旧型国電70系300番台阪和線色

旧型国電70系300番台阪和線色

  一ヶ月丸々かかってしまった感が強いが、70系300番台の阪和線色4両編成。タヴァサホビーハウスの金属エッチングコンバージョンキットで、主なセット構成は側板と妻板。クハの前面部や屋根、床板といった部分はグリーンマックスの101系キットから流用する内容となっている。クハの先頭部は、同じGMの70系から……ではなく、何故かクモユニ81の前面パーツを指定。GMのキットとしては、70系、80系数種類があるわけだが、某店の店長氏曰く「クモユニの前面が一番似ている」とのこと。タヴァサの主もそう思ってクモユニの前面を指定したのであろうか……? なお、私がこのキットを購入した時はクモユニ81が品切れを起こしていた。何とか確保できたものの、将来また70系が組みたくなったら面倒だ――と思っていたのだが、最近再生産されたようで某大型店にて普通に売られていた。GMの旧型国電はいずれまた挑戦したいので、各種定期的に生産して欲しい物だ。品番205の80系一次型なんかは特にね!!

前頭部

  件のクモユニ81の前面パーツを利用したクハ76先頭部。関西のクハ76は、ヘッドマークを取り付けるために左右の前面手すりがステーで繋がれていたらしい。以前70系阪和線色を作った時はあっさり省略(というか技術的に無理だった?)のだが、今回はそれを表現すべく思案。一番楽なのは、元の手すりを削り取って、タヴァサのパーツを使って"植える"こと。プラスティック製Nゲージでは大抵、手すりは線が浮き出ただけの表現になっている。ホンモノの手すりは人間が掴めるようなものなので、形状がまるで違う。しかしそれを模型でやると、別パーツ化して取り付ける必要があり生産コストがかかる。のに加えて、強度面で不利になるので保管、走行時に気を遣う必要がでてくる。HOぐらいのサイズになると当然別パーツの実感的な表現になるのだが……。
  さらに今回の場合、もう一つ悩むことが。一箇所エッチングパーツを使って手すりを植えてしまうと、他の手すりも植えないことにはバランスが悪い。全部置き換えるのは何より面倒で、そして強度の弱い箇所を増やすのもいかがなものか。かといって、プラスティック成型を真似した表現をやるにはどうすればいいのか……。これ、実は作り始めたのは去年の7月。なのに製作がストップしたのはその点で悩んだからだ。今回一念奮起して結論を出すべく製作を再開。私が出した答えはやはり、プラ成型を真似した浮き出し表現。最初真鍮線でやろうとしていたのだが、いろいろ問題があってランナー引き伸ばし線に変更。前面部への取り付けは、薄く溝を掘って、その溝に合わせて位置決めを行い、流し込みタイプの接着剤で固定。こうして拡大してみてみるとあまりすっきり仕上がらなかったが。
  なお、側面の手すりも側板に密着させ、プラスティック成型と同様の表現にした。こちらは裏面の取り付け準備穴を貫通させて、真鍮線を曲げて埋め込んだ。

パンタグラフ周り

  モハ70のパンタグラフ周り。脇のランボードは、パーツが売られているものの「これぐらいだったら自作できそう」と自作パーツ化。厚さ0.5ミリのプラ板に、101系キットのランボードを細切れに切って取り付け足としている。配管はキットの説明書を見ながら適当に。技術的に目新しいものはない。避雷器はカトーの多分80系用の分売品。形状は旧型で、資料写真を見ると新型のものが多いのだが……どっちがいいんだろう? よく分からなかったけど、深く考えず手元にあるものを有効活用。取り付けは、屋根と部品双方に直径0.6ミリの穴を開け、同じ太さの真鍮線を介して行った。特に接着剤不要でびしっと決まってくれる。
  ベンチレーターはトミックスの72・73系用のものを使用。台座が必要になるのだが、タヴァサのパーツを使用して取り付けてみた。しかしこの台座、商品名はトミックス用だが72・73系用ではなく103系用のものらしく、取り付け穴が少々小さい。ヤスリで一つ一つ拡大したのだが(ドリル刃では作業しにくかった)、全部で26枚やるのはちょっと面倒だった。あと、トミックスの72・73系用ベンチレーターは資料写真と見比べるとひと回り小さいかも……? GM101系キットに入っていたベンチレーターと比べてもやはり小さい。キットに入っているパーツなら台座も要らないので、こちらを使おうかとここでもかなり悩んだ。でも、形状はトミックスのパーツに軍配が上がるので、今回はトミックスパーツにしてみた。コスト面でも作業量でも付属パーツの方がいいんだけどね。

窓周り

  80系も70系も300番台車では車体が鋼体化され、窓の上下のシル、ヘッダーと呼ばれる補強板がなくなった。旧型国電にありがちな無骨さはほとんどない。キットではアルミサッシや窓部のガラス押さえのゴムが別パーツ化され、300番台に相応しいすっきりとした仕上がりが得られる。

(2009.10.29)

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