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「お、俺達頼まれたんだよ…。あんたにどこか似た、小太りの男に、しばらく誰も上に行かないように見張っておいてくれって」

 どういうことだろう?
 君はなおも情報を求めて男の首を締め上げた。

「そ、そんなにきつくしないでくれよぉ。頼まれたんだよ、だから。変な道具、たぶん、カメラとか三脚だと思う。それをもった男に」

 カメラ? 三脚?
 さては先客がいると言うことだろうか。目標は違うかも知れないが、目的を同じくする何者かが。それもこんな浮浪者を雇って人払いをしないと出来ないような、何事かをしている者が。
 君は目的を邪魔しかねない存在を認識して顔をしかめた。

「も、もう良いだろう。話したじゃないか。勘弁してくれよ…。
 もう何も知らないよ」

 その弱々しい様子から、彼の言葉通りだろう。
 君は荒々しく浮浪者を突き飛ばすと、奥にある階段を見つめた。
 そんな君の後ろを、ヒキガエルのようにヨタヨタと浮浪者達は這いながら逃げていく。



 君は階段に向かった。






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