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「ダメなものはダメです」
「そんな、お願いしますよ」
「あまりしつこいと、警察を呼びますよ」

 とりつく島がないとはこのことだろう。
 君の説得に、かえって警備員は頑なになってしまったようだ。少なくとも、この警備員は決して君を通してはくれまい。

(くっ、覚えていろよ)

 心の復讐手帳に名も知らない警備員を書き込みながら、不承不承君はマンションから離れた。



 さて。





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