先日、日本ハムファイターズの大谷翔平のTシャツを買ってしまった。阪神ファンなのに。阪神ファンだけど、大谷翔平を応援しているのだ。阪神ファンが大谷を応援しちゃいけない、ってことはない。Tシャツも買っちゃいけないって法はない。というわけで買ってしまった。
突然だが全国の阪神ファンの皆様、今、阪神の誰を特に応援していますか? 私の回答はこうだ。「特には誰も応援していません」 一昔前は違った。八木裕とか、檜山進次郎とか、金本知憲とか、藤川球児とか、阪神の中でも特に応援している選手はいた。しかし、当然ながら皆徐々にピークを過ぎ、そして引退していく。今挙げた4人の中で唯一現役なのが藤川。しかし、火の玉ストレートを失った藤川は応援する気になれない。2軍で復活に向けて頑張っていれば違っただろう。だが今年、藤川は、言い方はきついが1軍で醜態をさらしている時間が長かった。先発としてはイマイチ、中継ぎとしても復活したかに見えたがすぐに降下線を辿ってしまった。阪神タイガースが藤川球児を獲得したこと、これには異論がない。藤川球児に関して阪神サイドの最悪のシナリオは「他球団で活躍すること」だ。これを避けるためには自分のところで獲得するしかない。そこまでは良かったが、2番目に悪いシナリオを実行してしまった。「復活しない藤川を1軍で使い続ける」だ。1軍戦力として物足りないのなら2軍で調整に専念させるべきだったのに、かつての栄光を期待して長いこと1軍で投げる場を与えてしまった。昔からの阪神の悪い癖である。そういう悪い習慣をなくすのも期待されてたんじゃないですか監督さん?
では、期待の若手に目を向けてみよう。高山、岩貞、北条、原口、青柳……いいものを見せてくれた選手はたくさんいる。もちろん応援はしちえる。でも、背番号の入ったTシャツやレプリカユニフォームが欲しい……そう思わせる選手が残念ながらいない。阪神の選手は全員応援しているから……とは思ってみても、何か物足りない。八木や檜山のレプリカユニフォーム、金本や藤川のTシャツに続くグッズがないのは寂しい。そんな中、発想の転換をする日がやって来た。打順一番、守備位置投手で先発し、先頭打者本塁打を放ったあの男である。
「阪神に特別応援する選手がいないなら、大谷を応援すればいいじゃない」
天啓が舞い降りた。元々大谷の成績には注目していた。ドラフトで指名した時は、メジャーに行きたがってる若者の足を引っ張って何が楽しいんだ日本ハム!と怒っていたのだが、“二刀流”の話を持ち出したところで私は手のひらを返した。日ハム、面白いことやるやん! とは言え、半信半疑だった。流石に無理じゃない? どうせ2年後3年後にはどちらかに専念させるんだろ? ところがそのまま二刀流で開花と言える段階まで持ってきた。大谷が凄いのか日ハムが偉いのかよく分からないが、でもやっぱり大谷あってのことだろう。前にも書いた通り、阪神のチーム成績がイマイチだったこともあり、阪神の勝敗そっちのけで大谷の成績に注目したりしていた。よし、これはもう、日ハムのTシャツ、大谷の11番を買うしかない! でもやっぱり葛藤はあった。私は阪神ファンである。日ハムのTシャツを買うのはいかがなものか? 日ハムファンからすれば私は“にわか”もいいところ。大谷以外に選手の名前を何人知っているかというと、多分2桁には届くまい(速報とか見てるのでかなり目にはしているが)。大谷のTシャツ買うなんてただのミーハーじゃないの? そう思って……(いい加減長いのでそろそろ中略します) とうとう私は買うことにしたのである。人生初の阪神以外の球団のグッズ(統一球は特定球団のものじゃないので除外)。左利き用硬式グローブの時もテンションが最高潮に上がったが、大谷Tシャツも同じぐらいハイテンションになった。2ヵ月連続で、ちょっとしたウキウキ気分である。
また急な話題転換。実現できないけど、もしできたらとても楽しいだろうな、という「夢」みたいなものがある。それは、私が投げた球を私が打席に立って打つことである。何をもって勝ち負けとするかは難しいが、多分打つ方が勝つ。ピッチングよりバッティングの方が自信ある。でも、勝ち負けはどうでもいいんだ。自分が投げた球がどんな軌道を描いて飛んでくるのか、バッターボックスで見てみたい。どう頑張ってもバッティングセンターの140km/hよりは遅いだろうが、自分の投げた球を打つのは特別だろう。おそらく、ではあるが、プロ野球選手のほとんどが投手対打者として自分と対決した場合、投手ならば投げた方が勝ち、野手ならば打つ方が勝つだろう。もちろん、たまには投手本職の選手が自分からヒットを打ったり、野手本職の選手が自分から三振を奪ったりすることもあるだろう。でも、トータルで見れば本職のポジションが優勢になるはずである。プロの投手は、自分が打てないような球を投げるのである。プロの野手は、自分で投げられないような球を打ち返すのである。
「プロ野球選手のほとんど」と書いたが、全員ではない。そう、大谷翔平である。投手大谷と打者大谷が勝負したらどうなるだろう? 投手大谷が勝つ姿も、打者大谷が勝つ姿も、どちらも思い描ける。絶対に実現できない対戦だから想像するしかないが、ロマンを感じないだろうか? 今のところ、そんな選手は大谷翔平ただ一人なのである。阪神ファンだけど、他球団の選手だけど、応援したいのである。
(2016.09.28)
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