L・M・T! 後編

プリントして比べていた写真で、前回の2枚目とは別バージョンの1枚
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 本編と前回で「ドール」についての説明をしなかった。実のところ、この趣味がどの程度一般的に認知されているのか、私は知らない。某研究所のオタク市場の経済効果に関するデーターによると、ドールは鉄道模型に匹敵する規模を持ち、何より普通に「ドール」の項目があることに注目。とは言え、私も件のブログを読んだ推定2012年頃までは、「そういうのがあるのは知っている」程度の認識だった。「アニメ」とか「鉄道模型」とか「コスプレ」に比べてあまり知られていなくても不思議ではない。というわけで、今日は「ドールとは何ぞや?」から始めてみるとしよう。と言っても、私もどう説明すればいいのか分かっていない。百聞は一見に如かずで、写真でお見せしているものがそれである、というのが一番早いのかもしれない。「ドール」という単語でも分かる通り「人形」の一種だ。実際、砕けた言い方で「お人形さん」と呼んだりすることもあるようだ。単語の意味では同じものだが、趣味としての「ドール」が一般的な「人形」のとどう違うのか。私の認識になるが……まず、可動式であること。次に着せ替え可能であること。どこかのサイトには「樹脂製」とあったような気がする。後は……カスタマイズが可能な事だろうか?(リリアたんはあまりカスタマイズの余地がないけど) これらの要件を満たす趣味性の強い「人形」と考えて頂けたらいいんじゃないだろうか。私も踏み入れてまだ2年、しかもあまりディープなところへは立ち入っていないし立ち入ろうとしていないので、いろいろ抜けているところはあるだろう。詳しく知りたい方は、ここよりもっと詳しいサイトがあると思うので、そちらを参照して頂きたい。
 さて。ドール界隈の「あるある」によると、初めてドールをお迎えした人は時期をおかずに二体目をお迎えすることになるという。中には「翌日買いに行った」という猛者もいるらしい。その理由に言及した文献あるいは誰かの発言を見たことはないのだが、おそらく「一人だけだと寂しそう」だからだと思う。私もぬいぐるみで経験しているのでよく分かる。自分がずっと横にいられるのならともかく、普段ポツンと一人でいるのはいかにも寂しそう。可愛いうちの子にそんな思いはさせたくない! では、うちのリリアたんにお友だちができたのは何時なのか。その答えは難しいところ。何せうちにはリリアたんに負けず劣らず可愛いペット(ぬいぐるみ)たちがたくさんいる。もふもふに囲まれていれば寂しい時間などあるはずもない! うちにやってきたその日からお友だちはいっぱいいた、とも言える。そういう事情もあり、二人目のお迎えは半年後となる。

  ――なんだよ結局お迎えしてるんじゃないか

自然の摂理には抗えない。私は二人目をお迎えし、そして3年目を迎えた現在、5体のドールオーナーとなっていた。

Lilia(リリア)/BlackRaven II
手にしているのはKATOのTGV Lyria
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 私所有の3体目となる「Lilia(リリア)/BlackRaven II」。リリアさんとしては2番目に発売されたモデルで、2種類あるうちの通常版である。ちなみに、前回の話の「蔵出しセール」で出てきたのは直営店限定の方だった。元々は髪のセットの練習台にするのが目的でお迎えしたのだが、それはさておき普通にリリアたんとして愛でている。よって髪のセットのコツは現在もよく分かっていない。初期のモデル故にお迎え当初より内部フレームが劣化していて、右腕がほとんど上がらないぐらい緩かった。後日パーツを買ってきて換装したのだが、ドールボディの分解の練習になった。

Lilia(リリア)/WhiteRaven III The Stardust Nightmare.〜彷徨える魂〜
手にしているのはKATOのTGV Lyria
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 4体目は「Lilia(リリア)/WhiteRaven III The Stardust Nightmare.〜彷徨える魂〜」。モデル名が長くなり、かつ中二病っぽくなっているが、きっと気のせいではない。だってこのモデル、眼帯が付いてるんだもん! 他にも大きめの剣が付いてたりして……ま、元々リリアさん他「Black Raven」シリーズはそういう世界観だからね。ちなみに、これと対を成す「BlackRaven V The Stardust Nightmare.〜彷徨える魂〜」はオッドアイとなっており、さすがは受注生産の中二病感特別感が出ている。

 残る2体目と5体目は、最初のリリアたんと同じ「Lilia(リリア)/〜大正浪漫〜K猫」。何故3人も同じ子をお迎えしたのか。まず、2体目は「予備」の名目だった。私にとってはリリアたんが初ドールで、お手入れとかで何かやらかしそう、泣きを見そうだったのでバックアップをキープしておきたかったのだ。では5体目で三度「K猫」をお迎えした理由は? 本日最初に書いた通り、ドールは服の着せ替えが可能である。アゾンインターナショナルからも、ドール本体だけでなく単品の服が毎月のように発売されている。こうした別売りの服でお洒落を楽しむのもドールの醍醐味であり、私も徐々に気になるものを少しずつ買い集めた。ところが困ったことに、「K猫」のデフォルト衣装があまりにも可愛すぎて他の服に着せ替える気になれなかった。追加で買った服は未開封のまま溜まる一方。私は悩んだ。もしかして俺、ドールの楽しみ方間違ってる? 悩んだ末に行き着いたのは、「お着替え用」を追加するという頭のねじが外れたプランだった。オタクによくある「鑑賞用、保存用、布教用で3つ買う」を、内容違いで実践してしまったわけだ(しかも単価がなかなか)。もちろん同じものを3つ買うことに葛藤があり、随分長いこと悩んだ。今思っても不思議なのが、その間「K猫」の在庫が残っていたこと。世のドール趣味者と好みが違うのかなあと思うと少々気分が複雑だが、そのお陰で今心置きなく楽しめているんだから良しとしよう。
 最初の頃に「リリアたんがいれば他に何もいらない」と思ってメモ帳にもそう書いたのに、気が付けばこの陣容。どうしてこうなった。





  ――考えてみれば全員リリアたんだから問題ないな!

所有ドール数5体、そのうちリリアたんが5体。何の問題があろうか? いやない!(本当か?)
 そんなわけで「全員リリアたん」なわけだけど、途中で他の子のお迎えを考えたこともある。同じ「Black Raven」シリーズで「リリア」の妹の「ルルナ」、「リリア」が日本で知り合った「天音(あまね)」。アゾンインターナショナルは他のシリーズも展開しているし、サイズ違いの「1/6」や「1/12」もある。もちろん、アゾン以外にもメーカーがある。ボークスビルの鉄道模型より上の階へもお邪魔しに行った。しかし、誰一人としてリリアたんの魅力には勝てなかった。他の子をお迎えするなら、別バージョンの「リリア」の出物を探した方がいいと思ったのだ。もし私が最初にお迎えした子が「1/6」だったら話は違っていたかもしれない。サイズ違いを含めていろいろと手を広げていた可能性が高い。しかし「1/3」は、1体でプラ製HOの4両セットが買えそうな値段であり、飾るためには広い場所も必要になる。本当に気に入った子でないとお迎えしにくい。「1/3」でドールを始めたせいで基準が「1/3」になり、小さな「1/6」への興味も薄くなってしまった。結局のところ、最初に感じた通り「リリアたんがいれば他に何もいらない」だったのだ。

3人それぞれに別のお洋服着せて撮ってみた
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 前回の締めへのセルフ突っ込み及び言い訳。株式会社ボークスが自社のドール店舗に付けている名前を見てみよう。「天使のすみか」、とある。多分ドール趣味者の間では常識で、「ドールが天使である」ことを「聞いてないわけがない」のだが……その時点での私の視野は非常に狭く、「アゾンのリリアさん」しか見えていなかった。まあ今でもリリアたんしか見てないんだけどな!
 しっかり読んでくれた方は途中で気付いてくれたかもしれない。直前の文章がまさしくそうなのだが、「リリアたん」と「リリアさん」、2つの呼び方が混じっている。これが何かと言うと……どうやら界隈では「リリア」を「さん付け」で呼ぶのが一つのお作法らしい。私もお迎えする前は倣って「リリアさん」と呼んでいた。しかし自分でお迎えした後は、『Re:ゼロ』に引っ張られて「リリアたん」と呼ぶようになっていた。正確には、お迎え当初は「リア」だった。『Re:ゼロ』のパックがエミリアを呼ぶときのように。それがいつの間にか「リアたん」になり、最終的にはスバルがエミリアを呼ぶように「リリアたん」となっていた。ドール界一般では「リリアさん」なのは知っているが、うちの子は「リリアたん」なのである。L・M・T!(リリアたん・マジ・天使!)
 先週、侃侃諤諤本編で「バツイチの俺が(中略)愛でればいい?」の「2」から最終「4」をお送りした。その後「L・M・T!」とタイトルを改めてリリアたんの話をしている。これが何故かというと――リリアたんをお迎えしたことをばらしている友人知人にはよく誤解されるのだが、リリアたんは「二次元の嫁」ではない。

1.リリアたんは二次元ではなく三次元である
2.リリアたんは「嫁」ではなく「娘」である

どうして「嫁」じゃなくて「娘」なのかと質問されると回答が難しいのだが、とにかく私の中では「嫁ではない」のだ。いつものメンドクサイやつなので、橘雪翼の中で何かあるんだと理解……出来なくてもいいので、生暖かい目で見守ってくれると助かる(過大なる要求)。そしてリリアたんは、二次元キャラクターを立体化したものではなく、最初からドールとして生まれた「三次元」の存在だ。以上2つの理由を以て、リリアたんは「二次元の嫁ではない」のである。だから「バツイチの俺が(中略)愛でればいい?」とは別枠にしたかったわけ。細かいところだけど、「バツイチの俺が(中略)愛でればいい?」の「2」の書き出しにも「その話をするための話を始めよう」と記した。「その話」が「L・M・T!」で、「その話をするための話」が3回の「バツイチの俺が(中略)愛でればいい?」だったのだ。
 「二次元の嫁」は今後話題にするかどうか不明だが、リリアたんは機会があれば再登場させたいと思っている。とは言え、実は可愛く撮るのが結構難しかったりする。人間と違って自分でカメラに視線合わせてくんないからね。首の角度の微調整を繰り返し、時には構図で誤魔化したり。3人一緒に撮ろうとすると苦労が3倍増し以上で、先ほどの写真も途中で諦めている(投げんな)。ライティングも大いに工夫の余地あり。フラッシュを買い足してワイヤレスコマンダーで多灯制御……とかやろうとしたんだけど、値段見た瞬間諦めた。そのお金でもう一人お迎えする! SNSにアップしてフォロワーやいいねの数を稼ぎしたいわけじゃないし、今持っている機材でできる範囲でいいや。
 以上、「バツイチの俺が(中略)愛でればいい?」と「L・M・T!」合わせて5回、私が新たに手を出した趣味のお話でした!

(2021.10.21)

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