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「待て、俺は武器を持ってる」 君の警告に浮浪者達は踏鞴を踏んで動きを止めた。明らかに戸惑った顔をして君の言葉の真意を探ろうとしている。彼らの萎縮した脳味噌ではすぐに理解しがたいのか、それともわざわざ警告したことの意味を計っているのか…いずれにせよ、あまり意味のないことだ。 手っ取り早く君は浮浪者達に君の大いなる力を見せつけることにした。 「……なんだぁ、それ?」 浮浪者達は君が手にした黒光りする鉄の塊に目を丸くした。 そして、数瞬後に馬鹿のような笑いを顔に浮かべた。 「はっ! そんな玩具でびびるとでも思ったのかよ!」 「撃てるものなら撃ってみやがれ」 彼らの言葉を聞くまでもなくわかることがある。明らかに君が本物の銃を持っていると信じてはいない。顔で、口で、全身で君を馬鹿にしていた。過小評価されたことに、君は言葉に出来ないほどの怒りを感じた。グリップを握る手が痛むほど力がこもる。 思い知らせてやらねば! もう躊躇はしなかった。 「もういい。おいたのすぎる夢見がちなお兄ちゃんは徹底的にお仕置きだ!」 バスン 大きいことは間違いないが、予想外に小さな音に君は内心拍子抜けしながらも、浮浪者の目のまで土煙を上げる丸い穴を見つめていた。地面に残る小さな小さなクレーターの中では、焼けた弾丸がチリチリと音を立てている。 銃を握る手首がわずかに痛んだ。次に銃を使うときは注意せねばなるまい。 「へ、へひぃ!?」 「ほ、本物なのか…あ、あああっ」 浮浪者達は目に見えて怯えていた。 無理もないだろう。だが、その怯えようがどこか自分にも通じるところを感じさせ、君は高揚を感じるより強い嫌悪を感じていた。弱いと見た相手にはかさに掛かって責め立て、相手が強いとわかった瞬間、無様に怯え取り乱し…。 「ひっ、おた、おたすけ〜」 「撃たないでくれ撃たないでくれっ!」 滑稽なほど必死に許しを請う。 ともあれ、君は完全に浮浪者達を屈服させることが出来た。 彼らが何をしていたか聞いてみるのも良いだろう。 こちらへ |