ボクのヒミツたいけん
Scene.20Original text:PDX.さん「でもあの時は驚いたよ……まさかアスカがいきなりトウジとしちゃうだなんて」
「ショックだった?」
「そりゃそうだよ……」
「碇君って、アスカに憧れてたんでしょ?」
「……僕なんかと違って、かっこいいから」
「でも、理想化して女神様みたいに見ていたんじゃないの?」
「……」
「見せてあげる」
「?」
「碇君の知らない、もう一人のアスカ」
シンジを学習机の前に誘う。ノートPCを起動し、秘密のディスクを入れる。
そしてパスワードを入力し、極秘のコンテンツ『Aちゃんの部屋』を開く。
(略)
シンジが無言のまま操作を続ける。ときに唇をゆがめ、ときに奥歯を噛み、ときに生唾を飲み下しながら、淫らな『Aちゃん』の痴態に……淫具に貫かれ喘ぐ姿や、顔見知りの友人に抉られ喘いでいる姿、親友である少女の足元に跪き爪先を舐めている姿に釘つけになっている。
僕の知らない間に、あのアスカがここまで……。シンジは愕然としながら、それでも、美しい被虐者の姿から目を離せなかった。
そんな彼の股間を一瞬見つめ、彼が興奮していることを確かめた上で、嫉妬に狂う少年の耳元で、彼の心に油を注ぐヒカリ。
「碇君がこんなことをしている間に、アスカはどこで何をしているのかしら?」
「!!」
おりしも、ノートPCの液晶画面にはトウジの上に馬乗りになっているアスカの狂態が移っている。縛られてもいない。犯されているのでもない。
アスカが自らトウジの身体の上で腰を振っているのだ。
−ギリ−
歯軋りの音がヒカリの耳に届く。この先の彼の行動は予想できていた。
嫉妬にかられた彼は、トウジがアスカを汚すなら、とヒカリを押し倒し、強引に自分の上にのしかかるだろう。さっきまで肌を重ねていた相手をわざわざレイプするのだ。
アスカほどの美少女と同居し、彼女と肌を重ねているシンジが、自分をレイプする。
アスカへのコンプレックスの裏返しからくる歪んだ悦びがヒカリを熱く煽るだろう。
−ガタンッ−
乱暴に立ち上がるシンジ。堅く握り締められた拳がワナワナと奮えている。
(そう……そうよ碇君! 犯して……私を犯して!!)
◆ ◆ ◆ すすり泣くヒカリを呆然と見つめるシンジ。
自分のしたことを思い出す。少女を押し倒し、強引に挿入した。嫌、許して、中は駄目、そんな言葉がフラッシュバックする。
つい数十分前には、自分はこの少女に誘われて淫らな行為に耽っていたのではなかったか? 強引に犯してしまわなくても、ひとこと「したい」と言えばあらゆる淫戯を許してくれる、そんな関係だったのではなかったか?
少女の嗚咽は続く。
「……ごめん……」
少年には、それ以外の言葉は思いつかなかった。少女の前で土下座し、ひたすらに謝りつづける。
「ごめん! 御免! 委員長に、そんなことするつもりじゃなかったんだ!」
そんなシンジを見つめるヒカリの顔に、一瞬、邪な笑みが浮かぶ。
「……責任、とって」
「せきにん?」
「私と、結婚して。碇君?」
衝撃的な一言。親友の恋人の口から出たその一言。自分の恋人の親友である少女の口からでた一言。親友と、恋人の両方を捨てて、彼女を選べという一言。逡巡して、逡巡して、彼はその言葉を口にした。
「……うん」
最初にアスカを誘惑したのはヒカリなのに。最初にシンジを裏切ったのはアスカなのに。
でも、レイプという行為に及んだのはシンジなのだ。
だから、彼は大人しく従った。
そんな彼の頬を撫で、見つめるヒカリ。
「……うそ」
「えっ?」
「嘘って言ったの。碇君。私が一番好きなのは鈴原よ? でも、碇君の覚悟が知りたかったの。本気で謝るつもりがあるのか聞きたかったの」
その言葉にへなへなと崩れるシンジ。
「でも、嬉しかった。二人じゃなくて、私を選んでくれて」
「……」
「だから、今度は碇君にお願い」
「……?」
「今だけでいいの。私の恋人になって。二人のことを忘れて、私だけの碇君になって。
そして、優しく抱いて。そうしてくれたら、全部許してあげる」
「うん、委員ちょ……」
シンジの唇を人差し指で塞ぐヒカリ。
「ヒ・カ・リ」
「……」
無言で頷くシンジ。
「わかったよ……、ひ、ヒカリ……」
そっとヒカリを抱きしめ、唇を重ねるシンジ。そのままゆっくりと彼女を押し倒し、今度は優しい優しい、彼本来の愛撫と、そしてセックス。好きだよ、愛してる、そんな言葉が飛び交い、相思相愛の恋人同士としか思えない濃密な交合が続いた。
……その一部始終を録画した映像を、ヒカリが巧みに編集したものは、ハードレイプ編と純愛編として彼女の秘蔵ラックに収められている。彼女がそれを親友や恋人に見せたかどうかは謎である……。