2023年7月前後に読んだ小説
今年に入って小説の感想は四半期ごとに載せようと思ったが、2回やって無理がありそうだったので今回から「適宜」に戻すことにした。6月終わり頃から8月頭にかけて読んだ4冊。
【一生働きたくない俺が、クラスメイトの大人気アイドルに懐かれたら 4
美少女アイドルたちとの同棲生活が始まるようです】
冒頭の内容を簡潔に書くと、「幼稚園の頃仲良かった女の子が実は大企業の令嬢で、主人公に政略結婚兼子どもの頃の約束を果たしにお見合いにやってくるが、主人公側にそんな気さらさらなくけんもほろろにお断り」。で、この後その天宮司柚香がそんなに簡単に諦めるわけがない、凛太郎と玲が一緒にいるところを見られるとまずいことになる可能性もある、対策立てなきゃ……って感じに話が進む。その関連で1冊使い切るのかと思ったら割とあっさり解決。天宮司柚香、意外にも聞き分けがいいというか理性的というか常識的だった。っていうか凛太郎の柚香評が名誉棄損レベルで酷かった(笑)
というわけで後半1/3ぐらいは5巻に向けての準備といった感じ。何か思ったより早く完結しそうな雰囲気も出てきたが、作者あとがき見ると普通にまだまだ続くのかも?
余談。表紙の玲が無茶苦茶に可愛い。みわべさくら画ライトノベル4作(買ってる作品)の表紙絵の最高値を軽く更新。それまでは『悪役令嬢』の2巻がベストだったが、やっぱり女の子は笑ってるほうがいいね! また後日、表紙絵シリーズでダブルスエードタペストリーとしてグッズ化されることに期待しておこう。にしてもコミカライズはどうしてあんな感じになってしまったんだ。『Infini-T Force』の漫画版とアニメ版のエミぐらい違いがあるぞ。それはさておき、前回の感想文の時に既に気付いていたのだが、「感想文」シリーズは「用誤集」にカテゴライズしてるんだけど、『才女のお世話』、『クラなつ』、『悪役令嬢』の3つに関しては「二次元の嫁」側なんだよな……ねんどろいどのときはきっちりしてたのに小説はどうして。ま、絵が「二次元の嫁」で小説本文が「用誤集」だからってことにしておこう。
【Re:ゼロから始める異世界生活 34】
宿敵が仲間になるというよくある“胸熱”展開と思わせておいて、やっぱりトッドとは相容れなかった。意外と前例は少ないかも? トッドの指摘も的を射ているのだが、だってしょーがないじゃんスバルは嫉妬の魔女に魅入られて使いようによっては世界最強の権能持ちなんだから。最後は死んだようにも見えるが……死んだと思う人は手ぇー挙げて!(しーん) 死体が確認できていない、は実は生きてましたのパターン。これは敵でも味方でも過去アホほど繰り返されてきた「歴史」であり「現実」なのである(論理の破綻した主張)。次にトッドといつどういう場面で再会するかは読んでからのお楽しみ。最終的に今度こそ仲間になるパターンがあるのか、もしくは最終的にスバルか誰かが今度こそ止めを刺しちゃうのかも読んでからのお楽しみ。
スバルと合流という帝国密入国の最大の目的を果たしたエミリア陣営。オットーを始めとして渦中の帝国からの脱出を譲らないのが多数派となるが、もちろんスバルにそんな気さらさらない。読者としてもオットーたちの気持ちというか主張は痛いほど分かるが、ここでハイさようならして王国に帰り「第八部完!」とかになったらブチ切れものである。脱出を妨げる障害が発生して、オットーも渋々「これでは仕方がないですね」となるのかと思ったら、オットーはスバルのよき理解者だった……何ていうか、駆け引きと言うか芝居をしていただけ? ともかく、エミリア陣営が(心理的に)分裂することなく帝国で戦うことが決定した。
スバルとアベル――ヴィンセントの殴り合い。なろう小説ではなかなか見られない、現実でも再現できそうな普通の喧嘩(笑) 但し、一方が皇帝というとんでもポジションな人であることには留意せねばならない。7月の漫画感想文で書いた話で、『バルツァー』ではバルツァーはアウグストを殴り返せなかったけど、本作主人公は無鉄砲なので。
【才女のお世話 6
高嶺の花だらけな名門校で、学院一のお嬢様(生活能力皆無)を陰ながらお世話することになりました】
「恐れ入ったか天王寺美麗、これが物理的な距離の強さだ」
と勝ち誇る雛子が面白可愛すぎる。やっぱり人生物理で殴るのが一番ですね(違)
授業に「マネジメント・ゲーム」というシミュレーションゲームみたいなのが組み込まれている貴皇学院。
何ていうか、先進的というか、実際にこんなの作ったら開発費が凄そうというか。ま、それはさておき。ここで新キャラ住之江千佳が登場する。第五のヒロインかと思ったら……『クラなつ』4巻で天宮司柚香に求められていたポジションを担当していた!(笑) いやぁ最近のラノベは意外性がありますなあ(むしろ最近じゃないラノベは知らないが)。ところで「天王寺」と来て「住之江」……作者関西出身か? 今ちょっと打ち込んで気付いたのだが、「坂石」は「堺市」と読みが同じだし。そして何より今頃気付いたが、「此花」も「都島」も大阪のちめーじゃねーか! クラスメイトの親がやってる「ジェーズ電機」は某唯一の関西資本の上〇電機が元だってのは分かっていたが……。ま、大阪府民じゃないからね私は。兵庫県民だから!(と言って逃げる) でもそう考えると、主人公の「友成伊月」は? 「ともなり」も「いつき」もそんな地名、ないよね?
さて、気になるポイント。今巻も存在感抜群の天王寺美麗。口絵カラーにもなっている。本作はヒロイン3人制を取っているのだが、その3人で比べると都島成香の存在感が圧倒的に薄い……気がするのは気のせいだろうか。一応今回も出番はあるが、ちょっとメインストリームに思えないというか……。次回7巻で表紙飾るぐらいの活躍があればいいのだが。ちなみにあとがきから推察するに、成香の実家の会社「シマックス」は「アシックス」がモデルか? アシックスを調べたら本社が神戸市らしく、関西の会社ということで「正解」だろう。ちなみにアシックスが関西本社とは知らなかった。ちなみに(くどい)私が持っているアシックス製品と言えば大谷翔平モデルのバット(2本)だ(言いたかっただけ)。ちなみに(3回目)大谷翔平は現在アシックスとの契約を終了している模様。
あ、あと、あとがきによると作者は理系らしい。本編読んでて理系ではなかなか書けない内容だと思っていたのだが、作者よく頑張った!
【陰陽師 水龍の巻】
後半でいきなり突然晴明博雅関係ない話出てきて驚いた。しかもオチがよく分からん。もしかしてちょっと新型コロナウィルス意識してたりする? 元になった話がエドガー・アラン・ポーらしいが……ポーはあんまり読んでないのが悔やまれる(じゃあ他に誰読んだんだと言われると、一応ホームズは全部読んで、クリスティも5冊かもう少しは読んだが……あんま内容覚えてないから関係ないか)。ともかく、『陰陽師』の中にあって異彩を放ちまくりの1話だった。
最後の話で博雅が暗殺されかかる。そういや博雅って芸術関係はピカ一だけど、刀抜いたらどうなんだろうか? 晴明よりは強そうだが、仮に平均以上であっても暗殺要員を複数仕向けられたらどうしようもないか。力でなく笛で撃退(?)するのが博雅らしい。その話で「蘇膜者」という曲?舞踊?が出てくるのだが、読み方が分からなかった(あとでようく見返すと、初めて名前が出たところにルビはあったが、たくさん羅列された中だったのでしっかりと読んでいなかった)。文字を目で追うだけにしていたのだが、気付くと途中で「ばかもの」って読んでた大馬鹿者がいました(爆)
少し戻って『読人しらず』。博雅にスイッチが入って鬼に熱弁するのがハイライト。歌は人生であり、人生に上手も下手もはない――と。まあこれ、上手の立場の博雅だから言えるのであって、やっぱり下手を自覚している人間としては自分が下手であることが気になるものだよ。下手でも開き直れる私みたいなのは特殊中の特殊、ごくごく少数派なのだよ……。
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今回は、というか今回も4冊中3冊がライトノベル。うち2冊が「みわべさくら」。しかし『クラなつ』は3巻から、『才女のお世話』もついにこの6巻はメロンブックス特典付きを買わなかった。元々タペストリーを手に入れるために買い始めたシリーズなのに一体どうしてこうなった。理由は3つある。特典タペストリーは折り畳んだ状態で送られてきて、折り目が気になる(*1)。次に特典タペストリーは単体グッズとして売られているものよりペラペラで安っぽい。値段的にも安いので仕方がないのだが(約半額相当)、グッズとして手に入れる以上相応のお金を支払って満足のいくクオリティのものが欲しい。最後に……絵そのものがね。『クラなつ』4巻は表紙絵の方が圧倒的に可愛いし、『才女のお世話』6巻も天王寺美麗が何の理由でバニースーツ着るんだ(住之江千佳はどうか知らん)。今後はケース・バイ・ケースになるだろうけど、特典には拘らないで行こうと思っている。そうなると紙書籍版を買う必要もなくなってくるのだが……そこは既にここまで紙版で揃えてるからこのまま紙版で揃えようかな。
*1 折り目を低温のアイロンで伸ばせないか実験しようと『才女のお世話』1巻は2冊買ったのに、まだ実行に移していない。
(2023.08.08)
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