062
「見ればわかるだろ。ただの、宿なしだよ…。もう勘弁してくれよ。謝るから」
男の言っていることに嘘はないようだ。
とんだ期待はずれだが、これ以上は臭くてかなわない。
「もう許してくれ、頼むよ」
君はゴミでも放り捨てるように男の体を転がした。
ヒィヒィ泣きながら男は逃げていく。
君は後ろも振り返らずに薄暗い階段を見つめた。目的の場所はその先だ。
君は階段に向かった。
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