卵で触手変形版
Original text:ひらやまさんナメゴンな触手(1)
「あれぇ・・・、やだなあ、なんでこんなものが?」
碇マナは、産地直送が売りの食材パックサービスに妙なものが混ざっているのにようやく気付いた。
ことことと加熱される鍋の中、鶏卵に混じってウズラの卵大の黄金色の塊が流動するお湯の中に転がっている。
セカンドインパクト後の国土新開発事業により再整備された国内幹線道路の恩恵で、新興都市、第3新東京市にも様々な流通サービスが普及・充実するようになった。
まだ新婚ホヤホヤの、駆け出し主婦であるマナにとっては、かなり重宝するサービスである。
普段は優しい義母のユイも、こと家事に関しては、何事も自分自身の見る目を養うことが重要と苦言を口にするのだが、まだまだマナは若い・・・色んなことをやってみたいし、自分自身の時間も欲しい・・・ついつい安直な手段に走りたがるのも無理はないが、これは些か迂闊がすぎる。
これで夕飯に使う食材を台無しにしてしまっては、ユイにも・・・また、いまだに何かと折り合いが悪い義妹のレイにも、かなりキツいことを言われてしまうであろう。
夫であるシンジに娘らしい思慕の念を抱いていたレイとの関係は何かとぎくしゃくしている。
相手は、まだ小学5年生だからと割り切ろうにも、さすがに毎日同じ家にいるのでは居心地が悪い・・・なんとか互いの溝を埋めようと碇家の新参者であるマナは日々懸命である。
彼女自身、まだ若く明るい性格で、多少の年齢のギャップなどものともしない・・・はずなのだが、どうも、いまひとつ子供らしくもない寡黙なレイとはいまひとつ心理的な波長が合わないでいる。
「もー、何か変なものじゃないといいけどなあ・・・」
ぶつぶつ言いながら、まだ娘時代とさして変わらぬ雌鹿のような四肢を軽々と翻し、手にしたおたまに金色の球体をすくい上げるマナだが・・・何か妙である。
「えっ、ええっ!!?」
金色の卵状の物体が少しずつ、少しずつ大きくなっていく・・・目の錯覚ではない。
硬質な感触は確かにあるのだが、それがまるで風船のように膨張していくのである。
重さはさして感じないが、それでも圧倒的に増した体積はとうとうおたまに収まりきれなくなり、金色の塊は、ついにぽろりと転がり落ちた。
「きゃああっ!!」
どのような事態になるのか想像もつかず、半ば怯えたマナが悲鳴を上げるが、金の丸い塊は本物の卵のように割れたりはせず、台所の片隅に転がりながらさらに大きく膨らんでいく。
思わず後ずさりするマナ・・・だが、怖じけて腰が引け、女学生時代から新体操で鍛えた瑞々しい体のいつもの俊敏な動きは、見る影もなかった。
そうしている間にも球体は、そこいらの大型家具や電化製品ほどの大きさにまで達していた。
きし・・・・
もはや息を呑むばかりのマナの眼前で、硝子が軋むような異音をたて、ついに球体の表面にヒビが入る。
「あ・・・ああ」
それは・・・確かに見た目のイメージ通り、卵だった。
亀裂から外気が入り込み、中に収められていたものが開放されていく。
ぞろり・・・
まず現れたものは、長い・・・まるで海豹(あざらし)を思わせる長い首。
その頂点には男性器の亀頭を歪に誇張したような、淫猥そのものの瘤状の膨らみがあり、さらにそこから長い触角に支えられた煌々と輝く金色の感覚器官と思しき球体が前方にうねうねと伸びていく。
まるで蛞蝓(なめくじ)や蝸牛(かたつむり)のものをデフォルメしたようである。
それは、明らかに尋常な生物ではない・・・まさに異世界から来た魔物であった。
大型犬・・・いや、いまもなお風船が膨張するかのようにその量感を増していく、向こう側が透けて見えるような、薄気味悪いゼリーの集積体のようなボディ。
口腔と思しき木の洞(うろ)のような穴は、蠕動する髭のような触手に覆われ。
その中にはじゅくじゅくとしたおぞましい粘液を満々と湛えて、時折零れ落ちて、ヌルヌルとした表面をさらに潤していく。
「ひっ・・・あああ」
あまりに強烈な生理的嫌悪感に、いつもは快活なマナも怯え竦むだけだった。
それでもなんとか意識を集中し、身を翻しこの場から逃れようとした矢先。
怪物のアンテナのような眼球から、光の針を思わせる怪しい光条が迸った。
「ああっ!!」
たちまち全身が麻痺して動けなくなるマナ。
レトロなSF映画のように、死に到らしめるほどの威力はないものの・・・このような妖物の前で、身の自由を奪われるということは、ある意味即死よりおぞましい事態であろう。
ずずずずずず・・・・ずずずずずずっ・・・
ゼリー状の塊がぶるぶると震えながら、動けなくなった若妻にゆっくりにじりよっていく。
「ひ・・・・」
触手の先の、まるで大玉の電球のような眼球が、マナの瑞々しい肢体の上や力なく投げ出された両足の間を、ゆるゆると嘗め回すように移動していく。
(ああ・・・やあ、こ、こんな・・・・た、たすけて、しん・・・じ)
薄気味悪い髭に覆われた木の洞のような口腔に、粘膜に覆われた内臓のようなものがせり出し、まるで女性器そのものを連想させるような淫靡な光景を醸し出す。
ぴち・・・・ぴちゃ・・・・
やがて、そこから粘液のしずくが一滴、また一滴、マナのひよこのワンポイントの可愛らしいエプロンの上にしたたり落ちていく。
「ああっ、いやあぁ・・・」
眩暈がするような刺激臭とともに、たちまち合成繊維のエプロンの頑丈な生地が脆くなり、身じろぎするだけで伸びきったまま裂け目が入っていく。
同時にまるで薬物か酒類に酔ったかのように意識が酩酊しかけて、慌てて首を振るマナ。
こんな化け物の前で意識を喪うなど、本能的に怖れがあって当然であろう・・・が、意識を保ったまま、怪物の蹂躙を味わうのも御免蒙りたい。
だが、そんな必死の努力や救いのない逡巡など嘲笑うかのように・・・ついに、ぶよぶよとしたゼリー状の塊が、マナの足元からじわじわと這い寄ってくる。
「いやあああああーーーーーーーーーーーっ!!!」
懸命に身を捩り、顔を恐怖の色に染めるマナ・・・。
・・・ぞろり
「いやあっ、き、きもちわるいよぉっ・・・たすけてっ、誰かああぁーーっ!!」
薄気味悪い感触の擬足がざわざわと蠕動し、若妻の柔肌を這い登っていく。
それは、マナの想像通り、芋虫や蛞蝓の腹部の感触を数倍増幅したようなおぞましいものだった。
加えて圧倒的な量感で、組み敷かれ、完全に抵抗を封じられてしまうマナ。
瑞々しい獲物を捕えて、高揚しているのか・・・怪物の巨大な眼球がぎらぎらと怪しい輝きを増していく。
「ひいぃっ・・・ああっ、やあああ・・・・」
ぬちゃ・・・にちゃ・・・・
怪物がしばらくの間、瑞々しい獲物の肌触りや弱弱しい悲鳴を楽しむかのように粘液に覆われた擬足をずるずると這い回らせる度、マナの着衣は忽ち繊維が脆くなって、ぼろぼろに引き攣れて裂けていく。
夫のシンジが帰った時、寝室で見せ付けるはずだった新品の些か扇情的なデザインの高価な下着(インナー)も、その役目を果たすことなく、溶解しながら、マナの最も鋭敏な部位からずり落ちていく。
あっという間に、ごく僅かな着衣の残滓と纏っただけの、あられもない姿にされてしまうマナ・・・その代わりのように夥しい大量の粘液がしなやかな裸身を覆い、異様な光沢で彩っていく。
恐ろしい粘液が肌に触れ、身を竦ませるばかりのマナだが、どうやら剥き出しにされた柔肌までも侵食し溶かすほどのものではないらしい・・・
しかし、だからといって、それで彼女の慄く魂が救われるわけではなかった。
・・・そして、不意にそれは起こった。
弛緩しきった贅肉のないすらりとした両足が、怪物が蠢きさざめく度に、はしたなくこじ開かれ、力なく揺れ動く最中、何かがうねりながら、マナのもっとも鋭敏な秘処に触れていく。
(あっ・・・いやあっ、ああ、まさか・・!!)
いかなるものが触れているのか、マナは見ることもできなかった。
内腿から股間に触れる部位が少しずつ粘度や、硬い質感を増していく。
「うそ・・・、こんなの嘘おおっ!!!」
想像を超える異様な事態に、マナの心臓が早鐘のように鳴り響く。
やがて、いかなる作用によるものか・・・マナの栗色の恥毛が怪物の下腹部に擦られるうち綺麗に剥がれ落ちてしまう。
完全に無防備になった盛り上がった柔肉の隆起が、真中の薄桃色の亀裂から、少しずつ・・・少しずつ、こじ開けられていく。
「いやあああーーーーーーっ!!」
最後の力を振り絞って、必死の抵抗を続けるマナ。
こんなおぞましい怪物に、夫のシンジにしか許したことのない蜜果を蹂躙されるのは、ただ餌食にされるよりもはるかに恐ろしかった。
だが、そんなマナの敢え無い努力を嘲笑うかのように、怪物の長い首が異様な角度に折れ曲がり、さらに触角の先端に付いた眼球が、若妻の剥き出しになった張りのある胸の膨らみに触れ、まるで戯れるかのようにまとわりつく。
「ひぃ・・・あ、・・・あついぃ・・・」
妖しい輝きを増した眼球が、鋭敏な乳輪を転がすたび熱を増し、緩々と炙っていく。
このような異様な刺激でも肉体が反応してしまうのか・・・淡い肉色の小さめの乳首が、まるで研ぎ澄まされるかのように、ぴぃんと屹立する。
さらに、いやらしい髭に覆われた淫猥そのものの怪物の口腔部から異様に長い・・・舌とも腸管のような内臓器官ともつかぬ、粘液に塗れた大蛇のように太い管が、柔らかな双乳の谷間を潜り、首筋や顎を辿り、やがて唇に達する。
「んぐうううっっ!!!」
それは一瞬のうちに、マナの唇を割り、咽喉の奥深くまで一気に貫いた!!
びくん・・・びくん・・・
まるで射精時の男根のように激しい脈動を伴い、どくどくと灌がれる粘液に咽喉を灼かれるマナ。
「んんっ、お、ぶうっ・・・んっ・・・んんーーーっ!!」
下腹部に、乳房に・・・まるで内側からとろ火で炙られるかのように堪え難い熱が篭っていく。
(いやああっ、う、うそっ・・・、体の奥からむずむずしてっ・・・、いやあああっ)
女の急所の尽くを窮められ、その美しい肢体の内も肌も催淫性を持つ粘液まみれにされてしまい、とうとうマナは妖物の前に完全に屈してしまった。
熱い蜜汁を滾らせながら、若妻の性器が熟しすぎた果実のように内側から少しずつ少しずつ・・・爆ぜ割れるかのように決壊していく。
それを待っていたかのように、そこに宛がわれた怪物の器官が毒蛇の鎌首のように盛り上がっていく。
ずぶっ、ずぶうっ・・・
(あひいいっ、ひぃんっ、あっ、やあああっ・・・こ、こんな怪物に・・・あたしたすけて、シンジっ・・・しんっ、いやああああああーーーーーっつ!!!」
(続く)
From:触手のある風景