木根司郎(きねしろう)と瀬名亮介(せなりょうすけ)は、今日も元気に愛を確かめ合っていた。
「んっ……。あっ……司郎……もっと…もっと……!!」 「亮介さん、好きです……亮介さんっ……!」 頂上を目指して司郎の腰の動きが速くなる。亮介はすんなりとした足を司郎の腰に絡め、淫らに局部を擦(こす)り付けている。何度も体を重ね合わせている二人は、どうすれば自分と相手が気持ちよくなれるのか知り尽くしていた。 亮介の内部が収縮し、司郎を締め付ける。 司郎の先端が亮介の内部をえぐり、亮介を快楽の海へと突き落とす。 「亮介さん、俺、もう、イきそうです……」 「ダメ! まだ、イかないで!」 イかないでと言われても、これでも司郎は頑張ったのだ。頑張って我慢したのだ。だがもう限界だった。 「ごめんなさいっ!」 司郎は謝りながら、亮介の中に欲望を叩きつけた。 射精の快感に浸りながら、司郎は亮介より先にイってしまったことに罪悪感を覚えていた。 「すみません、俺……」 「ふふ。謝らなくていいよ。俺の中、そんなに気持ちよかった?」 まだ内部にある力を失った司郎を締め付けながら、亮介は淫蕩(いんとう)な笑みを浮かべて言った。汗に濡れた髪をかきあげる仕草が色っぽくて、司郎は胸をどきどきさせた。 「気持ちよかったです。気持ちよくて俺、我慢できませんでした」 司郎が素直にそう言うと、亮介はくすくすとおかしそうに笑った。置き去りにしてしまった亮介の中心に手を伸ばそうとすると、亮介はそれをやんわりと拒んだ。 「触ってくれなくてもいいよ。どうせなら司郎を受け入れたままいきたい」 「でも……」 「司郎は若いから、どうせ一回じゃ満足出来ないでしょ?」 「はい。……すみません」 いつも亮介より司郎のほうがイく回数が多い。ひょっとして自分は早漏というヤツなのだろうか。亮介を十分に満足させていないのかもしれないと思うと、司郎は不安になった。 亮介とのセックスで自分は十分な満足感を得ているが、亮介のほうはどうなのだろう。物足りないと思っているのかもしれない。そしていつか、自分以外の男を求めるようになるかもしれない。今も強力な恋のライバルが司郎にはいて、いつか亮介をとられるのではないかと心配していた。 初めて愛した人も、「飽きたから」という理由で自分の元から去っていった。『今』の亮介の想いを疑う気はないけれど、それがいつまで続くのだろうかと考え出すと、司郎は不安で仕方なかった。 「ばかだね、司郎。そんな不安そうな顔しないの。司郎がなにを考えているんだか、俺には丸分かりだけどね。そういう無駄な心配はしなくていいから」 「亮介さん……」 亮介は年上の優しさで、司郎の体を抱きしめた。亮介からの優しい口付けに司郎は溺れる。 最初に司郎に惚れたのは亮介だった。亮介から告白され、男同士の恋愛など考えられなかった司郎は悩み、だが、最後には力づくで振り向かされた。今では自分のほうが、より亮介に惚れているような気がする。もともと司郎は恋愛には溺れやすいタイプだ。 いつか亮介は自分のこの気持ちを重荷に思うようになるかもしれない。司郎のことを鬱陶しいと思うようになるかもしれない。もっとクールに構えていたいと思うのに、自分の気持ちがコントロールできなくて司郎は辛かった。 かつての恋人に手ひどく裏切られたことのある司郎は、亮介もまた自分から立ち去ってしまうのではないかと怯えていた。 「亮介さん、俺、亮介さんが好きなんです」 「俺もだよ。大好きだよ、司郎。……ああ、中が熱くなってきたね」 「……俺、俺……もっと亮介さんが欲しくて……」 「いいよ、いくらでもあげる。司郎が望むままにいくらでもあげる」 司郎の体の下で、亮介はふわりと笑った。亮介の笑顔になんだか胸が締め付けられる。 「亮介さん、好きです。愛しています……!」 がむしゃらに腰を打ちつけ司郎は亮介を求めた。亮介は司郎の乱暴な動きにも付いてきた。 一度中で出した後なので滑りが良く、司郎は思うままに動くことが出来た。 「あん……あっ……ああん……」 「亮介さん、亮介さんっ……!」 「ああっ!」 一際大きな嬌声(きょうせい)を上げて亮介は達した。同時に司郎も亮介の中で射精した。 「よかったよ、司郎。やっぱり司郎のは気持ちイイね」 「ほんと、ですか? なんか俺、夢中になっちゃって」 「ほんと、だよ。俺をこんなに気持ちよく出来るのは司郎だけ……」 亮介は色っぽい声で囁き、娼婦のような仕草で司郎の顎の下を指で撫でた。 「俺も、俺も気持ちよかったです」 「司郎にとって、俺の体は魅力的?」 「はい、魅力的です!」 「ふふふ。司郎ったらいい子だね。いい子だからご褒美をあげる」 亮介は司郎を仰向けに寝かせた。そして躊躇いなく司郎の股間に顔を埋め、さきほどまで亮介の中で暴れていたものに舌を這わせた。 「あっ……あ……亮介さん……」 「司郎、感じているね。ここ、もうこんなに元気になってる。二回も出したばっかりなのにスゴイな」 亮介は手と舌とで丁寧に司郎を愛撫した。ペニスだけでなく亮介は司郎の後ろの窪みにまで舌を伸ばした。 「りょ、亮介さん、そこは……」 「舐めるだけだから、ね?」 「あっ……うっ……」 手で司郎のものをきつく扱きながら、亮介は舌先を尖らせ、まだ使ったことのない司郎の後ろの入り口をノックした。慣れない場所を舐められ司郎は落ち着かなかった。 亮介は執拗にソコを舐め、ゆっくりと司郎の固く閉じられた蕾を開かせていった。舌を中に捻じ込まれて司郎は抗った。 「や、止めてください! ご褒美をくれるって言ったじゃないですか〜」 司郎は悲鳴のような声を上げた。 「うん。だからご褒美。自分がされて気持ちイイことを司郎にもしてあげてるの」 亮介はにっこり微笑み、司郎の中に指を入れた。そして司郎の感じる場所を探すように、中を指で掻き回した。一本だけでなく、亮介は指を二本挿入させた。内部の柔らかな部分を指でひっかかれ、司郎は目に涙を溜めた。 「ひぃっ……。イヤです、亮介さん。指、抜いてくださいっ。お願いです〜」 司郎はすでに半泣き状態だった。 「どうして? 気持ちイイでしょ? 司郎のおちんちん、こんなに元気になってるよ?」 「気持ちよくてもイヤなんです!」 涙まじりの声で司郎が訴えると、亮介はようやく司郎の中から指を引き抜いた。 「やれやれ。一度ぐらいは、俺も司郎の中でイってみたいんだけどね」 「亮介さ〜ん」 「そんなに怯えないで。無理やり司郎のバックバージンを奪おうとは思っていないから」 亮介は司郎の体を跨ぐように四つん這いになり、司郎の頬にキスをした。 「バージンを奪う代わりにこっちを貰うよ」 司郎の上に腰を下ろし、亮介は司郎の熱くなった中心を中に取り込んだ。そして腰を淫らに振り始める。司郎は亮介の性器に指を絡めながら、愛しい恋人の淫らな姿を見上げた。 亮介の体は華奢ではあるが、ほどよく筋肉がついていて貧弱という印象はない。肌は白く滑らかで、いつまでも触れていたいような触り心地だ。 女っぽいところはないが、キレイな男だと司郎は素直に思う。 「あっ……あっ………ああっ……!」 亮介の精液が司郎の頬にかかった。司郎はそれを指ですくって舐めた。亮介の味を楽しみながら、司郎も亮介の中に精子を送り込んだ。 「もっと司郎とこうしていたいけど、そろそろ時間だ。出社する準備しなくちゃね」 セックスの後、余韻に浸る間もなく、亮介は言った。二人は早朝から愛し合っていたのだった。今日は二人とも昼からの出社だが、そろそろいい加減、準備を始めないと間に合わなくなってしまう。 司郎は恋人の体を名残惜しく思った。 「あの、亮介さん、一緒にシャワー浴びてもいいですか?」 「いいけど、おいたはダメだよ。ほんとに時間がないんだからね」 「はい。分かってます」 シャワーを一緒に浴びているうちに、そのままもう1ラウンドというのは珍しくないことだ。亮介はそれを危惧していた。 「だったらいいよ。おいで」 亮介の許可を得て、司郎は嬉しそうに亮介の後に続いた。頼み込んで亮介の体を洗わせて貰った。 「りょ、亮介さん。後ろも……洗いますよ」 「やだなあ、そんなに顔を近づけて。そんなに俺のお尻の穴を見たいの?」 「はい。見たいです」 すぐ目の前にある亮介のアナルからは、ぽたぽたと自分が放ったモノが溢れている。エロティックな光景に司郎は興奮した。さきほどまで司郎を受け入れた蕾は、ぴくぴくと淫靡(いんび)な収縮を繰り返している。 「司郎ったらスケベだね」 「……嫌いになります?」 「まさか。スケベな司郎もカワイイよ」 亮介はくすりと笑い、司郎が中を覗きやすいようにゆるやかに足を開いた。司郎が指を入れて自分が出したものを中から掻き出すと、亮介は艶めいた声で喘いだ。 また入れたくなったが我慢する。 亮介においたはダメだと注意されていたからだ。 「……キレイになりました。亮介さん、先に出ていてください」 亮介が色っぽく啼くから、司郎のモノはまたもや元気になってしまった。司郎はそれを一人で慰めるつもりだったが、気付いた亮介が口で愛撫してくれた。巧(たく)みなフェラに、司郎の射精感は高まっていく。喉の奥で締め付けられ、たまらず司郎は逐精した。 最後の一滴まで舐め取り、亮介は司郎から口を離した。 「ごちそうさま」 鮮やかに亮介は笑い、朝食の支度をするために、司郎より先にバスルームを出た。 亮介への愛しさに胸を一杯にしながら、司郎は自分の体をごしごしと洗ったのだった。 「よお、お二人さん。久しぶりだな」 司郎と亮介が夜遅くに帰宅すると、玄関の前に一人の男が立っていた。男の名を東上真人(とうじょうまひと)と言う。彼は司郎の恋敵だった。 東上は司郎よりも背が高く、体格もよかった。おそらくブランド物かと思われる、上質のスーツがよく似合っていた。腕にしている時計も、司郎でも知っている高級ブランド品だ。おそらく服や時計だけでなく、東上が身につけるものはすべて一流品なのだろう。しかもそれが不自然ではなく、彼に馴染んでいる。 自分の安物の時計に視線を落として司郎は落ち込んだ。 認めるのは悔しいが、東上はかなりのイイ男だった。彼に口説かれれば大抵の人間は彼に靡くだろう。亮介は「司郎のほうがカッコイイ」と断言してくれるが、それは恋人の欲目に過ぎず、公平な物差しで計れば優劣は明らかだ。 東上に亮介を奪われないかと司郎はいつも気が気でなかった。 「悪いけど、こっちは仕事で疲れているんだ。あんたの相手をしている暇はない」 自分に求愛している男に、亮介は冷ややかな口調で言い捨てた。東上に同情するつもりはないが、もし自分があんなふうに亮介にあしらわれたらかなりショックだろうと、司郎はそのときのことを想像して胸を痛めた。 だが、司郎よりもはるかに図太い東上には堪えたようすはまったくなかった。自分に自信があるがゆえに、何を言われても東上は揺るがないのだろう。司郎は東上の不遜とも言える性格も、密かに羨ましいと思っていた。 「ふふん。亮介、つれない態度も可愛いぜ」 東上は余裕の顔で笑うと、深紅のバラの花束と綺麗にラッピングされた小さな箱を取り出した。おなじみのプレゼント攻撃である。 「俺の気持ちだ。受け取ってくれ」 堂々とした態度で亮介の前に差し出すが、亮介はそれらの品々を冷たく一瞥するだけだった。亮介の態度に慣れている東上は、軽く肩をすくめて亮介が受け取らなかったプレゼントを代わりに司郎に手渡した。 「亮介はお気に召さなかったみたいだからな。捨てといてくれ」 「……はあ」 亮介に受け取ってもらえなかったプレゼントの処分を、東上が司郎に押し付けるのもいつものことである。亮介が東上からのプレゼントを受け取ったことは一度もない。にもかかわらず、東上は亮介に贈り物をし続けている。敵ながら見上げた根性である。 「俺はあんたの存在自体がお気に召さない。いい加減、諦めたらどうだ?」 「俺にその態度は逆効果だぜ? 俺は気の強い男が好きだからな。……そして簡単に手に入らないからこそ、夢中になる」 「しつこい男は嫌いだ」 冷たく言い捨て、亮介はさっさと家の中に入ってしまった。慌てて司郎は亮介の後を追おうとしたが、東上に引き止められた。 「おい、坊や。さっさと亮介と別れろよ」 「……嫌です。なんでそんなこと、あんたに言われなきゃいけないんですか?」 「決まってるだろ? お前より、俺のほうがイイ男だからさ」 「そんなこと……」 「お前だって、そう思ってるんだろ? 自分より、俺のほうが亮介にお似合いだってな」 「…………」 図星だったので、司郎は反論できなかった。 「俺のほうがお前より、亮介のことを悦ばせてやれるぜ。だからお前、亮介と別れろ」 「嫌、です。俺は亮介さんと絶対に別れません!」 これ以上、東上の言葉を聞いていたくなかった。自分は亮介と別れたくないのに、別れたほうが亮介のためのような気がしてきてしまう。 「司郎、その莫迦(ばか)に付き合うことないよ。さっさとおいで」 先に部屋に入っていた亮介が玄関のドアを開けて手招きした。司郎はほっとして、東上から離れて亮介の傍に駆け寄った。 「東上、司郎に妙なことを吹き込むな。実害のないうちは見逃してやる。だがもし司郎を傷つけたら、俺はお前を許さない」 司郎を背後に庇うようにして、亮介は静かな口調で言った。 「……おっかないな。だが、司郎の意思でだったら構わないだろ?」 「そんなことはあり得ない」 自信満々に亮介は言い切った。司郎は、別れたほうが亮介のためかもしれないなどと、弱気なことを考えた自分を恥じた。 亮介は自分と共に過ごす将来だけを考えてくれている。自分もそうありたいと司郎は思った。 それに、例え東上の方が自分より優れていても、亮介を想う気持ちでは絶対に負けていない。それだけは自信があった。 「今日のところは退散するが、また来るぜ」 「来なくていい」 亮介に何を言われてもめげたようすはなく、東上は手をひらひらと振って去って行った。亮介は不愉快そうに、東上の背中を睨んでいた。 「あの……亮介さん? 家の中、入りませんか?」 「ん。ごめん、すぐに夕飯の準備するからね。お腹空いたでしょ?」 東上に向けた冷ややかな表情とは打って変わり、亮介は司郎に優しい笑顔を向けた。亮介の笑った顔を見ながら、司郎は胸の奥が締め付けられるような思いがした。 今すぐ亮介に触れたくなった。 「亮介さん……」 「今日のご飯はハンバーグだよ。司郎、ハンバーグ好きだよね」 「好きです。好きだけど、あの……」 「なに?」 「メシよりも、あなたが欲しい。……ダメですか?」 亮介は少し驚いた顔をしてからくすくすと笑った。 「今朝もあんなにしたのに、まだ欲しいの? 司郎ったらえっち……」 「……やっぱ、ダメですか?」 哀しそうな顔をした司郎に、亮介は優しくキスをした。 「ダメなわけないでしょ? 寝室に行く? それともここでする?」 ここ、と言って行儀悪く、ダイニングのテーブルの上に亮介は腰掛けた。そして挑発的に司郎に向かって足を開き、自分で自分のネクタイを片手で緩めた。 「……最高のディナーです」 亮介の艶っぽいポーズにごくりと喉を鳴らし、司郎は亮介の股間に顔を埋めた。ズボンの上からやんわりと噛み、亮介を刺激する。 「司郎、舐めて」 亮介は司郎の頬を撫でながら、優しく司郎に命令した。 「はい」 命令に従うため、司郎は亮介のズボンと下着を床に落とした。上半身だけ服を纏った亮介の姿は卑猥だった。司郎は興奮しながら亮介のモノをしゃぶった。亮介は司郎に向かって腰を突き出し、色っぽい声で喘いだ。 司郎は亮介のそそり立つシンボルだけでなく、後ろにまで舌を伸ばした。たっぷりと唾液で濡らし、指を使って拡げていく。 「ふふ。司郎、俺のソコはそんなにおいしい? いっぱい舐めてベトベトにして……」 「おいしいです。あなたの体は全部甘い……」 「可愛いコ。でも悪いけど、舐められるだけじゃ俺のココは満足できないな。満足させてくれる?」 ココといいながら、亮介は自分のアヌスを自分の指で拡げた。腰を浮かして恥ずかしい場所をわざと司郎に見せつける。司郎の唾液で濡れたソコは、恐ろしくいやらしかった。 「で、でも、まだ十分に解れていません。あなたに傷をつけてしまう……」 「大丈夫。知ってるだろ? 俺のココは食いしん坊だから、上手に司郎のを飲み込んでくれるよ」 「亮介さん……」 「おいで」 童貞の少年に性を教える商売女のように、亮介は淫らに優しく司郎を誘った。 それ以上、司郎には抗うことなど出来なかった。もとより司郎も限界に近かった。 先をあてがい腰を押し進めると、最初は抵抗があったものの、亮介の言ったとおりソレは簡単に入っていった。 「ああ……すごい。大きいね」 司郎が根元まで押し込むと、亮介は艶っぽい声で喘ぐように言った。 「あなたが魅力的だから、こんなになってしまいました」 「そう。じゃあ、責任とってあげなきゃね」 亮介はくすりと笑い、アソコをきゅっと締め付けた。 「うっ……。そ、そんなに締められたら俺……」 「イっちゃいそう? でも、もうちょっと頑張ってね。弛(ゆる)めてあげるから、動いてごらん」 「あ、はい……」 締め付けが弛んだところで、司郎は腰を使い始めた。動くまでは余裕のあった亮介だが、今は司郎に突き上げられて、身をくねらせながら喘ぎ続けている。亮介の淫らな姿に興奮して司郎はますます腰の動きを速めた。 「あっ……ひぃっ……あ―――っ!」 長く細い悲鳴をあげ亮介が達した。それとほとんど同時に司郎も亮介の中に精液を叩きつけた。 「司郎、中出ししちゃった? これからご飯作らなきゃいけないんだけどなぁ」 「ごめんなさい……」 「綺麗にしてくれたら許してあげる」 「はい」 司郎は素直に頷き、亮介のアナルに唇を寄せた。音を立てて自分の放ったものを啜(すす)り、舌を使って丁寧に清めていく。自分の精液と唾液でぬらりと光っているソコはたまらなく卑猥だ。 「キスして……」 「亮介さん……」 二人は舌を絡ませ激しい口付けを交わした。司郎は再び亮介を押し倒そうとしたが、やんわりと押しとどめられた。 「おかわりは、後から、ね? 夕飯の支度しなくちゃね」 「……はい」 物足りなくはあったが亮介の言葉に逆らうことなど考えられず、亮介が食事の支度をしている間、亮介は風呂の準備をした。亮介は約束したとおり、夕飯の後で司郎にたっぷりとその体を与えてくれた。 司郎は年上の恋人に夢中だった。亮介ほど自分を優しく受け止めてくれた人間は今まで存在しなかった。自分のどこが亮介を惹きつけたのかは謎だ。自分がどれほどたいした男ではないかは、自分がよく知っている。いつか愛想をつかされるのではないかと怯えながら、それでも司郎は、亮介と一緒にいるためならどんな努力も惜しまないと思っていた。 亮介は自分にとって、世界中の誰よりも愛しいと思える、とても大切な人だから。 |