ボツ的な
フィルム写真を掘り起こす その14
宍道湖の夜

 今回はちょっと趣向を変え、フィルム写真をデジタル化したものの“イマイチ”だったものを2点。
 去年お見せした霧の宍道湖の前夜に撮影したもの。OM-4Tiの機能である……えーっと、名前は忘れたが、露光中も測光を続け、一定の明るさになるとシャッター幕を閉じる機能を使って撮影したもの。OM-4Tiの機能と書いたが、選択式ではなくOM-4Tiの絞り優先モードの仕様と言った方が正確かもしれない。
 これが“ボツ”な理由は、写真そのものではなくデジタル化時の不手際にある。旧「18%グレー」時代はフィルムスキャナーを使って写真をパソコンに取り込んでいたが、現在はフィルムを直接デジタルカメラで撮影している。その際にフィルムを複製するためのケンコー製の専用レンズを使っているのだが、フィルム面へのピント合わせはマニュアル。画面拡大を使ってきっちり合わせたつもりなのだが……この通り暗い写真なのできっちり合わせられなかったらしく、パソコン画面でチェックすると全体的にボヤけている。そのまま面倒くさくなってボツ扱いになった、というわけである。

余談

 デジタル化に際しても“露出ブラケット”は行っており、適正と思しき設定からプラスマイナス1/2段、合計3枚撮影している。RAWで保存して後で調整……するよりも、JPEGオンリーで3枚撮影した方がデーター量が少なく済むし楽なので。他の写真だとポジで露出ブラケットしたみたいに明るさが違うだけなのだが、この写真は中央付近の街灯の明かりの広がり具合が露出によって大きく印象を変える。周囲の暗い部分は完全に黒くつぶれ、露出を変えても写りに差がないのに対して、明かりの広がっている箇所は露出に応じた明るさに変化するからだろう。

こちらも松江で撮った写真

 こちらも同じ松江で撮った写真。場所は……よく覚えていないのだが、今は閉館した「ルイス・C・ティファニー美術館」の庭園? 水面に映った空の様子を撮影したいわゆる鏡面写真だ。画面左上に映っている物体は朽ちた小舟で、被写体が池であることを密かに物語っているのだが……ギリギリの露出なので実のところ撮影者にしか分からない。フィルムを現像してみて「うーん、イマイチだったか」とまさしくボツカット扱いだったのだが、後になって「これはこれで」と“昇格”し、A3ノビにプリントアウトして傑作集の仲間入りしている。余談だがカメラ屋でプリントを受け取るときの確認時、店員さんに上下逆さに渡された……うんまあ、ぱっと見そうなるよね。
 撮影者にしか理解できないこの写真、撮影者曰くそれなりの大きさにプリントすれば見れる作品なのだが、このサイトで掲載するサイズに縮小すると「良さが全く伝わらない」ということでまたしてもボツフォルダーに放り込まれることになったのである。

(2024.03.14)
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