201


 帰宅した君は(もしあるのなら)入手した道具、情報で役に立ちそうなものを整理する。

 物によってはパソコンでハッキングをしなければならなかったり、極めて物騒で扱いに困る物もあるかも知れない。だが、それらが何かの形で役に立つかも…。
 それらに加えて、君は三つの薬包を鞄から取り出し、手の平の上で弄んだ。赤、青、黄色と色違いのこの粉薬は、それぞれが強力な媚薬だ。
 赤は気持ちは高ぶらせ、青は信じられないくらいに性感を高め、黄色はホルモンバランスを狂わせて処女でも洪水のように濡らせることができる。本来それぞれ単独でも強力すぎるのだが、君は敢えてこの三つを同時に使うことを考えていた。
 貞淑な人妻であろうマユミは、その結果どんな淫らな姿を見せてくれるか。
 もしかしたら薬に翻弄されながら君を拒絶するかも知れない。だが、それならそれで良いではないか。
 心では拒絶しながらも体は君をきっと受け入れてしまうはずだ。
 その方がより楽しい。
 想像だけでトランクスを突き破らんばかりに屹立した肉棒に君は苦笑した。軽く欲望を吐き出したいと思ったが、明日に備えて君は力を温存することにした。

「ああ、早く明日にならないかな」

 冷たく肌に吸い付く煎餅布団の上にあぐらをかきながら、君は明日のことを考えてニヤニヤ笑いを止めることができない。
 珍しく風呂に入り、体を清めながた君は何度も何度も深呼吸を繰り返し、瞬きをしながら呟く。興奮の所為か冷や汗が流れ、体は瘧にでもかかったようにブルブル震え、せっかく洗った体を汚していく。

「やってやる。やってやるぞ」

 そう、この鋼のように堅い覚悟はもう決して砕けない。
 シンジが、マユミが、その他の友人達が目の前に立ちふさがって諫めようとしても、君の歩みは止まらないだろう。たとえ過去の純朴だった頃の自分自身が相手でもだ。


 体力点が原点まで回復する。

 君は布団に潜り込み、明かりを消した。







[Index]