レールクラフト阿波座オリジナルキット 山陽5000系

レールクラフト阿波座オリジナルキットの山陽5000系、直通特急仕様

  昨年発売されたレールクラフト阿波座オリジナルキット、山陽5000系。以前から5000系のオリジナルキットは発売されていたのだが、今回新たに発売されたのは直通特急使用としての6両編成。山陽5000系は登場から現在に至るまでに紆余曲折?があり、そのせいで編成ごとの差異が多少なりともあるらしい。このキットは「5020F」と「5022F」のどちらかの編成が作れるとのこと。私は山陽電鉄はやや守備範囲外なのだが、5000系は直通特急として阪神電鉄に乗り入れてくる。阪神電車じゃないけど阪神電車を利用していると良く見る車両なのだ。というわけで、いつか模型で欲しいと思っていたら……ということなのである。

箱を開けるとぎっしり感が

  某社の某キットは箱を開けてびっくりスカスカだったのだが、阿波座のキットはそんなことがない。いつもながら車体本体の脇にパーツがぎっしりと入っている。基本的に車体から下回りまでトータルでセットされていて、他に必要な部品は動力、車輪、カプラー、パンタグラフといったあたり。セミトータルキットと呼んでいいだろう。配管をやろうとすると、これらにプラス真鍮線他が必要になってくるけどね。

ぎっしり感を演出する小パーツ群

  上の画像の左上の透明なプラ小箱にはこれだけの部品が入っている。台車枠や床下機器、ボルスターとネジ、クーラーやベンチレータ等の屋上機器類、そして正面となるロストワックスパーツ。金属の塊なので、手に持つとずっしり来る!(笑)

謎の……

  箱を開けて「これなんだろう?」だったのがこちら。何かの商品が入っていたブリスターパッケージ。パッケージだけで中身はない。「なんじゃこりゃ???」 答えは説明書に書いてあった。これの角の部分を利用して「正面窓を作ってください」とのこと。山陽5000系は正面から側面にかけて曲面ガラス(パノラミックウィンドウ)が採用されている。普通に透明素材を曲げようとすると、できないことはないけど結構難しい。そこで最初から曲げてあるものを利用してやろう、という発想である。なるほど。上手い廃材利用である。

阿波座オリジナルキットの弱点?
画像は南海2300系の台車を裏側から見たところ

  先日、本編で言っていた阿波座オリジナルキットの弱点とは……。阿波座が製品化する車両の台車は、類似品があまりないタイプのことがある。というわけで、ホワイトメタル鋳造の特製台車枠(外枠)が付属するのだが、これを取り付ける内枠もショップオリジナルのパーツである。エッチング部品なのだが……曲げて形を作ってから塗装し、最後に車輪を嵌める。直接話を聞いたわけではないが、出来上がった枠に車輪をねじ込むために、やや余裕を持った寸法に作ってあるように思える。その余裕の寸法が災いしてか、やや車輪のホールドが甘く感じ、そして転がりにも若干の悪影響が出ているような気がする。完成した枠に車輪を入れるときも、枠を歪めるようにして空間を作らないといけないので、組み立てていてあまりすっきりした気持ちにはなれない。後者に関しては、先に塗装して車輪を挟みながら曲げればいいようにも思えるが、それではダメなのである。台車枠には車体重量がかかるので折り曲げただけでは強度に不安が残る。だから曲げた部分にハンダを流して補強する必要があるのだ。
  もう1点。できた台車は、そのまま床板にネジ止めする。このとき、ネジを最後まで締めると……台車が首を振らなくなり、カーブが曲がれなくなってしまう。というわけでネジは少し緩めた状態にしておくのだが、ネジが緩んだままというのは精神衛生上よくない。あんまり実用上困ることは今のところないのだが……。

というわけで、改良案

  そこで私が考えたのがこちら。ゲージ/スケールが違うが、日光というメーカーの台車の構造をヒントにしている。台車枠を左右で切り取ってしまい、間にプラ板を渡してネジ止めするのだ。これであれば、間のプラ板のサイズの微調整で車輪に合わせた台車枠ができるし、塗装後の組み立て時に枠を歪める必要もない。それはそれで、若干組み辛いところはあるのだが……。目下の問題は、プラ板のサイズの微調整がどの程度の精度で要求され、そしてそれを5両分10台量産できるのか、ということ(動力車はこれをやらなくていいので、6両編成のうち5両でこの加工が必要)。それから、これまた工作精度がに問題があって、前後の車輪をホールドする4つのピボット部が綺麗に平面を描かない。ネジをわずかに緩めておくと上手く行くようだが、それはそれでさっき書いたように精神衛生面で問題が。あと、車体の力がかかるところなので、走らせているうちに緩めたネジ穴に力がかかって変形してくる恐れも。うーむ、これはこれでやっぱり大変だ。
   車体への取り付け部に関しては、ネジにパイプ素材を噛ませることで、最後までネジを締めても台車を締め付けないようにできた。これは別に、台車枠がそのままでもできなくはないんだけどね。

  もう一つこのキットで問題になっていたのが、カーブの通過半径のこと。転落防止幌が干渉するので半径280mm(トミックスの標準カーブ)はあまり望ましくないらしい。店長氏によると推奨は315mm以上。私はトミックスのシステムを使っていて、280mm半径のカーブもある。なので出来れば280mmは通過させたい。実は最初……この自作の台車枠からカプラーアームを伸ばし、連結面間隔を伸ばして転落防止幌が干渉しないようにするつもりだった。「カプラーは車体マウントがリアル」という現代の鉄道模型の考え方にもろに逆行するこの作戦、自分ではなかなか面白いと思ったのだが……かなり連結面を広げないと転落防止幌が干渉することが分かった。なのでキットの設計どおりの車体マウントのカプラーを使い、転落防止幌は半分ほどを切り詰めることにした。もちろんこれも「面倒な作業」である(苦笑) さぁて、今月中に完成するといいんだけどなあ。

(2012.02.03)

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