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 ゆっくりと、眠りの海から浮上する。
 はっきりしない、夢を見たような気がする……幸せで、暖かな。
 それはここ数日ずっとそうで。
 身じろぎした拍子にその源の温もりに触れた。

 「ん…………ふぅ……」

 更に上へ。
 そう……あの約束通り、アタシが眠りに落ちるのはご主人様の腕の中、目覚めるのも、同じ場所。
 世界で一番好きな場所。
 そして、アタシは目を開く、喜びとともに。

 「……」

 目を開くと、すぅすぅという寝息を立ててまだ眠っているご主人様のあどけない寝顔。
 こんなにも幼けない寝顔をしているのに、あんなにも毎晩毎日アタシをよがり狂わせてくれるの。

 「ごしゅじん、さ・ま」

 呼びかけキスしてみる……けど、目を醒まさない。
 アタシが先に目が覚めるなんて珍しいわね。
 そして、擦り寄った太股に朝の生理現象が触れた時、アタシは一ついいことを思い付いていた。
 軽い毛布をくぐってご主人様の股間へ。
 中は、昨日の行為で生まれたアタシとご主人様のやらしい匂いでいっぱいで……それがますますアタシを興奮させる。
 その匂いの源を辿る……隙間から漏れる光に浮かぶ魁偉なもの。
 昨日はとりわけ激しく愛してくれた為か、ご主人様らしくも無く処置されていない……乾いた精液と愛液が貼りついてる。

 「綺麗に……して、差し上げます」

 誰に言うともなくそう呟いて、ぺろりとひと舐め。

 「ん……っ」

 ピクン、ってちいさく跳ねて、微かな喘ぎが聞こえる。
 カワイイ。
 ちゅ、ちゅってあちこちの跡に唇を当てては舌先で舐めとっていく。
 卑猥な味が口の中に広がる、けどアタシとご主人様のものだと思うと抵抗はない。

 「ん(ちゅ)んふぅ、んん(ちゅく)」

 そうして奉仕を続けるうちに、朝立ちだったペニスはすっかり臨戦態勢を整えて一回り大きくなった。
 新しく雫が零れる。

 「やん……もったいなぃ……」

 こぼれる雫を追いかけぺろぺろと舐めとる……と、それに応えてますます激しくご主人様の愛液が溢れる。

 「(これじゃ、追いつかないの……)あむ、ん」
 「ふ……うぅっ」

 先端の肉の実ごとその源を口で塞ぐ。
 そして、ちゅうちゅうと吸いたてながら舌先で鈴口をかき分け先走りを掬い取っては飲み込む。
 ふと。
 手を袋に向かわせたところでそこを綺麗にしてないのに気が付いた。 

 「(ちゅぽ)ここも、綺麗にしなくちゃ……」

 股間に鼻先を埋め、片方の球をかぽっと咥えてしゃぶる。
 皺の一つ一つまで丁寧に舌先で清める。

 「ぅあ……は、う?な、に……」

 こうするのもご主人様は好きで、先走りが更に溢れちゃう……だから、それを指先で塞ぐ――幹に手を絡ませながら。

 「っ!……あ?アスカ?」

 起きた……の?
 戸惑った声を愛しく思いながら、鼻筋を幹に摺り寄せて刺激しながらもう一方も綺麗にする。
 隙間から溢れそうになる雫を塞ぐ為、切れ目にキュッ、て指を食い込ませ、ちょっとだけ前後に震わせてみる。

 「うぅ……っ!は、それは……ぁっ!」

 ペニスがびくびく震えてる……アタシは、綺麗にし終えたからと改めて口に頬張る……零れるといけないから、塞いで擦ってあげてる指先ごと。
 そのまま、口の中で指先と一緒に舌を絡めて敏感な膨らみをたっぷり愛撫する。

 「っっ!……アスカ」

 毛布が跳ね除けられた。
 視線が合う……起き抜けに与えられた快感で、潤んだ瞳……表情もどこと無く霞んでる。

 「(ちゅぽ)……おはようございます、ご主人様……」

 唾液まみれの手でやわやわと幹と球を揉みほぐしながら、ことさら可愛らしく挨拶……あ、顔真っ赤になった。

 「あ、おは、よう……アスカ」

 返って来た言葉ににっこり笑いながら、もう一度深く頬張る。
 止めようとする気配があるのを、きつめに吸って同時に裏のくびれを舌先で舐めほぐして制止する。

 「くぅ……は、アスカ、なに、を……っ?!」

 アタシは答えず、ますます濃くなった味を口いっぱいに感じながら舌を絡ませ唇で扱いて更なる官能を引き出していく。
 ひときわ強く舌のざらつきで裏筋を擦りおろしたら、腰がぶるって震えて、ペニスがひときわ大きく膨らんだ――射精の前兆。

 「は、あ、アスカ……だめ……は、ああっ!もう、も……うぅっ!!」

 腰の奥に力を込めて射精を塞き止め、切羽詰まった切ない声でアタシを止めようとするご主人様、でも、アタシは舌をうねらせ続けてペニスのぴくぴくを増幅してあげる。
 いつもとは逆に、こうしてアタシがご主人様を喘がせよがらせている……それが、ゾクゾクする快感でアタシの頭の芯を痺れさせる。
 ひときわ強く吸い上げながらのどまで飲み込んだところで、とうとう我慢が決壊した。

 「は、ああっ!アスカ、あす、か……あああぁぁっっ!!」

 ドクンッ!

 喉の奥に叩き付けられる熱いほとばしりに満足感。
 スムーズにそれを飲み下しながら、舌先で脈打つ幹の膨らみをさすって更に射精を長引かせてあげる。

 ドクッ、ドクン!

 「うぁ……は、く、あく……ううぅ……っ!」

 耳の奥にご主人様の女の子みたいに高い喘ぎを注がれて、アタシ、うっとりとその満足感に浸り込む。
 飲み下すのを止めると、ある程度おさまったけど口腔に精液が溜め込まれる。

 「は……はぁっ……」

 喘ぎ一息つくご主人様。
 ふふ……もっと、してあげます。

 グ……チュ

 「?!ふぁ……ちょ、まっ……!」

 溜まった精液を絡めるようにして舌先を少しだけうな垂れたものに這わせる。
 唇の端から漏れてしまうその液体が、両手を濡らしてますます刺激しやすくしてくれるの。
 指先に、掌にそのぬるぬるを絡めてぬちゅぬちゅと扱き、もみしだく。

 「ま、待ってって……言って……っ!」

 イってすぐの敏感なものを精液を絡ませながらぬるぬると刺激されて、あえぎ混じりに制止しようとする。
 けど、止めてあげない……もっと、もっと感じて欲しいから。
 また固く反り返ったところで頬が包まれ持ち上げられた。
 逆らわずに顔を上げる……でも、精液は口にためたまま。
 アタシの顔に視線が注がれたところで、見せ付けるようにこくこくと喉を鳴らして飲み下していく。

 こく……ん

 最後の塊を飲み込むと、にっこり笑いかける。

 「おいしゅうございました、ご主人様」
 「……っ!」

 きつくきつく抱きしめられる。
 耳元、頬に何度もキスが降らされて、そのまま、まだ味が残っているはずの唇にキスされる。

 「ん……ん」

 クチュリちゅぷりと音を立てながら舌が絡み合い、うねる。
 奉仕がこういう形で応えられるのに、アタシは至福感を感じつつうっとりされるがままに舌をしゃぶられ、咬まれ、吸われ続けた。

 ちゅ……っ

 「は……ふ」

 互いに満足げなため息を混ぜ合わせながら至近距離で瞳を覗きこみあう。

 「アスカ……いきなりなんて、酷いじゃないか……」
 「いけませんでしたか……?」

 言葉ではそう言うけど、アタシはフェラチオで起こしてあげた事に満足してくれているのを知っている。
 だから、微笑んで尋ねる。

 「……ふ〜ん……そういう態度に出るんだ?」
 
 瞳の中にいたずらっぽい煌きが走る……どこか、酷薄な色を微かに滲ませて。

 「あ……ごしゅじん、様……」

 それがアタシの心に冷たく甘い慄きを走らせる。

 「お仕置き、しなくちゃね」

 クスクスと笑みを混ぜつつ宣言されてしまう。
 アタシは頭を垂れて従うだけ……どんなに酷い事をされても、受け入れなくちゃいけないの。
 この、お腹の奥が、オンナの器官が疼きだしたいやらしい躰で。

 「じゃあ、後ろで手を組んで」

 言われるままに腕をつかむ。

 「膝を開いて正座して……そう、そんな風に」

 じっと見詰める視線に耐えかね、少し前かがみにしてそこを隠す……陰毛が、こうやって命令されるだけで期待に綻びだし、涎を零し始めているはしたないお口をご主人様の視線から遮った。

 「じゃあ……」

 トン……トサッ……

 「あ……っ?」

 肩を突かれて仰向けにベッドに倒れ込んでしまう。
 踵がお尻を持ち上げ、今隠そうとしていた部分が完全にさらけ出されてしまった。

 「やぁ……こんな、はずか「動かないで」

 命令が下る。
 アタシ、そう言われると動けなくなる……隠すことなく、ご主人様の視線に陰唇の奥まで晒してしまうの。
 視線で犯されて……どんどん、熱くなる、感じちゃう。

 「それじゃ、さっきのお返し……僕がいいって言うまで、そのまま動いちゃ駄目だよ」

 そう言いながら顔を股間に近づけてくる。
 息がラヴィアを撫でて、アタシのそこは期待にきゅう、って身を縮める。

 「凄いよ……息だけで、こんなにとろとろになって……」

 そうやってアタシのいやらしい反応を口に出されて、ますます羞恥が高まる……高まって、もっといじめて欲しくなる。

 「あ、ごしゅじん、さま……は」

 チュルッ!

 呟きは、見られているだけですっかり剥き出しになってしまっているクリトリスを吸われて途切れた。
 そのまま、舌で剥き出しにするみたいに根元からほじり出され、転がされる。

 「あひ!や、いきなり、そんな……あはぁっ!!」

 仰け反り熱いよがり声が唇を割る。
 そんなアタシにおかまいなしに、ご主人様は更に愛撫を激しくした。
 きつく吸い上げられ、すっかり勃起してしまっているクリトリスを唇に捕らえたまま舌先でちろちろと何度もくすぐる。

 「はっ!あ、そんっ!は、あぁっ!やは……や、きつ!あひいぃっっ!!」

 両手でぱっくりとヴァギナを引きはだけ、剥き出しになった膣口周辺の粘膜を丹念なキスでついばみ、食み、そうかと思えば舌先で膣をこじ開ける。

 「あはぅっ!は、やぁ……そんなに、され、はっ!ああぁぁっ!!」

 二本の指に膣を犯され、膨れ上がったクリトリスを弄ばれながら、顔をうめるように密着したご主人様の舌と唇でもう一つの性器と化したアナルを丁寧に愛され、束ねられたその刺激に子宮を熔け堕ちさせて、触れる顔にとろとろと濃い愛液を吹き掛ける。

 「ひ、いぃ……いいのぉ……は、とけるぅ……あたま、くちゃくちゃに、なっちゃうよぉ……っ!!」

 そうやって弄ばれて高みに追い上げられて、でも命令通り手はほどかないの、足だって崩さないの。
 だってアタシはご主人様のモノだから。
 こうして従順に、されるがままにすべてを受け入れていると、ご主人様はご褒美をくれる。
 クリトリスの裏――Gスポットを捏ね上げ、指先でその膨らみきった珠をきつめに扱き、舌先でアナルを犯して吸い上げる。
 瞬間、弾けた。

「あああぁぁっ!は、イくっ!アタシぃっ!イっちゃいますっ!あああぁぁぁーーーっっ!!」

 ぷしゅっ

 突き上げてきたピンク色の熱い衝撃に、アタシの躰は絶頂の反応をあからさまにしながらがくがくと悦びに身悶えた。
 けど、吹いた潮を啜るようにしながらご主人様はアタシを責め嬲る手を緩めてくれない。
 イったまま、降ろしてもらえずに意識をオーガズムの濁流で揉まれ続ける、何度も、何度も。

「ひいぃっ!!やは、だめぇっ!また、またぁっ!あああーーっっ!!はっ、はっく……だめぇ、も、や、ああっ……は、ひいいぃぃぃーーーっっ!!」

 イき続け張り詰めて、尖りきった性感に容赦無く巧みな愛撫が、性戯が加えられる。
 絶え間無く零れる濃い愛液を啜られるたび、締め付けるラヴィアをくじられ広げられるたびに、クリトリスを弄ばれアナルとヴァギナの二つの正規の間の仕切りをこりこりと嬲られるたびに。
 アタシ、そのたびに獣みたいなよがり声を叫んでる。
 そうやって、何度も何度も昇り詰めさせられて。

 「もういいよ」

 そう言われて解放された頃には、アタシの躰は吹き出した汗でぬらぬらと光り、息も絶え絶えに荒れ狂ったオーガズムの嵐の余韻に喘いでいるばかりだった。

 「どうだった?」

 くすくすと笑いながらご主人様が顔を覗き込む……キスされた。
 調教され尽くしてしまったアタシは、息が苦しいのにその唇に、舌に応えてしまう。
 アタシの味がする。

 「んぷ……ふは(チャプ)んむ、かふぁ……は(ちゅ)」

 応えて……それを、嬉しいって、幸せだって感じてしまうの。
 アクメの余韻とそれが溶け合って、アタシの目から涙が零れる。
 キスは止まない、そのままで涙を指で優しく拭われる、それも、嬉しいの。

 「んは……はぁ、あ……(ちゅぷ)ひゅ、んん……」
 
 吸い付き離れて、舌先だけでじゃれあいながら欲情に熱くなった吐息を混ぜ合わせて吸い込んで、キス……ううん、唇と舌のセックスが済む頃には、あれだけイったのに、躰だってぐったりしているのにアタシはまた欲しくなってしまっていた。
 
 「……欲しいの?」
 「はい……アタシ、もう……」
 「やらしいね、アスカは」

 くすくすと笑いながらアタシをなじるの……優しい笑顔と柔らかい声で。
 恥ずかしい、恥ずかしいけど嬉しくて。

 「はい……アタシ、いやらしいんです……たくさん、イったのに……もう、欲しいんです……ご主人様の、お、おちんちんが……っ!」
 「体もまともに動かないのに?」

 その言葉に合わせて、コロン、って感じで横に転がされてうつぶせにされた。
 力無く足を広げてしまう――腕は組んだままだけど。

 「ほら……こんなにぐったりしちゃってるのに……」
 「あぁ……でも、でもぉ……」

 言う事を聞かない躰の中で、膣が、子宮が、そしてアナルがご主人様のもので貫かれる事を求めてる。
 イき続けた気怠い満足感と、裏腹なその欲望との矛盾が切なくてたまらない。

 「これが欲しいんだね?」

 ぐったりと伸びているアタシの眼前に突きつけられるペニス。
 先走りが零れ、脈打つ全体から熱が伝わってくるような気がする。
 それに当てられたのか、躰の奥の疼きが一段と酷くなった。

 「お仕置きの後は、これをどうにかしてもらうつもりだったんだけど……」
 「あ……ごめん、なさい……」

 力が入らない、そのくせいまだ張り詰めたままのアタシの性感。
 こんな状態で何かしたらアタシ死んじゃうかも……だから、自分から動くなんて出来ない。
 覗き込んだアタシの目に何かを見つけたのか、一つ頷くとご主人様はアタシの背中に手をついて宣告した。

 「じゃ、動かないでいいよ……そのまま、アスカの躰で鎮めさせてもらうから……ここでね」

 ヌル……

 「ひいぅっ!」

 うつぶせになっているお尻の谷間に滑り込むようにして、指がアタシのアナルを抉った。
 媚薬漬けにされてペニスを受け入れ精液を注がれて、何度もオーガズムを味わったそこは排泄器官からセックスの為の、快楽だけの為の淫らな性交器官になっている。
 今もこうして直腸を犯し踊りまわる指先を、もっとって言いたげに締め付け蠢いてる。
 アナルで感じる変態的な快感に脳を蕩かせながら、アタシは呟く。
 
 「はい……ごしゅじんさまの、好きなようにしてください……」

 うつぶせのまま、力無くお尻に手を当て自らひきはだける……これから、性欲処理の道具にされてしまうアナルを、咥え込んだ指先をひゅくひゅくと嬉しげに締め付けながら快感を貪っているいやらしい第二の性器をご主人様の視線に晒す。
 自分の手で卑猥な器官を視線に晒し、そんな風に思う事でますますアタシは昂ぶった。
 昂ぶって、このままセックスの頂点で壊されてしまいたいと訴えてしまいそう。
 アタシの言葉に、ご主人様は姿勢を変える――アタシの後ろから覆い被さるように、でもそうする間もアナルを弄ぶ指は抜かれないまま。
 挿入の期待と、身動きのたびに注がれ続ける快感が溶け合ってアタシをより昂ぶらせてくれる。

 ギシッ

 やがて、背中全体がご主人様の体温で包まれベッドが軋みをあげた。
 お尻の肉に熱いペニスの感触。

 「ねえ、自分で挿入てみてよ」

 耳元で囁かれた言葉が一瞬理解できず――直後、顔が沸騰した。

 「あ……それ、は……」
 「できるよね?」
 「……は……はい……っ……」

 恥ずかしさで震える手を裏返し、ご主人様のペニスを探る。

 「このままじゃ判らないね……手伝ってあげる」

 カチッ

 スイッチが入れられ、壁がその光景を映し出した。

 「……ぁ……っ!!」

 いやらしい。
 構えられたご主人様の腰をたどたどしく愛撫するみたいにアタシの手が這い回り、目的のペニスを見つけ出す。
 いとおしそうに指を絡ませ、もう一方の手でお尻の谷間を開いて汗とそれ以外の粘液で濡れ光るやらしいアナルを剥き出しにする。
 アタシの意志を離れたみたいに、アタシの手がアタシの躰を、アナルを性欲処理の道具に貶めていく……それで、興奮しちゃうの。
 だって、ご主人様だけのものにされていくって事だから。

 「はん……っ!は、ああ……あっ、あっ、、あああぁぁぁ……っっ!!」

 そうやって画面に視線を釘付けにしながら、アナルを犯していく圧倒的な熱と質量に引きつった悲鳴を上げる。
 そんなアタシをご主人様は背中から抱きすくめ、顎を包み、頬を優しく撫でてくれる……だから、アタシはいくらでもいやらしい事が出来るの。
 手を外し、根元まで飲み込んだペニスをキュッ、て力を入れて締め付け、中の粘膜を絡み付かせる。

 「ごしゅ、じんさまぁ……アタシの、アナル、いいですか……っ?」
 「うん……締め付けて、絡み付いて……すごく、いいよ……っ!」

 アタシの耳に、興奮に霞むご主人様の答えが囁きかけられる。

 「うれ……しぃ……い……」

 ろれつの回らないアタシ。
 そのまま、抽送が開始された。

 ズルゥッ

 腸の粘膜を雁で削られ弾かれながら引き抜かれる。

 「はひぃ……ぃんっ!!」

 生まれた快感の電流に意識を鞭打たれるアタシの目には、腸液に濡れてアナルに咥えられているご主人様のペニスが見える。
 意識と無意識が一緒になってアナルの入り口を押し広げようとするペニスの雁首をひくひくと食い絞める。

 ズッ……ズプッ、ズ……ヌ……ッ

 「あ……あく、は、ぁ……いっ、ぱいぃ……ひろがっちゃうのぉ……っ!!」

 ゆっくり突き入れられて。
 引き抜かれたものを求めて細くなっていたところをゆっくり押し広げられる。
 その感覚の一つ一つがはっきり伝えられて、アタシ、立ち止まる事も許されないままに絶頂への坂道を背中を押されるみたいにゆっくりと追い立てられていく。

 「ああっ、は……いいっ、いいのぉっ!はっ、は……あひんっ!ひ……くぅっ!!」

 繰り返し、貫かれ、引き抜かれ、快楽に震える粘膜を擦り捏ね回されて。
 アタシはだらしないよがり声を上げ続け、動かない腰を卑猥にくねらせてアナルセックスの快感を貪る。
 いつしか、アタシの視界は絶頂の前触れの白いちらつきに満たされ始めていた。
 素早く跳ね上げられるのではなく、こうしてゆっくりオーガズムに追い立てられていく感覚が、アタシを更に狂わせる。
 イきそう……そう感じた時、動きが止まった。

 「?は、こんな……っ」

 ご主人様はイってない、アタシだってそう。
 そう訴えようとしたところで、ぐいって抱え上げられた。

 「ふぁ?!は、なにぃ……っ?」

 ズンッ!!

「あはあぁっっ?!ひゃ、あ!は、ああああぁぁぁぁーーーっっ!!」

 乗せ上げられ落とされて、深くまで貫かれて。
 子宮に衝撃が突き抜けた瞬間、アタシは遥かな高みに跳ね上げられていた。

 「は……あ、あっ!……は……はっ、はっ……うぅ……っ!」

 ご主人様の腰に跨り、オルガスムスの揺り返しにびくびくと痙攣し続ける。
 やっと痙攣が治まって一息つこうと、躰から緊張を抜いた瞬間、

 ズプッ!

「ふあぅっ?!や、ああぁぁーーっっ!」

 腰をつかまれ揺さぶられ、快感の渦の中に引き戻された。

 「や、だめぇっ!いま、いましたらっ!アタシ、しんじゃうぅっ!ひぃぃっ!」
 「だめだよ」

 ベッドのスプリングを利してアタシを下から突き上げながら、ご主人様が言う。

 「ぼくはまだおわってないんだから……ぼくが、イくまで、アスカのアナルを、すきにさせてもらうよ」

 ご主人様の声も興奮でかすれていたけど、アタシはそれを認識できない。

 ずぶ、じゅっ、ぐちゅっ!

 滴る腸液が溢れる愛液と混じり、ご主人様とアタシの肌の間でねばりついたいやらしい水音を立ててるから。
 緩まない律動に跳ね上げられて、アタシ、もう声も出せないままにご主人様のされるがままにオーガズムに曝され続けてる。

「っっ!!――っ、んっ!っ!は、っく……――ぁぁっっ!!」

 でも、いいの、アタシはごしゅじんさまのものだから。
 せいよくしょりの、せいえきをうけとめるためのどうぐだから。
 頭に浮かぶ被虐的な思考が、アタシの意識を途切れさせることなく快感の全てを認識させて。
 アタシは反射的に手の下のうねる筋肉に爪を立ててしまった。

 「うぁっ?!は、くぅっ……ううぅぅっっ!!」

 ドクンッ!!

 内臓に吹き掛けられる熱い奔流、ご主人様の精液。

「くはっ!!は、ああああぁぁぁーーーっっ!!」

 受け止めて、最後の絶頂に押し流された。
 何回も腸から内臓へと吹き掛けられる熱いほとばしりをどこか遠くで感じながら、アタシの意識はふっつりと途切れた。



 「――アスカ、アスカ、起きてよ」

 みみもとでささやくやさしいこえ。
 アタシ……もう、あさ?なんでかってにはいって……

 ふ、と、意識が目覚める。
 アナルを貫いたままの固いペニスで。

 「ふぁ?は……ごしゅじん、さま?」
 「目が醒めたね……そんなに、良かったんだ?」

 その一言でセックスの為のおもちゃのようにいいようにされた記憶がよみがえる。
 その、快感が。

 「はい……その、すごく……」

 恥ずかしくて嬉しくて、アタシは身を離そうとして……今の体勢に気づいた。
 30度ほどに起き上がったご主人様に背を預け、座椅子にもたれるようにご主人様の胸に体を預けてる。
 お尻の穴を脈打つもので貫いて快楽に縛り付けるような、いやらしい特別製の座椅子だけど。

 「ほら、じっとして……せっかくいい眺めなんだから」

 ?
 疑問に思って見回せば、正面に見える光景に凍り付く羽目になった。

 「ぁ……あっ……こん、な……っ!」

 画面に映っているアタシは、だらしなく寝そべってる。
 ご主人様にすべてを預けて、両足を投げ出して。
 絶頂に尖った乳首も、ピンク色に染まり汗にまみれて淫らさを振りまく肌も、ぱっくりと開いて物欲しげにひくつきながら白濁した濃い愛液を零しているヴァギナも、そしていまだにご主人様の太いペニスを咥え込んだまま広がっているアナルも、総てを隠すことなく晒してる。
 そのくせ、それを見る目は潤んでる……いやらしい期待と、恥じらいの産む興奮で蒼い瞳を淫らに霞ませてる。
 物欲しげにピンク色の舌が這い出てくると、半開きの唇を舐め回した。

 「ぁ……は、なんて、いやらしぃ……」
 「そうだね……アスカは、こんな風な自分を見て悦んでいるものね」

 否定しようも無い事実、だけど認めたくない……だから無言で目をつむって嫌々をする。
 そんなアタシをご主人様が抱き締める。
 左腕であばらを、右手は腕ごと抱え込むように肩を、そして、肩に顎を乗せるようにして囁いた。

 「そんなアスカも、好きだよ……大好きだよ」

 動きが止まる……調教され続けの今までの時間で、一度も口にされなかったその言葉が。
 動きが止まって、嬉しさが津波みたいに押し寄せて。
 アタシはぽろぽろ涙を零しながら、静かにすすり泣いていた。

 チュ、チュッ……

 その涙を、唇と右手とでそっと優しく拭われて。
 アタシは心に誓っていた――この人を愛し続けようと、一生アタシの総てを捧げようって。
 いつしか涙が止まって、でも頬に触れる手の温もりを失いたくなくて、アタシは手を添えてそっと頬を寄せている。
 背中に感じる鼓動と、アナルで脈打つ熱がシンクロしている。
 やがて、ご主人様の左手が乳房を掌に収めると、揉みしだき乳首を捻った。

 「はぁん……あ、ご主人、さま……」
 「もういいね?さ、続きだよ」
 「……はい♪」

 甘えた声を上げるアタシにそう言う。
 アタシはそれに嬉しげに答えた……それで、たちまちのうちに官能の期待が下腹の奥で渦を巻いた。

 「じゃあ、このまま自分でして……オナニーで、イくまでね」

 恥ずかしくて嬉しくて。
 だから、アタシは小さくこくんって肯くと、期待に震える性器へと指先を伸ばした。
 すっかり濡れて疼いて愛撫に飢えているから、焦らし高める必要も無いの……だから、まずはこの腫れ上がってすっかり顔を覗かせてしまっているいやらしいクリトリスに……

 「はあっ!ん、ふぅ……っ!んっ、ンンッ!くふうぅぅっっ!!」

 指の腹で転がす、摘まんで締め上げる、捻じるようにしながら繰り返し扱く、そのたび毎に脊髄を駆け昇って脳の底で弾けるピンク色の電流が生まれる。
 繰り返すたびに太くなるそれは、アタシの全身にセックスを求める反応を起こさせる。
 やらしいフェロモンを漂わせる汗が吹き出し、肌がかぁっ、と熱くなる。
 さっき以上にとろとろと零れだした愛液を溯るように二本の指を揃えて挿入。

 「ふぅんっ!は、やぁ……いつもより、いっぱい、かんじるよぉ……っ!ん、ふぅんんっ!」
 「……いつも、こんな風にオナニーするんだ?アスカは」

 びくっ

 一瞬動きを止めてしまう……けど

 「その……いつもは、もう少し前置きを……」
 「知りたいな、アスカのオナニーの仕方」

 言わんとする事はすぐ理解できた、だから……アタシ、体が疼いて仕方なかったけど、いつも通りに自分を焦らしながらの自慰行為を実演する。

 「まず、胸を、弄るんです」

 言いながら愛液でどろどろの指を乳首へ。

 「ふぅん……いきなり乳首からするんだね」
 「はい……それで、んっ!」

 ぬるぬるの指が尖りきった乳首を摘まむとジンジンとした痺れが胸を溶かしていく。
 ずっと、キモチイイ。
 そのまま指の間を滑らせるように膨らみを手に収めると、いっしょくたに揉み解し、捏ね回す。

 「はふぅ、んっ!こ、こうやって、いっぱい、揉んで、あそこがじゅんってなるまで、いじるんです……っ!」
 「そんな愛液まみれの手で?」
 「や、やぁん……っ!いつもは、こんなじゃ……んっ!」

 唇を奪われて黙らされる。
 舌を絡めながら、立ち上るいやらしい匂いに気づく……塗り付けられた、セックスを欲しがっての濃い愛液から立ち上る、卑猥な発情の匂い。
 その匂いに追い立てられるようにアタシの手の動きは卑猥さを増して、愛液で滑る事で生まれる快感が頭の芯をピンク色に霞ませる。

 「ふぅ……それで、つぎは?」
 「はぁ……濡れても、すぐにはしないの……じらすみたいに、お腹をなぞりながら……」

 くすぐるみたいに手を滑らせる……でも、ぬめる掌はそれだけで肌がぴくつくくらいの快感を生む。
 酷くなった疼きを意識し、それを逸らそうとお腹に力を入れる……と、アナルを犯しているペニスに存在を主張されて、ますます疼きが昂ぶった。

 「なぞって、たどりついても……まだ焦らして、いじわるしてふとももをなで、て……っ!」
 「やっぱり焦らされるのが好きなんだ」

 そう、そうだけど……今は、こんなにも狂おしいほどに疼いている躰をこんな風に焦らすなんて……。
 太股を撫で回す手から感じるのは、いつもよりずっと強い快感……でも、足りるはずはない、ますます疼く、渇くの。

 「それで、いっぱい焦らして我慢してからあそこを弄るんだね」
 「はい……そ、んんっ!!」

 またキスされる……今度は、舌で唇を犯されて慄く舌を奪われてしゃぶられる。
 ゾクゾクした快感の中で、腕をトントンって催促するみたいにつつかれた。
 ああ……アタシ、これからオナニーでイくところを見られるんだ。
 アナルをペニスに貫かれて、舌も唇も胸も全部ご主人様のものにされて、一つだけ残ってるアタシのものも自分で犯すんだ……。

 じゅ……ぷ……っ

 アタシ、倒錯した感情にうつけた笑みを浮かべて指を挿しいれた、ことさらゆっくりと。

 ゾクゾクゾクッ

 這い登る圧倒的な前兆。
 追い立てられるままに、アタシは挿しいれた二つの指を捻じりあわせてひねった。

「んふうぅっっ!ふんっ、んぅぅっ!んんんんーーーーっっ!!」

 いつもご主人様のものにしているみたいに、昇り詰めたヴァギナが犯して快感を与えてくれたものを締め付けた。
 がくがくと痙攣する躰をギュッ、と力強く抱きしめてくれるご主人様の身体。
 それがあるから、アタシは安心して自慰とは信じられないくらいのアクメに身を委ねた。

 「(くちゅ)はぁ、ふ……すご、いぃ……」
 「(クス)いつもこんなに激しくイっちゃうんだ?」
 「やん……いつもは、もっと、おとなしいです……こんな、すごく感じたりしません……」
 
 恥ずかしげに抗議するアタシに頬擦りすると、ご主人様はアタシの腰を持ち上げた。

 ズル……ッ

 抜けかかるところまで持ち上げられて、アタシが何か言う間もなくまた降ろされた。

 「はぅぅ……っ!ん、はぁっ……あ、ごしゅじん、さ、まっ?!」
 「じゃあ、今度は一緒にイこう、アスカ」

 ピストンを開始しながらそう言う。

 「あぁ……は、はい……うれしい、です……ぅっ!」

 ベッドで弾むご主人様の突き上げにあわせて、アタシも腰をくねらせ振ってアナルセックスの快感を貪る。

 ズプッ、ジュプッ!

 ぬめりにまみれた肉が絡み打ち付けられる音とともに、さっきアタシの中に注がれたご主人様の精液が攪拌される。
 そうやって内部からも愛撫と陵辱が加えられて、ご主人様の腕の中でオナニーして昇り詰めた性感がたちまちのうちに切羽詰まった。

 「やはぁっ!は、アタシ、あたしぃっ!ああっ!ごめん、なさいっ!アタシ、もう、もうっ!!」

 ぐっ

 ペニスの根元まで入ったところで抱き止められる。
 オーガズムの目の前で引き止められてむずがるアタシにご主人様が命令する。

 「じゃあ、前から指で僕のを刺激して……それなら、僕もすぐイけるだろうから」

 言われるままに指を挿しいれ、膣内(なか)をまさぐる。

 「はふぅ……んっ!」

 快感でぼやけた頭に、これではご主人様のペニスに加えて自分の指でも性感を責める事になるのではないかという考えが浮かんだ。
 浮かんで……その期待に背筋が慄いた。

 「あは……これ、ですね……ごしゅじんさまの、おちんちん……」

 ラヴィアの向うで腸を犯している固くておっきな物を指先に感じる。
 指の股でそれを挟むように擦る、と、仕切りがこりこりとくじられて甘く熱い快感の塊が突き上げてきた。

 「はうぅっ……んっ!は、ねぇ……ごしゅじん、さまぁ……わかりますか?アタシの、ゆび……」
 「うん……わかる、よ……その調子で、ね……」

 ご主人様も感じてる。
 そのかすれで興奮を感じ取って嬉しさが湧いたところで、ご主人様がまた動き出した。

 ジュ……ズプッ!

 「ひうぅっ!!は、ああ、いいっ!いいよぉっ!!」

 ペニスがピストンするたびに、それを追いかけ擦り寄る指先の間でこりこりとしきりがいじめられる。
 今まで感じた事の無い凄い快感。
 それがたちまちアタシの我慢の堤防を乗り越える。

 ズプンッ!

 ひときわ強く突かれて

「うああぁぁっっ!あ、あたっ、しぃっ!も、いくっ!いっちゃうぅぅっっ!ああああぁぁぁぁーーーっっ!!」

 アタシ、あっというまにオーガズムに昇り詰めてしまった。
 でも、ご主人様は動きを止めない。

 「く……しまるっ!……う、すごいよ……あすかぁ……っ!」

 追いかけるみたいにセックスの頂点に向かってるから。
 アタシ、もっと早く、もっと高いところへイかせてあげる為にイきっぱなしの身体でたくさん奉仕するの。
 アナルを締めて腰を振って、ご主人様のペニスをいっぱいしごいてあげる。

 「は、くぅ……しぼ、られ……ううっ!」
 「あはぁ……いっぱい、かたいのぉ……っ!あつ、くてぇ……すごいの……っ!!」

 爛れた声で余計に感じるようになった素敵で卑猥な快感を訴え続ける。
 そうしながら溢れた愛液でぐちゃぐちゃの袋を掌に収めて、振り続ける腰の動きに合わせてぬめりを絡ませながら揉みほぐす。

 「うぁ……っ、そ、んなとこま……くうぅっ!」
 「はんっ!は……あ、かんじてる……また、すごくおっきくなったぁ……」 

 女の子みたいに可愛らしい喘ぎを耳元に吐き掛けられ、アタシのする事で感じてるのを伝えてくれるみたいにペニスがびくって膨れた。
 それがアタシを娼婦的な悦びに浸らせてくれる。
 だからアタシは、締め付けられるヴァギナの中、指でもっともっと強くペニスを刺激して、それにあわせて薄いしきりを快感で蕩けさせてしまう。

 「っ!!は、アスカ……あす、か……くうぅぅっっ!」
「ひっ、くううぅぅっ!あ、あたしぃっ!ごしゅ、じんさまぁっ!あたしっ、いいっ?は、ああ、いいのぉっ!また、またぁぁっっ!!」

 絶頂に仰け反った拍子に前の光景が目に入った。
 そこにいるのはひとりのオンナ、いやらしい、淫乱女。

 男の腰に跨って、あろう事かアナルでその太いものを咥え込んで、これ以上無いくらいだらしない卑猥な顔で何度もオルガを貪ってる。
 その上、それだけじゃ足りないといいたげに自分の指でやらしいピンク色の粘膜を晒しているヴァギナを犯している。
 クリトリスを摘まんで、それで生まれた快感で腰を捩じらせて咥え込んだペニスで腸の粘膜を捏ねられて、涎を零して喉を仰け反らせ。
 連続している絶頂でがくがくと全身を痙攣させているくせに、ご主人様と繋がってるアタシの方をちらちらといやらしい流し目で見てる。
 そうやってますます発情して、白く濁った愛液を泡立てるみたいに突き入れたラヴィアをひねってる……アナルを犯すペニスに、仕切りを弾けさせてもっと快感を得ようとしてるの。
 
 それが、アタシなの。

「くは、ひぃんんっっ!あ、あた、ひぃっ!!あく、は、も、もう、こわれっ!!あああっ、なくなっちゃ、ひいいいぃぃぃーーーっっ!!」
 「う、あ、アスカ、あすかっ……あああぁぁぁーーっっ!!」

 ドクンッ!!

「っっ!!は、はく……――っっ!はっ、ひ、ぁ……っ!!―――っっ!!」

 熱い精液で腸の粘膜を熔かされ灼かれて、アタシは声も出せないままオーガズムの高みで悶え狂った。
 同時にヴァギナを犯す手に熱い飛沫が掛かる。
 うっすらと目を開ければ、アナルに深々とペニスを受け入れ、熱いザーメンを注がれ、あそこからびゅるびゅると潮を吹いてるアタシの姿が映し出されてる。
 ……なんて、いやらしいんだろう……アタシの身じろぎにあわせてご主人様がペニスを抜いた。

 ジュ……ポ

 抱き上げられて抜け落ちると同時に、イきっぱなしでだらしなく緩んだアタシのアナルから大量に注がれた精液が零れていく。
 ご主人様の少しうな垂れたものにかかるいやらしい粘液、その光景も映し出される。
 でも……。

 「あふ、は……ごしゅじん、さまぁ……」

 甘えた声で何かをねだるみたいに呼んでみる。
 アタシ、自分でも何を望んでいるのかよく分からない。
 と、ぺちゃぺちゃと舐めあうみたいにキスされた。
 イきすぎて力が抜けて閉じられなくなってる唇の周りに、唾液を塗りつけあうみたいに舌同士でペッティングして、ご主人様が脇に抱き寄せるみたいにしてアタシを向き直らせる。

 「あ……?」
 「アスカ」

 射精の直後で熱っぽく潤んだ瞳で見つめられ、まっすぐにお願いをぶつけられる。

 「前でも一緒にイきたいんだ……だから、口でもう一度出来るようにしてくれないかな」

 その言葉で、アタシは自分が何を欲しがっているのかに気づいた。
 ご主人様の精液を、アタシの子宮に欲しいんだ。
 動物的な本能が、愛しい人の熱い精液でオンナの器官を満たされる事を望んでいるの。
 それに気づいたアタシは左足を開いてもらい、乞われるままにそこに跨るみたいにしてご主人様の股間に顔を埋めた。

 「は……凄い……やらしいにおいでぇ……いっぱい……」

 辺り一帯をべとべとに汚しているのは、精液と愛液、腸液のカクテルされた卑猥な粘液。
 鼻の奥から脳を犯されるみたいなその匂いにうっとりしながら、アタシは鎌首をもたげかかっているペニスをぱくりと唇に咥え込んだ。

 「んふぅ……ん♪」

 奥まで呑み込んでから、塗り付けられてるぬるぬるを舐め取り飲み込む。
 唇と舌とでもにゅもにゅとおし揉むと、ぴく、ぴくって感じでだんだん血がペニスに集まってくるのが分かる。
 アタシのする事でこうしてご主人様が快感を感じて、またアタシにセックスしてくれる、それが嬉しい。

 「ふ……っ、そ、その、調子で……っ!」

 ふと、今の自分がどんな風にみえるのかに興味を持った。
 喘ぎを漏らすご主人様は、アタシの行為に魅入られたみたいに視線を固定しているから。
 ちら、と左に視線を向ける……カメラの向うの画面に、アタシの口唇奉仕の様子が映し出されてる。
 霞んだ瞳でうっとりと浸り込みながら、ご主人様のペニスの味と熱さを味わっている。

 「んも……(くちゅ)ん、んく(ちゅる、クチャ)……んふぅ……(ぷちゅ)」

 リップの必要も無い艶やかなピンク色の唇が、いやらしい粘液と唾液とでてらてらと濡れ光りながら魁偉なものを嬉しげに呑み込み、蠢いている。
 そのカメラに、後で見られるのを承知の上でわざといやらしい行為をして見せる。

 「んぷ……んも(ぢゅ)ん、ふんぅ……んっ♪」

 顔を傾けて、半ばまで勃起したものを舌で押し付けるようにして頬の粘膜に押し当て、敏感な鈴口をぬるぬると擦りたてる。
 頬が内側から卑猥な形に盛り上がり、アタシが男の、ご主人様のペニスを口にしている事をあからさまにしている。

 「はぷ……ふ(ちゅく)ん(ちゅ)んむ、んぅ……」

 いったん抜き出すと、両手で幹を包み込み、そこだけ出ている頭の部分を唇だけで刺激してあげる。
 そっと、初々しい唇だけのキスをセックスの為の器官に捧げ、そのまま唇を輪にして絡み付かせるように肉の実を咥え、指に当ると戻して唇を離した。
 そうやって何度も何度も先端だけで、いやらしくジンジンと痺れてる自分の唇を犯してもらうの。

 「んぐ……んく、んぅ……」 

 手をほどいて喉に届くほど深くまで呑み込んだ。
 口腔を埋めている熱い塊に舌を添えてゆるゆると刺激しながら、鼻先がお腹の肌に着くような根元まで――全部勃起しきっていないから出来る行為。
 官能でくぐもる鼻息をせわしなく漏らしながら、だんだん大きくなって呼吸を圧迫し始めるものに愛しさを塗り込めていく。
 もう……すこし?

 「ん……はぁ……っ」

 9割りがた回復したものを抜き出し、舌先でちろちろとくすぐる。
 自然に幹に絡め袋を押し頂く両手の動きが、画面の中では男のペニスに快感を与え奉仕する事に慣れ切った、淫蕩な娼婦の動きとして映し出される。
 でもそうしてご主人様に快感を与えて上げられるのが嬉しくて、アタシは上目遣いに精いっぱい淫らな目線を投げかける。

 「あすか……っ」

 興奮に霞むように、感極まったように黒い瞳が潤む。
 呼応してペニスはすっかり硬度を取り戻し、アタシの掌と唇に熱い脈動を伝えてきている。

 「いい、ですか?ご主人様……」
 「うん……ありがとう、アスカ」

 その言葉にあわせて髪をそっと撫でられ、柔らかく梳かれる。
 うれしい。
 顔を上げると、ころん、って横に転がされて仰向けにされた。

 「ごしゅじん、さま?」

 にこやかな笑顔を浮かべ、アタシに覆い被さるようにキスする。
 どれが一番なんて決められないけど、でも、アタシこうして向かい合ってセックスするの、大好き。
 ご主人様の温もりと身体に包まれ押しつぶされて、同時にアタシの躰で身体全部を受け止め包み込んであげて、想いを交わし合う事が出来るようにまっすぐ見詰めあえるもの。
 背中に甘えるように手を回して唇を擦りあわせ、舌で抱きしめあう。

 「ふぅ……んく、ん(ちゅ)む……ん?ぅんっ♪」

 キスしたままで腰がずらされる。
 それにあわせてアタシも腰を少し引いて……期待にぞくぞくと震えるヴァギナに、熱い先端が押し当てられるのを嬉々として呑み込む。

 「んんぅぅ……ふぅっ!んむうぅっ……っ!!」
 
 キスで唇を塞がれているせいで、押し込まれて行き場を探すアタシの想いが魂の底まで染み込む感じがする。
 とても、素敵。
 奥まで突かれ、発情しきって精液を欲しがって降りてくるはしたない子宮をペニスの先端でたしなめられると、甘い痺れがお腹の奥から湧き出し、ピンク色に煌く嵐になってアタシの意識をもみくちゃにする。

「ンンッ!ん、んふぅっ……んんんぅぅっっ!」

 そうやって突かれただけでまたアクメに昇らされてしまう。
 アタシの躰の全てが、ご主人様に抱かれる悦びで満たされている。
 唇が外される。

 「アスカ、もう、イったんだね……いいよ、もっと、何度だって、イかせ、て、あげるよ……っ」
 「あぁ……うれ、しい……もっと、いっぱい……ごしゅじんさまもいっしょにぃ……」

 互いの瞳を覗き込み合いながら言葉を交わす。
 アタシの見ているのは、欲情と、アタシへの想いで濡れた黒い瞳。
 アタシも、同じ色を目に浮かべている。

 「っ……アスカ、アスカ……っ!」
 「っ……しん(くちゅ!)」

 アタシが呼び返そうとするのを、込み上げる感情に耐え切れなくなったみたいに荒々しいキスで塞ぐと、ご主人様は激しいセックスへと没頭していく。
 荒々しく何度も引き抜かれ突き込まれ、クリトリス、ラヴィア、敏感な場所全てが擦られる刺激と突き上げられる腰の奥であまやかに鳴り響く衝撃が混ぜ合わされて、立待ちのうちに頂点へと跳ね上げられる快感になる。

「はあっ!あ、ひぃんっ!!イく、イっちゃ、ひぃぃっ!もぅ、あああぁぁぁーーーっっ!!」

 オーガズムで痙攣する躰を折れそうなくらいに抱きしめられて、そのまま深いところで子宮口と射精口が何度も激しいキスを交わす。

「あひぅっ?!あ、や、はげしっ!なか、こね……は、あぁっ!やはぁっ!しんじゃううぅぅーーっっ!!」

 涎まじりにはしたない絶頂の叫びを上げて、死にそうなほどに感じながら言葉と裏腹になおもセックスを求めてご主人様の腰に両足でしがみつき、発情とオーガズムで精液に渇いた子宮を捏ね上げ犯してもらう。
 激しいアクメの連続に、アタシの指は縋るものを求めてご主人様の背中をがりがりと何度も引っかいてしまう。

 「うぅ……あ、アスカぁ……っ……あ、好きだ、ずっと、ずっ……と……っっ!!」

 快感に押し出されるようにあがるその言葉に、心の底から湧き上がる激しい感情がオーガズムを底上げする。
 意識が消し飛びそうな予兆の中、アタシも叫んでいた。

「あぁ……っ、アタシもぉっ!すきぃっ!……だいすきぃっ!アタシぃ、ほんとは、あのときからぁ……ずっと、こうされたかったのぉっっ!!!」

 嘘だけど、本当の事。
 あの頃のアタシはこれを求めてなんて居なかった……でも、今のアタシが戻る事が叶うなら、アタシは悦びもあらわにすべてをその前に投げ出すに違いないから。
 思いを伝えかえしたくて、肌の距離すらもどかしくて。
 アタシは真っ白な絶頂の感覚の中で、ひたすらにこのいとおしいひとの躰に全身全霊でしがみついた。

 「うぅぅっっ!!あ、アスカ、あすかぁぁっっ!!」

 ドクンッ!!

「あああぁぁっっ!シ――っ!は、――じぃぃっっ!!」

 躰の深く、子宮に直接注がれる熱い精液の衝撃に、アタシは最後のオルガスムスに駆け昇り意識を霞ませていく。
 愛しい温もりに護られながら遠ざかっていく意識でははっきりしなかったけど、その時アタシはその愛しい名前を叫ぶ事が出来たような気がした。