シールされていても、端っこをめくったら見れるじゃん♪と思ったけれどそれは浅はかだった。本の装丁がそれすらも阻んでいる。
というパンフレットネタはこの辺にして……いよいよネタバレです。心の準備は良いですか?
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『エヴァンゲリオン』と言えば、登場人物の心理描写にも多くを割かれているのが特徴。『新劇場版:破』においてもその傾向は健在だが、よりその傾向が強かった、というのが私の印象。『破』ではテレビ版における第七話〜第拾九話あたりが描かれている。倒すべき敵、使徒も多く、戦闘シーンが多くなるのかと思ったが、使徒の数は大幅に削られキャラクターの心情描写に重きが置かれている。綾波レイが包丁を握るし、その影響で式波・アスカ・ラングレー(新劇場版で名前が惣流から式波に変わった)も料理を始めるし。そして、"最強の使徒"ゼルエルが襲来する。零号機に乗ったレイが爆弾を抱えて特攻するシーンは同じ。しかしレイの心の内は大きく違う。テレビ版や漫画版では「私は死んでも代わりはいるもの」という姿勢だったが、『破』では「碇君がエヴァに乗らなくても済むように」というセリフを口にする。『序』ではテレビ版をかなりなぞった展開になっていたのだが、『破』からストーリーもキャラクターの成長も大きく別のベクトルを示し始めた。四部作の半分が終わったが、残りがかなり気になる展開である。 冒頭。いきなり謎の場所での謎の使徒と謎のエヴァの戦い。謎の使徒は「第参使徒」と呼ばれる。エヴァは「仮設5号機」という他の機体とは異なるシルエット。搭乗するのは新キャラクター、真希波・マリ・イラストリアス。新キャラということで、その役回りを大いに期待したのだが……残念ながら、あまり目立たなかった。シンジとは対面するものの、他のパイロットやネルフ関係者とは会わない。パイロットのいなくなった弐号機に勝手に乗って戦ったりもして、そこで逃避中のシンジに道を諭すのが一番大きい役割? 心の内面も読めないが、この作品に出てくる唯一の心に影の部分がないキャラクターになるのかも。 参号機には鈴原トウジではなく、アスカが乗る。使徒バルディエルに侵食され、ダミープラグによる初号機に倒されるシーンは同じ。テレビ版ではトウジは足を失う物の生存、漫画版では絶命、『破』では……アスカは生存するが、使徒による侵食が危惧される状態。が、予告版ではピンピンしていたので復活するのだろう。『破』ではレイのことを「エコひいき」、シンジのことを「七光り」と呼ぶのが新鮮(レイはえこひいきで、シンジは親の七光りでパイロットになれた、という意味)。テレビ版、漫画版では加持にべったりだったが、『破』ではあんまりそういうそぶりがなかった……料理しようと挑戦したことも含めて考えると、対象が変更されているのか? 『序』のラストではいきなり渚カヲルが出てきた。あまりよく覚えていないが、あれは宇宙空間だったのか……? 『破』では月面で製造中の六号機に座った状態で搭乗。そしてスタッフロールが終わった後に見せ場がやってくる。零号機とレイを取り込んだゼルエルから、初号機のシンジが救い出したラストのシーン。その初号機をロンギヌスの槍?が貫く。投擲者は渚カヲル。月面から六号機に乗り込んでのこの行動の意味は? さらに少し戻って、ゼルエルとの戦い。初号機は内部電源が切れて動けなくなるわけだが、そこで初号機が再起動するシーンがテレビ版や漫画版とは大きく異なる。テレビ版や漫画版では初号機に眠る碇ユイの影が見え隠れしたが、『破』ではシンジの一言に尽きる。「綾波を返せーっ!」 動けないはずの初号機がこれでゼルエルを押し返す。テレビ版や漫画版ではお馴染みのお食事シーンに移るが、『破』ではその前にゼルエルが零号機を喰う度肝を抜かれたシーンが展開済み。ゼルエルのコアに初号機が、シンジが手を伸ばし、レイを救出する。ゲンドウと冬月はそれをみて「初号機が覚醒した」と発言。初号機に2つのコアが生じる描写。その後「槍」に貫かれるわけだが……。 ゼルエルとの戦いと言えばもう一つ。「拘束具」の話。赤城リツコ博士の曰く「エヴァ本来の力を押さえ込むための拘束具」、それが今までエヴァの装甲だと思われていたもの。『破』ではその会話はなし。但し、その前に弐号機が戒めを解く。パイロットはマリ。ゼルエルの力に対抗できないと見て、エントリープラグ内で立ち上がり「裏コード、ザ・ビースト」と叫ぶ。弐号機の内部から、原子力発電所の出力を調整する棒?を思わせるものが出てくる。解放されるエヴァの力……なのだが、やっぱりゼルエルには勝てなくて意味不明(笑) おそらく、テレビ版や漫画版での初号機とゼルエルとの戦いにあったいろいろなものを、レイの救出という一点に絞るための措置だと思われる。 次作は『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』と予告された。パンフレットによると元は「急」だったらしいが。予告どおり急展開なるのか。そして、このままだと3作目で終わっても良さそうなのだが、4つある意味とは?
ところで、碇シンジ君はポータブルのDATプレイヤーを愛用している(DATって皆知ってるかな?)。少なくともテレビ版、漫画版ではあまりその意味は描かれていなかったが、『破』では一つのキーアイテムの意味を込められた。「昔父さんが使ってたもの」――父・ゲンドウとの絆の品物だったのだ。しかしシンジは、ゲンドウに今度こそ愛想を尽かしネルフを去ろうとする。そしてDATプレイヤーはゴミ箱に廃棄されていた。そのDATプレイヤーを拾い上げたのはレイ。レイの望んだことは、ゲンドウとシンジの仲直りだった。その象徴としてなのか、それともシンジの"形見"としてなのか、DATプレイヤーと共に零号機に乗り込み使徒に特攻を試みる。そして使徒の内部から"還って"来るときにも、その手にはしっかりと握られていた。
(2009.07.02)
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