分の利益のためなら彼らの喉元に刃を突き立てることぐらい、微塵の躊躇いもなく自分はやってのけるだろう。彼らの自分への好意すら利用して。 魔王であり母でもあるキアセルカにたいしてもそれは同様だ。歯向かわないのは、ただその理由がないというだけのことで。 自分の他者への執着などこんなものだ。 今まで誰かに本気で心を動かされたことはなかった。自分以上に大切な存在などいなかった。 久能和己。アレに出会うまでは……。 まさか、この自分がたかだか一介の人間に、ここまで夢中になるとは思わなかった。 それにしても和己の鈍感さには笑ってしまう。自分にここまで想われておきながら、まったく気が付いていないのだから。 わざわざ口に出して教えてやるほど自分は親切な男ではない。ゆえに、和己が自分の気持ちに気がつくことは、一生ないかもしれない。 もっとも、口に出したところでどうせ和己は信じないだろう。だから言うだけ無駄なのだ。 和己は自分の価値が分かっていない。そこも和己の魅力の一つではあるが。 和己が自分の想いを知ることがなくとも、それはそれで構わないと思う。 自分だけが分かっていればいいのだ。確かに、自分たちは想いが通じ合っているということを。 「終わったぜ、お兄様っ!」 紗那は怒りながら剣についた血の露を払った。血臭と殺気を纏わせる紗那は、軍神のようだ。 グレス=ファディルが育て上げた、一流の戦士。剣だけで言えばその腕前は、とうに自分を凌ぐほどだ。天界・魔界を合わせても、五指には入る実力だろう。魔王・キアセルカとグレス=ファディルには、後一歩及ばないと言ったところか。天主・アルザール相手であれば、互角に打ち合うことも可能かもしれない。もっともアルザールはもともと剣士ではない。自分と同じく、剣技よりも術を使うことを得意としていた。 「ご苦労だったな」 「てめぇ……。人に仕事させといて、ふんぞり返ってんじゃねぇよ! すげぇムカツク」 「紗那、ずいぶん怒りっぽいな」 「お前が俺を怒らせているんだ!!!」 妹はムキになって怒った。 ……相変わらず愉快なヤツだ。 「くっそー。和己ちゃんは、どうしてこんなヤツが好きなんだよ! マジで理解に苦しむぜ」 「賢いから。カッコイイから。金持ちだから。天才だから」 「ああ、もう、いいっ。喧(やかま)しいから黙れ!」 紗那はキレた。 匡は笑った。 悪びれない様子の匡に、紗那は脱力した。 「……あー。そーいや匡、やっぱ俺ら、オヤジの本当の子じゃないってさ」 「へー」 「……それだけか?」 紗那は不服そうな顔をした。 「あの人が普通に恋愛して普通に結婚して普通な家庭を持つほうがおかしいだろ?」 紗那は一瞬だけ悩んだが、すぐに深く頷いた。 紗那と匡の父親である天城誠司は、普通とは違う感性を持った男だった。匡はそれを面白がっているが、父親の態度に振り回される紗那は、呑気に面白がってもいられないらしい。 誠司に心酔している紗那は、結果として、進んで振り回されている部分もある。匡はそれについて指摘もアドバイスもする気もなく、慌てふためく紗那の姿を見て楽しんでいた。 「ところで匡ちゃん。最近、とくに多いんじゃございません?」 紗那は転がっている魔物の生首を、足でつつきながら言った。このごろ襲撃される回数が増えたことを指摘しているのだろう。 「『リューザ=リカオ=キースダリア』が初めて弱みを持った。で、覇権が欲しくて、この機会に付け込み俺を殺そうっつう、バカ者どもが増えたってわけよ。つか、今なお増殖中ってカンジ?」 匡は和己が自分の弱点であることを認めた。 自分に弱みがあるという感覚は不思議なものだった。 天城誠司も穂高匡も各界の後継者であり、同じような立場にある。彼も『弱点』を持っていて、状況は似た点も多い。 だが、誠司の『弱点』である優也は天主・アルザールの娘であるユリナ姫の魂を持っている。その高貴な魂ゆえに、他の者は容易に手を出すことが出来ない。 ところが和己は正真正銘、ただの人間である。魔物どもは容赦なく和己を付け狙う。 おかげで誠司よりもはるかに多くの刺客を匡は相手にせざるを得ない。 この世界の管理を任されている誠司としては、戦闘が激しくなり、空間が揺らぐのは、あまり望ましいことではないようだ。今回のように、すぐに始末を付けるため、紗那、もしくは本人自ら匡の手助けをしてくれることも珍しいことではなかった。『管理者』としての立場上の他、『父親』として『息子』を心配してという理由も数パーセントは含んでいるらしいが。 「うげ〜。ひでぇ返り血。匡、シャワー浴びさせろ。ここからだったらおまえの家、近いだろ?」 「じょーだん。うちの浴室が汚れるだろうが」 「……てめぇ、つくづく感謝の気持ちがねぇよな……。誰のせいで汚れたと思ってるんだよ!?」 「俺」 結局二人は、ラブホテルでシャワーだけ借りることにした。匡もこのままの格好で家に帰るわけにはいかないと思ったのだ。紗那も匡も暗い色の服を着ているので血痕は目立たないが、臭いはいかんともしがたい。 比較的、汚れの度合いが少ない匡が二人分の服を調達し、二人はホテルの門をくぐった。 ところが受付で止められた。 「あ、あの、お客様。男性の方、二名様では当ホテルはご利用できないことになっております……」 ホモのカップルに間違えられたらしい。 「バカヤロウっ! 俺は女だ!」 紗那は健康保険証の性別の欄を、受付けに見せ付けながら叫んだのだった。 「あ、匡、お帰りなさい……」 いつもは自分が帰ってくると、喜色を満面に浮べて駆け寄ってくる和己は、今日は悲しそうに顔を歪めて泣きそうな目をしている。 原因はすぐに思い当たった。 おそらく、見たのだろう。自分がラブホテルに入っていくシーン、もしくは出てきたところを。あのホテルはすぐ近所にある。 一緒にいた相手が紗那であることには気が付いていないようだ。いや、それとも、気付いた上で、落ち込んでいるのだろうか。紗那と匡、互いに言いたい放題な二人の姿を見て、「仲が良くて羨ましい」と呟いていたことがあった。別に、二人が結果的に本心を包み隠さず言い合いをしているのは、互いに相手に嫌われても痛くも痒くもないと思っているからであって、けして和己が思うように、仲が良いからではないのだが。 だが、匡は和己が落ち込んでいる理由を知りつつ、フォローは一切しなかった。 悪趣味なことに匡は、悄然(しょうぜん)とした様子の和己を愉しんで見ていた。 笑っている顔もキライじゃないが、哀しそうな顔のほうがよっぽどイイ。 匡は快感がぞくりと背筋を這い登ってくるのを感じた。好きな人間の笑顔より泣き顔を見たいと思うあたり、自分はどこか壊れているのだろう。 和己の誤解を正す気は、匡にはなかった。 自分のために苦しむのならもっと苦しむがいい。 それでもなお、自分への愛に殉じる姿が見てみたい。 悲しめ。 苦しめ。 ……その果てにお前は、一体何を掴む? それを自分は……見てみたかった。 「和己、メシ」 「うん、すぐ用意するから」 必死に悲しみを噛み殺し、和己は匡のために動き始めた。 ……可哀相に。 ほんのわずかな憐憫(れんびん)の情さえまじえず、淡々と匡は心の中で呟く。 ……可哀相に。 他の人間を選べば、もっと幸せになれたのに。 それでも自分から離れられない和己が、滑稽で愛しかった。 傍にいるだけで満足だと哀しく微笑み、自分を強く望もうとしない和己が憎かった。 「和己、キスしてやろうか?」 「え?」 驚いた顔。 そして、不安な顔。 分かりやすいヤツだ。表情だけですべてを語る。だが、分かっていても、一番望むことは、叶えてやらない。 「ばあか。冗談だよ」 傷ついた顔。 そして、泣きそうな顔。 当たり前だ。傷つけるために吐いた言葉だ。 だが和己は泣かなかった。 ……つまらないな。 どうせ一人でこっそり泣くくせに。自分を想って泣くくせに。 泣きながらみっともなく縋り付いてくれれば、少しは自分も優しく出来るかもしれないと匡は勝手なことを考えた。 何度も想いを踏みにじられ、何度も涙を流したとしても、変わらず自分への想いを貫くと言うのなら、優しく両の腕(かいな)で包んでやってもいい。 実際そのとき自分がどうするかは、そのときの気分しだいなのだが。 「匡、準備できたけど……」 「おう」 和己の悲しみを知りながら、常と変わらぬ態度で匡は食事を始めたのだった。 「うっ……ひっく。ううっ……」 ……匡はもう、俺のことなんていらないのかなあ? ……あの人のこと、好きなのかなあ? 遠くからだったから、相手の顔までは分からなかった。けれど匡のことは、すぐに分かった。どんなに遠くにいても、どんな人ごみのなかでも、自分は匡のことはすぐに見つけることが出来る。 名前を呼びかけて、声が凍った。 匡がどこから出てきたかを悟ったからだ。 その場所から二人で出てきたことの意味が分からないほど、和己は世間知らずではなかった。 抱いたのだ。 誰かを。 自分がどれだけ欲しても与えられなかったものを、やすやすと手に入れた人間がいるのだ。 哀しくてたまらない。 胸が死にそうなほど痛い。 「ひっ……ううっ……」 好き好き好き好き。 どうしてこんなに想っていても、自分は匡の恋人にはなれないのだろう。 男だから? キレイじゃないから? 賢くないから? 仕方ないって、分かってる。 自分は匡に相応しくないから。 でも、分かっていても、ツライ。 辛くて辛くて、胸が苦しくて涙が止まらない。 ……俺は嫉妬している。匡がその腕に抱いた人に……。 恋人でもないくせに。 妬く資格など、ないくせに……。 どうして? どうして? どうして? どうしてあの方は、あんな人間ごときを大切にするの? 「わたくしのほうが、よほどあの方に相応しい」 地位も。 力も。 美しさも。 あの方に釣り合う者がいるとすれば、それは自分しかいないというのに。 なのに……どうしてあの方は人間などにうつつを抜かし、自分のもとに帰ってきてくれないのだろう? あれほど情熱的に自分を抱きしめてくれたことを、あの方は忘れてしまったのだろうか? ……いいえ、そんなはずはない。あの方は、わたくしを愛して下さっているはず。あの方の愛情を疑うなんて、いけないことだわ。 愛する人を信じられないなんて。それは褒められた行為ではない。 ……でも、だけど、目障りだわ。 あの方はとても気まぐれな方だから、だから、あんな者でも傍に置いているのだろうけど。 でも、目障り。目障りだから……消してしまおうかしら? ……あの方は怒るかしら? ……そうね。あの方は自分の行動に口出されることを嫌うから、少しは怒るかもしれないわね。 けれど、最後には、許してくれるはず。 ……だって自分は、いずれはあの方の妻になる女だもの。 いずれ魔界を継ぐあの方を支え、隣に立つ資格があるのは自分だけだから。 だから、あの人間は、いらない。 必要ない。 邪魔な者。 「できるだけ苦しむように、殺してあげる」 あの方が少しでも関心を持たれただけでも、十分許しがたい。 ……どんなふうに、『罰』を与えようかしら……? 苦しみながら、自分の罪を悟るがいい。 分不相応(ぶんふそうおう)にもあの方に纏わり付いたりするからだ。 不快な存在を消し去ることを決めたことで、いくぶんか心が軽くなった。 もっと早く、そうすれば良かった。 邪魔なモノなら消してしまえばいい。 いらないモノなら捨ててしまえばいい。 自分にとってたかだか一介の人間など、塵にも等しい価値しかないのだから……。 |