橘雪翼の、侃侃諤諤喧喧囂囂

平成24年3月上旬分

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平成24年3月10日

  先日電車の中でボーっと広告を眺めていたのだが、「オリジン」が「オニギリ」に見えた。きっとお腹が空いていたのだろう。

*1 オリジン→Origin
*2 オニギリ→Onigiri


平成24年3月9日

  プロ野球の話題。今年からセ・リーグでも予告先発制度が導入されるらしい。噂によると「阪神有利」らしいが、多分それでも(以下略) 阪神有利の根拠は、今年捕手が無理で一塁手をやるという城島と、元々一塁を守っているブラゼル。打席が右と左なので、相手先発によって使い分けが出来る……というらしいのだ。一般的にプロ野球の世界では、右投げ投手には左打ちのバッターの方が有利、左投げ投手にはその逆とされている。特に左対左は、左投げの絶対数の少なさから来る慣れの問題があり投手側有利と言われている。が、たまに左投手のほうが得意な左バッターがいるし、左のくせに右打者が苦手なピッチャーもいるんだとか。なのに、相手投手の左右に合わせて半ば機械的にスタメンを替えたり、代打を選んだりする監督もいるようで……。まあそんなわけだから、相手の投手の利き手に応じて城島とブラゼルを使い分ければ云々で阪神は有利らしい。これを聞いたあなたはきっとこう思ったはず。

「ホントかな〜」

理論上は本当のはずだけれど、それでもあまり勝てる気がしないのが阪神タイガース。そしてブラゼルに外野を守らせる案まであるらしい。そうなると一番中堅マートン、二番二塁平野、三番遊撃鳥谷、四番三塁新井?、五番左翼ブラゼル、六番一塁城島……なんて打線もありえるわけだ。元々左翼は金本が守ることも多く、「穴」だっただけにブラゼルに代わったところで大きな違いはない? ただ、肩は弱くとも生粋の外野手金本の方が、飛球に対する守備力ははるかに高そうに思える。金本は走ってボールを追い掛けられそうだが、ブラゼルはあまり走れそうにない!(笑) あと、ブラゼルの一塁守備は結構定評がある。そこを城島にすると「穴」にならないか? タダでさえ三塁からの送球が怪しいのにね。一塁城島にするんだったら、三塁手は捕るのも投げるのも上手いやつが守らないと投手の負担が大きくなりそう(自身が打たれたのならまだ納得が行くが、三塁ゴロのエラー出塁が続出したら投手は普通キれる)。じゃあ三塁に誰を守らせて打順はどうするんだ?になる。大和って三塁守れないのかな? 打棒は好調らしいから、六番か七番で三塁大和。四番は一塁城島か左翼ブラゼル。元四番は、去年の打点王ながら去年の併殺打王でもあるらしく、ついでに得点圏打率が悪かった。つまり、前に走者がたくさんいるから何やかんやで打点が付いたけど、その実打点王に相応しい迫力がなかったというオチがあったらしい。だからこの際、四番三塁を明け渡して、三塁は守れる人、四番はブラゼルか城島に、というわけである。
  以上、いろいろ書いたけれど、変なことは考えずに一塁五番ブラゼルでいいような気がするんだけどね〜。城島? 怪我が完全に癒えたわけでもないんだから、無理やり使うこともないような。そういや捕手は藤井も怪我したとか。だから狩野とか中谷とか外野手に転向させずに捕手やらしときゃいいのに……。外野守らせて(敵ピッチャーが)ちびるほど打てるんならまだ分かるけど、結局なんか中途半端で終わってる気がする。ま、何にしてもそれが阪神タイガースらしいっちゃあらしいんだけどね。


平成24年3月8日

  今鉄道模型界で、Nゲージ3大メーカーと言うとおそらく「トミックス」「カトー」「マイクロエース」になるかと思う。以前はマイクロの代わりにグリーンマックスだったのだが……。そんな3大メーカーながら私が嫌っているのがマイクロエース。理由を挙げると話が長くなるので割愛するとして、嫌ってる割には私のNゲージ棚の少なくないスペースを占めていたりする。そこまで嫌ってなかった時代に買い溜めたんだよ……(言い訳)。まあそんなわけで、現在「マイクロエース不買運動」なるものをしている。具体的には、「マイクロエース製品を”なるべく”買わない」「マイクロエースが嫌いと公言する」の2つかな。「マイクロエースの欠点を挙げる」というのもあるのだが、残念ながら私は「トミックスの欠点を挙げる」こともあるし「カトーの欠点を挙げる」こともあるし「グリーンマックスの欠点を挙げる」こともあるし「ワールド工芸の……しつこいからこの辺にしておくけど、やっぱりどこのメーカーでも一長一短あるからね。マイクロエースにもいいところはあるけれど……。ともかく、
「マイクロエース製品を”なるべく”買わない」
これが重要だと思ってる。ポイントはもちろん「なるべく」の部分(笑) たまに買う。他メーカーがぜ〜〜〜〜ったい出さないような車両が出たら……ど〜〜〜〜〜しても欲しくなっちゃうこともあるからね。去年も何だかんだで6セット”も”買っている。我ながら堪え性ないなあ。ちなみにこのメーカー、コンスタントに新製品を……コンスタントというのはどれぐらいかというと、毎月必ず10種類程度の新製品を発売する。一時はもっと多かったような気もするが、最近再生産をするようになって若干新製品の数は減った。それだけ新製品が出てくりゃそりゃー欲しい物が中に混ざってる確率も高くなるわ(自己弁護)。手帳の記録によると、一番長かった不買期間は……平成21年の7月から平成22年の6月まで。実はこの時、もう少し長く連続不買期間が伸びる予定だったのだが、南海電鉄の某をうっかり買って途切れてしまった。悔しい! その後また数ヶ月おきにぽつぽつと買ってしまい……かなり反省して去年の9月を最後に買っていない(ただ単に欲しい新製品がないだけという説も)。マイクロエースは5ヶ月先の新製品を発表するので、2月時点での新製品予定、7月予定分までは不買運動が続きそう! 7月予定だけど、最近少しずつ遅れが発生しているので、8月までは大丈夫かな。ということはあとちょっとで不買期間が1年になるぞ!

  ――って思ってたんだよね

今日発表されたらしい8月予定の新製品。リストを見て「順調」に欲しい物がないと思っていたら……後半に

・国鉄103系 1次改良車 非冷房 スカイブルー 東海道緩行線 7両セット

繰り返すまでもないが、103系は私が最も好きな鉄道車両である。しかも東海道緩行線の7両セットというのは、私が鉄道を好きになった原点となる編成。例えていうならストライクど真ん中打ち頃の半速球! あ……マイクロエースが製品化するということは「打ち頃の半速球」じゃなくて「苦手な緩いカーブ」ぐらいかな。
  というわけで欲しい。かなり欲しい。とてつもなく欲しい。だから今「買わない理由」を探している。まず1つめ「マイクロエースだからやめておこう」。これ、弱い。さっき書いたようにマイクロ製品であっても欲しければ買ってしまっているのだ。だから弱すぎる。2つめの理由……マイクロエースの103系は車高が高くてかっこ悪い。うん、これはいい理由だ。3つめ、非冷房という設定が良くない。模型にクーラーが付いていようがなかろうが今いる部屋の温度は変わらないのだが、何となく冷房装置のない車両は暑苦しい。だから却下……って、旧型国電に冷房付いてなかったような気がする(汗) 実は今ハマっている欧州車両も非冷房のがあったりする(向こうは涼しいこともあって冷房化の進みが遅め?)。うーん、これはちょっとこじつけが酷いか。4つめ、高い。現在4大メーカーで一番値段帯がアレなのがグリーンマックス。世間では「その割りにクオリティが一番下」と言われているが、プラスチックの成型技術は少なくとも最下位ではないと思う。で、2番目にアレなマイクロは、ここ2〜3年でじりじり値段が上がってきてあと一歩でグリーンマックスに並び追い越しそうな雰囲気。今回の103系も何か妙に高い。ただ、高いといっても欧州型よりははるかに安いんだよなあ……。マイクロ製品買うぐらいなら欧州型のコレクションを増やした方が!と言いたいところなんだけど、今回のマイクロ製品はなんといっても103系。「腐っても鯛」みたいな感じで「マイクロだけど103系」。
  かつて、マイクロエースの新製品発表直後にカトーやトミックスが同じ車両の模型化を発表したことがある。JR九州の「ゆふいんの森」やJR東海のしなので活躍する383系など。先月マイクロエースは、かつて国鉄時代に走っていた荷物列車の模型化を発表したのだが、今月に入ってカトーも荷物列車の製品化を発表している。何が言いたいのかというと、トミックスかカトーが103系の新規製品(*1)を発表しないかなあ?ということ。そうなればマイクロエース製品など綺麗さっぱり「なかったこと」にできる(笑) ただ、トミックスの系列会社トミーテックが「鉄道コレクション」にて103系3000番台を発売予定。3000番台とノーマルのとで違うといえば違うのだが、それでも鉄コレで作る以上、同じ「103系」をトミックスが製品化することは期待できなさそう。となると望みはカトーしかないのだが、私はとある点でカトーが嫌いなのでトミックスによる製品化を切望していた。他の形式はともかく、103系だけはトミックスの手による決定版が出て欲しいと願っていた。いや、今も願って止まない。最後にグリーンマックスだが、残念ながら世間一般の評価を見る限りグリーンマックスが後追いしても売れない。それはグリーンマックス自身が感じているらしくて、仮に内部で製品化企画が進行していても「え? マイクロが作るの? じゃあやめとこう」になる可能性が高そう。いや、私はグリーンマックスから発売されたらそっちを買いますがね。でもそんな人少数派なのですよ……。
  結局のところ、マイクロエース製品のクオリティが問題なんだよな。私が「嫌い」とか「不買運動中」とか言う原因がそこにあるわけで。いいものを作っているのなら毛嫌いすることなく、今回も喜び勇んでお店に予約しに行けるのに。現状、買わない方向に心は動いているけれど、今までのことを振り返ってみると……8月か9月に思わずお店で「これ下さい」って言ってる可能性は決して低くないなあ。

*1 なお、両社ともに103系を過去に発売している。というか、カトーは最近も新パッケージで再生産してるけどね。ええと、設計が古いのだよ……。設計古い製品は割と新しく作り直している印象のある両社だけど。


平成24年3月7日

  Nゲージ鉄道模型の金属キットを発売しているキングスホビー、少し前に公式サイトにアクセスしたら「一時休業のご案内」が出ていた。詳しい事情は書かれてないのだが、「一時」なのでそのうち再開するつもりはあるようだ。私はあまりキングスにはお世話になってないが、それでもたまに欲しいものを見つけては買って組み立てている。キングスにしかない車両も多いので、万が一このまま廃業になったりするとかなりつまらない。そういえば私のハンダ付け第一号はキングスのスハフ43だったなあ……万が一潰れてしまうとかなりショックだ。Nゲージ界は(というか全体的に?)完成品主流でキットは売れないと聞くが、同じ金属キットのワールド工芸はどこ吹く風で毎月新製品を送り出している。業績不調による休業ではないと思いたいところなのだが……。


平成24年3月6日

  せっかく雨がやんだと思ったのに、週の後半また崩れてくるらしい。雨が降ると素振りができない(*1)し、バッティングセンターにも行けない(*2)。ああ、あと写真撮るのにも向かないし塗装もできないなー(取って付けたかのような発言)。ええと、塗装……塗装ね。いや、あんまり進んでないんだよ、模型製作。今パンタグラフ周りの配管やってるんだけど……何か、こう、テンションがね。毎日ちょっとずつ進んでるんだけど、どこかでペース上げないと完成が月末ぐらいになってもおかしくない。時間かけすぎだ(苦笑) 写真のほうはもう全然だね。

*1 雨天強行すれば出来なくもないが、バットが濡れるので良くない(*3)。雨に打たれるのは趣味じゃないしね。
*2 自転車で行ってるので、雨天時は安全面を考慮して自転車に乗らない橘雪翼には無理。
*3 木のバットは濡らしたくない。金属バットは持ってない。


平成24年3月5日

  いつも見ているホビー系通販サイト(*1)で、『バットマン』のフィギュアを見てちょっと欲しくなった。バットマンご本人じゃなくて乗り物の方。画像を見る限りでは映画のそのまんまのリアルさ! 同じシリーズのバットマンフィギュアを乗せることもできるらしい!

  ――定価5万円近く

えっ……? そんな高いん…………買われへんやん( ̄□ ̄|||
(↑久々、そして定期的?に登場する顔文字)

詳細を見て納得。スケールが1/6。Nゲージの約25倍(*2)。鉄道模型であれば、遊園地等にある人が乗れるぐらいのサイズになりそう。そのバットマンの車も全長73センチ、人は乗れないが模型としては充分大きい部類に入る。重量もそれなりで、私がいつも素振りに使っているバットよりも重い(*3)。ということで値段に納得が行く。同時に、大きすぎて買っても飾るところに困ることも判明。私はそんなに熱心なバットマンのファンではない。潔く諦めることができて良かった良かった(笑)
  ちなみに、そのサイトのブログによると
「5万円を切るコストパフォーマンス」
(但し、私がちょっと欲しくなったやつじゃなく、映画の新作で出てくるという新しい車のモデル)
らしいです(笑) 多分これはアレだ。Oゲージの500系新幹線の先頭車が10万ちょいで発売されて、私が「これは素晴らしいコストパフォーマンスだ!」って興奮してたのと同じことだろう。ちなみにクマタの500系新幹線は、たまに思い出しては「欲しいな欲しいな」と悩んでおります。悩むのはいいとして、まだ売ってるのかな……?

*1 いつも見ているが実際買い物したことはない。一度買い物しようと注文したのだが、「ごめん在庫なかったわー」で済まされてしまっている。それ以来、通販サイトとしてよりも情報サイトとして橘雪翼に便利に使われている店としてはやや悲しい状態。
*2 「Nゲージは1/150だからぴったり25倍だろ?」という突っ込みありがとうございます。新幹線や海外の多くは1/160なので、25倍と書くとそっちで突っ込まれそうだったので「約」なのですよ。
*3 私が振ってる”バット”はこうもりとは関係ないですよ。


平成24年3月4日

熱狂的なサンディ

  今週の月曜日から――世間一般では一週間の始まりは「日曜日」のことが多いらしいが、私は”月曜派”である。例によって私は聖書に書かれていることなど信じてはいないが、それでも七曜の意味を考えれば「月」から始まり、休息の日の「日」を最後とすべきだ。

  ――えーっと

今週の月曜日から意味不明な見出しが付いている。これ、既に皆さんお気付き



なわけがなく……気付く気付かないの前の問題で、普通は知らない(笑) 先日読み終わった森博嗣の小説『数奇にして模型』のチャプタータイトル(森博嗣なら「チャプタタイトル」と書くんだろうなあ)をもじったものである。私は月曜から今日、日曜日までの七日間にしたけれど、小説は土曜日から始まる一週間だった。

「土曜日はファンタジィ」
「日曜日はクレイジィ」
「月曜日はメランコリィ」
「火曜日はバラエティ」
「水曜日はドリーミィ」
「木曜日はミステリィ」
「金曜日はクリーミィ」

「月曜日はメランコリィ」の前後を入れ替え、それに伴い月曜日を英語(カタカナ)に、メランコリィを日本語にして「憂鬱なマンディ」としたわけである。
  ずっと前にも話題にしたが、森博嗣は外来語の語尾を伸ばさない。「コンピュータ」「モニタ」「プリンタ」――これぐらいならまだ一般的だが、「マイナ」(マイナーリーグのマイナーだ)「コーヒーメーカ」(流石にコーヒーは伸ばすようだ)ときて、どうしても伸ばした感じじゃないといけない場合は「ファンタジィ」と最後に「ィ」を付けたりする。逆に私は伸ばす派で「コンピューター」「モニター」「プリンター」「ファンタジー」「クレイジー」以下略である。伸ばさないほうが英語の発音に近くなるようだけど、「コンピューター」も「モニター」も「プリンター」も「ファンタジー」も「クレイジー」も(以下略)英語じゃないもんね。外来語というカテゴリーの日本語だもんね。日本語に馴染む発音、表記でいいじゃないか。
  なんだけど、今回は敢えて「マンデー」ではなく「マンディ」としてみた。一種のパロディーなので、原題?どおりの森博嗣式にせねばならんだろう、ということだ。一番困ったのは「クリーミィ」。和訳しようにも「クリーミー」は「クリーミー」としか言いようがない。仕方なく「柔らかく滑らか」という、無理やり感漂う苦しい辞書的な表現で対応した。そんなわけだから、私は特に月曜日に憂鬱だったわけでも、火曜日が多様だったわけでも、水曜日は夢心地だったわけでもないし、もちろん今日も特別熱狂的なわけでもありません。普段から何かと熱狂的ではありますが(笑)


平成24年3月3日

幻想的なサタディ

  キヤノンのフルサイズCMOS搭載の新型一眼レフが発表されたらしい。プロ向け1Dシリーズではなく、ハイアマチュア用5DシリーズのMarkIII。ファインダー視野率が100%になったあたりがフィルム時代と違うなあ(*1)。ニコンの300Dや800Dに対抗意識を燃やしたのかどうか知らないけれど、技術の向上で視野率100%にするコストが低減されたか、あるいはそれを求めるユーザーが多くなったのか。フィルム時代のプロ機は、ちょっと熱心な人なら買えなくもない値段だった。ところがデジタルのプロ機は本当に値が張る。フィルム時代にプロ機を買っていた人でも、デジタルのプロ機を買ってる人はなかなかいないんじゃないかな(この辺りはメーカーや店に聞いてみないと分からないが)。その一つ下の機種で我慢しないといけないアマチュア写真家が増え、するとファインダー視野率の不満が出てくる。そこでメーカーも、じゃあハイアマチュア向けの機種もファインダーを100%にしましょうか、という流れになったのかもしれない……という私の勝手な想像。あと、フィルム時代はプリントの際に周囲がいくらかカットされていたが、デジタルは写したものをパソコン画面で見る時、ノーカットになる(プリントするとこれまた周囲が少しカットされるかもしれないが)。写った物が全部見えてしまう以上、フィルム時代よりもファインダー視野率に神経質になってもおかしくない。いくらファインダーの視野率が100%でも、撮影時に画面の隅から隅まで仔細にチェックできるかと言うとそうでもないのだが(笑) それに、プロじゃあるまいしアマチュアがそこまで気にしてどうなんだ、という突っ込みはあるかもしれない。しかし、実益に関係するかしないではなく、「楽しい」か「楽しくない」かに関わってくる。視野率が100%だと、何となく楽しく思えるのがプロ未満素人以上の趣味人というものなのだ(笑)
  そういやファインダー視野率100%のギリギリ買えそうな値段の高級機、を最初に発売したのはソニーなんだよなあ。α900、あれから何年経ったっけ? 結局後続らしきものは発売されず、ソニーの独自路線を歩んでいる。あまりにもマイペース過ぎて、世界で取り残されたガラパゴスニッポン、の縮図を国内カメラ勢力図で再現しているかのようでもある(ソニーはミラーレス一眼やコンパクト一眼の世界では存在感あるらしいが)。とりあえず、デジタル化する際にはソニーから脱却するのが決定しつつあるんだけど、レンズ資産がパーになるのが痛いよなあ。フィルムが半永久的に残ってくれたら嬉しいんだが。

*1 フィルム時代は「視野率100%はプロ用」と断言できたんじゃなかろうか。
*2 ちなみに、橘雪翼がこよなく愛するα-9(フィルム機)の視野率は100%。同じくこよなく愛するOM-3Ti(フィルム機)、4Ti(フィルム機)コンビは……何パーセントだっけ? 良くて98%、悪いと95%ぐらいだったかも。3Tiと4Tiはそこがちょっと残念。ちょっとだけね。デジタルでは、DiMAGE A1が100%だったはず。光学ファインダーじゃなく電子ファインダーだからね。ライブビューを含む電子ファインダーは、視野率100%が簡単に出来るんじゃないだろうか。スペック表見てないから分からないけど、ひょっとすればひょっとすると、最近の機種であればコンパクトカメラですら全部100%かもしれない。


平成24年3月2日

柔らかく滑らかなフライディ

  先日からずっと心はあっち(欧州主にスイスの鉄道)に行きっ放しな私だが、最近ふと「欧州の鉄道について説明した本はないものか」と思い始めるようになった。動画サイトで得られる情報は外観部分がほとんどで、ファンサイトを探しても日本語で得られるものは限定的である。日本の鉄道模型メーカーならばカタログに丁寧な実車紹介を載せたりもするが、海外メーカーのカタログは簡素な感じがする(それが日本語で書かれていないからそう感じるだけかもしれない)。タダで知識を得ようとするからいけないのであって、ここは2〜3冊、場合によっては10冊単位で書籍に投資してみようではないか! ところが、やっぱりあんまり売られている気配がしない。旅行にからめての本は相当数あるのだが、やはり鉄道そのものの解説本というのは日本国内のものに比べて少ない。特に、車両についてとなるとかなり絶望的。私は旅行がしたいのではなくて、鉄道模型で欧州の鉄道を楽しみたいのだ。必要な知識は車両のタイプや編成、あとは少しの運用例。とはいうものの、そこそこ面白そうな本はいくつかあったのでリストアップ。全部近くの本屋で注文(*1)したろか、と思ったのだが、流石に全部買うと模型の機関車が1台買えてしまいそう――さっき「10冊ぐらい本を買ってくるか」なんて宣言してた人間のセリフとは思えないケチ臭さだな(笑) まあともかく、近くの本屋に売ってないか『有限と微小のパン』を買うついでに探してみた。近くの本屋、そんなに大きくはないがちゃんと鉄道書籍コーナーがあるのだ(*2)。そしたら、一番最初に買おうと思ってたものが並んでいるではないか! 偉い! というわけで、『有限と微小のパン』と一緒にレジへ持って行ったのである。
  書籍の題名は『ヨーロッパおもしろ鉄道文化』、新書版で『有限と微小のパン』(しつこいな……)に比べるといささか厚みに欠ける本ではある。残念ながら鉄道模型で遊ぶ際に役立ちそうなマニアックな車両知識は書かれていないが、それなりに面白くて一般受けはしそうな内容である。車両知識に関係するところは知っている話が多くて、旅行知識に関しては知らない部分が多かった。多分欧州鉄道紀行なんてしないと思うから役に立つ日は来ないような気はするが。一点、模型をやっていて非常に強く疑問に感じていたことが解決した。日本の旅客鉄道であれば、ほぼ全列車の最後尾は乗務員室になっている。車掌が乗っていて、後から列車の安全を見守りながら時には乗客のお世話を焼いたり、あとは不良乗務員が携帯電話で遊んでいて客に見咎められて新聞記事になったりする、そういう場所である(後半なんて説明なんだ)。模型で遊ぶ時も、もちろん最後尾には乗務員室がある車両をそっちに向けて繋ぐ。例外は一部の客車特急。旧型車両の特急列車には展望車を繋いだものがあり、それらは乗務員室ではなく展望室が最後尾になる。有名どころでは「トワイライトエクスプレス」。列車の向きにもよるが、高嶺の花のロイヤルスイートが最後尾を飾る。それらの例外を除き、最後尾は乗務員室が来る。ところが、である。外国型車両の客車には……乗務員室があると思える車両がない。これまた例外で、きっかけとなったIC2000は運転台付きの車両があるので最後尾(最前部に来ることもある)には困らない。ところが、そういうのではないごく一般の客車の場合……どの車両を見てもそれらしきスペースがない。最後尾は他の車両が繋がっていれば乗客が行き来できるであろう貫通扉丸出しで、これじゃ昭和初期の日本の鉄道じゃないか……と思いながら模型を運転したりしている。動画を見ていても、こんなのでよく人が落ちないなと心配になる。それでもまあ、外観からは分からないだけでどこかに車掌が乗ってる場所があるんだろうな、と思っていた。

  ――残念でしたー

「ない」そうである。道理で。そう解説されたら何か納得。じゃあ車掌は勤務中、列車内で仕事が一段落したらどうしているか。洋式トイレに籠っているそうである――なんて嘘を書いたら国際問題になるので控えておくとして(全然控えてないじゃないか)。空いてる席に適当に座ってるらしい。混んでたら流石に立つらしいけど、そんなんでいいのか? 日本とは考え方が違うということなんだろうなあ。
  他、日本とは異なるヨーロッパの鉄道文化が書籍タイトルを裏切ることなく詰め込まれた一冊。欧州の鉄道はいいなあと思ったり、日本人で良かったなあと思ったり、日本に生まれて良かったなあと思ったり、日本に住んでて良かったなあと思ったり――って結局日本の方がいいと思ったんかい! まああれだ、日本式で慣れてる上にほとんど海外行ったことないから「生むより案ずるが難し」になっちゃうんだよ。
  最後に、この本のあとがきについて。鉄道ブームがやって来たけど、みんなの視線は国内ばかり。”引き篭もり”になってないか?というような主旨。余計なお世話だよ(笑) 日本と言う地理が幸か不幸か島国根性なんてものを生み出して、それが日本人の古くていいか悪いか分からない体質であり伝統なんだから。大体趣味、遊びなんだから国内編重でもグローバルでも構わないじゃないか。欧州に出かけようとしたらお金も時間もかかるし、欧州型鉄道模型を楽しもうとしたら国内のに比べてお金もかかるし入手もしにくい。自国の鉄道を愛でるのがちょうどほどよい余暇なんだよ。と、今はまってる最中の人間が言っても説得力の欠片もないという(笑) 真面目に書いておくと、あとがきの最後に「わが国の鉄道の健全な発展のためにも」から始まる一文がある。”たかが一介の鉄道ファン”が何をすれば交通機関の発展に寄与するんだろうか。そういや以前、どこかの大学サークル(私がかつて在籍してたトコじゃあない)が声明文で何か大きな事を言っていたのを思い出す。鉄道趣味活動の成果を社会に還元するだか何だか。いや、僕らやってるのあくまでただの趣味ですから。社会に貢献するとか発展させるとか、そんな偉そうなもんじゃないです――と、自分が言ったんじゃないけど慌てて取り消したくなるような恥ずかしい文言だ。鉄道に限らず、マニア連中というのはほとんどが良くも悪くもマニア止まりじゃないだろうか。自分たちで思っているほどには世間に影響を与えているわけでもなく、偉業を成し遂げているわけでもない。つまりはよく言う「自己満足」の世界。もちろん、本人(たち)が楽しめるのならそれでいい。そのための趣味だからね。もっとも、一般的に日本人(の特に若者)がグローバルな視点に欠けているという指摘は確かにある。本書のあとがきがその流れで、「世界に目を向けよ」と言いたくなるのも分からなくはない。でもまあ、趣味なんだから人に何か言われてやるのは違うよなあ。せいぜい、こういう面白い本をたくさん出版して、本屋で多くの人の目に止まるようにするのが物書きの取るべき手段だろう。

*1 最近とある事情で、なるべく地元で消費せねばなるまいと強く心に思った次第。だから最近、本は全部地元の本屋で買ってます。
*2 この表現だと、本屋が大きくないのか鉄道書籍コーナーが大きくないのかどっちか分かりませんな。ええ、わざとこんな表現にしたのですよ。どっちが大きくないのかはご想像にお任せします……フフフ。


平成24年3月1日

不可思議なサーズディ

  『数奇のして模型』を読み終わった。読み終わったのは2日前なのだが、2日前は漫画の感想文を書いていて、昨日は昨日で昨日じゃないとダメな話があった。そういうわけで2日遅れの今日に話をするのである。第一の感想は「長かった」。第二の感想は「西之園萌絵は行動が猪突猛進すぎる」。第三は「米澤なのか米沢なのか」。
  話がやや唐突に始まったので少し丁寧な説明を心がけよう。『数奇のして模型』は森博嗣の小説で、S&Mシリーズの9冊目にあたる。S&Mは「犀川」もしくは「創平」のSと「萌絵」のMと思われる。「S&Mシリーズ」と発言して白い目で見られたことがあるので念のために説明している。世の中の人は「S&Mシリーズ」と聞いて何か思い当たることが他にあるのだろうか? そしてそれは白い目で見られなくてはいけないことなんだろうか? 「S&Mシリーズ」は、森博嗣のデビュー(森博嗣ならデビュゥと表記するところかもしれない)作の『すべてがFになる』から始まり、10作で完結するらしい。8作目までは割と順調に読んでいたのだが、9作目で急激に飽きたか何なのか自分でもよく分からないが、読むのを一時中断してしまい……多分2年ぐらい?放置してしまった。この『数奇にして模型』と、最終の『有限と微小のパン』は分厚い本なのでちょっと困っている。この点についての顛末は以前書いたとおりなので省略する。
  「S&Mシリーズ」の主人公は、ヒロインでもある西之園萌絵。一般の謎解きミステリーで言うところの探偵役は犀川創平で、大学の助教授をしている。もっとも、本人は事件に首を突っ込む気はあまりなく、西之園萌絵が好奇心丸出しで解決しようとして割を喰う?感じ。今回の事件では、最後に大立ち回りをすることになる。多分犀川先生は草食系男子を絵に描いたような文科系の人間なので、殺人犯との取っ組み合いとなると部が悪い。もっとも今回の殺人犯は、犀川助教授と同じぐらい草食系男子を絵に描いたような文科系の人間だったり。というわけで、こういうのを見るとやはり、人間ある程度身体を鍛えておくべきではないかと思うわけで。犯人は世間一般から言えばちょっと頭のおかしい人物で、モデラーでもある。私自身もモデラーなのでこういうのもあれだが、一般的なモデラーというのは部屋に閉じこもって、ずっと作業台に向かって座っているイメージがある。ほとんどの場合は運動は得意ではなく、好きでもないだろう。究極、太陽を浴びたら溶けてしまうんじゃないか?というぐらい日の光が似合わないかもしれない。そういう人間と格闘する羽目になったときに困らない程度には筋力を付けておくほうが良さそうだ。まあ普通の人生を送っていて、殺人犯と格闘するシーンなんてほとんどないだろうし、その殺人犯が幸運にも色白でひょろ長のもやしタイプである可能性も低いだろう。おまけに「少しは強くなっておくべき」だなんて発言して、皆が皆それを実行してしまうと相対的には立ち位置が変わらないので、心に秘めておくべきだろう。ええと、話が脇道を行き過ぎてしまっている。好奇心の塊で危険な目に遭った西之園萌絵。ごく普通?の女の子でお嬢様なんだからもう少し自重したほうがよろしいかと。これが水原可奈(*1)とか七瀬立樹(*2)ぐらい強ければ何ら問題ないんだけど。
  米澤というのは本の最後に「解説」を書いた人なんだけど、目次では「米澤」、実際の解説ページでは「米沢」になっている。編集部の人が間違えたのか、ご本人は気にしていないのか。参考までに、某漫画の主人公の都澤さんは「澤」の字に非常に拘っている、という設定になっている。
  「S&Mシリーズ」の途中から、事件のトリックがやや投げ遣りになりつつある。今回も「犯行はこの人じゃないと無理」と最初から指摘され、警察にマークされていた人が犯人だった。一般的なミステリーであれば、鍵のかかった部屋の中に、被害者と一緒に”気を失って”倒れていたらまずもって犯人じゃない(『金田一少年』で一度そういうことはあったかな)。ま、もっとも、真犯人と一緒の部屋で死んでた被害者に関しては別の犯人がいたけれど。事件を複雑化させた「謎」の部分も、犯人の綿密な計画と工作、トリックによるものではない。「成り行き任せに行動していたらそうなっちゃった」風である。少し前に漫画『C.M.B.』で、主人公榊森羅がピラミッドの謎について「実は行き当たりばったりだったんじゃないか」との見解を示すシーンがあったのだが、それを思わせる展開である。事実は小説より奇なり、という表現があるが、小説は事実より行き当たりばったり、ということなのだろうか。そしてその行き当たりばったりに、犯人のほんのちょっとした「異常性」を加えることで一本のミステリーに仕立て上げる。これが森博嗣の真骨頂なのかもしれない。

*1 ミステリー漫画『Q.E.D.』のヒロイン(高校生)。どういうわけか非常に腕っ節が強い。後述の七瀬立樹と2人で、砂漠に現れた盗賊団を全滅させたりするシーンがある。絶対におかしい(笑)
*2 ミステリー漫画『C.M.B.』のヒロイン(高校生)。何故か非常に腕っ節が強い。最新刊では先述の水原可奈と2人で、素人集団ながら武装して暴徒化した面々をやっつけている。無茶苦茶おかしい(笑)


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