バッ手の悩み


 多趣味な私の「趣味三本柱」の2つめが「バッティングセンター通い」ということになっている(*1)。バッセンへは概ね月2回ほど行き、普段は家で素振りをしている。そんな私の必須アイテムが「バッティンググローブ」(バッティング手袋、略して「バッ手」)だ。ごくごく初期の頃に素手でバットを握っていたこともあるのだが、バットの重量と振る回数が増えてきてからは必ずバッ手をするようになった。
 普通一般的に「グローブ」と言われてイメージするのがキャッチボールをするときに使うグラブだと思うが、それとの大きな違いはなんだろう? もちろん大きさとか材質からして全然違うのだが、今日私が主張したいのは「買い替え頻度」である。守備時に使うグローブが何かしらのトラブルでもない限り何年も使えるものであるのに対し、バッ手は多分消耗品にカテゴライズされるぐらい頻繁に買い替えるものだ。私は長くても2ヵ月ぐらいで交換し、年間で7枚か8枚ぐらい使い潰す。今日はそんな「バッ手」のお話。

*1 自己紹介のページには「三本柱」という表現がないが、上から2番目に「バッセン通い」がある。

 ここ最近、バッ手は通っているバッティングセンターで買っていて、今までに何種類かの製品を試してきた。私が現在重視するのは「グリップ力」と「コストパフォーマンス」だ。まずグリップ力。私は握力が強くないので、素手でバットをフルスイングするとバットがすっぽ抜けて飛んでいきそうな怖さがある。バッ手をすれば万事解決かというとそうでもなく、グリップ力の(比較的)弱いバッ手だと素手とあまり変わりがない。バッ手のグリップ力は一番最初に気になる部分だ。次にコスパ。単純に値段と書かないのには理由がある。安くても1週間で使い潰されてしまうような貧弱なバッ手には用はない。逆にちょっとぐらい高くても3ヵ月ぐらいの酷使に耐えうるバッ手ならば、グリップ力次第で一躍エースになれる可能性がある。尤も後述の理由により、最近は何であっても3ヵ月も使うことはなさそうだが。

ガチグラブの新(右)旧(左)モデル

 そんな中で何年か前に出会った私のベストチョイスは……「ガチグラブ」というミズノのバッ手だ。グリップ力が最高クラスで、耐久性もそこそこ。実は滑り止めの素材が割と早い段階でポロポロ剥がれてくるという弱点はあったのだが、剥がれやすい部分がなくなってからでも残っている部分で強くバットが持てる。私がケチということもあるが、歴代かなりボロボロになるまで使い倒してきた。その「ガチグラブ」が去年ぐらいにモデルチェンジ。グリップパターンが変わり、剥がれることがなくなった。これで完璧……と思っていたが新たな弱点が出来ていた。親指のところに穴が開きやすくなったのだ。

穴の開いた部分

 穴が開くのは左手親指の外側。私は左右両方でスイングするのだが、問題となるのは右でスイングするとき。右手との接触部分が摩耗するのだ。昔からここと人差し指の付け根は私の弱点で、バッセンで打ち込むときは必ずテーピングを巻いて保護している個所である。モデルチェンジで少し薄くなったのか、概ね5000回ちょっとで穴が開くようになってしまった。「右で5000回」振る期間で「左は5500回」ほどスイングする。合計1万回ちょっと、期間にして1ヵ月少し。穴が開いたその瞬間捨てるわけではなく、穴が大きくなるまで追加で1週間ほど粘るのだが、旧モデルが1月半〜2ヵ月間使っていたことを考えるとコスパは若干ダウンした。
 ちなみに写真の状態は、穴が開いて2日目か3日目ぐらいの状態。最初はどこまで粘れるかやってみたのだが、皮が擦り剥けて痛い思いをするだけなので、二双目からは早めに諦めることにした。

 もう一つ“弱点”が出来てしまった。それはバッセンでの取り扱いがなくなってしまったこと。元々バッセンの物販コーナーで見つけたものなのだが、店長によると「ガチグラブはリピーターが少ない」とのことで置かなくなったそう。一応取り寄せはしてくれるのだが、正直めんどくさい。ここでちょっと気になったのが、私がベストチョイスだと思っていたものが愛用者が少ないというところ。店には私よりも真剣に野球に取り組んでいるプレーヤーが数多く訪れる。そんな人たちがガチグラブを選ばない。じゃあもっといいのがあるのでは? というわけで、先日別のを買ってみた。
 付け心地はよく、グリップ力も悪くはない(ガチグラブより若干劣る)。しばらくこれで行こう……と思ったのだが、致命的な弱点があった。付け心地がいいのは柔らかいからなのだが、厳密には「薄い」から柔らかくて付け心地が良かったようだ。バッセンで使っているときは分からなかったが、家でも使い始めると薄さが気になりだした。いや、気になったというレベルの話ではない。バッ手自体は問題なかったのに、ある日素振りを終えると左手親指(先ほど穴が開いていた部分)の皮が擦り剥けていた。これではバッ手をしている意味がない。先ほど「グリップ力」と「コスパ」を重視していると書いたが、まさかこんなに手の保護を軽視したバッ手があるとは思わなかった。
 というわけで使用開始後3日で失格。バッセンには他のモデルもたくさんあるのだが、良さそうなのは軒並みお値段が高め。チームに入ってプレイヤーとして野球をしているのならバッ手にお金をかけるのは吝かではないが、私はただただバットを振っているだけの人間。他の趣味が金食い虫であることもあり、バッセン通いは「コスパのいい趣味」であり続けて欲しい。もちろん少々高くても長く使えるのであれば結果的には「安い」出費になるのだが、ここ最近また新たなる要因が発生した。去年あたりからバッ手が妙に匂うようになってきた。もちろん新品時の話ではなく、使い続けていると汗臭くなるのが早くなった気がする。水洗いしたり陰干ししたりと対策を立てているのだが、焼け石に水。理由はよく分からないが、加齢臭の一種か、あるいは(いい方向に捉えるなら)発汗量が増えてる? お高いバッ手を試す価値もあるとは思うのだが、耐久力の前に汗臭くなることを考慮すると長くても2ヵ月ぐらいしか使えない気がする。
 そんなこんなで悩んでだんだん疲れてきたので、結局ガチグラブに回帰しそうになってきた。一番の問題点は普段店に置いてないことだけど、頼めば取り寄せてくれるわけだしまあいいか。

 余談その1。バッ手の色は大きく分けて「白」と「黒」があるが、私は断然白派である。黒を使ってるとバットのグリップ部が黒くなって嫌なんだ(金属バットなら関係なさそうだが、木製バットを使っている)。

かなり使い込んだように見える旧モデル

 余談その2。1枚目の写真の旧モデルのアップ。滑り止めのパターンが落ち始めてかなり使い込まれているようにも見えるが、これで3000回も振ってない。そしてまだまだ戦える。

まだまだ綺麗に見えるが……

 こちらは新モデルで、上の旧モデルと比べるととても綺麗でそんな風に見えないが、先述の個所に穴が開いていることから分かる通り1万回以上使い込んだ後だ。グリップ部が一枚素材になったせいもあるだろうが、特に摩耗した部分もなくかなり耐久性が上がっている。これで穴さえ開かなければ2ヵ月でも3ヵ月でも使えそう……いや、その前に臭くなるからダメなんだった。

(2023.07.05)
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