阪急電鉄100年ミュージアム号タイプ

阪急電鉄100年ミュージアム号タイプ

  プロトタイプは、昨年運行された「阪急電鉄100年ミュージアム号」仕様の6000系6001F。車体には記念ラッピング、車内の宙吊り広告部には阪急電鉄の歴史などを飾った記念列車的な存在であった。
  模型はもちろん、この特徴的な外装の再現を目指して製作。1/150サイズなので内装には流石に手が回らない(笑) 使ったのはグリーンマックスの完成品7000/7300系で、6000系とは細部……というか屋根と床下の一部が異なるが今回はとりあえず保留としてある。本来ならば、実車との相違を差し置いても屋根板を濃いグレーで、屋上機器や床下部品も各種グレーで塗っておきたいところなのだが、後述の理由により車体ラッピングのみの加工しかしていない。

ドア周り〜開業100周年の文字部

  ラッピングの再現にはデカールを使用。と書くとデカールを自作したように聞こえるが違う。金帯や「開業100周年 ありがとう一世紀 これからも、ずっと一緒に。」の文字部分は某所で有償譲渡してもらったもの。シルク印刷の特注品ではなく多分MDプリンターで印刷されたものなので、気合入れれば自分でも作れたとは思う……のだが、プリントの際に必要となる元データーの入手が難しいので素直に金の力に頼りました(嫌味な表現)。ドア脇の100周年記念ロゴステッカーはデカールとは別にシールを付けてくれていたのだが、シールでは分厚くて段差が目立つのでこちらは正真正銘自作のデカールを使った。この話は後述。

片側の先頭車に貼られている携帯電話オフ車輌ステッカー

  デカールの譲渡元では「携帯電話オフ車輌」のステッカーはGM完成品に付属のものを使っていたようなのだが、GMのステッカーは隠蔽力が弱く阪急マルーンの下地が透けて黒っぽく見えてしまう。また、先ほどの記念ロゴステッカー同様厚みも目立ってしまう。故にこちらはジオマトリックスデザイナーズインク(社名が長い……)から発売されているインレタを使用。記念ロゴの自作デカール共々、完璧には下地を隠しきれていないものの、重ね貼りが少し難しく手間もかかることから妥協した。下地がらみで言うと列車種別表示の「急行」――画像は一番最初の先頭部のものにしか写ってないが――は完成品付属のステッカーなのだが、こちらも色が黄色なせいで下地が透けやすい。よってシールの余白を使って重ね貼りし、少しでも黄色が鮮やかに出るようにしてみた。

  先ほど後回しにしたデカールの話。金帯装飾と違って元データーとして使える画像を阪急電鉄公式サイトのPDFファイルから発見。プリントスクリーンした画像から適宜修正を加えてプリントした。プリントにはMDプリンターではなく普通のインクジェットプリンターを使用。細かいロゴや中間色に関してはインクジェットの方が綺麗に出力できる。デカールはケイトレーディング社のホワイトデカール。隠蔽力はまあまあで、下地の透け具合は画像の通りである。
  このホワイトデカールという商品なのだが、パッケージには「まだ熱転写プリンターを使いますか?」という挑発的な文字列が(熱転写プリンターとは、先ほど書いたMDプリンターのことである)。確かにかつてはデカールの自作というとMDプリンターが常識で、インクジェット用のものは発売されていなかった。MDプリンターは生産中止で入手が難しく、先ほど書いたように解像度や中間色の再現に関してはインクジェットの方がはるかに進化してしまっている。 けど、この「まだ〜」には違和感を感じる。だってMDプリンターじゃないと白も銀も金も印刷できないんだもん。「まだインクジェットプリンターは白も銀も金も印刷できないんですか?」がこちらの言い分。まあ、用途に応じてインクジェットとMDを使い分けるのが”デキる”モデラーだとは思うのだが。なおこのデカール、非常に柔らかくて皺が寄りやすく、それが重ね貼りによる隠蔽力の補強を躊躇わせた理由にもなっている。1枚普通に貼るだけでも、位置調整の際に変に歪んでしまったりとなかなか一筋縄では行かなかった。ただ、柔らかい分凹凸にはかなり馴染みやすそう。MDプリンター用のデカールにインクジェットで印刷したり、その逆の組み合わせができたりするとさらに用途に合わせた使い分けができそうなのだが……そちらはまだ未研究である(前者はどこかで実験例を見たような気がする)。

  既に説明したとおり、車体のみの加工で屋根や床下といった部分にはユーザー取り付けパーツを取り付けた以外に何も加工していない。床下は一部の車輌で少々、屋根は6000系と大きく異なる。私はそのうち、GMが6000系を製品化することを期待してそのままにしている。発売されたら、屋根と床下を交換して本品を正しい6000系に、新製品の6000系を7000系とするつもり。多分ボディは、少なくとも模型では同じになると思うから。

(2011.03.24)

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