ボクのヒミツたいけん


Scene.18
Original text:唐揚蝉さん


 前日・夜。

 もともと物置として使われていただけあって、シンジの部屋は狭い。
 その狭い部屋の中に、今は牡と牝の濃密な性臭が篭っている。

 ギシギシときしむベッドの上で、アスカはただ嬌声をあげることしかできず、されるがままに貫かれつづけていた。
 こんなはずではなかった。
 今までのレッスンで習得したテクによって、シンジはとっくに骨抜きにされているはずだった。
 自分の体とセックステクに溺れさせているはずだった。
 いくら人一倍感じやすい体とはいえ、これまではトウジ相手に何度も搾り取り、果てさせてきた。
 シンジに対しても同じようにできると踏んだのだ。それなりに自信はあった。

 だが、アスカは忘れていた。
 いくら体を重ねようとも、アスカはそれまでトウジ一人しか男を知らなかったのだ。
 どれほどヒカリが支配的に振舞ったところで、一人の男としか経験が無いという点ではアスカと変わらない。
 その少女からいくら教えを受けても、経験の回数は増えても幅は広がらないのだ。

 アスカにとってさらに分が悪いのは、トウジとともに果てたあと、シンジたちを気にする余裕などなくなっていたことだった。もしあの時、シンジがヒカリをどのように扱っていたかを見ていれば、とてもではないがつい先ほどのような「アタシの虜にしてやるわっ!!」等と大見得を切ることはできなかっただろう。
 初めてシンジを迎え入れたとき、トウジよりも一回りは大きいペニスにヴァギナを押し広げられたとき、アスカはすでに頭の中を漂白されかかっていたのである。

「うあぁ、アスカ…で、出るっ」
「はひぃ、ああぁき、きてるう。…っくう」

 どくどくとシンジの精液が胎内の奥深くに注ぎ込まれる。熱い塊がさらに下腹部を熱くさせる。
 びくびくと痙攣を繰り返しながらもアスカはさらにきつくシンジにしがみついた。
 過程がどうであれ、今はこうしてシンジに抱かれているのだ。シンジの牡が自分の牝をむさぼっているのだ。
 満足だった。
 離れたくない。離したくない。
 その思いが、よりいっそうきつくシンジに抱きつかせていた。


 突然の電話の呼び出し音に、二人は同時にびくりと体をふるわせた。



 互いにしばし見つめ合ったあと、シンジが体を起こしてペニスを引き抜こうとする。

「や、やだぁ。抜いちゃいやあ」

 アスカがいやいやをする。ようやくひとつになれたのだ。どれだけイかされたとしてもまだ足りない。ずっと繋がっていたい。

「でも、これじゃ電話に出れないよ」
「そっんんっう、そんなのっ、ほっとけばいいッく、いいのよ、…はああぁ」

 基本的にシンジが家にいる間は留守電は切ってある。
 この家にかかってくる電話はすべてネルフによる検閲を受けているため、間違い電話や悪戯電話はありえない。
 そのため、非常召集ではないにせよ、それなりに必要な連絡があるのだろうと推測できる。だから出なければならないのだが…
 なおも体を離そうとするシンジに、アスカは目に涙をためながら黙っていやいやをする。
 シンジの首と腰に手脚を絡めて離れないようにがんばっている。
 そんなアスカの姿を見て、シンジはため息をつきつつも可愛らしいと思ってしまった。

「しょうがないなぁ。じゃ、このままいくからね」

 そういうと、体を抱き起こしたあと両腕をアスカの膝の下から通し、そのままお尻をつかんで引き寄せた。

「え? あっやあ、あ、ひゃああぁ!」

 ただでさえ深く突き刺さったままのシンジのペニスが、より深く自分の胎内に侵入してくる感覚にアスカはひときわ大きく鳴いた。おまけにはちきれそうなくらいに硬く尖ったクリトリスがシンジの腰にはさまれてこねつぶされたのではひとたまりも無かった。
 あごを仰け反らすとそれだけで軽くイってしまったようだ。
 それでも手脚を離さないアスカに半ば感心しながら、シンジはベッドの上で体をくるりと回して床に脚を下ろした。
 
(確か、ケンスケから借りたビデオにこんな感じのがあったよなぁ。駅弁…だったっけ?)

 とはいえ、基本的にそれほど体格に差のない二人である。アスカの体を何とか支えつつ、よたよたと電話の置いてあるサイドボードまで歩いていった。
 
 歩くたびに振動が子宮をダイレクトに襲う。しかも単調な突き上げではない。前後上下左右に複雑にグラインドされるのだ。その上、自分では動きをコントロールできない。

「ああぁあ! だめ、だめえぇ。もっ、もっと、ゆうっくっふうう…ゆっくりいいっ!」

 アスカは、ひたすら喘ぎ、ただびくびくと体を震わすことしかできなかった。



◆ ◆ ◆



「はい、葛城です」

 シンジが右手を離したため、アスカはよりいっそう強く脚を絡めたが、それはさらに自分を追い詰める結果になった。
 クリトリスと乳首がシンジの体でこすり上げられる。漏れそうになる牝の声を必死で抑える。
 受話器の向こうからは聞きなれた声が文句を垂れていた。

「おっそおーい! なにしてたのよ! 待ちくたびれちゃうじゃないの!」
「すみません。今、晩御飯の片づけをしていたんです。洗い物が多かったから…。アスカはお風呂から出たばかりだし」
「ふーん。ま、いいわ。それよりシンジ君、私、今日からしばらく帰れなくなるわ。急な出張が入っちゃってね」
「何かあったんですか?」
「ん、何かってほどじゃないんだけどね。…アメリカ第二支部の動きがこのところ変なのよ。その牽制にね、駆り出されたの。心配しなくてもいいわ」
「はい、あの」
「あ、そうそう。シンちゃあ〜ん? おねーさんがいないからってアスカにヘンなことしちゃだめよぉ?」
「! へ、ヘンなことって何ですか? や、やだなあもお」

 どきりとした。今まさにそのヘンなことをしている最中なのだ。
 ふと目を向けると正面にアスカの上気した顔がある。切なげにこちらを見つめている姿にペニスがピクリと反応してしまった。

「ひぃ…ッく」

 子宮口をこすりあげられて、つい声を漏らしてしまうアスカ。

「? 何、アスカもいるの?」
「え、ええ、ここにいますよ。代わりますか?」
「そうね、お願い」
「はい、アスカ。ミサトさんだよ」

 突然自分に振られてアスカはあせった。もうすでに限界近くまで追い詰められているのだ。まともな会話など出来はしない。それでもつい反射的に受話器を受け取ってしまう。
 泣きそうになるが、こうなっては仕方がない。あまり間が空くと怪しまれかねない。手早く済まそう。

「も、もしもし。代わったわよ。何よ話ってのは?」

 少し早口すぎただろうか、不自然ではなかったか。いつもなら気にもかけないような瑣末事が今は気になる。

「なーによぅ。ずいぶん冷たいんじゃないの、アスカ?」
「アタシはあんたと違ってヒマじゃないのよ。用がないんなら切るわよ」
「まあまあ、そんなに焦らんと。シンジ君にも言ったけど、今日からしばらく出張でいなくなるわ。たぶん来週のアタマには帰ってこれると思うけど。その間あんた達だけになるけどしっかりね。
それから、あんまりシンジ君に無防備な姿見せちゃだめよ。あれでも男の子なんだから。ケダモノになっちゃうわよん」

(もうそのケダモノにやられちゃってんのよアタシは!)

 のんきにしゃべってくれる保護者に心の中でツッコミを入れる。が、口には出来ない。
 会話が聞こえているのかシンジはニコニコとこちらを見ている。そのシンジが不意に動いた。

「! ひゃう…ッく」
「何? どうしたの、アスカ」
「なっ、何でもないわよ。お風呂上りで牛乳、飲んだばかりだから」

 いたずらを仕掛けたシンジを睨み付けるが、まったく効果はない。むしろ、真っ赤に上気した顔で眉間にしわを寄せて快感に堪える姿が余計にシンジの嗜虐心を煽り立てるのだが、アスカは気づいていない。

「やだぁ〜。しゃっくりぃ? てーか、アスカ。お風呂上りのカッコのままシンジ君の近くにいるの? だぁいた〜ん」
「う、うっさいわね! ひゃああっ」

 シンジがつま先をつけたまま、ちょうど貧乏ゆすりをするように片足のかかとを上下させた。リズミカルな振動がアスカを突き上げる。
 脚に力が入らない。ずるずると片足が下りるが、もう片方はシンジに抱えられているため、結果的に大きく脚を開いて立つ姿勢になってしまった。
 こすられる場所が変わり、新たな快感に飲み込まれていく。
 手で口を押さえて、声が出ないよう必死に堪えるが、どうしても漏れ出てしまう。
 シンジはシンジで、空いた手でお尻をつかむとぐにぐにと揉みしだきはじめた。時折、アヌスにまで指を伸ばしてくすぐってくるので、アスカはさらに追い込まれていった。

「あーあ、もう(笑。んじゃ、おねーさんがとっておきの技を伝授したげるわ。これさえマスターすればしゃっくりなんか一発で止まるってもんよ」

(だめ! だめだよシンジぃ。もう我慢できない、ごまかせないよう)

 半泣きになりながら、通話口を手で押さえて小声で懇願するがシンジはかまわず突き込んで来る。
 実のところ、シンジも限界が近かったのだ。余裕があるように見えてはいても、この状況に興奮したせいですぐにでもアスカの中にぶちまけたかった。

 だが、それでもまだ理性が優ったのか、ゆるゆると腰をグラインドさせるだけの動きに変わった。
 ゆっくりとした動きに、アスカはようやく一息つけた思いだった。まだ追い上げられたままだったが、それでも少しは落ち着きを取り戻せた。
 ミサトの話はまだ続いている。

「お箸をね、十字に組むのよ。でもってそれを、水を汲んだお茶碗の上にのせるの。そうすっとさ、お茶碗の口が四つに分けられるでしょ? でね、どこから飲んでもいいから、時計回りに一口ずつ飲んでいくのよ。このときお箸をずらしたり水をこぼしたりしないように気をつけるのがポイントね。これで効果覿面よ。どお? お代はアタシへの尊敬の言葉でいいわ」

 電話の向こうに鼻高々なミサトの姿が見えるようだ。

「何わけのわかんないこといってんのよ! あんたのおばあちゃんの知恵袋なんか聞きたくないわよ!」

 直前まで追い詰めらていたアスカは、いきなりキレた。
 こっちの気も知らないくせに、と言いたいところだがやっぱり言えない。そんなストレスが余計に攻撃的にさせていた。
 その攻撃性がシンジに向かないのは、「学習」したからだろうか。

 ともあれ、ケンカを売った相手がまずかったようだ。理不尽にののしられた上、痛いところを突かれまくったのか猛然と反撃してきたのだ。

「あぁ?なぁんですってええぇ! 誰が30過ぎの嫁き遅れのババアだってのよ! あたしはまだ29よっ!」
「誰もそんなこと言ってないじゃない! 勝手に勘違いすんじゃないわよ!」

 いきなり口喧嘩をはじめた二人にシンジは唖然とした。
 さっきまで泣きそうな顔をしてよがっていた少女と同一人物とは到底思えない。
 なんとなくシンジは嬉しかった。やっぱりアスカはアスカだ。
 同時に、この一見強気な少女を好きなように蹂躙できるという事実にゾクゾクくるものを感じていた。
 いじめてみたくなる。鳴かせ、喘がせ、隷属を誓わせたくなる。
 どうしようもなく嗜虐心を煽るのだ。目の前のこの少女は。



 このままでは埒があかないので、電話を打ち切るべくアスカにひとつ大きく突き込んでから強引に受話器を横取りして話を変えさせようとした。だが、ミサトは興奮しすぎて相手が変わった事に気づいていないようだった。
 アスカはもうまともに声を出せない様子で、意味不明な喘ぎ声を漏らしながら、体を仰け反らせてがくがくとゆれている。

「もしもし、僕です」
「だいたいねぇ、あんたみたいなお子様よりあたしの方がきれいだってシンジ君も言ってくれるにちがいないわ! 大人の魅力をもってすればシンジ君なんでいちころよっ! ちょっと聞いてるの?」
「…聞いてますよ」
「へ? あれ? シンちゃん?」
「そうですよ」
「あの、どこから聞いてたの?」
「…ミサトさんの魅力で僕はイチコロだそうです」
「や、やぁねぇん。冗談よ冗談。シンジ君はわかってくれるわよね? 私はまだ充分魅力的なおねーさんなのよ。 ババアってのはリツコみたいな」
 <興味深い話ね。詳しく聞かせてくれるかしら? ミサト>
「ひ、ひぃ! リツコ! いつからそこに?」
 <さっきからいたわよ>
「ちょ、ちょっと待って。これは言葉の綾ってやつで、ッむううぅ!! …!! ………。……あ、もしもし? リツコです。聞いてのとおり、ミサトは出張に出るから、後のことはよろしくね。それと……シンジ君は私のことをどう思っているのかしら? 非常に興味があるわね」
「そ、そんな! やさしくてきれいな女性だって思ってますよ。ほ、本当ですよ!」
「そう、うれしいわ。そのうちたっぷりとサービスしてあげるわ。それじゃあね」
 それだけ言うと一方的に切られた。
 受話器の向こうからいきなりリツコの声が聞こえたときは、まるで冥界からの呼び声のような響きを持っていて非常に怖かったのだが、ミサトは無事だろうか。途中の沈黙はなんだったんだろう。
 ミサトは本当に出張に出れるのだろうか。
 
 まさかリツコさんの研究室に出張なんでオチじゃぁ…。

 ミサトの行く末を想像して、シンジは少し萎えた。




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