D810のピント甘い問題
テスト写真はいずれも概ねこんなカット

 最近D810を使っていて、AF-S NIKKOR 24-120mm f/4G ED VR のピント精度が甘いな、と感じることが多くなった。そこでちょっとテストしてみることにした。テストに使った被写体は……まあいろいろ撮ったのだが、今日お見せするのは「ねんどろいど 招きミク」でテストしたもの。いずれも目にAFポイントを重ねてある(瞳AFではない……そもそもねんどろいどの目を瞳と検知してくれるかどうかは分からないいやむしろ検知してくれないような気がする)。
 以下の写真はいずれも等倍切り出ししたもので、絞り開放と2段絞ったものを並べてある。なお、等倍切り出しでちょうど侃侃諤諤サイズの画像になってくれたのは偶然である。

左F4、右F8

 D810のAFポイントのうち、左の方を使って撮影したもの。左が開放F4で、右がF8だ。レンズは開放F値では解像度が甘くなりがちであるが、一眼レフのAFポイントがある範囲内でここまで緩くなられても困る。F8の方は絞ったお蔭で被写界深度内に入ってくれた、と考えるのが妥当だろう。

左F4、右F8

 次に中央のAFポイントで同じテストをしたのだが……驚愕の結果が出てきた。絞った方が甘くなってる! 絞り開放でも少しボケてるな、と感じるのに、絞って余計悪くなるってどういうこと!? フォーカスシフトってやつ? 何より左端よりも精度が高そうな中央でこれ、というのが信じられない。

85mmで撮影
AFポイントは左端で、絞りは左がF1.4で右がF2.8

 ピントが甘く感じるのはAF-S NIKKOR 24-120mm f/4G ED VR で、他のレンズは大丈夫……と信じたかったので、次にAF-S NIKKOR 85mm f/1.4G を持ち出してきた。リアル嫁を撮るために買ったレンズ故に“その後”出番が極端に減ったので、こういう機会にでも無理やり使いたい。
 やはり左側のAFポイントを使っての撮影。F2.8の方が圧倒的に解像しているのだが、左は開放だから緩いのかピントが甘いのかは今一つ判断の付かないところ。

AFポイント中央、絞りは左がF1.4で右がF2.8

 AF-S NIKKOR 24-120mm f/4G ED VR ではトラウマ物のひどい結果が出た中央のAFポイント。こちらは順当にF2.8の方がしっかり写っている。F1.4は相変わらず、解放だから緩いのかAFに問題あるのかは分からない……ので、実は5枚撮った中から一番ピントが合っているものを使っている。そう、5枚撮ったらピントにばらつきがあったのだ。某カメラ雑誌のプロカメラマンの本音トークに「一眼レフでF1.4のレンズを使うとピントが合わない」とあったが……。
 これ、撮影順に載せているのだが、この頃ようやく気付いたのが「開放と絞ったので比べるんじゃなくて、同じ条件で何枚も撮ってピントにばらつきがあるかチェックした方がいいんじゃないの?」ということ。そしてもう1点気付いたことがある。それを実行したのが最後の比較で、一番正鵠を射ている気がする。

同じF1.4同士、左は左端のAFポイント、右は該当部分を拡大の上MF

 最後に行ったのは、AFとMFの比較テストだ。もちろん光学ファインダーでMFしてもAF以上にピントが合わないので、ライブビューで拡大した上でピント合わせしてある。敢えてAFが苦手そうな左端のAFポイントで撮影したのが左、右がMFだ。F値は両者同じ解放の1.4。
 明らかにMFで合わせた方がピント精度が高く、左はピンボケと言われても仕方がない。とは言え、2つ上の写真の左と比べるといい勝負で、ややぼやっとしているのはレンズの(開放での)解像力の問題にも見える。それより気になることは今日の主眼、AF精度のばらつきだ。AF-S NIKKOR 24-120mm f/4G ED VR も不信感を抱くに十分なテスト結果だったが、AF-S NIKKOR 85mm f/1.4G とて手放しでは信用できそうにもない。

―――――
 一度点検に出そうとは思っていて、その結果次第ではあるのだが……思ったより早くミラーレスへ転換する日が来そうである。光学式ファインダーに拘ってなるべく長期間D810を使い続けたいと思っていたし、まだ元が取れたとは言いづらいのだが、ピント精度に不安を抱えたまま撮影するのでは本末転倒である。ミラーレスに替えたからと言ってピント精度が担保されるのか?と言われると――α7 IIIを使った感じでは期待していいと思う。 と書いていて気になったので、急遽テストを追加してみた。

AFポイントは、左が中央、右はLE-EA4の左端だ

 使ったレンズはミノルタの「AF 85mm F1.4 G」、今から20〜30年前に発売されたレンズだ。LA-EA4を介してα7 IIIに取り付け、中央、左端のAFポイントを選択して「招きミク」の右目に焦点を合わせて撮影、等倍で切り出したものだ。F1.4だが両方ばっちりで、今日の写真だけで比較すると新しくて値段の高いAF-S NIKKOR 85mm f/1.4G より優れたレンズに見える。あ、しまった、比較用にF2.8に絞ったやつも撮っとくべきだったか。

α99 IIでも同様にテスト

 何だかテンション上がってきたので、α99 IIでもテストしてみた。画像が暗いのは、モニターを信じて露出合わせた結果。いやー、LA-EA4のトランスルーセントミラーの減光を加味しても変だなあと思いつつダイヤル回したんだけど、納得の暗さになったわ。
 露出についてはともかく、AF精度に関してはほぼ問題なし。α7 IIIに比べるとやや甘めに見えるのは、画素数が多いが故に拡大率が上がっている分を加味して考えるべきだろう。やはりこちらも開放F1.4でニッコールをF2.8に絞ったものと互角ぐらいの切れ味を見せている。

 とまあ、普通に考えて断然新しいニッコールが旧ミノルタレンズに負けるわけがなく、全てはピント精度の問題なのかなあと。もちろん、どれだけレンズが良くともボディの問題でその性能が十全に生かせないとなると宝の持ち腐れ。D810に愛着はあるが、Zシステム導入へのカウントダウンを始めることにしよう。


※なお、本日の写真は全てISO感度400にて撮影しました。

(2023.10.27)
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