橘雪翼の、侃侃諤諤喧喧囂囂

平成30年月分

▲ 過去ログ一覧へ ▲ ▲TOPページへ▲

平成30年9月30日

台風再び

  台風接近中。雨足がやや強まるも、風はまだそれほどでもない。あと1〜2時間後ぐらいが最接近と見られるよう。というわけで、今日は停電する前の早めの更新だ。ちなみに、前回台風時の停電で気付いた足元灯の充電電池完全寿命の件。現在は代替品が出ており、光源はもちろんLED、そして非常時用のバッテリーが単三電池に変更となっている。1つあたりの値段が感覚的にちょっと高く、元々あった2つの足元灯を両方新品に替えるとそこそこのお値段になる。どうしようか悩んでいるうちに今日の台風24号に来日の見通しが立ったので、慌てて注文。取り寄せだったので台風に間に合うかどうか微妙になって……昨日、出荷の連絡が届き、そして今日の午前に到着。ぴったりである(笑) 考えてみれば停電するのは何も台風だけではない。他に一番考えられるのは地震だ。LEDランタンや懐中電灯はあるけれど、夜間に停電するとその瞬間は真っ暗で心細い。そんな時に自動的に光ってくれる足元灯はきっとその不安を和らげてくれるだろう。1個あたり4千円は多分高くない。所定の場所に取り付けると、暗くなった時に自動的に光る(切ることもできるし、スイッチを切った状態でも停電を感知すると電池で自動的に光ってくれるらしい)。そういえば家を建てた直後は、夜この場所でライトが光っていたのを思い出した。
  さてさて、月始めの台風の影響もあり、バイオリズムの低下?もありで、模型制作も侃侃諤諤更新も低調な9月になった。今日が今月4回目の更新なのだが、月間4回って最小更新回数では……?と思ったら、過去に何度かあるようだ。また気が向いたらバカスカ更新するさ。と、言うわけで、

【るろうに剣心─明治剣客浪漫譚・北海道編─】1巻(新刊):☆☆☆★
  『るろ剣』の最終28巻(JC版)から新連載開始の『北海道編』の第一幕を読むと、「ん? 明日郎? 阿爛? …………誰!?」となる。ソースは俺だ(どやぁ)。本格連載開始の前に読み切りの『明日郎 前科アリ』が出ていたのは知っていたのだが、剣心とは関係ない外伝みたいなものだと思ってノーチェック。その後にウェブだったかアプリで無料公開されていたのを見て溝は埋まったが、雑誌で第一幕を読んだ当初は「よく分からない新キャラ状態」だった。この1巻では、28巻の最後と北海道編第一幕の間を埋める『明日郎、前科アリ』が「序幕」として収録されている。
  というわけで、“待望”の『るろうに剣心』続編が始まった。とりあえず1巻は、『明日郎 前科アリ』を含めて全て一度は読んだものだが、初めて読んだ体で感想文を書いて行こう。
  絵柄は、少し変わった。ただ、雰囲気は和月伸宏そのもので、『エンバーミング』とも違う『るろ剣』の世界はそのまま。若干のギャップは感じるが、先日の『あ〜る』10巻で感じた違和感よりは小さい。ま、空白期間が全然違うからね。絵柄とか話の雰囲気よりも、剣心と薫が夫婦であるというところに馴染めないところがあるかも(笑) 剣心が半ば引退した身であるせいか、主人公は剣心のまま物語のウェートは若い世代に移っているようにも見受けられる。連載再開は嬉しいが、体にガタが来ている剣心の姿は見たくなかった。あの頃の強い剣心のまま心に残しておきたかった、そういう意味では酷な連載になる予感もする。
  ちなみに、『明日郎 前科アリ』の回想?夢?の中の志々雄のシーンで由美が言った「奇貨」の行は、「奇貨居くべし」という諺から来ているものだろう。この諺はあまり知られていないと思う(ソースはもちろんこの俺)ので取り上げてみた。私がどこで知ったかと言うと、もちろん『遮那王義経 奥州編』の第18巻だ(どやぁ)。

【ドラゴンボール超】7巻(新刊):☆☆☆
  戦いがせせこましくて迫力にかける。『ドラゴンボール』らしくない。バトルロワイヤル形式は失敗では? 全体的にコマも小さいし、何となくだがキャラ数が増えたせいか作画も手抜きに感じる。かと言って大ゴマ連発だとページ数が増え、使った紙の枚数に対してストーリーの進み具合が遅くなるわけで……難しいな。
  というのが初見の感想だったんだけど、二度目読んだらそれなりに熱中して一気に読んでしまった。それなりに面白いことは面白い。うーん、評価に困るなあ。

【僕のヒーローアカデミア】20巻(新刊):☆☆☆
  お、思ったよりも早く文化祭が終わってしまった。にしても、序盤と中盤と終盤との差が激しい20巻だった。
  前半はジェントル&ラブラバ対緑谷少年。こういう路線は嫌いではないんだけど、理由があったら何をやっても許されるのか?という倫理的問題にもなるので難しい。
  後半。またホークスとかいう灰汁の強そうなキャラが登場。エンデヴァーと絡んでまあいろいろ展開するのかなと思ってたら、肝心のエンデヴァーが撃沈。生死は不明だが、そう簡単に復帰できるようなダメージではなさそう。つい最近もヒーローが退場してなかったっけ? オール・フォー・ワンに個性盗られたキャラや通形先輩の件もあるのに、そんなにポンポンヒーロー側のキャラクターの戦力減らして行ってどうするつもりなのかね。

【MF GHOST】3巻(新刊):☆☆☆
  『ドラゴンボール超』と同じで、バトルロワイヤルじゃないけど台数を増やしてのレースはダメなんじゃないかと思った次第。トップ2と相葉、ヤジキタ、それから主人公のカナタぐらいしか頭に入って来ない。他の人は誰が誰で何に乗っているのかさっぱり。話も場面転換が多すぎてどうにもね。あと、恋以外のエンジェルの様子を細かく描写する意味もよく分からない。前から変わらぬ作者の自己満足。
  藤原拓海の名前も出て来たけど、うーんって感じ。文字情報だけだし。ついでに言うと、レースの実況の場面、背景の山の絵の中にある吹き出しに文字が並ぶだけなのは何とかならんのかね。参加車がしのぎを削ってるところでもいいし、小柏の姿でもいいし、もうちょっと臨場感のあるシーンにしてほしかった。
  唯一、『D』の面影を残していたかなと感じたところは、長い直線でカナタが抜かれて、ヤジキタコンビのスリップストリームを利用するところ。ブース内にいる緒方がカナタの走りを分析していたが、こういう現実離れしたウルトラ「C」がいかにも『D』っぽい。

【聖闘士星矢】7巻(既刊)
【聖闘士星矢】8巻(既刊)
  私の一番記憶にあるシーンのところまできた。双児宮のシーンである。ところが間違っていた点が2つ。紫龍は直前の戦いで目を潰したと思っていたが、これが思ったより前の話で、対黄金聖闘士ではなくて白銀聖闘士との戦いだった。言われてみればメデューサの盾持ってるやつがいたなあ。多分蛇に睨まれて石化するってギリシャ神話はここで初めて知ったんじゃないかと。次に、5人で十二宮に乗り込んだと思ったら4人しかいない。以前私はうろ覚えの中で、「二手に分かれるときに目の見えない紫龍の側が2人なのは謎」と書いた。実際には一輝を抜いた4人しかいないんだから、紫龍側の戦力を手厚くすることができなくて当然。でも「星矢と2人」の部分は合ってたぞ!(何を偉そうに)
  7巻あたりでいろいろなものが繋がってくる。何故沙織がアテナで何故黄金聖衣を持っていたのか。かすかに残った頼りない記憶と物語序盤に齟齬が起きていて頭を悩ませるばかりだったが、一気にいろいろと繋がって来た。そしていつもの突っ込みポイント。反逆した教皇の手から幼きアテナを救い出したアイオロスは、追っ手を掛けられて必死で逃げる。その追っ手のシーンは一コマだけだが、一般兵っぽい人しかいなかった。青銅聖闘士5人相手でも1人で十分すぎるというのが黄金聖闘士の力。ならば一般の兵士が百人束になったところで、黄金聖闘士であるアイオロスにとってはさしたる障害にはならなさそう。その割には必死の逃避行になっていて合点がいかない。アテナを守りながらだから? いや、指一本で圧勝でしょう。考えられるのは別の黄金聖闘士の存在だが、だったとしたら追っ手を掛けるシーンは一般兵じゃなくそっちを出すべきだよな……。
  白銀聖闘士たちを倒し、沙織を守った後の孤児院での星矢の描写。いきなりタッチがギャグマンガ風になり、子どもっぽくなる。私は最初、回想シーンの昔の話か何かと思ったぞ(笑) 黄金聖衣であるアイオリアが登場し、指一本に吹き飛ばされたあたりからようやく戦いに殉じる星矢の姿に戻る。にしても、音速の次は光速ね。幼少期はそんなこと知らないから気にならなかったけど、流石に光の速さはヤバいんじゃないの?(笑) さて、アテネが登場し、先ほど書いた真実が明らかになるが、アイオリアはそれを鵜呑みにはしない。それが真実なら私の拳を受け止められるはずだ!みたいな流れで実際に撃ち込むことになるが、ここで星矢が目を覚ましてアイオリアのライトニングボルトを受け止める。その威力に押し切られそうになって、星矢が纏った黄金聖衣に宿ったアイオロスの魂がアイオリアに説教する。漫画の展開だから仕方がないけど、あんたもうちょい早く出て来てアイオリアを説得しなさいよ(笑) 戦いが終わって星矢の体から離れた射手座の黄金聖衣。アイオリアは「星矢が正義のために戦ったからお前に力を貸したのだ、逆に悪の立場で戦えばその相手に与するだろう」と偉そうに説教するのだが、事情を知らなかったとはいえお前が言うなよ(笑)
  さて、時折セリフがコマの左上から右下へと続くシーンがあるのだが……読みにくい。どうしても右にあるものを優先して見てしまうので会話が噛み合わず、左上へ移って「あ、こっちが先だったか」と読み直すことになる。うーん、これは古い時代の漫画だから仕方ないのか。

【テンジュの国】2巻(既刊):☆☆☆★
  勝手に「少年漫画版乙嫁語り」と呼んでいるのだが、少年漫画版だけあってお話が平和。『乙嫁語り』も平和路線でいいのに、時折争いごとが混じって……ただ、それもリアルな人々の暮らしのワンシーンなのだろう。
  2巻はのっけから死にそうな人が出てきたが、重度ではない高山病。患者は、姉が嫁ぎ先で怪我をしたというので慌ててその村へ向かったのだが、そのお姉さんは頑強なタイプで元気そのもの。家から出てきた見舞客が沈痛な面持ちだったが、「怪我して寝てる間に浮気をした」という疑惑をかけられた夫がボコボコにされて、そっちを心配していただけという人騒がせな展開も。その後も、緊迫感のあるコマが続いたかと思えば「向こうの村で結婚式が行われた」とかいって、どんな結婚式かと思って読み進めたら、ゾンビみたいなのが襲来して何の漫画だったかと訝しがってると、「結婚式で飲みすぎて死にそう(比喩表現)になった人が医者の元へやって来た」というしょーもないオチ(笑) あまりこういうのを繰り返すと読者が離れていくぞ?
  面白いけど、1巻で寄せた期待は重すぎたかな。雰囲気は好きなので、このクオリティを保って続けて行って欲しい。

【中華一番!極】2巻(8月新刊):☆☆☆
  うーん、可もなく不可もなく。小川悦司は全作品を追いかけているわけではないが、『天使のフライパン』あたりからの料理を食べた人のリアクション描写が好きじゃない。世間的にはこっちの方が受けがいいのかね?

【Dr.STONE】4巻(既刊):☆☆☆★
  抗生物質への道のりはなかなか長く。漫画だから、と言ってしまえばそれまでだが、千空の知識の幅広さはかなりの特筆モノ。抗生物質の作り方が頭に入っている、というのがまず凄い。同じ化学分野でも、電気の発生のさせ方と薬学ではジャンルが違う(はず)。それから、薬品や原材料を作るにしても、何が必要でそれがどこから採れるのか把握しているのも素晴らしい。普通の学校での知識ではせいぜい、「○○という物質と□□という物質を使ってAという薬品を作ります」止まりで、では「○○」は何に含まれているのか、「□□」は自然界ではどこに存在するのか、受験勉強で知る機会があったかどうか自信がない。そして実行力。土器一つ作るにしてもかなりの数の試行錯誤をしたようだが、その試行錯誤が出来るというのもまた一つ千空の優れたポイント。架空の人物なんですけどね。どこかの漫画で無人島に漂流した女子高生がやってる“サバイバル”に、「己の手で発電機も作ったことがない者が言う甘っちょろい戯言でござるよ」(某流浪人風に)と言いたくなるぐらいスケールが違う物語だ。そう、どう足掻いてもただのフィクションなんですけどね。
  ちょっと忘れかけてたけど、大樹と杠の方はどうなってるんだろうね? たまにはそっちの描写もあるもんだと思っていたけれど、ずっと千空サイドばっか。いいところで大樹&杠(司)側の物語にスイッチするんだろうか。
  最後に驚きの事実が。村の巫女、ルリが千空の名前を知っていた。ルリとは? 普通に考えて、口伝の中に千空の名前があったということなんだろうけど……何故そこに千空が出て来るのか。千空は自分が復活したことに疑問を抱いていたが、やはり何者かが何らかの思惑があって千空の石化を解いたのだろうか? その何者かがこの村にどう関係してくるのだろうか? なかなかいい形で4巻のラストを締め括ってくれたな!

【聖闘士星矢】9巻(既刊)
【聖闘士星矢】10巻(既刊)
  ちょうどいいところに入って来たので、予定を変更して2冊追加。どうでもいいけど、いつもタブレットで読むことが多い電子書籍なんだけど、『聖闘士星矢』は見開きページが多くてパソコン向き? タブレットも10インチで解像度高めのがあればいけそうなんだけど、うちのSurface Pro4は最近何かがおかしくて気付いたら電池がなくなってるから使いづらいんだよなあ。
  描写はいろいろと古さを感じさせる本作だが、黄金聖衣の質感だけはなかなか高い。多分アシスタントの人が頑張ったんだろうと思う(笑)
  2コ下の鉄研の後輩が『聖闘士星矢』大好き人間であることが先日判明した。ちょっとネタバレもされたんだけど、まあいいことにしよう(笑) その後輩曰く、「紫龍は最初はクール系だったけど、途中で路線変更して熱血系ですぐに脱ぎたがるキャラになってしまった」と。蟹座のデスマスクと戦うときも……最後に脱いだ(笑) 作者は意図的に狙ってやってるんだろうか(笑) ちなみにそのときの廬山昇龍破は躍動感があって威力充分に見えるものでした(笑)
  アイオリアと再戦。教皇に洗脳されたアイオリアだが、その洗脳を解くためにまさかのカシオスが再登場。これ、私は電子書籍で月に2冊4冊ってペースで読んでるからいいけど、普通に連載とか単行本の発売に合わせて読んでたら「カシオスって誰だっけ?」ってならないのかな(笑) 1巻限定のただのやられキャラだと思ってたのに、まさかの再登場&見せ場でした。
  ていうのがさらに続く。胸に矢が刺さって倒れたアテナの元に居るのはごくごく一般人の辰巳一人。そこに教皇がけしかけた一般兵がわんさかやって来てピンチになるののだが……ここで1巻あたりで出てきたやられ役の青銅聖闘士が再登場。初回限定の登場だと思っていたら、こんなところで出番が。多分連載当時に担当者が作者に言ったんだろうな。「ところでこれ、アテナは倒れてて守る人いませんよね? 私が教皇だったらこの隙は見逃しませんよ。なんとかした方がいいんじゃないですか?」って。

【あおざくら 防衛大学校物語】9巻(新刊):☆☆☆☆
  普段、期待した漫画の最新刊は思ってたほど面白くないことが多くて、星評価も下がりがちなのだが『あおざくら』は4つ星キープ。厳密に言うと「3.85」ぐらいなのだが、まあ四捨五入ってことで。
  『ヒロアカ』が文化祭だったが、防大も“文化祭”(正しくは「開校記念祭」)。棒倒しという競技が一番のイベントになるらしく、後半はその話題。登場人物の気合いが入っているが、漫画としても気合が入ってくるのが伝わってくる。目が輝きすぎの岩崎部屋長を始めとして個性的キャラクターが相変わらず光るが、棒倒しの話に入ってからも一癖二癖ある登場人物が出てきたりで、この漫画ホントに飽きさせない。ところで松平先輩の言ってる「○き○く○」が分からない。何となく何かは分かるのだが、「○」に入る文字が分からん。某エヴァでは「マータンキ」って表現されてたアレ系の単語のはずなのだが、私の語彙に2文字目「き」4文字目「く」の心当たりがない。
  9巻冒頭のコント大会。大久保先輩の出番が多いのだが、この人表情はずっとあの笑顔で固定なのか……。初回登場時(1巻の2話目ぐらい)からずっとずっとコレだ。面白いけど怖い(笑) ホテルなんとかの時から変人だったけど、さらに「お笑いの天才(?)」「アニメオタク」というステータスが追加された。万能すぎるだろ!(笑) にしても、いくら後輩を助けるためとはいえ、自分が大切にしてる物(限定フィギュア)をポンと渡せるあたり器がデカいよな。コント大会で2人を優勝をさせるために自分の持ちネタも渡してたし。
  次巻、棒倒しの結末も気になるが、近藤と岡上学生の“デート”の展開も??? 本当に2人で行っちゃうのか、と思わせて、きっとみんなで大挙して食べに行くことになるんだろうなあ(笑)

【BUNGO―ブンゴ―】15巻(新刊):☆☆☆
  柿谷は想像以上に変態だった。漫画の雰囲気面での話をすると、半歩ぐらい逸脱しているような気がする。バッティングフォームは真面目だが、タッチアップでホームベースに滑り込む姿勢が完全にギャグというか舐め腐っとる(これ、ホームベースに接触できてないんじゃないか……?)。作者の思惑は分からないが、もう少し漫画の世界観をじっくり考えて欲しいところだ。と言っておいてなのだが、これだけ無茶苦茶なキャラにするなら、バットはバッティンググローブなしで素手で握るとか、もうちょい派手にベクトルを向けて欲しかった。
  瑛太のカノジョ。お金目的と思わせといて実はぞっこんと思いきややっぱりお金かよ。もっとも瑛太はこの人物に対してはどうでもいいとしか思ってなさそうだから問題はなさそうだが。

【凍牌〜ミナゴロシ篇〜】2巻(新刊):☆☆☆
  前半はほぼほぼ主人公が出てこなくてつまらない。主に堂島が打ってるところなのだが、それは『ライオン』シリーズでやっただろ……。あと、その『牌王伝説ライオン』で登場した戸村が出て来る。顔がちょっと変わってるような気がして一瞬誰か分からなかったが。そして、ここで戸村を出すということは『牌王血戦ライオン』もきちんと最後まで読んどかなきゃいけないのかな(2巻か3巻でストップしている)。前と違って今なら電子書籍が選択肢に入るので、やっぱり読んどきましょうかね。
  相変わらずネジが飛んだ展開。巻末で「Kと堂島の傷跡比べ」とかいうオマケページが入っているが、指がないのは傷“跡”なんですかね?

【ドラゴンボール】完全版17巻(既刊)
  対ベジータ決着〜ナメック星・フリーザ編突入。完全版は収録ページ数が多いとは言え、1冊でかなり話が進む。ベジータを追い返してからナメック星到着までがあっという間で、ここで引き延ばさないのがドラゴンボールの良さだ。
  ベジータ、初登場時は「俺様が宇宙一だ」みたいな雰囲気を出しておいて、実はフリーザの足元にも及ばない。ベジータと匹敵するさらに他の異星人もいるし、この時点でもザーボンとドドリアの2人が上にいる。あれは何だったんだよ!と連載当時から思っていた。界王さまも界王さまで、ベジータに恐れ慄いていたけど、フリーザの存在を知ってたんじゃないか。何ともまあ、何と言うか。ただ、悟空が天下一武道会で優勝した時の回のラストで「もうちょっとだけ続くよ」と書かれていた、その「もうちょっと」は本来ベジータのところで終わるつもりだったのかもしれない。宇宙最強のベジータを倒し、悟空が宇宙最強の称号を手にして『ドラゴンボール』完結が当初のシナリオだったのだろう。ところがその鳥山明のシナリオを破り捨てたのが当時の週刊少年ジャンプ編集部。何故そうしたのかというと、『ドラゴンボール』が圧倒的人気を博してしまった――つまり、読者人気がこの計画を台無しにした。今も昔も、ジャンプは作品人気が出ると無理やりにでも引き伸ばしにかかってしまうと悪口を言われるが、少なくとも『ドラゴンボール』はそこで終わっていれば逆にブーイングが出ていただろう。人によっては「『ドラゴンボール』は後半が蛇足だ、悟空の子ども時代の方が面白かった」と言うが、私はナメック星編あたりまではいいんじゃないかと思っている。悟空が宇宙人、サイヤ人であるというのは完全に後付けの設定だろうけど、漫画史上ここまで見事にハマった後付け設定も珍しいだろう。悟空にしっぽがあること、満月を見ると狂暴な大猿に変身すること、身体能力の高さも含めて納得できる理由になっている。さらにナメック星。「ドラゴンボール」が何故地球に存在したのか、ピッコロ及び神様が明らかに地球人とは違うキャラクターデザインであることもこれで全て説明できてしまう。『ドラゴンボール』の主人公は孫悟空だが、タイトルは「ドラゴンボール」である。孫悟空出生の秘密が分かったら、次はドラゴンボールの秘密に迫るという展開は十分にアリ。初期『ドラゴンボール』の魅力はドラゴンボール集めの冒険譚にあったが、その面白さを今度は舞台をナメック星に移して堪能できる。さらにそのクライマックスには……おっと、それは18巻か19巻に持ち越しだな。とぅーびーこんてぃにゅーど。

【るろうに剣心】完全版9巻(既刊):☆☆☆★
  当時から思ってたのだが「九頭龍閃」の「9箇所を同時に攻撃する」ってところがあんま好きじゃない。いくら神速だからって9回斬り込めば1回1回のタイムラグが発生して「同時」にはならない。まあ、まだそこはいい。一番気になるのが、この直後のシーンで、同時に放たれたはずの9発の斬撃がタイムラグを置いて相手に到達する描写だ。剣心が比古清十郎に技の原理を教えられて見様見真似で九頭龍閃を放つ。「出来た!」と思う間があってから清十郎が返しの九頭龍閃を放ち、1発ずつを相殺した。この時間の経過が気に入らない。斬撃9発が同時に相手を襲うのであれば、九頭龍閃を放ったその時点で9発全てが相手に撃ち込まれていなければおかしい。剣心が波動拳的なものを9発撃ち込んだのであればまだ分かるが、この漫画はそういう漫画じゃないはずだし。ちなみに、これ系でもやっとした気持ちになる描写は、『はじめの一歩』の最初の頃にもあった。
  というわけで、何故か区切りのいい「完全版」、剣心が奥義伝授から帰って来て、さあ志々雄誠が動き出すぞ、というところで話が終わる。その間に志々雄側は十本刀が集結(一人除く)し、こちら側は左之助が合流。第三勢力?としては翁が蒼紫に敗れる等々盛りだくさん。『ドラゴンボール』で話がサクサク進むと書いたが、こうして見ると『るろ剣』もなかなか。やっぱり名作の条件はそこにあるかもしれない。

【女騎士、経理になる。】6巻(既刊):☆☆☆★
  保険の話が出て来てうんにゃかんにゃ。そう言えば、大学で「保険数学」という講義があったのを思い出す。内容は



よく覚えていない。まあ要は、この漫画の途中で書いてあったように、「人の死ぬ可能性を正しく計算出来なければ、保険料の計算ができない」ということ……だったかなあ? 複利計算とかはやった記憶があるんだが。どうも数学科というのは就職先が限られているらしく、こーゆーのでもやっておかないと潰しが効かないとかで。かなり前の『Q.E.D.』で燈馬君が言ってたのによると、海外では数学者は高給取りが多いそうだが、日本でもそうなればいいのになあ。

【リボーンの棋士】1巻(新刊):☆☆☆☆
  前回の漫画感想文の最後に言っていた“期待”の新作。年齢制限でプロになれなかった元奨励会員の将棋物語。実は将棋は好きだが、将棋漫画は過去それほど読んだことがない。『月下の棋士』に始まり、古典の部類に入りそうな『5五の龍』、そして最近絶賛中の『将棋の渡辺くん』。以上が単行本を2冊以上読んだ将棋漫画である。このうち『将棋の渡辺くん』はノンフィクション(?)で、将棋漫画というよりもドキュメンタリー要素が強いような気がするので、それを除くと2作品。『リボーンの棋士』が3作品目の内定を得たということになる(「2冊以上読んだ」将棋漫画ね)。過去に読んだことのある野球漫画に比べるとかなり少ないと思う。世にある野球漫画は非常に多いので、割合的には大して変わらないかもしれないが。将棋漫画の難しいところは――将棋に限らず、囲碁やチェスにも共通するが――将棋そのものが“地味”であるところか。将棋には160km/hの剛速球もなければ場外ホームランもない。野球は力技で大逆転勝利も可能だが、基本的に将棋は形勢に差が付いた場合、相手のミスがなければ逆転はない。同じボードゲームでも、麻雀であれば役満や、ややオカルトティックな「流れ」と言った漫画映えする要素があるのだが。野球であればプレーの○○が上手い、とか才能がある、とか言ったところに特徴が出せるが、将棋の場合は……「銀打ちが上手い」とか?(歩の使い方が上手い、の方がより玄人好みだが、渋すぎてもう)。最近、思っていることなのだが、漫画(に限らずフィクション全般)の行き着く先は「人間描写」であるような気がしている。野球の場合は色々と脚色できる要素が多いが、将棋の場合はより“生身”に近いところで勝負しなければ面白いものに仕上がらないのでは、と感じている。
  という、私の最近の思索の中にあって、『リボーンの棋士』はまずまずのデビュー。星4つだけど、期待の新作の第一巻は大抵4つだからね(笑) 2巻以降が勝負です――と、作者には届かない辺境の地でプレッシャーを掛けてみる(作者がエゴサしてたら、ネットの世界では辺境も過疎地も関係なく目に触れることになりそうだが(*1))。
  ちょっとぼんやりした話ばかりになってしまったので、もう少し漫画そのものの話を。絵は、掲載誌が『ビックコミックスピリッツ』ということもあって、コミカルというよりは写実寄り。『月下の棋士』の能條純一もある意味リアル系だったが、それと比べるとあっさりしていて、良く言えば癖はないが、悪く言えば特徴はない。実ははっきり言ってしまうと、絵柄は好きな方じゃない。試し読みの3話ほどでそれは分かっていたので、電子書籍版を買う案もあったのだが、話としては面白いし、主人公のキャラクターも嫌いじゃないので、まずは今まで通り紙版でスタート。果たして何巻ぐらいこのまま行けるかな……?

*1 過去に別の漫画をツイッターで挙げたら、どうやら作者の目に留まったらしい出来事があった。

  台風の影響もあって、最初の4冊は同じ日に購入(『MF GHOST』のみ発売日が2日違う)。感想文を書いていて、『ヒロアカ』以外の3冊が続編モノであることに気付き戦慄の旋律を聞いた(幻聴)。ギリギリ『MF GHOST』だけは主人公一新もあって続編色が薄いのだが……。先月買い忘れていた『中華一番!極』も続編だ。私のチョイスが悪いのかもしれないけど、昨今の続編ものブームはなんとかならんのか!と憤慨しかけたのだが、たまたま今月頭に私が買ってる続編ものが集中しただけで、割合としてはそーんなに多くはないかな? 何だかんだで新作も多い。
  先日、一部の漫画を紙版から電子版に移行させようかと言いつつ実行に移さなかったが(絶版が理由で電子版しかないものだけ電子版を購入)、今回いよいよ“電化”開始。『ブンゴ』『凍牌』『女騎士、経理になる。』の3つが該当。『女騎士〜』は8月に買った5巻の時に検討しつつ、一旦は保留したが、改めて考えると文字ページはページ数多くないし、読み返す回数も多くないだろうからモニターで読めば問題ないだろう、と。そういうわけで、今後も順次、私の中でランク下位の漫画はどんどん電化して行く。
  10月の新刊は5冊を予定。チェックを怠らなかった甲斐あり2年半ぶりの新刊『雨柳堂夢咄』、完全に惰性の『Q.E.D.』及び『C.M.B.』、“あおざくら対抗”の『賢者の学び舎 防衛医科大学校物語』。あと、母親が読んでいるので『落第忍者乱太郎』も買う。最近自分では読まないので侃侃諤諤にも出していなかったのだが、前回の63巻を久々に読んだので多分初登場した。そんなわけだから、次の64巻も読むかもしれない。そしていつもの既刊シリーズ(詳細略)。先日、ウェブ更新が止まったと言った『女騎士、経理になる。』は、新刊が半年以上出ていない。ひょっとしたら7巻で完結? 既刊シリーズの追加分として、電子書籍でいくつか買おうと思っているものもある。最初に電化の話を出した時に「第一号」候補だった『グラゼニ』。前々から「面白い」との評判を聞いていて、先日無料になっていた1〜3巻を読ませてもらって有力候補になった『ザ・ファブル』。あと、『凍牌』本編に関係して来そうな『牌王血戦ライオン』の補完。電子化でかなりタガが外れたので、さらに何か増えそうな悪寒も(笑)

  では皆さん、ごきげんよう。この後停電しませんように。皆様も台風の動向にお気を付けください。

(2018-68 09-04)


平成30年9月16日

だから明日に取っとけって

  試合前の段階でセ・リーグ最下位だった阪神タイガースが、横浜DeNAベイスターズに「20−4」で勝利。3回と8回にそれぞれ9点ずつ得点するという、あまり見ることのできないスコアボードの数字の並び。シーズン通してコンスタントに打線が活発に点を取っていれば素直に喜べるのだが、負け越し10とか最下位転落とか不穏なキーワードが並ぶ中でたまにこういう試合をやられてもね……ま、全部負けるよりは時々でいいからこういうのが見れた方が楽しいけどね。
  後輩からのメッセージで、投手の藤浪が満塁ホームランを打ったことを知り驚いたが、慌ててテレビを見ると大山がイニング2本目のホームランを放つ。その後も大山は安打を重ねて、最後は止めのスリーランホームラン。6打数6安打3本塁打7打点という記録的猛打もあって、阪神は横浜スタジアムのスコアボードの得点項目に20という数字を刻んだ。えてしてこういう試合の翌日は点が取れないものだと言われているが、阪神の場合それが顕著。明日は多分、完封負けだな(自虐的笑み)。
  そういや去年の最終戦、大山のシーズン最終打席のホームランの写真撮ったっけ。あれ、ちゃんとピントが合ってたらなあ……(カメラが熱暴走気味でオートフォーカスが役に立たなかった)。次行ったら、また打ってくれないかな。

(2018-67 09-03)


平成30年9月14日

ZとR

  共に漫画のタイトルの後ろに付いてそうなアルファベットだ。「Z」は『ドラゴンボール』(漫画じゃなくアニメだった)、「R」は『究極超人』(Rじゃなくて「あ〜る」だった)。漫画でピンと来ない人には車で行ってみようか。フェアレディZにGT−R。
  今日の話題はもちろんカメラだ。ニコンが発表したZシステムと、キヤノンのEOS Rである。共にソニーの快進撃に慌てふためいて計画より前倒ししたとされる、35mm判相当のイメージセンサーを搭載するミラーレス一眼カメラの新システムだ。なお、お気付きの方がいるかもしれないが、私は「フルサイズ」という呼称を「35mm判」という意味で使うことに抵抗感があるため、特に最近は意識して「フルサイズ」という語句は用いていない。この辺はまた後日。
  端からRを買うつもりはないので、話をするとすればZ。残念ながらスペックに特に魅力は感じない。実際触って使い心地を見てみないと分からないことも多いが、α7 IIIを買った後では「これじゃなきゃ」ということにはならないだろう。本体がやや高めに感じるし、レンズはそれに輪を掛けて高い。アダプターを噛ませてFマウントレンズを使うメリットは感じず、D810が壊れたときにはD850が買いたい、というのは先日から変わらぬ気持だ。
  ネットの評判ではZもRも厳しい意見が聞こえてくる。ネットの評判が売り上げとの間に強い相関関係があるかどうかは分からないが、カメラ雑誌等の紹介はメーカーに配慮して好意的な文章にまとめるからどっちもどっちである。実際蓋を開けてみないことには売れるかどうかは分からない。私が心配しているのは、ZやRが売れまくってαがまた没落すること。と同時に、Zがコケてニコンが没落するのも好ましくない展開である。私が望むのはソニーαとニコンの共存。使ってないのでキヤノンはどうなっても全く苦しゅうない。今のところ、一番贔屓はソニー、ニコンで、次点でオリンパス、フジフィルム。パナソニックはまああったらいいかな、一番興味がないのがキヤノンとリコーペンタックスだ。あ、ごめん、嘘ついた。一番興味ないのはライカだった(笑)
  まあ、そういうわけだから、Zにはそこそこ売れて欲しい。売れすぎてαからユーザーが離れても困るし、売れなくてニコンがコンシューマー向けのカメラから撤退するのもダメ。生かさず殺さずじゃないけど、絶妙な匙加減が望ましい。果たしてどうなるのか分からないけど……これ、売れるのかね? 私の目からすればやや心配。何てったって値段が高いのが致命的。Z6はα7 IIIより高く、Z7はα7R IIIより高い。おまけにレンズも高い。F1.8でこれかあ、って感じ(でもソニーも最初のツァイス高かった)。皆さん最初はマウントアダプターでFマウントレンズを使うんだろうな。一方で、α側から見て脅威なのがマウントの内径。Fマウント時代は小さなマウントだったが、今回はレンズ設計の自由度を高めるということでかなり大きなマウントを新規採用してきた。これが本当ならば、三者の中で一番マウントが小さいαが圧倒的不利。実際問題、純正レンズでF1.4より明るいレンズがαにはなく、ニコンとキヤノンはそこを突いてきている。ただ、マウント径が多少小さくてもF1.2とかのレンズは作れない事ないよね……? 実際フォクトレンダーブランドの40mm F1.2がEマウントで出ているし、設計が難しくなるかもしれないけどやってやれないことはないはず。
  私の素人考えだが、ソニーは苦しいはず。ソニーは元々シェアが高くなく、ニコンやキヤノンからユーザーを鞍替えさせていかなければない立場だった。ニコン、キヤノンがミラーレスに本腰を入れていない間にα7 IIIで引っ張り込もうとしていたはず。α7 IIIの発表時、「出し惜しみなし」を「この値段で」と言われていたものだが、私はこれをソニーの焦りだと受け止めていた。ZとRが発表されて、ソニーを検討していたニコンユーザー、キヤノンユーザーはどう考えただろう。多くのユーザーが、サードパーティー製のマウントアダプターより純正の組み合わせを選ぶはず。多少スペックが劣っていても、例え今は買わなくとも2代目3代目を待つのではないだろうか。私が初代α7やα7Rに飛びつかず、辛抱強くα7 IIIが出るまで待ち続けたように。となると、ニコンやキヤノンの一眼レフユーザーからの乗り換え組は、いなくはならないだろうけど、減少傾向に入るだろう。また、一度はα7シリーズを買った人が戻っていく可能性もある。重ねて言うが、これは私の素人考えなので、実際には新型機に失望してより積極的にα7シリーズに買い替えたりする人が出て来てもおかしくない。初動がどうあれ、2年3年、5年後と見て行けばどんな風になっているかは全く予想できない。何せソニーはソニーで、α7 III以降は新型のカメラを発表していない。半年以上の沈黙は、今のこの事態を見越しての次弾装填期間かもしれない。Z7は最近お決まりの品薄が予想されているらしいが、果たしてソニーの逆襲はあるのだろうか。
  なお、Z7が仮に市場で余り気味であっても、今度こそ衝動買いすることはない。α7 IIIの時にも言ったような気はするが、今度こそない。絶対ではないが、きっとない。もし買ってしまったら……黙ってようかな(こら)。

(2018-66 09-02)


平成30年9月7日

34時間の停電

  先日の台風21号で我が家も停電した。時間にして34時間。午後2時頃に停電して、一度電気が付いたものの1分もしないうちに再度消えた。復旧したのは2日後の日付変わった直後。寝室で寝ていて灯かりが付いたことに目が覚め、直後に時計を見たら0時5分だった。そこからまた一度照明が消えたのだが、ほどなくして再点灯。ようやく日常が戻って来た。近所に住む長姉の家は12時間後ぐらいに復旧していて、そして両親と次姉の家も私のところよりいくらか早く電気が付いたらいい。同じ市内でもまだ電気が戻ってきていない場所もあり、かなり細かく直して行っているようだった。
  台風の風は凄まじく、停電も止む無しといったところ。長姉の家でテレビのニュースを見せてもらったのだが、尼崎はまだいいほうで、大阪は風で車が飛ばされるなどかなり酷かったようだ。事前にかなり強いとは聞いていたが、正直に言うと見くびっていた。停電直後は「夜までには直るやろー」と楽観視して、暗くなった家の中でも比較的明るい場所、玄関前で窓の外を観察していた。扉が風で煽られて、まるで外から誰かが扉を無理に開けようとするような音がしていた。1時間少ししてようやく、このまま夜を迎えることを想定し、懐中電灯の場所と電池の確認。元々普段から懐中電灯を使うことが多く、また電池もエネループがそれなりの数ストックされている。懐中電灯は灯かりとしては役に立つが、照明としては使いにくい。ということで、カメラのホットシューに付けて使うLEDライトの出番がやってきた。そのままでは自立しないので、E-PM2にセットし、さらに状況に応じてE-PM2を三脚にセットするつもりでいた。この「E-PM2+LED照明」は、画像で侃侃諤諤用の写真を撮る時にも使っている。さらに、台風通過後、暗くなる前に古い家に置いてあったLEDランタンも回収。このLEDランタン、ある日机の上から床に落としてしまい、電池蓋が壊れてしまった。発光部や回路自体は無事で、電池を入れて蓋を手で押さえれば明るく光る。「何かに使えるかもしれない」と捨てずに置いてあったものがまさか本当に役に立つ時が来るとは。ずっと手で押さえるのも面倒なので、セロハンテープで固定。今回、停電の夜で主力となってくれた。他、ダメだったのが足元灯。充電電池が完全に劣化していて、スイッチを操作したが全く光らず。充電電池は今や懐かしさもあるNi-Cd電池の専用品。ストックはないし、あったとしても充電していない。それから、非常用の手回し発電機とラジオが付いた懐中電灯もあったが、これもバッテリーが弱っていたらしく、発電した直後はそこそこ光るが蓄電はできず。翌日明るいときにソーラーパネルに太陽光を当ててみたのだが、夜スイッチを入れると本当に弱弱しくしか光ってくれなかった。というわけで、LEDランタン、カメラ用LED照明、懐中電灯2本、この4つが夜のお供となった。
  スマートフォンの電源がやや心許なかったが、数か月前に某Jから始まる家電量販店の通販のセールか何かの時に「1つあっても困らんやろー」と買ってみたモバイルバッテリーがあった。充電状態が気になったが、幸い半分以上残っていた。あまり使っていなかったのだが、買っておいて良かったと思う。まあ、暗い部屋の中でスマホの画面ばかり見ていても目に悪そうなので、夜になったらさっさと寝るつもりではいたのだが。ついでに言うと、停電で無線LANルーターも動いていない。Wi-Fiではなく4G回線を使うことになり、普段家の中では気にすることがない通信容量の問題が発生する。俗に言う「ギガが減る」というやつだ。この表現、もっともっと若い世代が使うもんだと思っていたら、先日2歳年下の後輩が口にしていて驚いた。ちょっと違和感のある言葉なのだが、イメージとして分かる面もあり、今後はもっと膾炙していく気がする。
  夜、LEDランタンが万が一突然切れた時のために、何かぼんやりと光り続けてくれるものがあればいいのにな、と考えた。「ぼんやりと」というのは、つまり一晩中光り続けても電力を使い果たさないようなそんなもの。予備の電池や第二の灯かりをその周りに固めて置いておけば、一つが切れても次へ繋げることができる。こういう時のためにLED工作をしておけば良かった……と思ったが後の祭り。今から作ろうにもはんだごては家庭用100V交流電源がないと熱くなってくれない。そこで考えたのがスマホと携帯電話の通知ランプ。わざと通知がある状態にしておけば、画面がオフの時でも光を発し続けてくれる。ところが、携帯電話のランプはダメだった。点滅して光るのだが、光る間隔が長すぎるのはさておき、一瞬だけ光るその光が暗闇の中では神経を逆なでする。スマホの通知ランプも、スマホを操作しているうちに何故か光らなくなり(操作したのなら通知も見ただろう、通知あるのは分かっただろう?ということか)、いちいち再度通知がある状態に戻すのも面倒だった。最終的に「LEDランタンは急には消えない、セロハンテープは頑丈だ」ということにして諦めることにした。結局は、足元灯の状態を確認しておかなかったのがいけなかったということだ。
  うちは幸い、水道は無事だった。ガスはオール電化なので元からない。両親や次姉の家のガスは無事だったが、給湯器は電気で動くようでお湯は出ず。うちも当然お湯はなく、お風呂は断念……のはずだったのだが、まだ暦上で秋になったばかりで室温はそこそこ高く、水でもいいからシャワーを浴びようと浴室に入ったところ、何とお湯が出てきた。停電時でもお湯を供給してくれるエコキュート万歳。電気的ではなく機械的にお湯の温度を調整していたのか。
  翌日、目が覚めたが電気は復旧していなかった。この時点で18時間程度経過。こんなに長い停電を経験するのは初めてのことだった。天気は良く、窓から入ってくる光は強かったが、雨戸は締め切ったまま。電動式なので開けられないのだ。非常時には手動で開けられるのだが、一度手動にすると元に戻すのが大変らしい(やったことがないので分からないが)。どちらかというと脱出用途で使うものであり、今回はそこまで切羽詰まっていないので薄暗い中で過ごすことに。停電が続くことを考え、エネループやスマホ類の充電をすることにした――停電なのにどうやって? 「天気がいい」というのがポイントで、屋根に載せた太陽光発電パネルが仕事をしてくれている。太陽光発電システムのスイッチを切り替えると、備え付けのコンセントから直に給電してくれるシステムなのだ。これを使うのは初めてで、使い方も覚束ない状態でコンセントを繋いだのだが、無事充電を知らせるランプが点灯。供給電力量にも問題はなく、とりあえず使えそうなものを一通り充電。
  そのまままさかの二晩目の暗い夜に突入。あと何日続くのかとうんざり。ちなみに冷凍庫のアイスは1日目の夜でアウトに。2つほど食べたが、それ以上は翌日お腹を壊すと思ってゴミ箱行きに。シャワーのお湯も、まだ出てきたがさらに翌日にはどうなっているか分からない。タンクに貯まったお湯がなくなればあとはもう水しか出ないし、タンクの湯温も徐々に下がってきているはずだ。やることないし、そろそろ寝ようと思った矢先に次姉から電力復活のメッセージが。部屋はLEDランタンの灯かりのみ。部屋の照明のスイッチを押したが反応なし。窓の外から周囲を見たところ……確かに次姉の家の近くの街灯が灯っている。たった道一本隔てるだけで電力システムとしては別区画なのか……。「こっちはまだ」と返信を打ち込み不貞寝する。
  夢の中で何やら騒がしい声を聞いたような気がする。作業員が掛け声を掛け合いながら、エンジン音や機械音を伴った作業をしている。部屋の照明が明るく灯り、私は目を覚ました。空調が止まった中、少しでも涼しいかと開け放った窓の外から作業車の音や人の声が聞こえてきた。照明は再び消えたが、私は道路に面した窓の方へと駆け寄った。家のすぐ近くの電柱の前に作業車が止まっていて、電柱に照明を当てて作業員が復旧作業をしていた。「あとちょっと」、希望の光(大袈裟な)が再点灯したのは1分後だったか2分後だったか。
  近所のスーパーでは明らかに陳列の棚に空きが目立ち、特に水とお茶は2リットルのペットボトルが1本も残っていなかった。近所でも停電のままの区画はあり、食事をしに行こうとした先はまだ灯かりがなかった。多分、最近ちょっとご無沙汰気味のカメラ屋も休業していることだろう。日常が戻って来たと思ったが、看板が倒れたままになっていたり、最寄りのコンビニが休業中だったり(周囲は復旧したのに何故かそこだけ電気が来ていない)、少し離れるが関空のダメージは甚大だ。まだまだ台風の爪痕は深く残っている。
  台風酷かったなあ、でも大阪府よりはマシだったのかなあ、そう思っていたら今度は北海道で大地震。大阪地震で体験した震度5弱なんて可愛いものだった。こないだの兵庫のマグネチュード3.3の地震の震源地は、私の住む場所のほぼ直下。3.3だから良かったものの、震源地のあまりの近さにビビってる(と言う割には台風による停電を甘く見ていたのだが……)。にしても、日本の国がどんどん満身創痍になって行くなあ。

(2018-65 09-01)


▲ 過去ログ一覧へ ▲ ▲TOPページへ▲