パナソニックフォーカス合成の実力に迫る!

まずは“普通”の写真から
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  パナソニック製デジタル一眼カメラ『GX7 MarkII』を購入したのは侃侃諤諤本編で報告した通り。私が一番期待したのは「フォーカス合成」機能。「4Kフォト」のモードの1つである「フォーカスセレクト」で撮影したデーターから、ピントの合った部分を繋ぎ合わせて広範囲にピントを合わせた画像を作成するというもの。まずご覧いただいているのは、「フォーカスセレクト」で選んだピントが手間にある写真。イメージセンサーの小さなマイクロフォーサーズであっても、撮影距離が短いためにこれだけボケボケの写真になってしまう。絞りも後述の理由で絞り込むことが出来なかった。
  撮影データーは「感度ISO800、露光時間1/30秒、絞りF5.6」。マイクロフォーサーズのカメラでは極力感度は上げたくなく、そして4Kフォトモードではシャッター速度を1/30秒より長く設定できない。絞りもキットレンズではこれが限度(これ以上開けられたとしても、被写界深度が浅くなってフォーカス合成にも悪影響が出ると思われる)。限界下での撮影となり、仕上がった写真が暗かったために最後は画像補正に頼った。以降も、GX7 MarkIIで撮影及び合成処理した写真については、ウィンドウズ標準ソフトの「フォト」を使って自動補正してある。

期待のフォーカス合成は?
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  というわけで、フォーカス合成“第一弾”がコチラ。「お、いけるやん?」――ぱっと見そう思えるかもしれない。しかしじっくりと見て欲しい。拡大しなくても、この状態で後ろの青い屋根の建物がおかしなことになっているのが分かるだろう。画像クリックで大き目の画像が表示されるのでそちらもご参照願いたいのだが、クモハ815(手前の車両)の屋根の部分の処理も変な風になっている。

先頭部の拡大
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  さらに先頭部を拡大した(大画像は等倍切り出し)。この画像では車両の裾の部分にもご注目頂きたい。ギザギザと表現すればいいのだろうか。波打ってると言えば良いのだろうか。とにかく、本来直線であるべき部分に乱れがあるのが分かると思う。ちなみに窓ガラスにヒビが入っているように見えるが、これは処理の問題ではなくただの埃であり、私の責任である。

後ろ側の拡大
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  後ろのクハ814を拡大すると、やはり車体裾に破線を描いたかのような不自然な何かが。つなぎ目かとも思ったのだが、こんなに細かく大量に発生するはずもなく発生原因は不明。

フォーカス合成第二弾(さらに酷い)
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  先ほどの画像は合成時の処理が「指定範囲」で、車両の部分だけを合成したもの。お次に「自動」を選んだ場合にどうなるかやってみた。結果はさらに酷いものとなった。どうやら画面に写ったもの全てにピントを合わせようとするみたいで、合成箇所が増えたのが響いているようだ。
  なお、今回の画像で鮮明になった奥の方に見える物体は何かというと、『FINAL FANTASY VIII』のぬいぐるみの「トンベリ」と「コチョコボ」である。

形崩れまくり
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  後ろの青い屋根の建物にピントが合ったカットを無理やり合成したせいか、手前側の主要被写体である車両の屋根が無残なことに。車両前面の“額縁”の赤い部分の処理も“劣化”している。

確かに広範囲にピントはあった写真だが
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  やる前から大体の予想はしていたのだが、パンタグラフの周囲がもやがかったように。クハ814も、運転台部分(助手席側だが)がエッフェル塔の合成の影響で潰れてしまっている。

背景をシンプルにしてみた
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  背景にモノがごちゃごちゃしているから上手くいかないのでは? というわけで背景を単色に染めてみた。昔買った小物撮影用のなんとかボックスというアイテムで、思ったより使い勝手が悪くて数回使っただけで封印されてしまった品物だ(こういうの多いよね)。セッティングが杜撰でやる気がないように見えるけど、まさしくその通り。この時点で既にテンションが著しく低下していて、それでも最後の気力を振り絞ってレールや車両を並べている途中に、仮にこれで上手く行ってもボックス内が狭すぎて両数が増やせないことに気付き、かなりどうでもよくなっていた。
  結論として、背景に引っ張られた乱れはなくなったものの、満足の行く仕上がりにはならなかった。

解決できないものはできていない(できた箇所はある)
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  まず、車体裾の謎の乱れは直らず。尚且つ、先ほどは背景のせいで目立たなかっただけと思われるのだが、屋根側に同様のギザギザが発生。ダメだこりゃ。後のクハ814に関しては、拡大しなければあまり見えないレベルの粗に留まってくれたんだけどね。

久々の登板となったティルトシフトアダプターで撮影
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  という経緯があって本日のトリを飾るのがコチラ。E-PM2にあおり機構を搭載したマウントアダプターを使ってOMマウントのレンズを装着し、ティルトさせて撮影。レンズはフォクトレンダーのウルトロン40mmF2を使用。画角で言うと35mm判の80mm相当でやや長いのだが、次に焦点距離が短いOMの28mmF2はレンズ後玉脇のハレ切り?が干渉してこのマウントアダプターが使えない。その次の21mmF2は使用可能なので、状況次第では次回以降の登板があるかもしれない。
  フォーカス合成が期待外れだったこともあり、改めて使ってみると極上の画質に見える。というか、ウェブにアップするだけなら完全に実用域にあると言っていいかも。

細かいコト言うとアレなんだが、そんなに目くじら立てなくても……?
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  ただし、拡大してみるとそうでもない。レンズの設計が画素ピッチの小さいデジタルに対応できていないのか、それとも普通のレンズをティルトさせて使っているせいかもしれない。特に左端の方で甘さが見て取れる。開放付近だとかなり酷いのと被写界深度の面でもF11まで絞っているのだが、絞りすぎで回折の影響が出ている可能性も否めない。そういったあたりがこのアダプターを採用していない原因なのだが、フォーカス合成のダメっぷりを見るとこれでいいかな?と思い始めてきた。1600万画素をフルに使う必要もないので、トリミング前提で撮影して画質が落ちる端の方を切り捨てればもっと良くなるかも。画素数から言えば、α77がクロップ込みで600万画素、フォーカス合成が800万画素相当なので、タテヨコ7割ぐらいのピクセルで全く見劣りしない。このあたりは今後研究してみます。
  ちなみに、ティルト撮影に関して勘違いしていたことがあった。ピント面はレンズの傾きと同じだけ傾くと思っていた。細かい説明は抜きにするが、レンズを傾けた角度以上にピント面は傾く。これまで角度が足りないと思っていたので、この撮影でもクハ814まできっちりピントが合っているのは被写界深度のお陰だと思っていた。2両だから何とかなってるけど、長編成になると厳しいそうだな、と。でも実際はそんなことなくて、多分10両でも20両でもドンと来いのはず(そんだけ長くなったら、後ろ半分ぐらいはボケてても大した問題じゃないだろうけど)。さらに、上手く行けばシフトの方も有効活用できそうだ。
  というわけで、次回の画像で侃侃諤諤は……ティルトの研究が先になるか、新作完成が先になるか、どっちだろう?

(2017.07.21)

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