関西急電第二次代用編成、作成中

クリームとマルーンの塗り分けが完了したクハ68(上の模型)

  現在制作中の模型は、関西急電第二次代用編成だ。実車についてかいつまんで解説すると、急行電車(現在で言う快速)の運転区間臨時延長に伴い足りなくなった編成を補うため、緩行用の車両の中からクロスシート車を選んで組成した代用の急行電車編成。一番最初の代用編成は、茶色のままで走ったために乗客から分かりにくいとクレーム。これを受けて第二次の代用編成は80系と同じ色を使って塗り分けられた。両側の先頭車は半流型のクハ55改造のクハ68、中間車は2両のモハ70 100番台と切妻型クハ55改造のクハ68が充てられた。80系が増備されるまでの約1年半の期間限定の編成だった。なお、この他にも横須賀色のクハ76、モハ71による代用編成が走ったとのこと。
  ここでご覧に入れているのは、クリーム3号とぶどう色3号の塗り分けが完了したクハ68のボディ。右下は以前作った関西急電80系の登場時編成のクハ86。下に敷いてあるのは、数少ない代用急電のカラー写真を表紙にした『美しき半流国電』という本である。昭和28〜29年ごろの写真なので相応の退色があるが、こと代用急電第二次編成に関していえば私が目にした唯一のカラー写真である。ちなみに、 デジタル処理で補正すれば「正しい関西急電の色」が分かると思ったのだが、あまり上手く行ったとは言えず、結局面倒になってモリタの塗料をそのまま塗ることにした。

その後、インレタを貼りクリアーコートし、最後に屋根を塗装

  当初の予定では先ほどの画像だけにするつもりだったのだけれど、作業が進んだのでさらに完成に近付いた姿を。車体番号をインレタを使って入れ、クリアーコートした後に屋根色を塗った。屋根色は以前から旧国を作るときに使っている調色塗料。先日、FARBEの床下グレーが私の調色した色に近いことを知ったので、調色した分を使い切ったら次からそれにしようかと思ったのだが……検討の結果「微妙に違う」ということで再度塗料を混ぜることにした。
  ちなみに、下回りは仮の状態ではめ込んであるだけなので、先頭車の前面にカトーカプラーを使う予定はない。

以前作った80系と並べてみた

  以前作った80系と同じ塗料を使っているはずなのだが……またしても微妙に色が違ってしまった(左の80系は、隣接させるためにカプラーを外している)。ま、両者が編成内に混在するわけじゃないので、これぐらいなら許容範囲内? とは言え、塗るたびに色が違ってしまう現象(ただの腕不足?)は何とかしたい。

屋根色に注目

  1枚目の画像の、実車写真の屋根付近に注目してもらいたい。微妙に色が違っている。調べると、どうやら実車の製造時期による屋根素材の違い(左側は鋼板に塗装? 右側は屋根に布を張っているらしい)が色の違いとなって出ているようだ。奥側のモハ70以下4両は(ほぼ)同じ色のようで、模型では私の調色塗料を使うことにした。問題は1両だけ違う手前の車両の屋根。当初は屋根色なんて無視するつもりだったのだが、実車写真を見ているうちに避けて通るのは許せなくなってしまった。となると問題となるのが「何色で塗るか」。ベンチレーターとほぼ同色であることからねずみ1号が有力なのだが……実際ねずみ1号で屋根を塗ると次の画像のような感じになる。

以前作ったリトルジャパンのクモハ40(左)と今回の車両(右)

  以前リトルジャパンのクモハ40を作った時、青22号に塗った車両の屋根はねずみ1号にしてみた。その屋根板をぶどう色2号で塗った車体に合わせてみたのが左の車両(例によってカプラーは外してある)。右が今回作っている車両だ。私が屋根色をやや暗めに設定しているせいでもあるのだが、ねずみ1号とはこれだけコントラストがある。ちょっと明暗差が付きすぎてねずみ1号にするのが躊躇われる。かと言って、もう少し暗いダークグレーにすると、2つ上画像の80系との並びのようにしかならず、これはこれでちょっと物足りない。『吊掛賛歌3』という本の実車写真(モノクロ写真)ではこの画像ぐらい差が付いているのだが、モノクロ写真と退色しているカラー写真とどっちをアテにすればいいかは不明。同じモノクロでも、他車の写真を見ているとかなり明るい屋根色のものもあればちょっとだけ明るい感じの写真もある。それらが全部同じ色で塗られていたかどうかは不明なので、光線の加減で違って写っているのか元々色の濃さが違うのかも不明。一つ言えるのは、ぶどう色2号のこのクモハ40に、ねずみ1号の屋根を載せたものを単体で見ても違和感はないということである。ねずみ1号で正解かなあ……。

誤算を埋めるための工作

  今回の第二次代用編成は固定編成となる。これまで非固定編成の車両を作っていたので全車にTNカプラーを採用していたが、固定編成なので(コストダウンも兼ねて)台車マウント式のカプラーを使うことにした。作業の途中で、普段通りに台車間隔を90ミリに詰めたのだが(実車を正確にスケールダウンするなら90.5ミリ強だが、動力に合わせて90ミリ)、これが誤算の始まり。台車間隔を短くしたせいでカプラーアームの長さが足りなくなってしまったのだ! 鉄道コレクションの動力ユニットはスペーサーを使って手軽に長さを調整できるが、グリーンマックスの台車ではそうもいかない。カトーのボディマウントタイプの旧国用カプラーを使う案も考えたのだが、取り付けに非常に手間がかかるので却下。多分ボディマウントタイプのTNカプラーよりも面倒で、コスト面でもTNカプラーと大差なくなってしまう上に、入手の安定性に欠ける。固定編成は今回だけじゃなくて今後もいくつか考えていて、仕様は極力統一したい。ほんの少し前までお世話になっていたタヴァサのTNカプラーアダプターの再登板も考えたけど、あれあんまり好きじゃないんだ。というわけで仕方がなく、GM台車のカプラーアームの延長加工をしてみることにした。アームの途中で切り離し、プラ板で延長して繋げる。強度が必要なので、直径0.6ミリの真鍮線を植えて補強。この加工方法は類似のものが漫画『げんしけん』にも出ていたが……それで学んだわけではなく、かなり昔に鉄道雑誌で読んだ方法を使わせてもらっている。一応実用強度は出せている、と思う。強度が必要とかいいつつも、実は模型を走らせる程度であればそこまで強固でなくても何とかなる。後輩が以前に、TNカプラーを両面テープで止めて「問題ないですよ」と言ってたのだけれど、両面テープよりは強力じゃないかと。

  こんな感じで、歩みは遅いけれども少しずつ着実に進行中。完成するのが楽しみだ。

(2015.03.05)

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