完乗の定義・用語解説


更新:2006.8.13

 私の完乗の定義・用語解説です。完乗にあたってはケーブルカー、ロープーウェイ、リフト等どこまで含むか、橋梁の架け替えなど路線変更をどう扱うか、貨物線はどう扱うか等、各個人によってバラバラです。そこで私なりの定義をまとめました。  後半は用語解説です。「JR・私鉄別完乗率」等における地域、路線形態、営業形態の区分の定義をまとめております。
JR・私鉄別完乗率  路線別乗車状況(私鉄)  路線別乗車状況(JR)

完乗の定義について


1.「乗車対象」は鉄道事業法の鉄道および軌道のうち、旅客営業している路線とする

鉄道と一言に言ってもさまざまな形態があり、「遊園地等の鉄道はどうするのか」という意見もありますが、「鉄道事業法」に乗っ取って分類します。遊園地等の鉄道は遊戯施設となり対象外になります。
鉄道事業法には、鉄道、軌道、索道といった形態がありますが、「線路上を走るもの」の考えに基づき、ロープーウェイなどの索道は対象外とします。また、新交通システムやトロリーバスのように線路がないものもありますが、これらは時刻表等にも鉄道路線として扱われていることが通例ですので含めます。但し、ガイドウェイバスは車両が専ら鉄道線を走っているものではないため除外しております(名古屋ガイドウェイバスは乗車済みですが…)。
普通鉄道、軌道(路面電車)、新交通システム、モノレール、トロリーバス、ケーブルカーを対象とします。これらの路線については「鉄道要覧」(毎年9月頃発行)に掲載されていますが、旅客営業していない貨物線なども含まれているため、乗車対象を決めるにはこの本は不向きです。
旅客営業の定義ですが、こちらは時刻表記載路線で概ね把握できます。時刻表は市販の鉄道雑誌で最も発行部数が多く、一般的な書籍であることから、基本的には時刻表の索引図に掲載されているものが乗車対象とします。時刻表にも多種ありますが、私はJTB時刻表を基準としております。
また、旅客営業にも第1種営業、第2種営業(乗り入れ路線)、第3種営業(施設保有会社)がありますが、第2種営業で判断すると神戸高速鉄道へ乗り入れる阪急・阪神・山陽を区別して取り扱う必要があるなど複雑奇怪ですので、あくまで各区間の「運賃表を持っている会社」を乗車対象とします。ただし、七尾−和倉温泉間、総社−清音間のように運賃表を持っている会社が2社ある場合、その区間の第1種営業を行っている会社のみを乗車対象とします。
貨物線は対象外になりますが、最近は旅客列車も貨物線を通るケースがあります。貨物線については乗れればそれに越したことはないのですが、あくまで参考記録とします。
また、私鉄にもケーブルカー等に一部、時刻表に掲載されていないもの(京阪の男山ケーブルなど)がありますが、旅客営業されているものについては時刻表非掲載でも対象とします。逆に萩のモノレールのように時刻表掲載路線でも鉄道事業法に含まれないものは除外します。

2.短絡線はすべて対象外、複線の場合は往復どちらかでOKが原則。通称は使用しない

「あさぎり」が通る松田の短絡線などの短絡線は、いちいち考慮していると「1番線発車列車と2番線発車列車は区別しないといけない」など収拾がつかなくなることから対象外とします(営業キロの有無にかかわらず)。ただし、東海道線(大垣−新垂井−関ケ原の下り)は「鉄道要覧」には別線として記されていることから例外として対象にします。
複線の場合も同様に上りと下りを区別してしまうと収拾がつかないので、往復どちらかでOKとします。また、新幹線は並行在来線と同じ営業キロ(例外あり)もあり、並行在来線とセットで複々線という考え方もありますが、これも「鉄道要覧」には別線として記されていることから例外として対象にします。
また、路線別に乗車距離を出す際は戸籍に基づくものとし、「京浜東北線」(大宮−大船間)などの通称については考慮せず、「山手線」については品川−新宿−田端間とします(東京−品川間は東海道本線、東京−田端間は東北本線)。

3.対象路線はとにかく乗ればいい。時間帯や車内での行動はまったく考慮しない

乗車時の行動や時間帯についてまで、「夜間に乗った場合は含めない」「寝てしまった時間は含めない」といった方針を立てているものまでおり、各個人で基準はさまざまです。
私の経験上、京葉線の夜景が綺麗だったりして、上の基準で昼間しか認めない人に対して「夜間のどこが悪いんだ」と言いたくなることもあります。それに、夜間の定義もあいまいだったりします。
寝てしまう場合についても、ふと10秒ほど目をつぶる程度か、何時間も爆睡するかなど判断が難しいですし、寝ようが寝まいが「移動した」という事実がありますので、それを完乗の定義に加えるのは好ましくないと考えています。
そこで私の場合は単純に「対象路線は時間帯や行動に関係なく乗ればよい」としております。
ただし、地上を走る区間の場合は遅くとも夕暮れまでに乗車し、列車内では極力車窓を見るようにしています。仮に寝てしまってもまた乗りに来ればいいのですから。

4.経路・区間変更はすべて対象外(参考記録)。路線延長でも区間延長がない限り対象外

駅の移設や橋の架け替えなどで経路変更や区間変更となった場合、たとえ営業キロが変わったとしても「路線開業」ではありませんので新たに乗り直さなくてもよいものとします。たとえば、鹿児島本線スペースワールド駅開業の際は、途中で線路の付け替えも行われていますが、その前後の駅については同じであることから対象外となります。なお、各区間のキロ数は増える場合もありますが、乗りなおさなくても当該区間はすでに乗っているものとして変更後の営業キロを採用するものにします。これは「路線延長の場合は乗り直す」という人もいますが、細かい変更でキロ数が増えるケースは多いことが原因です。こうした場合は、すべて対象外(参考記録)としています。
 ただし、区間が延長された場合は「新規開業」に相当しますので、軽微なものであっても乗り直しが必要です。
(仙石線が仙台駅地下化の時には、あおば通−仙台間が開業、仙台駅周辺および石巻側での橋梁付け替え等による距離変更が行われましたが、新規開業したあおば通−仙台間のみを乗り直し対象とし、あとはすべて対象外としています)  なお、2008年開業の副都心線小竹向原−和光市間のように「既存路線が重複区間となったケース」については、「新たに重複区間となる路線を走行する列車に乗った場合」については記録を引き継ぐこととします。

5.経営主体の変更は着目点で異なる。本項では「JR・私鉄間の変更」のみ乗り直し必要

経営主体の変更については、「何に対して(JR全線、私鉄全線、京成全線…等)の完乗なのか」によって変化します。基本的に「変更によって、着目している対象に新たな路線が追加された場合、その着目点で完乗考える場合に乗り直しが必要」と考えます。つまり「何に対する完乗か」で乗り直しが必要かどうかは変化します。
これだけではわかりにくいので例を出します。なお、以下の例はすでに全鉄道を完乗しているものとして話を進めます。


1.JR信越本線の一部が(新幹線開業に伴って)しなの鉄道に転換された際の扱い
 (ある事業体の一部区間が独立し、新会社ができた場合)

 当然ですがJRの路線が転換するだけではJR全線完乗が失われるということはありません。
 しかし、「全鉄道完乗」については、信越本線がしなの鉄道に変わったとはいえ、その箇所にある路線に乗ったという事実は変わるわけではないので、「全鉄道完乗」の基準は満たす、と考えます。
 しかし、新たなる「第3セクター鉄道」が登場したのですから、転換の前後で比較すると私鉄の総延長が増加することになります。つまり、それまでに「私鉄全線完乗」や「第3セクター鉄道完乗」をしていたとしても、新たなる私鉄が登場することになるので、これらの記録は失うことになります。
(なお、実際にはしなの鉄道への転換と同時に北陸新幹線高崎−長野間が開業していますので、当然のことですが鉄道全線完乗、JR全線完乗のためには、北陸新幹線に乗車しないといけませんでしたが)
 ・鉄道全線完乗→乗り直し不要(但し、北陸新幹線高崎−長野間は乗車する必要がある)
 ・JR全線完乗→乗り直し不要(但し、北陸新幹線高崎−長野間は乗車する必要がある)
 ・私鉄全線完乗→乗り直しが必要
 ・第3セクター全線完乗→乗り直しが必要

2.千葉急行が京成に吸収合併された際の扱い
 (ある事業体が合併した場合)

この場合は千葉急行も京成も「鉄道」や「私鉄」であることには違いないので、こうした完乗を考える場合は「乗り直し不要」です。ただ、「京成の完乗率」を考えると、「旧千葉急行区間は京成にとって見れば新たな区間」なわけで京成の営業キロが増加するわけですから、乗り直しが必要と考えるのです。
 ・鉄道全線完乗→乗り直し不要
 ・私鉄全線完乗→乗り直し不要
 ・大手私鉄全線完乗→乗り直しが必要
 ・京成全線完乗→乗り直しが必要

3.京福電鉄(福井)がえちぜん鉄道に移管された際の扱い
 (ある事業体が変更した場合)

この場合は京福電鉄(福井)もえちぜん鉄道も「鉄道」や「私鉄」であることには違いないので、こうした完乗を考える場合は「乗り直し不要」です。もちろん「えちぜん鉄道の完乗率」を考えると2.と同様に乗り直しは必要になります。
(また、えちぜん鉄道は第3セクターですが、大阪府都市開発などと同様に旧国鉄の営業路線や建設路線ではありませんので「第3セクター鉄道」ではなく「私鉄」(この場合は地方私鉄)となります)
 ・鉄道全線完乗→乗り直し不要
 ・私鉄全線完乗→乗り直し不要
 ・地方私鉄全線完乗→乗り直しが必要
 ・えちぜん鉄道全線完乗→乗り直しが必要
 ・第3セクター全線完乗→乗り直し不要

4.旧阪急電鉄が阪急阪神ホールディングスに移管、新阪急電鉄が設立された際の扱い
 (ある事業体が持ち株会社に移行、事業を子会社に移管する場合)

この場合は旧阪急電鉄も新阪急電鉄も「鉄道」や「私鉄」や「大手私鉄」であることには違いないので、こうした完乗を考える場合は「乗り直し不要」です。しかし新阪急電鉄を考えると2.と同様に乗り直しは必要になります。
(なお、阪急阪神ホールディングス傘下に入っている阪神電鉄は経営主体の変更はありませんでした)
 ・鉄道全線完乗→乗り直し不要
 ・私鉄全線完乗→乗り直し不要
 ・大手私鉄全線完乗→乗り直し不要
 ・阪急全線完乗→乗り直しが必要
 ・阪神全線完乗→乗り直し不要

本項では「JR全線完乗」「私鉄全線完乗」「鉄道全線完乗」の3つを考えることにしています。


ですので、「私鉄路線が経営主体が変更されて私鉄路線になる場合」は対象外で、1のケースに該当した場合「大手私鉄は完乗(但し、千原線は旧千葉急行時代に乗車)」という注釈つきの扱いとしております。
但し、新幹線開業などでJR路線が第3セクターに転換される場合など、JR・私鉄相互間で経営主体が変化する場合は乗り直しの対象となります。最近の例ではしなの鉄道の他にも、青い森鉄道、IGRいわて銀河鉄道、肥薩おれんじ鉄道、富山ライトレール(奥田中学校前−岩瀬浜間)が該当します。
なお、鉄道事業者の名称変更については一切対象外です。
また、1987年に国鉄がJRになりましたが、民営化されたとはいえ「JR」=「国鉄」とみなすのが一般的であることから、これは「名称変更」と考えて乗り直し対象外とします(幸いにも私の場合は該当する路線がありませんが…)。

用語の解説


JR・私鉄別完乗率や路線別乗車状況に記載している用語の基準について解説します

1.地域名について

私鉄の場合、JTB時刻表に基づいた地域名を記載しております。原則として「○○地方」の欄に記載されている地方をその会社の地域名としております。なお、第3セクター鉄道と伊豆急行についてはJR線の欄に記載されていますので、索引図からその路線周辺の交通線の記載ページから判断しています。
また、JRの場合、地域名は会社名にしております。

2.私鉄の区分について

私鉄の区分については「3セク」「大手」「公営」「都市近郊」「地方」に分類しました。 「3セク」は第3セクター鉄道ですが、第3セクターについても三陸鉄道のように元々は国鉄路線だったものや、大阪市都市開発(泉北高速鉄道)等のように国鉄に関係なく地方自治体がメインとなって設立されたものがあります。一般的には後者は「私鉄」として取り扱われることが多いので、本項でも後者については「私鉄」とし、「3セク」は「国鉄の営業路線・建設路線で特定地方交通線の適用を受けて転換された路線、整備新幹線の開業によって転換された並行在来線」とします。なお、近年は私鉄ローカル線が第3セクターになることがありますが、これは本来の第3セクターではなく「私鉄」とするのが一般的であることから「私鉄」とします。
また、富山ライトレールのように特定地方交通線ではないがJRから路面電車化され第3セクターに転換された在来線は「3セク」として取り扱います。
「大手」は大手私鉄15社(東武、西武、京急、京王、京成、東急、小田急、相鉄、名鉄、近鉄、南海、京阪、阪急、阪神、西鉄)としています(東京地下鉄は完全民営化以前は半分が国の資本であった経緯から、公営交通に分類しております)。
「公営」は地方自治体によって営業されている地下鉄や路面電車としています。
「都市近郊」は地方私鉄とは言いがたい、都市近郊を走っている私鉄で、都市近郊私鉄か地方私鉄化の区別は「JTB時刻表で3列表記されているか否か」で判断しており、3列表記の場合は都市近郊私鉄としています。準大手といわれる新京成、神鉄、山陽などもここに該当します。
「地方」は地方私鉄で、上のいずれにも該当しない私鉄をさします。これも東日本と西日本に区別する場合もありますが、本項では地域別の区分で事足りることから、単に地方私鉄として分類いたしました。

3.路線形態について

私鉄の路線形態については、普通鉄道、軌道(路面電車)、新交通システム、モノレール、トロリーバス、ケーブルカーに分類しています。もちろんこの細部についても分類できますが(モノレールならその方式など)、特に考慮しませんでした。

4.その他について

区間は戸籍に合致させる形にしております。ですので、東京−品川間の場合は二重戸籍ではなく、山手線、京浜東北線、東海道本線、総武快速線とも「東海道本線」に含まれ、いずれかに乗ればOKとしております(すべて乗っていますが…)。但し、二重戸籍解消後に駅が出来て二重戸籍になっているところ(金山−名古屋、今宮−新今宮、小倉−西小倉)は二重戸籍として判断し、両方の路線に乗車する必要があります。
キロ数は新幹線のように実際の距離と営業キロと異なる場合もありますが、汎用性を考えて時刻表などに記載されている営業キロに基づくものとしました。
判別は「○」が完乗、「△」が部分乗車、空白は未乗です。
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