【プロンプター -01-】
 
「私なんて、いらないの」
少女は涙を零しながら呟いた。
「あの人に愛してもらえない私なんて、いらないの。私なんて、必要ないの」
泣きながら少女は、底の知れぬ深く暗い穴を覗き込んだ。
少女はこの世界を治める偉大なる神、天主とも呼ばれるアルザールの娘だった。そして少女はアルザールの直属の部下、いずれはアルザールの天主の位を受け継ぐと言われている、グレス=ファディル王の妻でもあった。
「好き、なの。好き……。愛しているの。あの方の心以外に、欲しいものなんて何もないぐらい……」
だからあの方の妻に選ばれたとき、すぐにその幸運を信じることができなかった。あの方を、まさか自分の『夫』と呼べる日が来ることなど微塵も想像していなかった。恋焦がれたあの方が自分の手を取った瞬間、息が詰まるほど幸せで、このまま死んでしまっても構わないとさえ自分は思った。
けれど、自分は、分かってしまった。
どうして気が付かなかったのだろう。
どうしてあの方が自分を想っているなどと、自惚れることができたのだろう。
……なんて愚かで、可哀想な私……。
これは、政略結婚だったのだ。
あの方が天主となったときに、確かな後ろ盾を得るため、現天主であるアルザールの娘を妻として迎えたのだ。
父であるアルザールの真意は少女には分からない。自分の父親ではあるが、娘に……とくに他の兄弟と比べて落ちこぼれの自分には……興味のないアルザールとは、ほとんど話をしたことがなかった。
だが、アルザールが自分のお気に入りであるグレス=ファディル王に憂いなく自分の後を継がせるために、自分の娘を与えたということは十分考えられることだ。
今までそのことに思い至らなかったなんて、自分の目はよほど眩んでいたのだ。あの方への『恋心』ゆえに。
天主の座は必ずしも世襲制ではない。だがアルザールの推すグレス=ファディル王よりも、少女の兄でありアルザールの長子であるラザスダグラを次期天主に望む者も少なくない。純粋な力よりも血統を重視する古い神々がそうだ。彼らの反感を少しでもやわらげるため、父は娘を利用したのだ。
……当たり前だわ。そうでなければ、あの方が私を選ぶはずなどない……。
初めはあの方が怖かった。
少女の暮らす天の宮では、色素の薄い髪と瞳を持つ者しかいなかった。少女の髪も薄い金色で、瞳の色は水色だった。
けれどあの方が持っていたのは、闇のように暗い髪と冷ややかな濃紺の瞳。その姿はまるで『夜』そのもののようで、恐ろしくてたまらなかった。あの方を取り巻く静寂に、少女は身をすくめた。
少女が暮らす宮殿の奥に、あの方が迷い込まれたのが初めての出会いだった……。





「きゃぁぁぁっ」
花の咲き乱れる庭でのお茶会に、突如現れた見知らぬ男に少女は悲鳴を上げた。
……誰? どうしてここに?
自分の血族か召使の姿しか、生まれてからほとんど見たことのなかった少女は混乱した。警備の者に止められ、侵入者はここまで入って来ることはできないはずだ。
少女のあまりの驚きように、男は困惑した顔を見せた。
「すまぬ。どうやら迷ってしまったようだ」
「……」
怯えて口もきけない少女に、お付の者がそっと耳打ちする。
「ユリナ姫様。この方はグレス=ファディル王です」
アルザールの寵臣。
天界一の剣豪。
天主を支える、四人の尊き王のうちの一人。
天界にあって男の名を知らない者などおそらくいない。それは、天宮の外の世界に詳しくない少女にとっても例外ではなかった。
「失礼いたしました、グレス=ファディル様。わたくしはユリナと申します。以後お見知りおきを……」
自分の無礼な態度に青ざめながら、少女はぎこちない動作で頭を下げた。他の兄弟ならこんなときも慌てることなく、完璧に礼をこなすのだろう。慌ててみっともなく醜態をさらすことなどけしてないだろう。優秀な兄と姉の二人の顔を思い浮かべながら、少女は自分の愚鈍さに落ち込んだ。
「ユリナ姫……? ではアルザール様の・・・・」
男の声に驚きが含まれているのを感じ取って、少女は羞恥に頬を染めた。
お前のようなみすぼらしい娘が、本当にあのアルザールの血をひいているのか?
幼い頃から幾度も陰で囁かれてきた言葉だ。
少女自身もそう思う。どうしてあの偉大な父から、自分のようななんの取り柄のない娘が生まれたのだろう。上の二人はあんなにも美しい容姿と強大な力を誇っているというのに、自分だけが異質だ。
目の前の男が、少女の兄や姉よりさらに大きな力を持ち、もっとも父から信頼されているということを思い出し、少女はますます萎縮した。だが、いつまでも頭を下げているわけにもいかない。少女はおそるおそる顔を上げた。
するとそこにあったのは、少女が想像したような侮りの表情ではなかった。
男は目を細め、口元にうっすらと笑みを浮かべていた。思わずみとれてしまうほどの、優しい微笑だった。
「ユリナ姫、父上のおられる部屋にはどうやって行けばよいのか、教えていただけるだろうか?」
「あ、はい」
少女は、今いる場所から父が普段使っている部屋へのルートを頭の中で考えた。近くはない。だが、分かりにくい道順ではない。少女が道を教えれば、男はすぐに父の元に辿り着き、そして自分の領地へと帰ってしまうのだろう。
「あの、よろしければ、お茶を一杯いかがですか?」
……私ったら、なにを言っているのかしら……?
とっさに少女の口から男を引き止めるための言葉が飛び出た。
しかし、男は父に会いに来たのだ。つまらない小娘の誘いになどのるはずがない。仮にも王と呼ばれている男がそこまで暇なはずがないのだ。
少女は言ったそばから自分の言葉を後悔した。
顔を真っ赤にして俯いた。
「ありがたい。ちょうど喉が渇いていたところだ」
「え?」
「それに約束の時間まで、まだたっぷり時間がある。……図々しい願いで恐縮だが、私の時間潰しに付き合ってはいただけないだろうか?」
「はい。喜んで!」
もうしばらく男と一緒にいられると知り、少女は心から喜んだ。男とともにお茶を一杯飲み終える頃には、少女は自分が男に惹かれていることを自覚した。
少女が男に嫁いだのは、それから半年後のことだった……。





「あの方の心が私にないのなら、私はあの方のそばにいられない……」
あの方に愛されていないのに、そ知らぬ顔であの方の『妻』でいることはできない。
もうあの方の元には戻れない。
かといって、自分の生まれ育った天宮にも戻れない。父がそれを許さないだろう。
少女の居場所は、この世界にはない。
「……この穴は、地の世界へと繋がっていると聞いたことがあるわ」
躊躇ったのは数秒だった。少女は『夫』の手の届かない場所へと逃れるため、暗い穴の中に自ら落ちていったのだった。




……どうして? どうして抱かれても抱かれても、心が乾いていく気がするんだろう……。
……当たり前だわ。だってこれは偽りの行為。あの方は私を愛してなんかいないのだもの。
……違う! ウソだ! あの人は俺のことを好きだと言ってくれた。愛していると言ってくれた!
……いいえ。あの方が私なんかを愛してくれるはずがない。
……そんなことない!
……あの方はただ、自分の主君の命令に従っただけ。
……違う! 絶対、違う!
……あの方はきっと償いをしているの。
……償い?
……ええ。私こそが罪を償わなければいけないのに。私の愚かさが、あの方を地へと引き摺り下ろしてしまった……。
……罪?
……あの方は、とても優しい方だから。責任を感じていらっしゃるのね。
……責任? 責任を果たすためだけに、俺を抱くの?
……ああ、でも、嬉しいわ。責任でもなんでも、あの方が私を追ってきて下さるなんて。もう二度とお会いすることはないと思っていたから……。
……いやだ! 俺は責任感なんかで抱かれたくない!
……なぜ? 私は嬉しいわ。どんな形でもあの方が触れてくれるのなら。
……いやだ! いやだ! いやだ! どうしてあの人が俺のこと愛してないなんてひどいこと言うんだよ!
……忘れてしまったのね。だってあの方は……じゃない……。
……なに? なにを言ってるの?
……あの方を煩わせてはだめよ。あの方は義理で私を探し出してくださったのだから……。



「優也! 大丈夫か、優也!」
「あ……。誠司、さん……?」
「うなされてたぞ。嫌な夢でも見てたのか?」
「夢……」
……夢……? どんな内容だったっけ? とても……哀しい夢だった……。
哀しみは今も胸の中に残っていて、優也はぽろぽろと涙を零した。哀しくて哀しくて、苦しくてツライ。
これほどの強い想いが、どうして自分の中にあるのか分からない。
分からないけど、涙が止まらない。
「うっ……。うっく……。せ、誠司……さん……」
「どうした、優也。何が悲しい?」
「ふっ……っく……。うえぇぇぇんっ」
優也は泣きじゃくりながら誠司に縋り付いた。誠司は優也を抱き締め、あやすようにその背を撫でた。誠司の手のひらの温かさに安心しながら、心のどこかで怯えている自分がいる。
……本当に、この腕に縋り付いていいの?
……この腕の温かさは本当に俺のものなの?
矛盾。
安心と不安が心の中で混ざり合う。
現実と夢の間で気持ちが揺れる。
「……誠司さん、俺のこと、好き?」
「ああ。好きだよ、優也。愛してる……」
言葉とともに、優しく唇に口付けられる。キスに慰められて、優也はようやく泣き止んだ。
「ごめん、誠司さん……。なんか俺、このごろ変……。情緒不安定で……。まだ夜中なのに、ゴメン……」
「……いや。謝るのは俺のほうだ」
誠司は困ったような声で呟き、熱くなった下半身を優也に押し付けた。
「……えっとぉ。誠司、さん……?」
「笑った顔も可愛いが、泣き顔もそそるな。すまん、力いっぱい欲情している。どうしても嫌だったら我慢するが」
そっと誠司の下半身に手を伸ばすと、ソコは完全に硬くなり、熱く脈打っていた。
「……我慢なんてしなくていい……」
優也はぽっと頬を染め、自分で自分のパジャマのボタンを外し、裸の胸を誠司にさらして見せた。下は誠司が脱がせてくれた。
「もっと明るくしていいか?」
ベッドルームの明かりは限界まで絞られていた。オレンジ色の柔らかな明かりの中でも行為をするのに支障はない。だが誠司は優也の感じる顔がよく見たいと、部屋を明るくしてのセックスを好んだ。
「ヤ……。恥ずかしいよ……」
優也は顔をさらに赤くし、誠司の体の下で恥ずかしそうに体をよじった。
「後ろを舐めてもいいか?」
「ダメ! 汚いからダメ!」
強い口調で優也は言った。お尻の穴を舐められるのが優也はあまり好きではなかった。気持ちが良くないわけではないが、ソコが排泄行為に使われる場所であることを考えると、舐められることに抵抗がある。誠司とこういう関係になり、性器として使われるようになってから、優也は今まで以上に丁寧にそこの部分を洗っていた。
しかしそれでも汚いという思いは拭えない。
「……じゃあ、口でやってくれないか?」
「うん、いいよ」
最初にあれほど嫌がっていたのが嘘のように、今ではすっかり誠司を口で愛撫する行為は優也のお気に入りだった。あまり長引くと顎が疲れるが、それでも口の中で誠司を高めていくことに優也は興奮した。誠司のモノをしゃぶっているだけで、優也の中心は熱を持ち始める。
誠司を愛撫することを考えて、すでに優也は先端からとろりと透明な蜜を零した。
「俺も優也のを舐めたい。尻をこっちに向けて跨ってくれ」
「げぇ。その体勢ってなんかヤだな……」
「優也、パスは二回まで」
「ナニそれ。もー。トランプじゃないんだからさ……」
文句を言いながらも、優也は誠司に言われたとおりの体勢を取った。互いを口に含み、高め合っていく。
結局、誠司が一回いく間に優也は二回いかされた。
「誠司さんてば反則っ! これは互いの舌技の勝負でショ!? お尻の中に指を入れるなんてズルイ」
「……ズルイ?」
「うん! おかげで俺、二回もいっちゃったじゃんっ。……ね、俺、フェラチオ上手くなったでしょ? 今度、時間計って競争しようよ。相手のことを短い時間でイかせたほうが勝ち〜。どう?」
「勝ったら何かいいことがあるのか?」
優也のお尻の穴を弄りながら、誠司は真顔で尋ねてきた。
「ううーん。俺が負けたら、看護婦の衣装でも着てあげるよ。この前、セーラー服にもえもえだったし……」
息を乱し、腰を緩やかに揺らしながら優也は言った。今は向かい合うような格好で、誠司の上に座らされている。優也のモノと誠司のモノがぶつかり合って気持ちがよかった。
「看護婦も魅力的だが、どちらかと言えば裸エプロンのほうが……」
「うっわー。誠司さんたら超オヤジー」
「なにを言うか。裸エプロンといえば男の永遠の憧れだぞ?」
「あははははは。オッケー。俺が負けたら裸エプロンね。そんかわし、誠司さんが負けたら俺の言うこと聞いてよね?」
「裸エプロンか?」
「……いや。それはちょっと……。むしろ嫌がらせみたいな……」
思わず誠司の裸エプロン姿を想像してしまい、優也は気分を悪くした。立ち上がっていたモノもへにゃりと萎えてしまった。
「そうか? では、何をして欲しい?」
「んっ。……旅行、行きたい……。一泊二日でいいから……」
誠司の仕事は忙しく、なかなか時間が取れないのは分かっている。だが優也は、誠司と一緒にいろんなことを経験し、たくさん楽しい思い出を作りたいと思っていた。
誠司とともにいる時間は、どこにいてもなにをしていても、貴重な時間であることには変わりはないが。
「あっ。ああんっ……!」
体を引き上げられたかと思うとすとんと誠司の上に落とされ、優也は急な衝撃に驚いた。
自分の体重が重石になって、めりめりと誠司が入ってくる。息を大きく吸って、優也は自分の体から力を抜くように努めた。
「もう、いきなり、挿(い)れないでよ……」
ようやく誠司のすべてを呑み込み終わり、優也は荒い呼吸をしながら誠司を睨み付けた。誠司はにっと笑い、小刻みに下から突き上げながら、優也の乳首を歯で軽く噛んだ。
「あんっ……あっ……あっ……」
胸の突起を口に含まれ、前を手で刺激され、誠司の逞しい男根で中を擦られ、優也は胴震いしながら三回目の射精をした。
……誠司さんはまだ一回しかいってないのに……。なんかクヤシイ!
優也は意識して誠司を締め付け、腰を激しく動かした。優也の努力の甲斐あり誠司はすぐに達した。しかし、休む間もなく次は体勢を変え、バックから誠司が襲ってきた。
「あっ……イイ……誠司さん……」
途中から強い快感に頭を侵され、どちらが何回いったかなど覚えていられる余裕はなくなった。しかし二人の体液でぐっしょりと濡れたシーツが、行為の激しさを物語っていた。
誠司にたっぷり精力を搾り取られ、よれよれになった優也は、今度は夢さえ見ない深い眠りに落ちたのだった。





……夢に、捕まる。
……嫌だ! もうあの夢は見たくない!
……愛されていないだなんて、そんな哀しい夢……。
……繰り返し見るのは自分を拒絶する後姿。
……嘘。あれは知らない人。
……でも、知ってる人。
……嫌だ、嫌だ、嫌だ!!
……助けて。苦しい。
……助けて……。



「イヤっ。ダメ! まだ抜かないで!」
自分の中から出て行こうとする誠司を優也は引き止めた。誠司の腰に自分の足をしっかりと絡め、誠司が自分の上から退こうとするのを阻んだ。
「だが優也……」
「お願い、お願い! もっとして。俺をめちゃめちゃにして!」
「今日はもう止めておこう、優也。ここのところ連日連夜だったから、疲れが溜まっているだろう。顔色が悪い。俺は嬉しいが、優也は体力がないからな」
優也に特別体力がないわけでなく、誠司が丈夫過ぎるということにはどうやら気が付いていないようだ。
誠司の言うとおり、ここ一週間ほど誠司と優也は毎日激しいセックスをしていた。誠司の帰宅は十二時以降になることが多いのだが、優也は必ず起きて待っていて、誠司を積極的に誘った。年下の恋人の誘惑に、今まで誠司は抗ったりはしなかったのだが……。
「やだ、やめちゃやだぁ……。もう飽きちゃったの? 俺と、もうえっちしたくないの?」
誠司の体の下で、優也はぐずぐずと泣き出した。
「ばかなことを言うな。俺が優也に飽きるわけがないだろう。仕事さえなければ、それこそ四六時中抱いていたいのに」
言葉が真実であることを証明するかのように、優也の中の誠司の雄が、どくんと脈打ちその体積を増した。
「まったく、このカワイイ子をどうしてくれようか?」
「ん……。イイ……もっと……」
ゆっくりと誠司が抜き差しを始めた。優也を見下ろす目は愛情に満ちている。
「望みどおり、今日は手加減しない。代わりに学校を休め」
「ああんっ……でも…俺、受験生だし……」
誠司に中を掻き回され快感に悶えながら、優也は学校を休みたくないと訴えた。誠司と頑張りすぎて学校を休んだのは、すでに一回や二回のことではない。
「そういえば…優也の進路を聞いていなかったな。進学か?」
「んっ……な、なんでこんなときに……」
優也がイキそうになると、誠司は腰の動きを止めてしまう。あともう少しで頂上に辿り着くのに誠司はそれを許さない。焦らされ高まった快感に、優也は眦から涙を零した。
「就職希望だったら俺の秘書にでもなるか? そうすればもっと長い時間一緒にいられるな」
「ふっ……うっ……。そんな、公私混同……」
「仕事の内容が内容なだけに、信頼できる人間を傍においておきたい。本気で考えてみてくれ」
「あとで、考えるから……。お願いっ、もう、焦らさないで……!」
「快感に身悶える優也が可愛くて可愛くて。さすがに四回目だとじっくり楽しめるな」
「イキたい……。俺、イキたいよぉ……」
「分かった。俺も優也の中でイキたい」
優也の期待に応えるべく、誠司はテンポを早くして優也を責め立てた。誠司に奥まで突かれたとき、ようやく優也は達することができた。細い悲鳴をあげて、白い蜜を先端から零した。
しかし優也がイった後も、誠司の動きは止まらない。
「まだだぞ優也。もっとめちゃめちゃにしてやる」
「ひぃっ……。スゴイ……。あ……イイ……」
「好きだよ、優也……」
甘く囁きながら、誠司はやっと達した。
「まだ終わりじゃないぞ、優也。今度は後ろからヤっていいか?」
誠司は微塵も疲れをにじませぬ口調で言った。まだまだやる気満々だ。どうやら普段は、あれでもセーブしているらしい。
「……うん」
眠そうに目を擦りながら、優也は四つん這いになって誠司を受け入れやすい体勢をとった。
「優也の可愛い顔を見ながらするのもいいが、バックからも燃えるな。優也は背中のラインが綺麗だから、かなりそそる」
優也の乳首を指で愛撫しながら、誠司は優也の背中を舐めた。感じ始めた優也が組んだ腕の中に顔をうずめ、尻を高く突き出すような格好になってから、誠司は熱い肉棒で優也を貫いた。今度は焦らさず、最初から激しい律動で腰を打ちつけた。情け容赦のない責めに、優也は腰を振りながら何度も果てた。
誠司は仕事に間に合うぎりぎりの時間まで、一晩中優也を犯し続けたのだった。
 
 
TOP 次頁