肉体決済 〜レイが全てを売り渡した放課後〜
09.尻奴隷レイ、悦獄アナル調教ブラウスから取り出したAカップの胸と、スカートを背中に捲くり上げたスレンダーな下半身と。
薄暗い写真部室に開封された、純白の美少女―― 綾波レイの秘めたる二つのパーツ。
水泳の授業などの最も素肌を露にする時であっても少女たちは最後まで守り通す、羞恥の部分が、そこだけが今は逆に露わにされていた。
「私の胸と」
言って、レイは一息に続ける。
『……ここを』と軽く突き出した雪尻朶を、背後の相田ケンスケの眼に確かめさせて。
「好きにすればいいわ―― 」
その代わりに、手を返して、と。
決心した綾波レイが自らの手で下着も脱いで見せたのは、恋しいどころか(……なんて、厭なひと)と意に染まぬ筈の相手に、しかし全て委ねると差し出す、意思表示だった。
(見てる……)
レイは、振り返らずとも確かに感じていた。
這い回る視線がじろじろと、お尻の割れ目を尾てい骨の辺りから何度も上下するように。
人を小馬鹿にしたあの顔で、いやらしく鑑賞しているのだ。
「…………」
裾を握った手首は腰に乗りそうな位置まで高く、それだけスカートを捲り上げたあられもない露出姿勢で、じっと寄越される返事を待つ。
きゅっと堪えた唇はともかく、可愛い小鼻から途切れ途切れに緊張した息遣いが沈黙をよぎって伝わり、レイの緊張を知らせていた。
首や肩にも、彼女を―― 使徒を相手どってマシーンのように動じなかったファーストチルドレンを、途端に見掛け並みの華奢な印象に変える、強張りが。
「……いいぜ」
ズックのゴム底が立てる足音がぺたぺたと無造作に近付いた。
「……!」
ひと、と。少年の手のひらの感触が、尻肌に。
覚悟していたつもりなのに、レイはその瞬間、息を飲んでいた。
「買った。もう綾波のこのお尻と、こいつは―― 」
じっくり撫ぜ回されていながら、人形かとの頑なさで露出ポーズを守り続ける腕をくぐったもう片手が、胸を掴む。
ほっそりとした体つきの胸を遠慮なく掴んで揉み確かめつつ、相田ケンスケが彼女に伝えた。
『俺のものだからな』と。
そして、その格好のまま着かされる契約の席。
覚書にサインの位置を示すケンスケが、脇から馴れ馴れしく細い肩を抱いて、始終その小ぶりな乳房を弄ぶ。
椅子に直に座るお尻の下が温いのは、その彼の座っていた体温か。
色素の薄い顔立ちに、こらえるべきだと思う不快感がどうしても浮かびそうになる。
「―― 済んだわ」
漸く手を取り戻しても顔の晴れないレイが証だと拇印を押して、それで彼女の乳房と尻はケンスケの所有物になったのだった。
◆ ◆ ◆
「……なぜ?」
手を売った取引きの時と同じように、契約書に添える記録写真を撮影をする。
だから残りも全て脱げと言うケンスケに、レイは顔を顰めてみせた。
肌を晒すのが恥ずかしいのではない。
そうではなくて、彼女はほとほとこの相田ケンスケという少年が嫌になっていたのだ。
言い交わした契約に無いのであれば、もう指の一本も動かしてやる気にならない。協力したくない。
ましてショーツを履かない性器でも見せてやれば大喜びするのだと知っていたから、結局言いくるめられて脱ぐことになっても、少女は意固地に手で股間を隠しておこうとしていた。
「だからさぁ、言っただろ? 契約した“物件”を撮るのが目当てなんだから、ファインダーに他が入ってもらっちゃ困るんだって。それとも、綾波はこれを譲りましたって書類にその手とかも写って良いの?」
「……わかったわ」
上履きとソックスを残して全裸となり、撮影ブースに立っていたレイは、まさに渋々といった体で手で退けさせた。
指示された通りに脇を広げて―― その手を広げた姿勢が一番、胸を撮影する邪魔にならないからと言われれば、確かにその通りだと頷いて―― フラッシュを浴びる。
もっと背を反らしてよとの続けての言葉で、『……これでいいの?』と可愛い胸を張ってみせたり、右に左にとそらして角度を変えてやったり。
無愛想そのものの表情はいつものままでも、結局は実に扱い易いモデルぶりだった。
(ちょろいねぇ……)
ファインダーを覗く俺の目がどこへ向けられているやら、分かるまいにと。
ケンスケに密かにせせら笑う。
(ほんっと、ツルツルでやんの。霧島や委員長と比べてもガキっぽいマンコしてるよな―― っと。ほい、また一枚)
こぶりな谷間を芯に置いた一枚からそうと気付かせずズームアウトさせれば、次にシャッターボタンを押し込んだ一枚は綾波レイの正面ヌード全身図になる。
当然、その内に髪と同じ色の恥毛が生えだすのだろう股の間も余さず。
パチリ、パチリと。その一押しと同時には、部屋中に取り付けた隠しカメラが、異なるあらゆる角度からの裸身をハードディスクに保存してさえいるのだ。
そもそもが、盗撮魔の肩書きを持つケンスケ。
彼の支配地であるこの部屋で脱いで見せた時点で、股間を手で隠そうと、ぴったりと太腿を閉じていようと、全てが無駄だった。
撮影は続けて後姿を寄越させてのヒップスチルに目当てを移す。
真に意図するところが、胸よりも低い位置にある被写体だから撮り易く協力をと、より隙の多いポーズをとらせる為のものに。
「―― このフィルムも終わったから、次はケツ穴撮るから用意して」
「け……?」
「肛門だよ、こーもん。綾波のウンコひり出す穴」
「……そこは、不潔な場所だわ」
冷たい美貌をした少女が、たじろいでいた。
ケンスケの言う秘孔披露の羞恥ポーズに、有るか無しかだった少女としての感情が追いつけなかったのか。
或いは、思わず思い浮かべた、いつかのビデオ中の同じ撮影風景の所為だったか。
―― 相田ケンスケによって教育用と称して見せられた内の一本だ。
悲しそうに咽びながら、そんな姿を撮られるのはと惨めさを訴えていた、顔の見えぬ少女。
その手で尻肉を割らされ露呈を強いられていた、ひずんだ菊花。
彼女に覚えた哀れみが“後輩”の境遇に墜ちる我が身へ返ると悟れば、さしもの綾波レイも立ち竦むのか。
「はぁ? だから? ちゃんと綺麗にしてるんだろ?」
何事でもないように問い返して、ジャッ、ジャッ―― とクラシックな一眼レフを持つ手元がフィルムを巻く。
「綾波がそんな場所って思うとこでも、男からすれば需要があるのさ」
言って、『……需要ってことじゃ、女だってどうかな』と。
「マンコいじんのだけが女のする楽しみ方じゃないって。アナルオナニーって言葉もあるんだしさ。綾波も今度発情したら、惣流たちがしてるみたいにトイレに駆け込んで、試してみれば良いじゃん」
「はつ……ッ」
「―― しないって? 発情したりは? ……またまたぁ」
まさか人形じゃあるまいしと、綾波だって人間の―― 女の子だろと続ける。
「そんなって程度の場所かどうか、綾波自身がもう知ってるんじゃない。こないだ触ってやったろ?」
「……っ」
「感じてたみたいだったぜ? 」
レイは今度こそはっきり、かぁっと頬を赤くした。
「あの時は、たしかに触らせたけれど……服の上からだったもの」
いい訳めいて、殆どしどろもどろに近い言葉が口をついて出る。
「よがってたじゃん」
「…………」
綾波レイは、また黙り込んだ。
痴漢誘惑のための下拵えをされてしまった一件では、いやらしく発情した躯でなければならないと囁かれて、あちこちいじられてしまったのだ。
その為に与えられた感覚だったのだから、レイにもあれが官能の甘い毒だったと―― 蝕まれていたのだと自覚がある。
それが同時に指を遣われた秘唇によるものだったか、ケンスケの揶揄通り菊蕾から湧き上がった甘やかさだったかは、判然とせず。
ただその区別を言い立てることにきっと意味は無いとは、彼女にも分かっていた。
「どっちみちもう俺のものだし」
さっさとしろよと準備の済んだカメラを構えられれば、レイにはもう選択の余地は無い。
仕方が無いものと、契約に縛られた身を嘆いてポーズを取るしかなかった。
今度は三脚を捨ててにじり寄ったケンスケ自身が、床に立て膝を付いてレンズを向けているのだ。
『優等生』と皮肉られもする察しの良い彼女は、“被写体”の高さを合わせろと言われているのだと分かってしまう。
思わず漏れた、重い吐息だった。
足を開いて腰を曲げ、後ろに勢い良く尻を突き出す。
片手を膝に張って上体を支え、もう片手を尻に回す。
彼女自身が意識しておらずとも、自然に取ったその体勢はビデオで見せられたものと同じ。
いつの間にか、刷り込まれていたということなのだろう。
「これで……良いのでしょう」
回した右手で尻朶を片方掴むように。
くりんとした丸みにレイの指先が引っ掛けられて、そして―― 尻のまっ白い谷間の底の、合わせ目を、
「あ、あぁ……っ」
やるせなく、自らの手で男の目に暴かれていく、アルビノ美少女のヒップ。
奥にひっそりと息づいていたセピア色のすぼまりは、この少女が間違っても自分から男を誘うふしだらさとは無縁で、程遠い、そういった穢れの無さを醸し出しているからこそ、尚更の価値があった。
あの綾波レイの、アヌスなのだ。
更には、尻谷を抜けて連続する性器のクレヴァスさえも一望できる。
「うはっ、エロぉ。綾波、ちょっとヤバいって。エロ過ぎだぜ」
接近しすぎの位置からシャッター音と共に上げられる感嘆が、ますます少女の頬を熱くさせた。
パシャパシャと続けざまのフラッシュとで、アナル露出の羞恥地獄というものをレイに知らしめるのである。
「あなたが言ったのよ……!」
させておいて、何を言うのよと。
(もう……っ、これ以上は)
とうとう心行くまで撮り尽くしたカメラを横に置いて、震える白魚の指が開いて見せている皺孔へ、生の視線を食い入らせるケンスケだ。
耐えるには一瞬だけでも心を真っ白に、居ないものと忘れていれば良い―― そうは思ってみても、
「すっげ……」
「ッ、うう……っ」
こんな間近から、なのだった。
例えレイの神経が研ぎ澄まされた状態でなかったとしても、ハァハァと気付かずにはいなかっただろう鼻息の荒さが、すぐそこから吹きかかっている。
……見られてる。彼、覗き込んでるんだわ。わたしの、そこを……と。
炙られるような熱をじりじりと錯覚する。
千々に乱れる心。訓練されている筈の精神は、戦場の痛みを意識から切り離して対処するのと同じようには、適切なフラットさを形どってくれない。
腰がもじもじと落ち着かなかった。
すぐさまに体を起こし、跳ね退いて、平手をくれてやりたい気持ちとの板ばさみだ。
そしてその、傍目には恥じらいそものでしかないヒップのくねらせが、視姦する少年をまた喜ばせる。
(あ、ああ……)
憎たらしい男の淫欲に、望み通りの劣情のはけ口―― 秘肛鑑賞の機会を捧げてしまっている。そうと思い知れば知るほど、冷静にあろうとしたレイは『くぅっ……』と揺らいでしまう。
ヒクヒクと、意識の集まってしまう菊花がざわめいてしまうのが、抑えなければと思うのにままならない。
「へ、へへっ」
ケンスケが笑うようにしたのは、そんな様を嘲笑ったのではないかと、いたたまれなかった。
いくら唇を噛み締め直しても、か細く『ふぅ、ぅ―― ふ』と漏れてしまう息遣い。心の裡の動揺ぶりをみっともなく晒してしまっているようで、無性に悔しい。
(早く、終わって……!)
レイはただ時が過ぎ去ることを祈った。
◆ ◆ ◆
膝に突いた左手がカタカタと震えだしていた。
開脚前傾の姿勢を保ち続けていたといっても、兵士でもあったレイにとってこの程度、体力の消耗には程遠い。
予想外の消費を強いられていたのは、精神の方であった。
視姦に耐え続け、ケンスケの気配に動きが見られたのを終わりかと安堵に受け取った―― それが見誤り。
「やっ、やめて……」
ひくんと形の良い顎が跳ね上がった。
慌てて振り返り見れば、視姦に留め置けなくなったケンスケが、とうとう手を出してきていた。
反射的に身を引き前へ逃がそうとした腰は、素早く追加された腕で制止される。
「写真をとるのでは―― 」
なかったのと必死な声で問うレイに、あっさり気が変わったと恐ろしい答えが。
さすさすと撫ぜ回し、やめてと尻割りの役目を放した手で食い止めに行けば、ぴしゃり辛らつに立場を突き付けてくる。
「ああっ」
叩き払われた手をかばい、無力な悲鳴を。
前には暗幕のバックスクリーンを垂らした壁。左右にも、うず積み上げられたダンボールの山。逃げ場の無い彼女を、更に契約が縛り上げた。
「とりあえず味見させろよ。今日はここで出させろなんて、いきなりな事は言わないからさ」
立ち上がりかけた中途半端な姿勢で慄くレイは、言葉の裏に隠された邪悪な意図に気付かない。
せいぜいが(あれを、擦り付けられるの……?)と、痴漢レッスンで後ろ抱きにされながら押し当てられた硬さを予想するだけだ。
イメージ出来る限界が、パイズリ奉仕の構図をふたつの尻たぶに応用するぐらい。
しかしケンスケが狙っているのは、この初心な少女のアヌスなのであった。
「へへ、逃げるなって」
「あ、ああっ……なぜっ、そんなとこ―― !?」
嫌がるヒップで窮地に立つ。
張り付いた手の平はゆるゆるとヒップラインをまさぐる一方、親指は谷間に沈められてレイの菊蕾を放さない。
あてがった指腹を蓋のようにぴったりと、そこに。
他の四指が蟲の脚じみて動き回る基点としているが如く、蠢かせの全ては副産として親指に集まり、微細な動きのマッサージとして送り込まれてくる。
「あっ……っ、う……」
レイは怖れた。
ねちっこい揉み込みを入り口に注がれ続けていると、どうしても不覚な呻きが漏れてしまうのだ。
(あの、時の……っ)と蘇る、痴漢好きのする貌へ発情させられてしまった日の屈辱。
スカート越しの手が双臀を底まで這った刺激にねぶりにねぶられ、自分はどんな声を上げていたか。
背筋を這い上がる不可解なざわめき、思い出すだけで身の毛がよだつあの感覚が、また。
「どうだい、綾波……? ケツ穴の具合はさ」
「し、しらないわ……っ、あ、ああ……」
指先が、めり込んだ。
「ぅんんンン……!」
「声が変わったぜ? やっぱ、好きなんじゃね?」
「あなたの、勘違いよ……っ」
―― ほぐされて、しまう。
そう怯えても、マッサージなのだから当然だ。
全裸少女のアヌスはいくらきゅっと力を込めようとしても、徐々に守りを緩くしてしまう。
硬く閉じる貝殻を思い、ケンスケの女をなぶりたがるサディズムを喜ばせまいと―― 憎い相手に無様を見せまいと、心をフラットに保とうする端から、
「くぅっ、ッ、……っっ!?」
ぬぷと、ぬぷりと。男の太い指先が沈み込んで、彼女の折れそうな細首をのたうたせる。
放ってしまったのは、無反応とは対極の喘ぎだった。
いかにもケンスケが喜びそうな、弱々しい女の子の悲鳴だった。
こんなにも、脆かったの? と、裏切られた思いは、自分自身に青褪めていた。
「さわるなら、胸をさわれば―― 」
いいでしょうにと、切羽詰ったあまりが口を突いて出る。
「へへぇ? やっぱり、感じてきちゃったんじゃん。ケツ揉みされてるだけじゃ足りないって? 尻穴ついでに、オッパイもいじってぇ〜ってか?」
「ち、違うわ。違うの……っ、ッアア! どうしてっ」
再び深く、アヌスの奥を窺う侵入。
だめ、くうっ……と奥歯に力を込めていても、それだけであえなく喘ぎが出る。
またもや容易く、か弱い女の子のように発情させられた声を、引き出されてしまう。
己が耳を打つ抑えきれぬ嬌声が、レイの矜持を情け無くさせた。
「いいぜ。気持ちよくイケるように、胸の方も可愛がってやるよ」
「ああっ」
「なんだこれ、乳首固くなってんじゃね? 気分、出してるじゃんさぁ〜」
菊花ほぐしにバストマッサージを加え、二点同時の綾波レイ攻略。
右手親指でアヌスの口を危うくさせつつケンスケは、腋下から伸ばし握った乳房で左手親指に頂を襲わせる。
芯の残る胸肉をひしゃげさせる手つきに、ささやかな膨らみ丸ごと捕まえられて。同時にぐりぐり転がされる可憐な乳首は、既に平静を失っていた。
哀れにもツンと尖りしこった性感帯だ。その乱暴な指を勝手に歓迎しはじめている。
「ああ、ああっ……!」
「口は強情でも躯は正直って、綾波もフツーの女の子だよなぁ?」
嘘だと、そう否定せねば、わたしは違うのだと言わなければ。
でなければ、自分もあの哀れな少女たちと同じになってしまう。
壁際に追い詰められ、背中をぴったり押さえられたレイは、敏感な乳首で苦しみを倍加させられながら―― その苦悶の貌は、己を叱咤する内面に向けられていた。
「ふ、ふぅっ……ッッ」
「我慢してないで、素直に喘げよ。折角やさしくしてやってんだからさぁ」
違う、違うわと。ふるふる色素の欠けたシュートカットを振るわせる。
いくら力もうとも、柔軟なアヌスをゆるゆる、ゆるゆると次第に侵されつつある、そんな今、是が非でも否定せねばならなかった。
あの痴漢行為に荷担していた時、この卑怯者のオモチャ同然にされた少女達をなんて可哀想なと眺めた片方に、こうも下劣な相田ケンスケ程度をつがい相手に認めでもしたような―― だらしない股の開き方はなんなのかと、蔑んだ気持ちがありはしなかったか。
自分が認めた彼は数段上等な「碇くん」だけなのだから、あなた達とは違うのだ。相田ケンスケ風情に満足して、だらしなくうっとりとした貌をしたり、喜ばせるための媚びを見せたりはしない。
こんな男を、受け入れたりはしないのだ、と。
思いながらも、無意識にじりじり前へ前へ逃げ追い詰められていたレイは、壁にそう張り付いたら胸をいじれないではないかと、新しいポーズを取らされていた。
壁に手を突いて、背後に立ったご主人様にヒップを差し出す、あからさまな隷属ポーズだ。
くいと少しでも腰の位置を上向きに高く、いかにも胸もアヌスもいじり易そうなその姿勢。それでも自分の心は挫けないと、挫けるものかと言い聞かせ続ける。 ―― 言い聞かせ続けねばならないのは即ち、表層にない意識の端でレイが屈従を認めだしていた証でもあったろうか。
「どう、綾波?」
バックスタイルのレイに、親指に変えた人差し指を潜り込ませる昂奮の息から、ケンスケが耳元に囁いた。
まっすぐに伸した人差し指で、槍のようにアヌスに脅かしながら、
「あ、あああ、あぁ……」
「傷のつきやすいところだから無理はしないつもりだけどさ。言ってくれないと、ひょっとしてってこともあるし」
「痛くは、ない……けれど」
何度も息を吐いて整えた―― そのつもりの口調で答えた刹那、『あう!』と喉が喘ぐ。
つぷり、突きこまれていた。
追って、今のが第一関節までだと笑い声が。
狙ったタイミングだったのだろう。
声を出すまいという頑張りを、見透かされてからかわれているのだ。
「くぅ、っくく……」
何も感じてなどいないと歯を食いしばる。
それは、林檎のような二つの青い乳房を愛撫されるよりも先に、性器どころか排泄器官でしかない下半身での責めに、とっくに躯を敏感にさせてしまっていた自覚のゆえだった。
腰の奥から甘い痺れが湧き起こっているのを、認めたくないからだった。
「ど、どうして? そんな……ぁ、そんなとこは……手を、汚すだけじゃ」
指はペニスではないのだから、いくら見立てたピストンさせてみたところで貴方は楽しくあるまいと。
苦し紛れに問い質す。
本来は聞くまでも無いことだ。
相田ケンスケは、男は、女の胸や尻、秘部をまさぐるだけでも楽しくて仕方が無いのに違いない。
肉体的な快感を直接得られなくとも、女をいじり回し辱めることで満足を得る。
無理強いの愛撫にも今のレイそのもので瞳を潤ませ、快感を訴えてしまう犠牲者たちの窮じ方が、彼に精神的な愉悦を与えるのだ―― 。
だからだろうと承知したつもりでいる白皙の少女は、ケンスケにしてみればいかにも愚かしく、可愛いおもちゃだった。
「ふふん、どうしてだって?」
この間までは自分には、見透かす赤い眼をして冷ややかな態度しか向けてこなかった。
そういった言わば高嶺の花。
いくら浮世離れした純白の美貌を密かな劣情の的としていても、この聡い美少女は、微塵たりとも気を許そうとしない。
愛想良く取り繕おうとも、ことごとく氷の拒絶が払いのける。
近付けるのは、自分から近寄って行った男は、ただ1人。碇シンジのみ。
その綾波レイが、今では鼻で無知を哂ってやれる―― 他愛も無い小娘に見えてくる。
「はっ、はっ、はぁぁっ……」
「感じるだろ? こうやって綾波のちんまいケツ穴、俺の指の太さにズポズポ拡げてやるとさ?」
「いっ、いいえ……」
「まぁ、感じてるってことにしとけよ。いくら言ったって、見りゃ分かるんだから」
ああ、ああと息を切らせているスレンダーな後姿の、悩ましく揺らぐヒップから視線を下に、会陰部に。背中から覗き見る開脚の付け根、聖域であるデルタゾーンの狭間に、幼いスリットが走る。
日焼けとは最も無縁な雪肌の盛り上がりに、アヌスをいたぶられ続けたレイはわずかに、口を綻ばせてしまっていた。
裂け目に少しだけ桜色を覗かせる花粘膜が初々しいそこは間違いなく、しっとりと分泌した淫液にまみれていて……。
「濡らしてるぜ、マンコ」
「……!?」
それこそギクリと。悶え悦がりの糊塗に懸命だった銀髪の少女が、肩を震わせる。
あからさまに突き出していた秘密の部分を遅まきながら隠したがって、内股気味に肢を閉じようと―― しかし、ケンスケがそのままのポーズでいろと、“俺のケツ”を差し出しとくんだよと、遠のける動きを許さない。
そうして指を『く』の字に、レイの奥へずずと差し込んでフック状に曲げる。
「あっ、ああっ」
カギ爪型でアヌスを引っ掛けられた悲鳴が、あの無口な唇を叫ばせた。
「あ、ああ……、あっ、ああっ」
涙目で喘ぐレイに、重ねて動くなよと。
急所を支配された哀れなヒップを、吊り上げる。
「良かったじゃん。ガキっぽいツルツルマンコしててさ」
「……な、なにが」
「だってさ、綾波みたいに個性的な髪してるんじゃ、こんなポーズでケツを写真にしてたら、毛の色で誰かバレバレだぜ?」
「そこは……あなたに売ってないわ。勝手に撮って良いなんて、っ、ッッ……言ってないもの……!」
「だから、写っちゃうんだって。撮りたいのはあくまで綾波の―― いや、俺の物の、このケツ。で、角度によっちゃ、ついでに可愛いワレメちゃんも写っちゃうよなぁって話さ」
内部からの派手な食い込み、開孔感に苦悶しているのに。
それでもつっかえつっかえ、ルビーの怒り目が肩越し尖らせた抗議には、またいつもの詭弁である。
「安心しろよ。ちゃんとね、ここはまだ綾波のものだから、モザイク掛けてやるよ」
それにと、邪悪な愉悦をいかにも親切そうに猫なで声で。
「山岸たちみたいにフサフサ立派に育ってきたらさ、俺が責任持って剃ってやるって」
「ッぅぅ……、うう……ぅ、剃……る?」
「ずっとツルツルにしとけば、いくら尻を見せて回っても、毛の色でバレる心配はいらないだろう?」
レイは黙ってがくりと首を折り、屈服した後背位に息を切らせるだけだった。
同級生の美しい裸身が抗う気力を無くした後は、差し込まれた指は一気に進んだ侵入を幸い、より少女が敏感になる位置で刺激を送り続けている。
その未開発のアヌスを掘られる妖しい感覚。耐えよう耐えようと必死な耳に声が近付き『でさ、話は元に戻るんだけど』と。
「ここ―― 」
言うに合わせてアヌスの粘膜をこそがれたレイが、『ああっ』と幼い背中を躍らせた。
そこに居るのはもう、冷たい壁を雰囲気にまとい、言い寄る男子生徒の全てを拒絶していた氷像の処女ではない。
男を知り、淫らな責めの生贄になって息を火照らせる、1人の弱い女の子だった。
「愉しめるのは女だけじゃなくて、男も一緒にってやり方もあるんだよね」
「わたしは……愉しんで、なんか」
「ポイントはそこじゃないだろう? ははっ、さすがの綾波も、ケツ穴に突っ込まれて濡れ濡れになっちまってると、頭ボケてくるのかな」
想像が付かないということは、無いのじゃないか。
不吉極まりない言葉のヒントなのか、背に覆い被さるケンスケが太腿にズボンを擦り付けてきていた。
ゆっくりと動かしてくるその強張りを、ヒップの中心に抜き差しされている指に関連付けて考えるのが、恐ろしい。
(まさか……)
貧血めいた目のくらみが、レイを襲う。
「折角、サンプルに他のやつの書類を用意してたのにさ、綾波見もしないんだから。どんなことをされるのか確かめもしないで選んじまうってのは、ちょっとどうかと思ったぜ?」
俺が言うことじゃないかと笑い声を立てる。 この相田ケンスケは、拒めなくして同級生の少女をねっちりアヌス責め地獄に叩き込んでいるのに、不釣合いなくらい朗らかだ。
「まぁ、問題ないんだけどね」
そう言い置いて、ぱっと身を放す。
「―― っ」
漸く解放された汗みずくの身を落ち着かせようとするレイも、さすがにもう油断できないと分かっていた。
「はぁっ、はぁっ……」
ようようの体で首をひねり、壁に掛かった時計を確かめる。
針の傾きは、ケンスケの部屋を訪れてから一時間も経っていなかった。
(まだ……こんな時間……)
やはりと憂鬱に考える。
拘束が解かれたのは、責め苦の終わりを意味してのものではあるまい……。
嫌でしかない予測を裏付けるように、一旦デスクに戻って引き出しを漁っていたケンスケが、一物隠しているとしか思えない笑顔で彼女を呼んだ。
「ほら」
ぽんと散らかったデスクの上に黒い樹脂性のスティックが投げ出される。
ポルノ動画でさんざん見せられていた擬根性具、バイブレーターだった。
使わされるのか。まさかよもやの場所で……。
本体の艶々とした黒みが禍々しい偽ペニスは、レイの直接目にし触ったほぼ唯一の本物―― 思い出したくもない処女喪失の相手については、満足に記憶できていない―― ケンスケよりも一回りは太く、凶悪だ。
陵辱されれば、繊細なアヌス粘膜に傷を負いかねない。
そんな、素裸の少女の怯えを見て取ったのだろう。
眼鏡の下で、口元のカーブがくくっと意地悪く吊り上がる。
「サンプルも確かめないせっかちさんに、俺からのサービスだよ」
「……分からないわ。何だというの」
「パイズリとか、胸の使い方は知ってるみたいだから、今度はそのお尻の使い方を覚えてもらおうと思ってねぇ」
「はっきり言って」
分からないということは、怖ろしいということだ。
焦らしてからかっているのだと分かるから、肩を強張らせるレイの言葉は強い調子となっていた。
闇夜に盛んに吠え立てる仔犬の落ち着きの無さと、それは同質のものだったか。
あれほど見せるものかと心に決めていた未成熟の秘部も、痛々しく湿らされたまま、すっかり隠すことを忘れてしまっている。
無愛想ないつもよりに遥かに刺々しいレイを、もう一度へらっと笑って、ケンスケは言った。
「分かりぅ〜易く、百聞は一見に如かずってね」
一挙一動を追わずにいられない赤い目を連れて、デスク脇の壁際に移動。
「モデルを使ってじっくり見てもらおうと―― 洒落込んだのさ」
ぐしゃぐしゃに丸め仕舞い込んである、ただの暗幕だと。彼がニヤニヤ歩み寄って披露しようするまで、レイは意識に留めすらしていなかった。
『出番だ』と、その黒布の塊が爪先で小突き命じられて、
「……!?」
ゆらり、暗がりに溶け込んでいた小山が立ち上がった。
上から下までを覆う厚手の布がぞろりと揺らぐ。
フードのように頭からすっぽり被った胸元を、隙間を割った細い腕―― 少女の手がかき合わせる。
揺れた下に隠されていたのは、女らしい膨らみ。
暗幕一枚の内側は何も身に付けた様子のない、裸の、少女だった。
「……っ、誰……!?」
第三者が居合わせているとは露ほどにも考えていなかったレイへ、衝撃を与えて。
顔を明かさないその少女を得意げに、ケンスケが『モデルって言ったろ』と紹介したのだった。
Original text:引き気味
From:エロ文投下用、思いつきネタスレ(6)〜(7)