暴くもの、暴かれるもの


Original text:ハルキゲニアさん


02.

イロウルに襲われ、際限の無い性欲に身を焦がすアスカが入院して二ヶ月。
アスカが病院を脱走した。

入院中、凌辱され続けたアスカは、ネルフに対する不信に凝り固まっていた。
新しい薬を処方され、性欲を抑えられる様になっても「治療」が続いたのが決定打となった。
薬を持てるだけ奪い、職員の服を奪って逃げ出したのが一時間前―― 19時。
今、アスカは第三新東京市内の駅のトイレに居る。

だが、おかしい。
ネルフの監視はそれほどザルではない。
通常なら、病院から出られる筈も無い。
持ち出した薬も、一ヶ月も持たない量だ。
何より、アスカに芽生えた不信感の強さは異様だ。ミサトに相談する事さえしようともしなかったのだ。

アスカを唆し、逃亡を手助けしたモノが居る。
イロウル。
アスカの脊髄に寄生して生き残っていた使徒である。

駅のトイレで、アスカは焦っていた。
薬が効かなくなってきている。
いや、効果が変化してきていると言うべきか。
性欲は確かに減衰しているが、下腹には熱い疼きが残っている。
トイレに逃げ込んだアスカは薬を飲み、自慰で疼きを鎮めようとした。

だが、イケないのである。
快感はある。
だが、膣を掻き回しても、陰核を扱き上げても、あのテスト以前、夜毎に耽ったソフトなオナニ―― ―下着の上からクリトリスを撫でる―― 程度の快楽しか得られない。
今のアスカに足りるモノではない。
そのくせ、二ヶ月かけて開発された身体は、スカートが脚を撫でるだけで火照りだす。
今のアスカは性感が鈍磨したのではなく、一定以上の快感がカットされた状態にある。

実のところ。
薬のせいではない。もともと薬に効果は無い。使徒がアスカの性感と性欲をコントロールしている為の結果だった。

トイレの個室で全裸になり、一時間以上も自らを慰め続け、諦めた。
―― このまま外に出たら、誰か犯してくれるかな――
そんな思考に気付き、愛液でふやけた手を止めた。
病院の更衣室で奪った誰かの私服―― 膝丈のスカートにブラウスという地味な―― を纏う。
病院からここへ来るまでに酷く濡れてしまった下着は汚物入れに棄て、コンビニで買ったものに替える。
身支度を整え、トイレを出たアスカは電車に乗った。
何処へ行こう、という意識はアスカに無い。
今の自分が帰宅するサラリーマンで溢れた夜の電車に乗ったらどうなるか、という考えも無い。
自分が乗った電車が快速であり、一時間近く密室化する事も頭に無い。

アスカは今、使徒に寄生されている――


電車に乗ってすぐ、アスカは後悔していた。
朝のラッシュ程ではないが、満員の車内では隣人との接触は免れ無い。
一日働いて帰宅する男たちの体臭は、アスカを昂らせていた。

ふと。アスカは気づいた。
息を小さく荒くしている自分に。
目の前に立つスーツ姿の男。そのシャツの腹辺りを左手で掴み、男の左手首を右手で押さえ、
男が左手に下げた鞄にスカート越しの股間を擦り付けている自分に。
男が気付いていない筈は無い。
手を離そうとして―― 離せなかった。
昂ったアスカの身体は、快感を欲している。
鞄で摩擦されるそこからの感覚は、トイレとの自慰と違い、行為に相当したものだった。
単に刺激自体が弱いのだが、トイレでさんざん徒労感を味わった後だけに、その快感は甘美だった。
自覚を得て思わず腰の動きが強くなった時、男の手から鞄が落ちた。
ああ、と思わず声が出た。
目の前でオモチャを取り上げられた、仔猫の様な声。
次の瞬間、男の左手がアスカのスカートを捲り上げた。


男の手は大胆だった。
大腿を撫で上げ、スカートを捲り、濡れそぼった下着の上からアスカ自身を擦り上げた。
それはアスカにとっては拷問だった。
性感はまだ抑制されている。
男の指が股布を捲り、直にアスカに触れて来ても、アスカを感じさせるどころか、焦らすだけだ。
アスカのそこは、アスカの身体は、より強い刺激を求めて艶かしく動いた。

だが、おかしくはないか。
男の動きは大胆過ぎる。
アスカの動きに気付いた乗客たちが、アスカの周りから手を伸ばし始めている。

アスカに寄生している使徒が、アスカの汗や分泌液に混じって放出されていた。
ウィルスサイズの使徒は電車内に蔓延し、乗客達は病に感染するように昂り、理性を弱らせていく。
その中心に居るのはアスカだ。
指では足りないと自ら下着を引き下ろし、ブラウスのボタンを飛ばして胸を開く。
目の前の男にしがみついて唇を奪い、舌を吸う。
ズボンのファスナーを引き下ろし、男根を掴み出して扱く。
アスカの後ろに居たら若い男が、アスカのスカートを跳ね上げて後ろから無理矢理挿入。

もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと。
アスカは艶かしく踊り、男達が応えていき。
車内の乗客全ての脊髄に使徒が寄生したとき、アスカはようやく本来の快楽に耽る事が出来た。


やがて電車は目的地に着き。
感染者達が街に散って行く。
夜明けには、街ひとつが使徒の制圧下に入るだろう。
アスカの行方は、依然として知れない。

そして。
アスカの「治療」に参加したネルフの男性職員たちの身体にも、異変が起き始めていた。




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