2023年第1四半期頃に読んだ小説

  
【Re:ゼロから始める異世界生活 32】
 長いがそこまで長さを感じさせない1冊。とは言え、7章が長くなっているのでこの巻で決めて欲しかったというのが本音だったり。ま、表紙にスバルやレムがいないのでまだ続くことは覚悟していたけど(って下書きしてたら、33巻表紙にもスバレムいないんだけど……)。表紙に出て来ない我らが主人公は本文中でも姿がなく、最後の場面で数行のみの登場となった。他の作品ではあったが、『Re:ゼロ』の本編でこんなにスバルが出て来ないのは4章のエミリアの試練(過去編)以来?で2度目?
 ヨルナがプリシラ(プリスカ)の母親、というのが32巻で一番驚かされる場面。直接の親子関係ではなく、ヨルナの方がロズワールみたいに転生のようなものをしたっぽい。ただただ悪戯に話をややこしくするためにこのタイミングでこの設定をぶち込んだわけではなさそうなので、33巻か、あるいは8章以降でどう物語に影響してくるのか。
 さあ、次こそ……33巻こそ7章完結頼むぞ! あと、5章の終わりも6章の終わりもスッキリしないものだったので、一度ここらで一息付けるような収束を求む。これ以上連続稼働させるとスバルくん心労で倒れるぞ!(でも小さくなったまま8章に突入しそうな予感もしている)。

【一生働きたくない俺が、クラスメイトの大人気アイドルに懐かれたら 3
 素直可愛い美少女との文化祭が始まります】
  ――アイなつ
作者あとがきによると本作の略称は「アイなつ」だそうだ。「アイドル」に「懐かれたら」の部分を重視するのか……「一生働きたくない俺」じゃないんだね。
 主人公のスペックが盛り過ぎではないかと。料理得意な上に子どもの頃に習ってた格闘技のせいで街のチンピラ程度では相手にならんとか。しかも最終盤で明らかになるのが父親が社長……あれ? そういやコイツなんで高校生のくせに一人暮らししてるんだったっけ??? 
 本の内容とは関係ないのだが。いつも「特典商法に屈した」とか言いながらメ□ンブックス特典タペストリー付きのを買っている(*1)。が、今回は小説本単体を(某ヨで)購入した。何故かというと、特典描き下ろしのイラストが……ちょっとサイズがおかしい気がしてね(何のサイズかは明言しない)。念のために過去のイラスト――小説の表紙口絵挿絵、特典タペ、C100グッズ等と見比べたけど、やっぱり今回のは不自然な感じがする。現実比で言うと現実離れしているのは二次元美少女にありがちなのだが、それを考慮した上でバランスが崩れている気がしたのだ。というわけで特典はスルー。となれば小説本体も買わなくてよくなるのだが、ま、一応読んでおかないと次また特典商法に屈したときに話が繋がらなくなるからね。ところでこの特典版、予約が殺到したのか発売前に完売となり、二次受注まで始まる始末……つくづく世間の連中とは意見が合わんなあ。

*1 『才女のお世話』、『アイなつ』(本作)、『悪役令嬢』の3作品。『イケナイ教』は知らないだけかもだが特典版の設定はなさそう。そして現時点では、ライトノベルのイラストを担当しているイラストレーターでグッズを集めているのはみわべさくらだけなので、特典商法に屈しているのもこの3つだけになる。

【才女のお世話 5
高嶺の花だらけな名門校で、学院一のお嬢様(生活能力皆無)を陰ながらお世話することになりました
 中盤過ぎ、雛子が恋心を自覚したあたりが面白い。雛子の変化に戸惑い、自分が何かやらかしたのかと勘違いして失点を取り戻そうと焦る伊月。雛子が着替えを忘れて風呂に入ってしまい、伊月が用意しようとするが……「変態!」と一蹴される――ここ、読んでて笑いが止まらなかった。4巻まではふつーにやってたお世話の範疇で、世間一般のふつーとは全然違うもののそれで慣れてしまっていたのが災いした。ふつーの感性で言うと悪いのは100%伊月なのだが、これまでの経緯を考えると酌むべきものはある?
 とまあ、笑い転げながら思い出したのが、漫画『お嬢様の僕』(後述するが、正確にはもっと手前で思い出していた)。『才女のお世話』1巻の時にも引き合いに出した作品で、以前はマガポケサイト上だったかスマホアプリだったかでちょくちょく読んでたのだが、最近あまりチェックしていない。あちらのお嬢様はちったあ成長したのだろうか? 気になり出したので、これを機に単行本買ってみようかな?
 雛子の兄、琢磨が初登場する。得体の知れないやつ、って感じなのだが、EQとかいうやつが非常に高くて人の心を読むかのような言動が見られる、という設定らしい。明らかに嫌われ役ポジションなのだが、此花グループの問題点解消に向けての取り組み、方針については嫌いじゃない。劇中だと「人としての感情が欠けたヤバいやつ」風味に語られてるけどね。あと、最後の最後で挿絵にも登場するが……爽やか好青年。もうちょっと、こう……何ていうか、癖のありそうな、嫌なやつ感を期待というか想像していたものだから……みわべさくらが描くと男もこういう風にしかならんのかね。ま、ぶっちゃけ、女の子が可愛ければ他は概ねどうでもいいんですが(酷い)。
 メイドの鶴見静音もイラストでは初登場……のはず。口絵のカラーになっているが、描いてる人が描いてる人なので当然のように可愛い。というか、『お嬢様の僕』に出てきた先輩みたいなのを想像してたから、ギャップにしてやられた。そのうちでいいからタペ化希望!

【Re:ゼロから始める異世界生活短編集 8】
 本編では突然帝国・グァラルに現れたエミリアたん一行が、どのようにしてルグニカからやって来たかのお話がメイン。そうか、国交が冷え冷えもいいとこなので密入国になるのか……。この作者のことだから、短編で出てきたキャラクターがあるいは本編にも絡んでくるキーパーソンだったりする可能性もあるのだが、そういう意味で注目はやはりオットーの両親かな? と見せかけて、土鼠(モグラ)人とか蝙蝠人の方を使ってくるかもしれないので念のため用心しておこう。この話で判明する「フレデリカは実は幽霊の類が苦手」が別の短編『Poltergeist Story』に繋がっている?
 その『Poltergeist Story』でお人形さんが出てくるが……反応したりはしていない(笑) 先代のロズワール・K・メイザースが使ってない屋敷の管理のために作ったらしいが、確か歴代ロズワールって全員中身一緒なんだよな? セルフ転生して永遠の命を生き永らえる的な。となると人形のこと忘れてたってことになるけど、酷いヤツだ! なお、残念?なことに、挿絵にその人形たちは出て来ない。あ、いや、別に残念ではないですよー(鳴らない口笛を吹きながら)。
 あとがきに「本編は主人公視点なので短編は〜」みたいに書いてあって、確かにそうなんだけど、よりによって『Re:ゼロ』にしては珍しく主人公がほとんど出て来ない32巻と同時発売の巻に書くってのがね。

【陰陽師 鼻の上人】
 百話記念ということでの特別装丁? カラーの挿絵が入り、紙も上質なもの。代わりに本は薄くて、話も1話のみ。タイトルになった鼻の上人が冒頭に出てくるのだが、話の中心ではない。話の発端ではあるがあまり出しゃばらない。いつもの通り芦屋道満がちょこっと何かして、清明がお仕事して、博雅が琵琶や笛を奏でるいつもの陰陽師。
 さて、長らく『陰陽師』の絵を描いてきた村上豊さんが昨年亡くなったらしい。あのテイストは他の人には出せないと思うのだが、果たして『陰陽師』絵の後継は誰になるのか。

(2023.03.29)
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