銀と銀

輝きの違うシルバー

  虹が七色なのは日本の文化らしい。他国ではもっと色数が”少ない”んだとか。かといって、我々がきちんと虹の七色を見分けが付くのかどうか怪しいが(私には少なくともきっちり七色には見えない)。そして厳密な話をすると、虹は七色どころか数えることのできないぐらい多くの色のグラデーションで構成されているはずである。人間の目では識別できないだけの話であって。と同時に、同じ色――例えば「赤」と言っても幅がある。血のように赤い赤もあれば朱色がかった赤もあるだろうし、薄めの赤や暗い赤もある。もちろんその度合いが大きくなると別の色名で表されたりするし、その色名がまた風流だったりもする。
  前置きが長くなったが、一口に銀色と言ってもいろいろある。模型界にも様々な銀色があって、塗料売り場に行くと何種類も銀色の塗料が売られている。普通のシルバーに始まり、ステンレスシルバーやアルミシルバーといった金属の風合いの再現を目指した塗料、 ブライトシルバーやスターブライトシルバーのように金属感そのものをアピールする塗料、などなど。去年だったかに発売されたガイアノーツのステンレスシルバーは、鉄道のステンレス車体を再現することを目標に作られた塗料らしい。メタリックカラー専用の希釈液、メタリックマスターというシンナーも発売されていて、そのコンビネーションで塗った銀色はかなり金属に近くなる(あくまで私が知っているそれまでに発売された銀色の塗料より、であるが)。某店の店長氏曰く、メッキ加工が施された某製品の存在意義が霞んでしまうとか何とか。私も去年作った京王5000系のクーラー(集中タイプ)に使ってみた。あまりはっきりわかる写真を用意してなかったので完成報告中に書かなかったが、かなり”いい感じ”である。
  ここでようやく画像の説笑みに入る。実は鉄道車両のステンレス車体、見た目に同じ銀色一色ではない。素材が違うのかドア周りや窓周りの補強と思しき部分は光沢感が強かったりする。模型製作の際にここが再現できればカッコいいのだが、今までの塗料では難しい面もあった(塗料以外の方法に頼るという考え方はあったが)。今回私は、地の部分にMr.カラーのごく普通のシルバーを、そしてドア周りだけをガイアノーツのステンレスシルバーで塗ってみた。違いはご覧の通り。ドアの下の部分が強く光を反射しているのがお分かりいただけるだろう。なお、車体の前後方向に走る細い線も明るく光っているが、これは凹凸の関係上で上方からの光を反射しているだけに過ぎない。

角度によっては目立たない

  先ほどの画像は目立つようにあれこれ工夫して撮ったものだが、角度によってはあまり目立たないのも事実。この2枚目の画像では……よーく目を凝らせば「ちょっと違うかな?」という程度の違いでしかないと思う。角度によって見え方が違う……これもまた色の面白いところかもしれない。とは言うものの、ある程度手間暇かけて作業しているので、どんな角度から見ても一目で違いが分かるほどの差が出てくれても良かったのだが。
  題材は現在製作中の南海2300系でした。順調ですよ!

(2011.06.07)

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