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 アイツは来ない。
 アタシ、そのことが物足りないと……ううん、寂しいと感じてる。
 まるで何ヶ月もこうやって閉じ込められて犯されてイかされているような気がする……けど、摂った食事の回数からして一週間行くか行かないかだとおもう。
 
 でも、たったそれだけの時間で、アタシの躰は変わってしまった。
 膣の中も、外も、躰中ありとあらゆる所に精液を注がれ、擦り込まれて、アタシの肉体は性の快楽を四六時中求めるような淫乱なものになってしまった。
 今だってそう。

 「ぅん……は、ああ……はぁ、ひんっ!」

 くちゃくちゃと卑猥な音を立てて股間で指が踊る、それに合わせて恥ずかしげも無く喘ぎを漏らしながらアタシ、体を捩っている。
 アタシ、犯されたのに、レイプされ続けているというのに、それを求めるような壊れた女になっちゃった。
 
 今だってその陵辱の記憶を反芻しながら自慰に耽ってる、
 
 「あ、ひん……はん……ぃ、いよぉ……」

 恥ずかしげも無く爛れた喘ぎをあげながら。

 唇を奪われ、胸を弄ばれて、あそこにしゃぶりつかれてアタシの抵抗が少しづつ溶けていく。
 (嘘よ、だってアタシ、丹念なキスが、丁寧に胸を愛されるのが大好きで、自分から足を開いておねだりするじゃないの)

 嫌なのにイかされて、アイツのペニスが押し当てられても嫌の言葉すらでない……そして、アイツはそれを承諾とわざと取り違えて合意の元にセックスしているとアタシに言う。
 (違う、アタシのおねだりに応えて、アタシを何度もイかせてくれて、物欲しげにひくつくヴァギナを押し付けてセックスを、おちんちんをねだるのはいつもアタシの方からじゃない)

 必死で声を抑えようとしても、おとついまでするたびに使われていた薬が残っているアタシの躰は、堪えようの無い深い快感をアタシの意識に送り込んでくるので、はしたない喘ぎを撒き散らしてアイツの嫌でたまらない精液を子宮にたっぷり注がれるのを拒否できない。
 (そんなに長い間残る薬なんてあるはず無いじゃない……分かっているのよ、アンタがちょっと突かれるだけでたちまちイってはしたなくおねだりして、熱〜い精子をたくさん膣内(なか)に注がれるのが大好きな淫乱だっていうのは)
 
 ほんとは判っているの……欲しいの、アイツのおちんちんが。
 それだけなの……ギュッて抱きしめられたり、キスと愛撫を同時にされて意識が蕩けたり、髪を優しく梳かれるのが欲しいわけじゃないの。
 だって、アイツは叩くもの……アタシが従わないと、お尻を叩いたり、目隠しして弄んだりするもの。
 だから、アタシはアイツが好きなわけじゃないの。

 そうやって言い聞かせながら、アタシ、まだあそこを弄り回してる。
 何度もセックスされて柔らかく綻びたあそこを二本の指で掻き回し捏ねながら、クリトリスをきゅりきゅりと扱き転がしてる。
 昔のアタシのオナニーは、皮に包まれたままのクリトリスを指で抑えて転がすような控え目なものだった、指だって一本挿しいれて入り口近くで出し入れするくらい……なのに、今のアタシはこんなに激しく自涜を続けても、なお物足りなさを感じてしまっている。

 だから、アイツを思い返す。
 きゃしゃなくせにアタシを逃れようも無く支配して、思う様イかせるアイツの事を。
 
 快感が微かに上向く。
 特に、こういう風に自慰する時ですらアイツに快感を支配されているという自覚が、倒錯した勢いを快楽曲線に加える。
 その倒錯が……最初の日のアイツの言葉を思い出させた。

 「いずれ、僕の事をご主人様とよぶようになるんだよ、アスカは」

 否定した。
 そんな事あるはず無いと笑おうとしたけど、思いつめたようなアイツの目を見て止めた。
 そのまま、ののしり続けるアタシに何故か優しく接して、でも容赦無く薬を使ってアタシを犯した。

 支配されてる、被虐、奴隷、淫乱、奉仕……肉奴隷、セックスのおもちゃ。
 そういった単語がほのかなイメージとともにアタシの意識を駆け巡る。
 気づけば、アタシの感じている快楽は明らかな上昇気流に乗っていた……倒錯した言葉を妄想するたびに激しくなって。
 
 太股を伝う愛液の流れを引きつり反り返る爪先を、膣壁が指をオーガズムの前兆の攣縮で締め付けるのを遠く意識しつつ、アタシは叫んでいた。
 
「ごしゅじんさまぁっっ!!」

 叫びに合わせて膣内(なか)と外で挟み込んだクリトリスとGスポットから、ピンク色の衝撃が弾けてアタシの意識を高みに攫った。
 気持ち、いいの……すごく。
 ゆらゆらと降りてくる……けど、足りない。
 アイツ――ご主人様にされると、もっとイイの。
 もっと気持ちよくてもっと高いの。
 
 だから、アタシの指はまた蠢きはじめていた。