橘雪翼の、侃侃諤諤喧喧囂囂

平成19年9月中旬分

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平成19年9月20日

  そろそろ書いておかないとどんどん今更感が漂って来るので、北海道旅行の最後の部分を。のっけから不穏な空気で始まります。

あのさあ、俺疲れてるんだよ〜9月9日:第5日は最悪の目覚め〜

  宿の深夜。不穏な気配で目が覚める。いやさ、他の3人とは逆向きに寝てた俺も悪いかもしれんよ? でもその寝相はないだろう後輩H@RUHI M@STER君よ! 危うく顔面を蹴られるところであったが、直前に気付いて回避。しかし枕を奪われ途方に暮れる橘雪翼クン。いや、落ち着け、枕ぐらい奪い返せばいいではないか。でもこのままだと絶対今夜中にバトル勃発。とりあえず皆と向きを揃えて横になる。しかしなあ、俺の布団1/3ほど侵食されてるぜ。腹が立ったので蹴りつけてやろうかと思ったが、落ち着いて布団を頭から掛けるだけに留める大人な橘雪翼クン。しかしながら、逆効果であった(苦笑) 敵もさるもの、布団を跳ねのけ、そして体をさらにこちらの布団へと侵入させてくる。まったく、後輩H@RUHI M@STER君は育ちのいい坊ちゃんだな! 家ではこれだけの寝相でも落ちないぐらい大きなベットで寝てるんだろうよ! この時点で私は自分の布団を諦める。部屋の入り口に枕を置いて横になるも、寝心地悪いし足伸ばせないし風呂場の換気扇がうるさいし。再び部屋に戻るも安宿故にこれ以上人が横になれそうなスペースがない。やっぱり後輩H@RUHI M@STER君の胸倉掴んでしばき倒すべきだろうか? まあ俺としてはそれでも良かったんだけど、その隣で寝ている2人に悪いしなあ。そして当の本人は90度回転した状態で熟睡している。腹立つなあ! ともかく、90度回転したということは脇に寝るスペースができたということでもある。とりあえず壁際ギリギリのところに身を寄せて就寝。
  ――が
やつの寝相の悪さはそこで終わるわけがなかった。「今蹴ったろ!? 寝てたけど絶対の確信がある! お前絶対今俺を蹴った!!!!」
  ――イヤマテオチツケ
ここで感情任せにブチ切れるのも1つの選択肢だが、どうせこいつは寝ていて罪の意識がない。そもそも起こして怒鳴りつけても、心のこもってない謝罪を聞かされるだけで睡眠時間が返って来るわけでもない。さらには怒れば怒るほどテンションが上がって残り少ない睡眠時間が安眠できないだけだ。とまあ、今考えると俺ひじょーに冷静というか大人な判断だったよなあ。後輩H@RUHI M@STER君の"蹴り"の進路を予測しつつ横になる位置を変える。朝起きると、昨晩とは180度向きが変わった状態で寝ている、いや熟睡している後輩H@RUHI M@STER君。23歳にもなってこの寝相の悪さはちょっと恥ずかしいと思った方がいいんじゃない? まあ俺も寝相は良くないほうだけど隣の布団に攻撃は仕掛けるほどではないぜ。
  ちなみにこの後輩H@RUHI M@STER君、去年の夏にも"悪行"を重ねている。罪状は「自分の携帯電話のアラームが鳴ったら起きて停止させろよ」。去年の侃侃諤諤を読めば書いてあるはずだが、携帯電話のアラームを目覚ましとしてセットしたくせに、本人が起きない。このとき隣で寝ていたのは俺だ。というか俺、コイツの隣で寝ないようにしろよな……。そしてアラームは、止まったと思ったらスヌーズ機能で再起動。いやさ、起きないんならアラームの意味ないんじゃないの? 3度目に鳴ったときは流石に切れた。蹴りを入れようとしたまさにその瞬間、にゅっと手が伸びて携帯電話のボタンを押す。いやさ、ほんとコイツわざとやってんじゃないかと思うよ。
  そういうわけで最悪の寝起き。昨晩も列車ホテルだったし、何か呪われてるよ……。7人泊まっていたうち、5人が出発して残り2人になった。そのとき、後から遅れて北海道へやってきた新入生のT君が登場。「俺小樽行くんだけど、付いて来る?」と聞くと2つ返事で賛同。というわけで最終日、一人で寂しく小樽の予定が2人で賑やかに小樽に変化した。
  さて、ここで1日前の会話。セントレア一号車君のレンタカー内での会話。
セ「妹にやまね工房のおこじょ買って来てって頼まれてんですよ」
俺「ほう、やまね工房の。なかなかいい趣味してるな」
セ「旭山動物園で買うつもりなんですけど、明日休園とかになってないか心配だなー」
俺「大丈夫、小樽でも売ってる」
というわけで、この日はあまり時間がないセントレア一号車君に代わり、小樽のどの店に売ってるかの調査も兼ねてGO。小樽も3度目なので、あちこち適当に回ってガラス館とかオルゴール館他の土産物やを見る。途中、うさぎ柄のグラスがあってねえ……欲しかったんだけど、どちらかというと日本酒飲むときのグラスだったから……迷ったんだけど諦めることにした。で、以前、やまね工房のぬいぐるみを売っている店を見つけて入ったのだが……商品構成が大きく変わっていた。売ってない。確かにこの店だったはずなのだが……。そうこうしているうちに、セントレア一号車君から小樽に着いた旨のメールが。ごめんよ、あれだけ自信満々に言ってたのに売ってる店発見できなかったよ。
  後輩T君とは札幌でお別れ。T君は北海道にやってきたのが今日ということもあり、鉄研メンバーとしては居残り?することになっていた。私は17時過ぎの北斗星2号。後輩S君とも合流し、T君とさよならして車内に乗り込む。ちなみに私は1号車(セントレアじゃないよ)の普通寝台。後輩S君は6号車のB寝台個室。S君が6号車のロビールームにいるので来ませんか?と誘ってくれたので、荷物を置いて一息入れてから車内を移動。途中、まだお客さんの乗っていない個室寝台の様子をのぞきながら歩いていた。いやあ、個室いいかも。普通のB寝台と同じ料金で、占有スペースがやや広い。私の場合、カメラバック一個分の貴重品(カメラとレンズね)を持って旅に出ている。やはり用心するに越したことはなく、なるべくカメラバックを担いで移動している。歯磨きとかトイレの時も。でも個室なら、一応鍵がかかるので荷物を置きっぱなしでも安心できる。北斗星はシャワールームも用意されているので、シャワーを浴びるときにも良さそうだ。後からS君に個室内の様子を見せてもらったのだが、窓も1人で1個占領できるしこりゃ楽しそう。次にトワイライトエクスプレスや北斗星、他個室付きの夜行列車に乗るとき(他にあったかどうか忘れたが)はなるべく個室を取るように努力してみよう。ロビーカーでは、夕闇に沈んでいく北海道の大地を眺めながら談笑。前日の釧路のときから気になっていたのだが、S君、最近発売されたパナソニックのデジタルカメラ「ルミックス」を持っている。コンパクトデジカメには詳しくないのだが、帰ってから調べてみるとFX55というやつかな? S君曰く「広告やってる女の人が気に入らないけど、それ以外は最高のカメラ」とか。1枚試しに撮らせてもらったのだけれど、手ブレ補正の効き具合がすごいね。威力絶大。どうしてもコンパクトデジカメで撮影するとき、腕を伸ばして背面の液晶ファインダーを見る姿勢になる。一眼レフと違ってカメラの保持が不安定になる。こういう撮影スタイルを考えると手ブレ補正は効果的。以前私はアンチ手ブレ補正派みたいな発言をしていたけど、一眼レフ(タイプ)とコンパクトじゃあ話が別だからね。でもって、旅の道中でメモ代わりというか、作品じゃないけど撮影しておきたものというか、どうでもいいけどちょっと記録しておきたい、というようなものを撮影するのにデジカメいいなあなんて思い始めた。S君の持っていた推定FX55は小さくて軽い。OM-4Ti、3Tiコンビにレンズ数本の鞄にFX55が紛れ込んでも大した負担増にはならない。値段を聞くとコンパクトデジタルカメラも安くなったものだ。それになにより、S君の推定FX55は色が黒だったのだがカッコイイ。どうしてもコンパクトデジタルカメラというとダサいのを想像していたのだが、こういうところは流石家電メーカーパナソニック。それにパナソニックは私が欲しがっていたFZ50(400ミリ相当までのズームを積んだやつ)を作ってるメーカーだしね。その一眼レフスタイルのコンパクトデジカメFZ50に、グリップ部の電子ダイヤルを前後に搭載しているということで私のパナソニック評は高い。よし大阪戻ったらちょっと調べてみようかな……
  朝が朝だったので、夜7時ぐらいになるとちょっと疲れてきた。晩御飯に買った駅弁もまだ食べていない。後輩S君は食堂車のパブタイムが始まるまで夕飯お預けのようだけど、私は自分の寝台に戻ることにした。再び6号車から1号車へ……ああ、やっぱ個室いいなあ、なんて思いながら。食事をとったあと横になると、すぐに眠気が襲って来た。気付くと夢の中。途中駅での停車で少し目が開くも、そのまま翌日8時ごろまではほとんど意識が飛んでいた。

暑い東京、涼しい大阪〜9月10日:最終6日目〜

  北斗星はほぼ定刻に上野到着。良かった良かった、これでまたドえらく遅れると後輩たちに何を言われるか分からない。上野で朝食をとったあと……山手線で東京へ。山手線の列車内で私は初めて、ソニーの新型一眼レフデジタルカメラα700の写真を見る。んー、道中メールを寄こしてきた某詳しい人のコメントはこれだったのか……。後輩S君はそのまま渋谷まで。私は東京から新幹線。最後の行程は再び一人旅。新幹線まで時間があったのだが、流石に疲れてないとは言えないので待ち時間短縮のために乗車する列車を変更。直近のにしたら「窓側の席が空いてない」とのことだったので、少し後の列車にする。新大阪行きののぞみで、やはり新大阪までの列車は空いているらしい。することもないのでホームに上がって余ったフィルムで新幹線を撮影。しかし暑いねー。北海道仕様で長袖の上着を着ていたのだが、そんなものここで着てたら変人扱いされるよ――あ、サラリーマンの人は基本長袖だから、そこまでおかしくもないか。カメラを構えて待っていると、次に私が乗車する予定のホームに現れたのは……700系だと思っていたらなんと300系降臨。というか300系ってまだのぞみとして走っていたの!?(300系:初代のぞみ) 行きは最新型N700系だったけれど、帰りはのぞみとしては最古参の300系。いやー、こりゃまた何というか偶然は怖い。ある種300系のぞみなんてとても珍しい存在になっちゃったから、これが最後の乗車機会かもしれない。上手いこと乗車変更したものだ。
  のぞみに揺られて新大阪へ。大阪も暑いんだろうなー、と思ってドアをくぐるとこりゃまた一体どうしたことか。涼しい。北海道よりはもちろん暑いけど、あの出発の日の溶けそうな暑さは一体どこへ。家に帰ると母親が「涼しいのは今日からよ」と。んー、何だかいきなりこうも過ごしやすくなると暑さが名残惜しいというか何と言うか。とか言ってると、数日後には"名残惜しがってた"暑さが復活しちゃいましたね(笑)

  5日昼に出発し、10日昼に帰って来た。実質5日分の旅。前半はどうなることかと思ったけれども、途中からはマトモに。組んだ行程の約半分が無駄になったけれども一人で寂しい思いをした時間も少なく。まあまあたまにはこういう波乱の旅行も楽しいかもしれない。と、終わったからそう言えるんであって、福島と池田(釧路→札幌途中で止まってた駅)では一体どうなることかと。こういうのにも慣れてきたから焦りはしなかったけどね。しかしまあ、どうして私が旅を企画するとこんなに列車が遅れるんでしょうね?


平成19年9月19日

  さて、今日から通常更新に戻ります。いきなりですが、悲しい?お知らせです。日ハムのクライマックスシリーズ進出が決定した模様です。ええと……3位と4位の差が開きすぎて対4位チームマジックがそのままクライマックスシリーズ進出マジックになっちゃってたっぽい。どういうことかというと、4位西武が勝ちまくってもロッテソフトバンクを追い越す可能性が希少になったために、実質対4位マジック=CS進出マジックになっちゃったというわけで……。予想外に3位4位の差が開いちゃったからね。今6.5ゲーム差? スポーツ紙なんかに載ってるCSマジックと私の計算がずれる要素ってのは、1位と2位が離れていて3位と4位が接近していて、そして4位と2、3位の対戦が数多く残ってる、の3つ。このうち最後のは、シーズンが進めば進むほど減っていくからねえ……。まあ、ちょっとした野望が打ち砕かれてしまった。でも言っておく。最初に点灯したCM進出マジックの数字はおかしい。これだけは確実だ。
  阪神タイガースは一進一退。相変わらず強いのか弱いのかよく分からん。ただ1つ言えることは、打線だけ見ると確実にBクラスってこった。ホントよくこんなんで首位にいるねえ。びっくりだよ、これ岡田マジック? というか来年は点取る方にも心血注いでくれ。毎日毎日1点差で藤川球児じゃ見てる方はやっぱり心臓に悪い。まあお隣の日本ハムも打線だけ見ると完璧にBクラスなんだけどね。本塁打数がダントツで最下位だし。今年の流行は「少ない点で勝つ」か?


平成19年9月15日

  プチ更新。九州の友人が遊びにきた。数日間我が家に滞在する予定。ちょっとショックだったのだが、GGXXAC(格闘ゲーム)をやったらボロ勝ち?してしまったこと。前作まではケチョンケチョンにやられていたのに。真面目に仕事しすぎだって(笑)


平成19年9月14日

  ショックの残る敗戦……。藤川が2戦連続で失点。あー、ガックリ……。

  今日の阪神の敗戦とは関係なく、19日まで侃侃諤諤の更新をお休みさせていただきます。


平成19年9月13日

  阪神の密かな現状。それは……得点より失点の方が多いことである。どうしてこのチーム首位にいるんだ?(笑)
  あれからさらにカメラのことを考えていたのだが、ごく普通にタムロンの28-75mmF2.8を買ってα-7に付けて旅に出ればいい話ではないかと。実に手堅い作戦である。というか、最初から気付いておけよと思う今日この頃。α-9に28-75mmF2.8でもいいかな……。このタムロンの大口径標準ズーム、実は大口径レンズとは思えないぐらい重量が少ないのだ。この手のレンズが軒並み1キロ近くあるのに対してたったの510グラム。たった500グラム弱の差なのだが、圧倒的に軽いことは事実である。というわけで、一番お手軽な作戦はそれなりに安いレンズを一本買い足すこと。そしてこの作戦は、デジタルへの展望とかは全く考えていない(笑)
  こういうトークを延々続けていると北海道旅行記が忘れ去られる(笑) ネタは小出しに、が基本だが風化する前にバンバン行っときます。

小雨の釧路、接近する台風9号〜9月7日:第3日〜

  波乱の初日〜2日目が終わり、釧路で一泊。今日は釧路湿原観光だ! 最初の予定では、後輩S君と一緒に午前中はバスで釧路市立湿原展望台へ、午後からノロッコ号で塘路へ行くつもりだった。ところが生憎の雨模様。午後からは晴れる?かも?という予報もあったので、午前にノロッコ号、午後からバスで展望台というように順序変更。ところが、ノロッコ号に乗っていると途中で後輩セントレア一号車君登場。何でもレンタカーを借りて、途中駅まで車を運転してきたとのこと。天気もどうなるか分からないので、S君と相談してセントレア一号車君運転のレンタカーに便乗することにした。釧路湿原の展望台の後、摩周湖第三展望台へ足を伸ばす。摩周湖は霧で有名だが、この日は風が湖面に漂う霧を晴らしてくれていた。が、この風が実に寒い。大阪の気候を考えると実に涼しく過ごしやすい釧路だったが、この風の寒さは完全に想定外。10分ほどで凍えて車に戻る。第一展望台へ戻ったのだが、私は展望台には行かずに建物の中で一息ついていた。ここでS君とセントレア一号車君が異変を告げにやってくる。7日夜11時発の、乗車予定だった夜行列車まりも号の運休をネットで確認したとのこと。釧路でもう一泊という手もあったが、6時半に釧路を出る札幌行きスーパーおおぞら12号に乗車することに計画変更。
  さてここで。私は普通の切符を使って列車に乗っていたが、2人の切符は「北海道フリー切符」というもの。私も過去に2度お世話になっている。2人ともそれのグリーン車用を持っていた。普通なら「何て贅沢な!」と言いたくなる所だが、道内を走る夜行列車の寝台の切符が取れるために実はかなりお得なのだ。むしろ、夜行乗るのだったら普通車用でなくグリーン車用を買うべき、なぐらい。なお、私が使った頃は無制限に指定券を発行してもらえたが、現在は普通車用、グリーン車用ともに6枚までに制限されたらしい。ま、しゃあないっすね。
  釧路駅に戻り、指定券の乗車変更を頼みに窓口へ。まりもは寝台の券だったために寝台料金が返って来る。それに後輩2人がグリーン車に乗るんだから、と私もグリーン車を奮発……するつもりだったのだが、グリーン車の空席がわずかに1つ。セントレア一号車君は元々スーパーおおぞら12号の予定だったために変更ナシ。というわけで私は、S君にグリーン車を譲りどノーマルな指定券を発行してもらう。ここで問題が1つ残っていることを、読者の皆様方はお気付きだろうか。そう、夜行に乗るつもりだったので宿は予約していない。もちろん何もしなかったわけではない。当初、釧路の旅行センターで宿を予約してもらうつもりだった。が、18時で閉まってしまい、我々が帰ってきたのはその18時を少しオーバーしていた。なのでPHSのフルブラウザを活用してネット予約……しようとしたのだが、普段慣れているならともかく初めてのことなのでよく分からない。検索方法とか、プランや料金の見方とか。列車の発車時刻が迫り、そして列車が走り始めると電波の都合で繋がりにくくなる。札幌なら、夜中の10時半でも駆け込めばどこかでどうにかなるだろう――という甘い見通しのもとでスーパーおおぞら12号は発車する。
  池田、という駅だったと思う。停車時間が長い時間で少し嫌な予感がした。しばらくして車内放送。台風の影響による大雨で、この先の川が増水、列車は走れません、とのこと。あちゃあ、またやっちゃったよ。この時点で私は後悔する。S君を説得して釧路で泊まれば良かった、と。1時間半ほど経った頃に、再び列車アナウンス。バスで帯広まで輸送するとのこと。帯広まで行ったってなあ。しかしここからがJR北海道のマジック発動。札幌発釧路行きスーパーおおぞら9号(前日に私が乗った列車だ)が川の向こうの帯広まで来ているとのこと。車輌数が同じために乗客をそっくりそのまま入れ替えることができる。入れ替えたならば車輌は、今来た道を戻ればいいだけの話。かくして、この思い付きのようなアイディアは実行に移される。
  帯広発車の時点で列車は2時間少しの遅れ。このままだと札幌到着は12時を十分回る。流石にビジネスホテルと言えどそんな時間に客を受け付けないだろう。S君と私は泊まる場所がない――ということを知ってか知らずか、車内放送は札幌駅での列車ホテルの提供をアナウンス。おお、ついに私も話に聞く列車ホテル"宿泊"体験か。セントレア一号車君も、当初稚内行きの利尻という夜行列車に乗る予定だったのだが、スーパーおおぞら12号がこんなに遅れては乗り継ぎ不可能。というわけで列車ホテル決定。そんなことを言っているうちにスーパーおおぞら9号引き返しの臨時12号は大雨の中を西へ札幌へ向かう。
  札幌駅で待っていた列車ホテルは、721系。近郊型車輌である。関西で言うところの新快速みたいな感じ。もっとも721系には指定席が連結されており、その指定席はリクライニングシート搭載。その指定席が列車ホテルに充当された。列車ホテルの希望者はたったの7人だったそうな。初の列車ホテルに浮かれる馬鹿3人組。列車が遅れて、こんな夜中なのに異常にテンションの高い若者3人組。どうやったら寝心地いいだろう、とか網棚に寝た方が足が伸ばせるかも?とかいっそのこと床に寝るのが……とか。まあ結局3人とも座席で可能な限り足を伸ばしたんだけどね。1時半ごろに横になって、朝起こされるのが5時15分。
  ――早え
何でも、朝の列車に使う車輌なんだとさ。朝一に使わない車輌よこせよ、と思うのだがJRはJRでそんなに車輌余ってないんだろう。ホームに余裕もないだろうし、何より普通の乗客がやってくる時刻まで列車の中で寝てるのも居心地悪いからね。おにぎり2個という簡単な朝食とペットボトルのお茶を渡され、5時半過ぎには"チェックアウト"。乗車予定は7時半前のオホ−ツク。2時間弱も何しようかねえ。
  この日から3日間首位巨人との決戦。ゲーム差は1.5。阪神タイガース投手陣は巨人に7本の本塁打を浴びた。が、打線がシングルヒット12本で応戦。得点は7−7。最後に勝負を決めたのはベテラン檜山進次郎!!! 9回代打で登場。相手の守護神・上原のフォークを右手一本で捕らえた打球はライトへ上がり、スタンドへ。阪神タイガースこの試合初の長打は、決勝ソロ本塁打となった。

やっとこさ旅行気分の富良野〜9月8日:第4日〜

  後輩セントレア一号車君は暢気に始発の千歳空港行き列車で去る。我々は――この日の予定である美瑛にて、観光バスのチケットを取るべくみどりの窓口へ。S君は北海道フリー切符なので関係なかったが、今日の行程にぴったりのフリー切符があることが判明していた。札幌発、富良野周辺を回って札幌に帰って来るフリー切符、お値段締めて5000円也。乗車券普通に買うより安い。もっと言うと、私が持っていた札幌〜富良野〜札幌の切符を払い戻してもなお安い。おまけに美瑛の観光バスが無料になる。とどめに、特急券を払い戻すとその分も安くなる。というわけで、再び払い戻しで財布が潤う。ちなみに、乗車券のうちの1枚は札幌〜南千歳の切符に乗車変更したので手数料の発生もなし。これはどういうことかというと……今回の行程のために用意した切符は、立花〜釧路の往復。それだと札幌に経由できないので、分岐駅である南千歳から札幌の切符を買い足した。最終日は小樽へ行く予定だったので、南千歳から札幌経由で小樽まで。ところが、買ってから気づいたのだが、この切符札幌で途中下車できない。距離が短すぎるので通常の近距離切符になってしまうからだ。というわけで、小樽〜南千歳の切符を小樽〜札幌に、札幌〜富良野の切符を札幌〜南千歳に乗車変更することで、帰りに札幌で途中下車できるようにしたのだ。
  まあ、そんなこんなでオホーツクの乗車時間が迫ってきた。眠い目をこすりながらオホーツク乗車。ちなみにS君はグリーン車だ。流石の私もここでグリーン車に乗る気は……あったのだけれど「時間が短いので勿体無いですよ」とS君に諭されて断念。旭川で降車し、本日のメイン「富良野美瑛ノロッコ号」の発車を待つ。ところで、このノロッコ号というのはトロッコ列車である。あんまりトロッコっぽくもないのだが。ゆっくり走る=ノロノロ走るので「ノロッコ」というわけだ。昔乗ったときに比べてえらく飛ばしていたような気がするけど……。釧路湿原ノロッコ号は以前にも乗ったことがあったけれども、富良野美瑛は初。ちなみに、Nゲージではマイクロエースが製品化している。釧路湿原の方は馴染みがあったので買ったが、富良野美瑛は乗ったことがなかったので見送り。でも今回乗ったので……
  まずはノロッコ1号に乗る。目的地は途中駅の美瑛。ここで再びセントレア一号車君がどこからともなく現れる。同じ指定席の少し離れた席に座って、売店コーナーへ。実は私とS君も買い物しており、S君は売店のお姉さんにちょっとおねだりして、本来はもらえないはずのオマケの絵葉書を入手。ちなみに絵葉書は20種類あり、くじでどれがもらえるか決まる。私はくじ1本の権利付きの買い物をしたのだけれど……サービスしてもらって絵葉書を選ばせてもらった。で、セントレア一号車君(巨人ファン)が買い物している間に、私はセントレア一号車君の座席に今日のスポーツ新聞を設置。買い物から戻ってきたセントレア一号車君、私の方を向いてニヤリ。セントレア一号車君の前にあったストーブの火にくべようとしたのだが……残念、今日はまだそこまでは寒くないんですよ。我々は美瑛までだが、セントレア一号車君は終点富良野まで。拉致して美瑛で降ろそうとしたのだが失敗(笑) ノロッコは美瑛で多少長めの停車をしていて、セントレア一号車君も写真撮影のために降りていたので……もうちょっと上手くやれば荷物は列車に残したままだけど、本人は美瑛観光に同行させられたんだがなあ(笑) 次のノロッコ3号までに2時間半ほど時間がある。その時間を活かしてのバス観光。パッチワークの丘、と呼ばれる美瑛の景色を眺めて再び美瑛の駅へ。美瑛の駅に面白いポスターがあった。それは何とか小麦という特産品?を使ったカレーうどんの協会の広告。小麦はいいとして、何故カレーうどん? ともかく、我々の今日の昼食は「カレーうどん!」だったのでバスから降りた後、カレーうどんの店へ。普通、カレーうどんというとカレーのダシ?にうどんを煮込んだものなのだが……カレーとうどんが別々に出てきた。ザルそばとかそうめんとか、そういった感じ。多少奇妙だったけど美味しかった。
  次のノロッコ3号では、ラベンダー畑という臨時駅で下車。いかにも「臨時駅ですよ」といったつくりの簡素なホームだった。富田ファームというところでメロンを食べ、ファームを見学し、ちょっとお土産とお茶してフラワーパークへ。ところがこのフラワーパークというのが「?」。季節が悪いからか何なのか、イマイチぱっとしない。いろいろ疑問を感じながらラベンダー畑の隣駅となる中富良野まで徒歩で。次はノロッコ5号だ。終着富良野まで行き、最後は富良野から札幌への臨時特急「フラノ紅葉エクスプレス」でひとっとび。この列車の途中停車駅で、またセントレア一号車君乗車(笑) 何か微妙に我々の行程とリンクしているのかしていないのか。札幌では、北海道大学の鉄研の皆さんと食事会。その後疲れた体を宿で休めた。
  阪神タイガース、ついに首位に立つ!というのがこの日の大きなトピックス。セントレア一号車君ガックシ。今日もソロ本塁打の日。先頭鳥谷が初球先制本塁打。先発安藤は5回までパーフェクト。6回にソロで追い付かれるも、阪神は7回に葛城のソロで再びリード。そのまま最後は藤川が締めて9連勝、首位奪還!
  〜続く〜


平成19年9月12日

カメラ欲しい熱再発

  さて今日は、予定では北海道紀行第二弾、3〜4日目をお送りするつもりでしたが変更。再発したカメラ熱トークを昨日と変わらぬボリュームでお楽しみ下さい(笑)
  実は北海道紀行を読んでからの方が話の順序がいいのだが……まあいいや。後輩S君が持っていたコンパクトデジタルカメラ(以下コンデジと略す)を見て、私も欲しくなった。こう、なんというか、作品撮りはOM-3Ti4Tiコンビもしくはα-9あたりにに任せることに変わりはない。ただ、どうでもいいもの、ちょっと記録みたいな感じでメモしておきたいもの、そういうものを撮るのにフィルムを消費するのはよろしくない。というわけで、そういうちょっとしたものを撮るのにデジタルカメラは有利である。当然ながらそんな目的のために、高価でかつ重いデジタル一眼レフを用意するのはやりすぎ。メインの作品撮り用フィルム一眼レフと一緒に持ち歩いても負担にならない軽いカメラ、これが欲しくなった。もちろん、軽いカメラ、という条件だけなら私も持っている。ミノルタのTC-1というやつだ。だけれど、どうでもいいもの撮るのに先ほども述べたようにフィルムは消費したくない。そんなものをそもそも撮っておくのが間違いだ、という説もあるが。でも何か記録しておきたいものがあったんだよ! そういうわけで白羽の矢が立ったのがコンデジ。最近のは無駄に画素数までアップして手ブレ補正まで付いている。最近のコンデジは背面の液晶モニターを見ながらの撮影で、手を伸ばすという不安定極まりない姿勢で撮影せねばならない。だから手ブレ補正は必須というか、非常に相性がいい。私は過去に手ブレ補正を男らしくないと評したことがあるが、それは一眼レフの話である。まあそんなわけで、コンデジ欲しいよ。
  第一候補は、後輩S君の真似してパナソニックのFX33(55かもしれない)。ここでニコンやキヤノンに手を出さないのには理由がある。それは、流石は家電メーカーパナソニックと言っておこう。デザインがいいのである。洗練されたと言うか、カッコいいと言うか。外観からして何か惹きつけるものがある。コンパクトカメラっていかにも素人くさいのが多いからねー。そういう意味でスタイリッシュな機種は選定に値する。今回私が欲しいのは、画質は二の次。機能は優先されそうだが、コンデジの機能なんてねえ。どんぐりの(以下略) 五十歩(以下略) めく(以下略) そもそも画質にそんなに差があるとも思えないし。フィルムには到底およば(以下略) とまあいうわけで、パナソニック第一候補。パナソニックは、私が甲子園球場で使うためだけに買おうとしていたFZ50を作ったメーカーでもある。グリップの前後にダイヤルを配してあるという点でも実はパナソニックのFZ50の私の評価は高い。それは即ち「パナソニック、家電メーカーだけど結構カメラのことわかってんじゃない?」という思いもある。パナソニックのレンズはライカのレンズ使ってるしね。ちなみに後輩S君は広告やってるあゆが嫌いらしい。ところが、パナソニックのサイトを見ていると面白そうな機種を発見。それはLX2という名前で、何でもマニュアル操作に重点を置いたとか。マニュアルフォーカスにマニュアル露出。おお、コンデジでここまでやるか。というわけで筆頭候補がいきなりLX2に交代。まあ私は移り気ですから(笑) 一応ニコンやキヤノンのサイトも見るがぱっとしない。やっぱりここはパナソニックだな。というわけで心は決まりかけていたのだが、一応我らがソニー(αシステム持ってるのが今はソニーだからね)も見ておこう。と、ソニーも何やら面白そうなものを作っている。背面液晶がタッチパネルになっているコンデジ。しかも撮影した画像に直接、タッチパネルを利用して書き込みができるとか。これはいい。メモ代わりなどの用途を考えた場合、何か撮影してさらに一言書き加える。私の想定している用途を強力にサポートする面白い機能だ。さらにその機種がいい点がある。それはスイッチだ。コンデジの多くは電源を入れるとレンズが前にせりでる。つまりその分タイムラグが大きいわけだ。さらには鞄やケースの中で間違ってスイッチが入ってしまうことを考えると……実際後輩T君はこれで一台故障させてしまったらしい。ところが、私が注目したその機種――T200だったかな?――は前面のカバーをスライドさせると電源オン、そしてレンズはそれ以上出てこない。電源を切るときも、カバーをレンズ側に蓋するようにスライドさせればいいだけ。電源オフの状態での見た目もなかなかに好感が持てる。というわけでコロコロ変わる購入第一候補(笑) ただなあ……ちょっとおまけで買うにはいずれも値段が少し。デジタル一眼レフを買うことを考えると安いのだが、それでもコンデジとは言えいいものが欲しい私の欲求を満たす機種は5万円程度にはなってくる。私の感覚としてはちょっとした"おもちゃ"買うつもりなんだが……。
  そういうことを考えていて、全然別のとあることを考え付いた。それはメインシステムの方の話である。作品撮りのための一眼レフの話である。いつもいつも思っていたのだけれど、いくら軽いとは言えOM-3Ti4Tiコンビに単焦点レンズ数本の総重量は重い。旅行に出るとき、2つの鞄を持つ。一つは着替えなどの入ったバッグ。もう1つがカメラバッグ。このカメラバッグが重い。肩に食い込む重量にうんざりしつつ旅に出るのだ。これ、何とかならんかなあ? それに加えて、単焦点レンズは解放F値に優れるのはいいがレンズ交換の手間がある。普段ならともかく旅先で撮影するのにいちいちレンズを交換するのはなあ。まあそのために本体2台持って行くって方針取ってるんだけど、今回はあまりそれを活用しなかった。でだ、αを持っていくにしても、α用の標準ズームでF値が明るいやつはちょっとイマイチ。広角ズームもイマイチだし、満足するのはやっぱり単焦点になって話が前に進まない。何で俺αシステム持ってるんだろ? と、そこで、とある案を思いついた。思い切ってNikon F6を買うのである。でもっていい標準ズームレンズを買う。これをメインに据えれば旅先で煩わしいレンズ交換の手間を大幅に減らすことができる。のだけれどやっぱりいきなりF6は値段がなあ。ということになれば、代替機として今は生産中止になっているがF100がある。このF100というのは、ミノルタで言うところのα-7みたいなもの。ニコンのハイアマチュア向け機種として絶大なる評価を受けたカメラだ。これを中古で買ってくる。F2.8標準ズームを中古で買ってくる。それなりに安くとりあえずのニコンでのシステム完成。おいおいF6を買い足したり、広角ズームを増やしたり、望遠側は接写も視野に入れた100ミリマクロが1本あればいいだろう。って、何だかどんどん総重量が重くなってる気がするが……。この計画のいいところは、将来フィルムが消滅したときにそのままニコンのデジタル一眼レフを買い足せばいいというところにある。その一眼レフがD3の後継機種になるのか、もしくはハイアマチュア向けの準フルサイズCMOS搭載機種(出るかどうか分かんないけど)になるかは分からないが。あるいは、阪神が日本シリーズに進出して運よくチケットが手に入れば、いきなりデジタルを買って(以下略)。まあそんなわけで、将来のニコンへの乗り換えを見据えたこのプラン。だけどひょっとすると、F100+F2.8標準ズームの重量はOM-3Ti4Tiコンビ+単焦点数本に匹敵してしまうかもしれないんだよな……。いやそれでも、レンズ交換の手間が省けるのが大きいのだが。ただ、それ以外に問題がないわけではない。それは私のメインで使うフィルムが感度100ってところにある。感度100がいかに低い感度かというと、天気が曇ると並のレンズじゃあシャッター速度が厳しくなるって程度にまずい。そのためのF2.8の開放値を持つズームレンズが欲しい。しかしそれでも今回の旅行で感じたことは、絞りの目盛りにF2とかF1.4がある心強さである。このF2とか1.4とかいう数値は単焦点ならではのものである。ズームでこれを到達しようとすると相当無理をしなくてはいけない。オリンパスの4/3サイズのCCDカメラ用のが遠くない将来登場するらしいが、値段がごっつうものすごいことになりそうだ。そういうわけで、現実的な話ではズームレンズにするならF2.8が限度。単焦点なら今持ってるオリンパスOMシステムでいい。このあたりが悩ましい。これもねえ、デジタルなら結構簡単に解決しちゃう話なんだ。天候が厳しくなったら、メニューを開いてISOの数字を100から200や400に変えればいいだけ。そう、デジタルカメラは1枚ごとに感度が変えられるのだ。フィルムは36枚使い切ってから別の感度のフィルムを投入することになる。途中巻上げって手もなくはないんだけど、それこそレンズ交換をはるかに上回る面倒さで現実的でない。
  そういうわけで今私のカメラ欲しい熱は2本立てである。1つはオマケで持っていくコンデジ。最有力候補は私の誕生日の頃に発売されるソニーのサイバーショットT200。もう1つはメインシステム再構築、ニコンに本気で鞍替えするぜ計画。一番欲しいのは言うまでもなくF6。妥協&現実的な話でF100を中古で狙う。これに当面レンズ1本。この2つの計画は、どちらかを発動してどちらかを諦めるという性質のものではない。互いに独立した目的があり、できれば両方実現させたいものである。自分としてはこれだけきっちりした裏づけがあれば……またカメラ買ってもいいんじゃないかかな、と思えるぐらいの説得力があるんだ……。まあでも自分でもびっくりしているのだが、一旦遠のいたF6欲求がこんな形でいきなり迫ってくるとはね。次回画像で侃侃諤諤は「ニコンのカメラ買っちゃったよ」か?


平成19年9月11日

北斗星撃沈〜9月5日:第1日〜

  新大阪15:30発のぞみ28号。券面には「全席禁煙」の文字が。そう、こののぞみ28号は最新型のN700系で運行されるのである。そののぞみに乗るために午後2時半頃に家を出る私。立花駅でJR東日本の最新型の通勤電車E233系の回送を目撃。この後東京で営業運転中のE233系を見ることになるのだが……。話を元に戻してN700系。まあ、最新型車輌といっても乗ってしまえば大して変わることもなく。一応カーブで1度だけ内側に車体を傾ける装置がついているが、人間がわずか1度の角度をどれほど感知できるというのだ。そもそもカーブでは2本の線路にカントという高低差が付いていて車体は内側に傾いているのだから。
  そんな醒めた感想を残して東京着。東京〜上野間は京浜東北線の列車で移動。山手線でもいいのだが、先に来たのが京浜東北線の209系500番台だったというだけのこと。しかしあれだな、東京来るといつも思うのだが、模型や写真でしか見たことのない車輌が実際に走っていると感慨深いものがある。「あ、ホントに走ってるんだ」みたいな。九州や北海道ではあんまり思わないのに、不思議だなあ。上野駅ではプチ迷子。何せ上野駅に来るのは2度目。しかもこの駅何か広い。そもそも私は、北斗星が何線用のホームから出発するのかよく分からない。まあそんな、迷子の時間を含めて余裕のある時刻の新幹線を選んだのだが。途中、E521系のグリーン車が目に入ったので観察に行く。鉄道模型では、カトーから発売される予定である。常磐線は、縁がないけど車輌のカラーリングが好きである(除103系)。なので購入を検討中なのだが、ホンモノを見てしまうとやっぱり欲しいなあ。そんな寄り道をしながら、列車の発車30分ほどまえにはホームに辿り着く。向こう側の奥のほうにE655系という特別列車専用車両が止まっていたような気がするが、残念ながらそちらへの進入は不可能っぽかった。10分ぐらい前に北斗星入線。感動の初北斗星である。私は2号車の、ごくフツーのB寝台車。北斗星と言えど、普通のB寝台車は普通の夜行寝台と変わるところはない。せいぜい車掌さんが北斗星オリジナルのオレンジカードを持っていたり、車内販売のワゴンに北斗星オリジナルグッズが載せられていたりするぐらいである。あ、最近の普通の夜行列車に車内販売はそもそもないか。で、4日後にやっぱり個室がいいよなあと思うことになる。
  乗って速攻横になる私。まあ、上段寝台なので座っているのも何だか落ち着かないのだが。車内アナウンスが車内設備の案内や途中駅の予定時刻を告げる。まあ、このときは思わなかったね、まさかその途中駅のほとんどに辿り着かないなんて……。青函トンネル到達予定時刻が午前5時過ぎと言っていたけど……。1時間ほどして、大阪で買ってきたちらし寿司に手を付ける私。列車で食べる食事は美味い……といいたいところだが、やっぱりこのときばかりは窓のない上段より外が眺められる下段にしときゃ良かったかなあ。やや無味乾燥な食事を終え、歯を磨きトイレに行って、そして浴衣に着替えて本格的に寝る姿勢へ。普段ならパソコンでネットしてて絶対寝ない時刻だ(笑) 夢か幻かの状態で、福島駅に到着したことを知る。何故か停車時間が長い……。時刻は10時半。先ほど車掌のアナウンスでは、非常の場合を除いて翌日の朝6時半ごろまで車内放送を終了すると言っていたなあ。駅の放送で列車が遅れているとか何とか……。翌日乗り継ぐ予定の南千歳での待ち時間は約1時間半。多少遅れたって構わないさ……多少ならね。
  夜中に目が覚める。どうも列車が動いた気配がないのだが……。時計を見ると12時を回っている。んー、2時間も動いてないのか、南千歳でスーパーおおぞら乗り継げないなこりゃ。まあ、2時間後のスーパーおおぞらでもいいや、と楽観的。2時間遅れなら特急券も返ってくる。が、2時間丸まるストップしてるということはさらに2時間やそこら遅れてもおかしくない。そう考えていきなり弱気な私。姉とか後輩とかにメールを送ってみる。この時についでに阪神の試合結果をチェック。球児が1点取られたが横浜に3−2で勝利。ちなみにこの試合、姉は観戦に行っていたので先ほどのメールの返信には「阪神勝ったよ」の文字が。どうも列車が動かないのが気になって眠れない。持ってきたパズル本(ぬりかべ)を解き始める。N700系で先週土曜日の懸賞詰め将棋を解いたばかり、このペースで行くと持ってきた暇つぶしが大活躍だ。2時ごろ流石に眠くなって再び横になる。この間北斗星は微動だにしていない。このまま行くと釧路到着も危ういぞ……

最短K.O. 振り替え輸送へ〜9月6日:第2日〜

  早朝……5時ごろ、乗客の声で目が覚める。青函トンネル進入予定時刻だ。もちろん乗客の声の内容は青函トンネルと現在の列車の状態について。「一体ここはどこなんだ?」と。夜中に北斗星が動き出していれば、眠っていてもおそらく気付いただろう。乗客の声で目が覚めるぐらいだから、列車の振動と音があれば「あ、動き始めた」ぐらいには気が付くだろう。つまり、昨晩から列車は1メートルたりとも先に進んでない。ま、1メートル進んでも何にもならないが。そうこうしているうちに6時半になり、車掌のおはようございます車内放送が。そしてここがやはり福島駅であることを確認。先のほうで大雨のために線路が冠水し、安全確認ができないので列車が止まっている旨が告げられる。おお、こりゃ旅行中止して引き返すか。ところが、福島駅で止まっていたというのがミソ。続く案内で「新幹線に振り替え輸送します」。この時点で、私はPHSを使って時刻検索。言うまでもなく今日中に釧路へ辿り着けるかどうかのチェックである。実は旅行に出る前に、様々な方法を模索していた。八戸7時過ぎの特急に乗れば釧路に6時前に着くとかね。その列車を逃すと次は3時間後。福島〜八戸間の距離は新幹線と3時間を使えば埋められないことはない。そう思って半ば確信を持っての検索だが、万が一「実は釧路に着きません」だったら悲しいからね。結果、夜中の9時過ぎに釧路到着が判明。トラブルがなければ4時前到着予定だったのに……。多少気が滅入りながらも7時半、新幹線に乗り換えるべく北斗星を降りた。動いていた時間にしてたったの3時間半、距離にして上野〜福島間のみ。初北斗星は私の伝説(寝台特急日本海に4回乗車したが、3回が3時間ほどの遅れを出した)を継承する体験となった。
  ここから先がサバイバル。北斗星の振り替え輸送なのだから指定席ぐらい用意しろよ。本音はグリーン車なのだが乗客数が乗客数だけにそれが無理なことは分かる。だけど自由席はないよなあ……。福島〜盛岡間はまだ良かった。盛岡からは全車指定のはやてに乗った。もちろん指定席が確保されているわけではない。空いている席があったら座ってもいいですよ、と言われていたのだが結構混雑していて、30分の乗車時間ということもあり立っていた。八戸からは特急スーパー白鳥。JR北海道のディーゼル特急の色違いみたいな電車である。ここで私は、はやて車内で立つという選択肢を選んだ自分に感謝することになる。スーパー白鳥も相も変わらず自由席。8両編成なのだが自由席はたったの2両。そしてスーパー白鳥は3時間の乗車。前の新幹線はやてには、ドアの近くで立っていたこともあり、列車到着後比較的速やかにスーパー白鳥車内に向かうことが出来た。そのお陰でギリギリ座席を確保。その後発車までの約10分で自由席に客が殺到。正確にはわからないが、私の乗った車輌に100人以上いたのではないだろうか。普通の通勤列車であれば100人ぐらいへのかっぱであるが、この車輌は特急用。座席面積が大きく、通路は狭い。車内はちょっとした朝の通勤ラッシュの様相を呈する。東京近郊には負けるだろうけど、大阪近郊とは十分勝負になるだろう。しかもつり革なんてものがないから……。ぎゅうぎゅうの車内は座っていても息苦しい。幸いなことに、停車駅ごとに少しずつ乗客が減り、青森を出発する頃には立ち客もまばらになっていた。
  ところで、北斗星乗客には福島駅でパンとお茶が配られていた。俺、パン嫌いなんだよな……。ということで、朝食抜き。何としてでも座っていたかった気持ちはここにあったりする(はやてでは気まぐれでつっ立ってたんだけど)。
  函館着午後1時過ぎ。ここでようやく待望の座席確保が告げられた。北斗星乗客は、函館発スーパー北斗の3号車に誘導された。空腹の私は、もちろんここで弁当を買いに行く。だって座席があるんだから急いで乗り換える必要ないでしょ? どのみち、函館で駅弁を買うことにはしていたので最後の最後とは言え席を確保してくれたのはありがたい。その座席の確保も気が利いていて、1人旅の乗客には2席……窓側通路側の1セットになった座席を占領させてくれた。私は荷物が多いので、この"サービス"はありがたかった。話は前後するが、家を出るとき思った。ああ、荷物重いなあって。半分以上がカメラ関係の重みである。趣味にカメラを選んでなければもっと身軽なのに。鞄も一つでいいのに。だからといってカメラを持たねば絶景で後悔するだけの話である。小型デジタルカメラで我慢できる性分なら話は別だが、どこにいてもなるべくベストな布陣(カメラとレンズの布陣ね)で撮影したいという欲求がそれを許さない。かくして私の旅はいつも大荷物。肩に食い込む鞄のベルト。ああそういや、体を鍛えだしたのはこのためだったなあとか思い出しつつ……
  南千歳で降車。いよいよ本日最後の列車に乗り換える。待ち時間は実に1時間と30分強。とりあえず、昼間のスーパーおおぞら5号のチケットを18:03のスーパーおおぞら9号のチケットに交換してもらうために窓口へ。無論有無を言わせず交換だ。普通車指定席がなければグリーン券発行してもらうぞ!と意気込んで。ところが、あまりにもあっさり手際よく普通車指定席の代わりのチケットが出てきた。私が「北斗星が遅れて」といいかけたらすぐさま、窓口氏が「ああはい、指定席確保してあります」と前のクリップボードから券を一枚。どうも北斗星からの乗り換え客を想定して指定席をあらかじめ発券しておいたらしい。しかも残りあと何枚かあったので北斗星からスーパーおおぞらに乗り換える客は俺だけじゃない……??? というか、どうして北斗星からスーパーおおぞらに乗り換えるって分かってたの??? ついでにこのタイミングで北斗星のチケットの払い戻しもしてもらった。特急券だけと思っていたのだが寝台料金6300円も戻ってきた。車内放送でも「北斗星のお客様、特急料金寝台料金全額払い戻しします」とはっきり言っていた。確か朝の6時まで寝台使ったら寝台料金は戻ってこないんじゃなかったの? 制度が変わったのか、運転打ち切りがあまりにも短距離で起きたためか、何かよく分からないけど返してくれるって言うんだから素直に受け取った。
  夜ご飯代わりの駅弁を確保すると、残り1時間強。何もすることがなくなった。南千歳駅、もう少し何かあると思ったけど何もない。後輩セントレア一号車君いわく「普通は乗り換えるだけの駅で降りませんからね」。仕方がないのでホームに下りて、やってくる列車の撮影を……と思ったのだが雨と迫り来る夕闇に20分ほどで断念。仕方がないので再びパズルの本を開く。
  疲れきった体を乗せてスーパーおおぞらは東へ。夜9時過ぎ、定刻に釧路到着。当初の予定から5時間半遅れだ。立花駅で電車に乗ってから実に30時間以上。まだこのとき、旅の波乱に続きがあることは知る由もなかった……というか、ある程度覚悟してたけど全然違うところだったしなあ。
  この日の阪神タイガースは1−0でサヨナラ勝ち。巨人も勝っちゃって残念ながらゲーム差は1.5のまま。翌日からの巨人戦3連戦で3つとも勝たないと首位には立てないか、立っても即陥落。しばらく首位はおあずけかなあと思っていた。まあこっちも(巨人ファンにとっては特に)波乱だったなあ。
  〜続く〜


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