ミニチュアハウス「アリス紅茶店」
「アリス紅茶店」

 「ミニチュアハウス」あるいは「ドールハウス」の「アリス紅茶店」を作ってみた。中国のROBOTIMEという会社の商品で、正直中国製と聞くとあまりいいイメージがないが、今回作っていて特に設計の甘さや製造過程における部品の不良などは感じなかった。そんなことよりセンスがいい。「アリス」と言えばもちろん『不思議の国のアリス』だが、可愛らしい世界観を「紅茶店」に見事に落とし込んでいる。作っていて楽しいキットだった。

正面より

 LEDを含む電気関連も全て付属している(電池のみ別)。LEDの色は暖色系で、明るさも含めていい雰囲気だ。

テーブルカウンター

 左の方にある「TAKE ME」の紙袋は「アリス」という感じのするデザイン。中央にあるオーナメントは、クリアパーツが色はランダムで2色入っているようだ。私のは「黄色」と「透明」だったのだが、明かりのせいか写真写りのせいかあまり見栄えがしない。ちなみに肉眼だとはっきり色の違いが判る。

うさぎさん

 私の大好きなうさぎさん。『アリス』っぽいうさぎだ。

ショーケース

 大きなショーケース。カワイイ・キレイが程よく詰まっている。

裏側

 正面からは見えない部分のディティールも抜かりはない。ちなみに写真右手の背面にあるのは照明用の電池ボックスだ。電池は単4形2本で、もちろんスイッチ付き。

さらに別角度

 建物の右手側には大きな窓がある。

上から

 鉄道模型もそうだがミニチュアは上から見ることが多い。そのせいか屋根は付いておらず、こうしたアングルからも楽しめる。

正面より

 なぜ突然ドールハウスかというと、たまたまネットで見つけ、鉄道模型制作の合間に作れそうだったから。「ドールハウス」というものの存在を認識したのは結婚生活をしていた頃に遡る。(当時の)嫁と駅ビルの散策中、本屋の脇のコーナー(多分独立した店舗ではなかったと思う)でフェアをしていたのを見てのこと。「あ、いいな」と思ったものの、模型作る時間が削られそうだし完成しても置く場所がない、という理由で見送った。今回ネットで見かけて、今回は「いっちょ作ってみるか」という気分になった。今の方が“時間はない”し、置き場所は年々深刻になっているのだが(笑)

 以下、メイキング的なお話。

パッケージ

 パッケージはこんな感じで、中身は中国製だがガワは日本代理店あたりが作っているのだろう。説明書も日本語版が付属する。右手方向にある「Rolife」はブランド名のようで、「つくるんです」は日本で流通させるにあたってのシリーズ名? この辺りはよく分からない。ネット通販でも店によって検索語句で出てくる、出て来ないがあってややこしい。ヨドバシに至っては「プラザクリエイト」と「ROBOTIME」で同じものが別商品扱い?で出てきたりする。もしかしたら流通ルートが複数あるのかもしれない。

部品は袋分けされている

 箱を開けると部品が「1」〜「6」の袋に分けられて入っていた。工程別というよりは種類別に近い。組み立て説明書には「何番の袋に入っている何番の部品」という指定があり、部品を探すのはそんなに手間ではなかった。似たような部品も多い一方で部品本体には番号が振られていない。取り違えが怖かったが、説明書とは別に部品の番号に等倍サイズのイラストが添えられた対照表が付いていたので問題なかった。

なんか鉄道模型でもやったことのある作業が……

 戸棚や窓の取っ手は自分でワイヤーを切って曲げる必要がある。鉄道模型だと割と上級者向けの工作……?

接着剤はゴム系、ボンド、糊を適宜使い分け

 製品には水のり、ピンセット、ドライバーが付いていたが、全て自前の物を使った。特に糊は記憶に新しい土蔵での苦労があったので、今回はボンドを用意した。ところがボンドでも苦しい場面があってゴム系接着剤の出番となり、さらにその後、広範囲に塗る必要がある場面ではフエキのりが最適と判断して黄色い容器(あ、木工用ボンドも黄色か)を持ち出してくることになった。

一見して用なしとなった“ランナー”も部品の一部

 部品を切り出した後のプラモで言うところのランナーだが、これも部品の1つだ。上から紙を貼って床面として使う。エコだ。ちなみに3枚目写真のカウンターテーブル上のティーカップが入ったケース、これの底面も部品を切り出した後の枠の再利用だ。説明書にも「後で使うから捨てないで」という旨のことが書かれている。

重石を載せて接着待ち

 木のパーツは材質上少し反っていたりした。特に大きなパーツでその傾向があり、しっかり接着するために手で持っていると……疲れてくるし他の作業できないしだったので重石を載せて一晩放置することにした。写真ではタミヤの接着剤(今回は接着剤としての使用はしていない)にGMキットを作った際に余ったおもりを載せている。

方向性を変更

 ところが翌日チェックするとしっかりくっ付いてくれてなくて……輪ゴム作戦に切り替えたりもした。写真はさらに上下に補強?の帯材を取り付け、こちらも反っていたのでクリップを使って圧着した。

水平チェック

 お店の壁に掛かっている額縁は……額縁あるあるなのだが、左右どちらかに傾いて水平に飾るのが難しかったりする(この場合縦長の楕円形なので「水平」というより「垂直」か)。どこかで聞いた「写真に写すと傾きチェックしやすい」を実践してみることにした。結果は……少し右に傾いていたので修正。ちなみに直した後にもう一枚撮って水平出てるのを確認した。

 制作期間は約1週間。先週の土日は鉄道模型の工作も並行して行っていたので丸1週間ではないが、それでも想定より時間がかかった。カルチェラタン(何日かけたか忘れたが、おそらく3日ほどで完成したはず)ぐらいだと思っていたのだが……。
 難易度的にはやや経験者向きに感じる。目立って難しい部分や合いの悪いパーツなどは見受けられないのだが、「制作目安10時間の『サツキとメイの家』を6時間半で組み立てた人間が1週間かかけて作った」と言えばそれなりに手間のかかるものだと分かってもらえるだろう。パーツをしっかり接着するための圧着方法などもそうだが、ある程度ミニチュアの類を作ったことがないと手こずる部分は散見される。模型をいろいろと作ってきた経験が生きてるな、と感じながらの作業もあった。手に馴染んだピンセットはもちろん、定規やカッターナイフ、ニッパーなどの工具を持っているかどうかも効いてくる。それでもまあ、根気よく1つずつ作っていけば熟練の技とかいったものは必要ない。細かい作業を苦にせず、そしてこの雰囲気が好きな人なら初心者でも決して難しい物でもないだろう。
 私は終始楽しんで工作できたので、早速第二弾、第三弾も検討している。と言ってももちろん、明日からは鉄道模型制作を再開する予定だ(正確には明日は作業部屋の整理が待っている)。一応“これ”と模型制作を並行して進める試案はあるのだが、来月は後輩が遊びに来る予定だから散らかった部屋の片付けもしなくてはならない。並行プランを試す余裕はないので、第二弾は早くても再来月以降にお預けだ。

(2024.03.30)
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