交換奴隷誕生記
Original text:FOXさん「さ、ちゃんとカメラの方を見て」
その声には穏やかだがなぜか逆らえないものがあった。
「あ……ああ……」
彼女はカメラの方を見つめ、吐息を漏らす。
……録られてる。録られちゃってる。アタシの、アタシの言葉も、表情も。
「ほら、自己紹介から」ビデオカメラのオペレーターの言葉がどこかぞんざいなのは、お互いのことを中学生の頃から知っているからなのだろうか。
「そ、惣流……アスカ……ラングレーです」
「『碇アスカ』だろ?もうじき」
「い、いわないで……」かぁっと頬が熱くなる。そして背筋がぞくぞくしてしまう。
……どうして、こんなコトになっちゃったんだろう。
彼女自身ももはや理由が分からなくなっていた。
だが、促されて質問に答えるうちに、自分自身の言葉が枷となり、そして媚薬となって作用しはじめる。
「あ、えっと、惣流・アスカ・ラングレーです。19歳……いま、婚約中で、来週……入籍……して、『碇アスカ』になり……ます」
「それなのに、こんな『会』に参加するんだ」
「だって、だって……」
アスカのエメラルドブルーの瞳に涙が浮かぶ。
「マヤが、マヤが、ぜひって言うんだもん。それにシンジだって……」
反対しなかったじゃない。
その言葉は途中でとぎれた。
「本日の参加者」である伊吹マヤが熱に浮かされたような表情で、恋人……たしかクリスとかいった……のごつい腕に腰をだかれ、彼の剥き出しの漆黒の胸に頭を預けている姿を認めたからだった。
さらに、マヤの細い指が震えながらクリスのこんもりと膨らんだジッパーの前へと伸び、それが彼によって簡単に払いのけられる様子を見ると、アスカの喉はごくりと鳴ってしまったのだ。
……す……ご……い。
それはクリスの肉体そのものへの驚きではなかった。
あのマヤが、潔癖症で異性とのセックスなど望んでいなかったはずの彼女が、あそこまで肉の交わりを切望してしまうことへの驚きだった。
そのマヤの両手が簡単に背中へ回され、まるでモノのようにアスカの生涯の伴侶となる男性へと渡されると、アスカの心拍数は一気に上がった。
「シンジ、マヤが勝手にセンズリ始めないように押さえておいてくれよな。この牝犬ったら最近見境なくってさ」
クリスがシンジへ小声でささやいたはずの言葉が、アスカの体の芯に熱を帯びさせる。
……あのマヤが、あんなに、あんなになるなんて……。
アスカの頬がさらに紅くなる。涙が浮かんでいたはずの瞳が潤み、澱んでいく。
だから気が付かない。
カメラマンのケンスケに問われるがまま、アスカの唇は虚ろに動き、彼の望むがままの答えを紡ぎ出していることを。
ミサトが不在の時の「はじめて」のキスのことを。
アスカがすべてを喪ったときに「はじめて」言葉にされた碇シンジが少女に抱いていた思いのこと。
奇跡的になにもかもがうまくいき、病院のベッドでかわしたぎこちない「初めての」行為のことも。
穏やかで平和な愛の行為の積み重ねに心は満足していても、若く美しい肉体はどこか不満をいだいていることを。
「だから、マヤの誘いに乗ったんだ。アスカってスキモノだなぁ」
「ち、ちがうの、そんな、それだけじゃ……ない」
それだけではないはずだった。
マヤとブティックに買い物へ行き、アスカの俸給ではとても買えないオートクチュールの代金を「一時的に」肩代わりしてくれた負い目もあった。
そのあとちょっと寄ったバーで、アルコールで少しだけ饒舌になったマヤがうっとりとつぶやく「クリスったらね。すごいの。もう、いままでの自分がなんだったんだろうっておもってしまうくらい……素敵なの」という言葉に興味を覚えなかったといえば嘘になる。
しかし、それだけが理由ではないのだ。
数日前に伊吹マヤが突き詰めた表情でアスカのオフィスに現れ、「クリスが、クリスが貴女を、貴女をどうしても抱かせろって、セックスさせろって言うの……。あたしがどんなことでもしますからそんなこと言わないで。ってお願いしても駄目なの。あたしじゃ、あたしじゃ……ぜんぜん……駄目だって……もし、あたしがアスカを説得できなかったら……あたし、捨てられるの……お、お願い。お願い……一度だけでいいの」
と涙ながらに膝にすがりつかれてしまった瞬間、アスカは許してしまったのだ。
自分がマヤよりも魅力的であると、マヤ自身の口から言わせたからかもしれない。
あのマヤがここまで虜にされてしまうクリスのセックスアピールに興味を持つと同時に、自分はマヤのようにならないという自信があったからかもしれない。
清楚な美貌を涙で汚しながら懇願する先輩に当たる同僚に、残酷なまでに同情してしまったからかもしれない。
溢れるような愛を注いでくれるシンジに感謝と悦びを感じながらも、数週間後にやってくる「その時」にいささかの不安と不満を感じていたからかもしれない。
だから彼女はさらに魅力的に蠱惑的に成熟した肉体に男物のシャツだけを羽織り、ビデオカメラの前に立って宣言することになったのだ。
「あ、あたしは、惣流・アスカ・ラングレーは自らの意志でクリスさんに抱かれることに同意します。そ、それから……」どこかとまどったような表情の恋人を見つめながらアスカは続ける。「碇シンジが……伊吹マヤさんを抱くことにも……同意……します」
「ドモありがとうです!アスカさん!」宣言が終わると同時にアスカの華奢な肉体はNerv北米支部からやってきた男に抱きしめられた。「ホントウにアリガト!ワタシ、楽しみにしてたね!このアスカさんを抱けるなんて、ユメのようだよ!」
男物のシャツの上を信じられないくらいに太い指が這い、アスカは熱を帯びた吐息を漏らす。
そして、乱暴に躰をいじられながら伊吹マヤの「宣言」を聞かされる。
そこでショートカットの清楚な美を誇っていた女性は、虚ろに微笑みながら語るのだ。
クリスがNerv第三東京支部を訪問したその日に、彼女は犯されたのだと。
宿舎の案内をして、「じゃ、これで」とぺこりとお辞儀をして回れ右をしたとたん。腕を取られて室内へ連れ込まれ、ベッドへ投げ出されてタイツを剥かれてしまったのだと。 暴れても、泣き叫んでも助けは来ず、爪を立てても、か弱い拳をふるっても逃げることはできず、その後2時間以上処女の秘裂を肉の固まりのような舌で舐められ、つつかれ、ねぶり回されてしまったのだと。
嫌悪と怒りの声が嘆願と甘いあえぎ声に変わり、しなやかな肉体が痙攣と弛緩を数回繰り返す用になると全裸に剥かれ、子供のように抱え上げられて彼の「モノ」の上へとゆっくりゆっくりと下ろされてしまったのだと。
細く狭い肉洞をごりごりと拡張され、子宮を突かれながら、「はじめて」のキスを交わしたのだと。
朝まで犯し抜かれ、精液でどろどろになった全身をシャワーで清められるときでさえ後ろから貫かれていたにもかかわらず、マヤの唇からは出る言葉は「ああ、クリス!ああ、ああ、素敵、ああ、クリスぅ」というものになっていたのだと。
「先輩!助けて!先輩!許して」という言葉など最初の3時間でもうまったくでなくなってしまったのだと。
そして彼女も宣言する。
クリスさまの忠実な牝奴隷であるマヤは、碇アスカの身代わりとして碇シンジ様にその肉体を捧げると。
どんなヘンタイ的な行為でも、どんな屈辱的な奉仕でも、かりそめの御主人様である碇シンジ様のご命令通りにいたします。と。
碇シンジの喉が鳴ったことに、アスカはもう気づかない。
「OK!OK!じゃぁシンジ!始めよう。まずはマヤが大好きな姿勢で同時にファックするってのはどうだい?ほらアスカ、壁に手をついて、お尻を突き出して」
男物のシャツのボタンが飛び、アスカは全裸にされてしまう。
さらにごつい手に軽く背を押された美女は、「ああ」とつぶやきながら言われるがままのポーズを取るのだ。
そのすぐ隣に頬を染めながらマヤが同じ姿勢を取る。
アスカと同じくシャツを脱ぎ捨て、大きく脚を開いてお尻を突き出してくりくりと振ってシンジを誘うのだ。
「シンジ、マヤにはこの1週間、エクスタシーをあげてないんだ」人なつっこくクリスは微笑んだ。「『アスカを説得できるまではお預け』ってことで、オーガズム直前で『寸止め』してあるし、オナニーも禁止してあるからね」
「お願い。シンジ君。して……して……オチンチン入れてぇ」
セックス漬けにされ、そして禁断症状を極限まで味あわされたNervの才媛は、ルージュの塗られた口元からだらしなく涎を垂らしておねだりをする。
「2日めくらいまではさ、『どうして?』とか『わたしじゃ満足できないんですか』とか言ってたんだけどねぇ」アスカの溶鉱炉のようにたぎった秘所をずぶずぶと掻き回しつつ、クリスはにやりと笑った。「3日たつと『アスカ、アスカを説得できたらイかせてくれるんですね?します!絶対説得します!イヤって言われたら、クスリを使ってでもクリス様とせっくすさせます!』って大声でわめくんだぜ」
「ああん!ああっ!マヤ!マヤ!あの、あの紅茶……ああ、素敵!ああ、いい、いいのぉ。はやくぅ……ね……ああ」
若いカップルの、シンジとアスカの二人の瞳から理性の光が消えていく。
やがてビデオの照明のなか、美しく淫らな二重奏が響き渡る。
◆ ◆ ◆
背後に圧倒的な質量を感じると同時に肩を抱かれた。
「ああン。だめですぅ」
かたちだけ抗議してみせるけれど、エプロン以外なにも身につけていない躰に硬くて厚いズボンの膨らみを押しつけられると伊吹マヤの精神はぐずぐずになってしまうのだ。
無意識のうちにお尻をつきだし、「ください」のポーズを取ってしまう。
期待に震えた肉体が淫らな蜜を分泌してひくつく花弁からあふれ出し、内腿に沿ってしたたってしまう。
「焦がすんじゃないぜ。マヤ」耳元でささやかれただけで、先週までは処女でレズビアンの気さえあった彼女は絶頂に達しそうになる。
「御主人様」のお気に召すような焼き具合に絶対してみせるんだ。とけなげに決意すると同時に、あえて機嫌を損ねて「暴君」と化した彼にオシオキされる「可哀想なマヤ」を想像してうっとりとしてしまう。
「マヤ、失敗したら今日はおあずけだぞ」
「御主人様」に宣言されたマヤは慌ててフライパンに意識を集中する。
クリスのペニス中毒患者である伊吹マヤにとって、そのペニスを入れてもらえないなどどんな拷問よりも辛いことなのだから。
「ね、クリスぅ、あのあとどうなさったんですか」
血の滴るような800グラムのステーキを口へ運ぶ彼をにこにこしながら眺めつつ、マヤは尋ねた。
「分かってるクセに」男は笑う。「本人に聞いてみればどうだい?」
「だってぇ」マヤは嫣然とほほえんだ。「なんにも聞こえてないみたいですもの」
くすくす笑いながらテーブルの下をのぞき込む。
そこには惣流・アスカ・ラングレーが、いや、入籍を済ませ「碇アスカ」となった彼女がうずくまっていた。
いや、そう呼ばれていた牝犬がいた。
彼女が身につけているのは真っ赤な首輪と犬の尻尾を模したアナルプラグだけだった。
人であることを自ら否定した彼女は、脂汗で裸身をぬめらせながら一心不乱にクリスの屹立した肉茎を舐めしゃぶっていたのだった。
そのしなやかな右手で握りきれないシャフトを貴重品のように愛で、すらりとした左手の指で剛毛の生えた睾丸を愛おしげに撫でながら。
「ね?あのあとどうしたの?ウエディングドレスの衣装合わせのあと」
「ん、んんん……むむぅッ……んんふぅぅっ……」
「式場じゃぜんぜんイかせてもらえませんでしたもんね」
「あはっ……んふぅ……ン。んくふぅ……ゥッ」
「私が職場に戻ったあと、たっぷりハメていただいたんですか?それともずーっとおあずけ?」
「んんッ!んんん……ふふぅッ!んんん……」
Nervでも一二を争う美貌は巨大なシャフトをくわえ込んだおかげで、間抜けなまでに引き延ばされ、口元からは涎が泡になってしたたっていたが、もはやそんなことをアスカは気にもかけていない。
「あはっ、ずっとおあずけだったみたいですね。もう我慢できなくなっちゃってるのね。オチンチンのことで頭の中がいっぱいになってるのね?『碇アスカ』さん?」
そうなのだ。
碇シンジとの結婚式をあと数日に控え、介添人であるマヤとウエディングドレスの衣装合わせに出かけたアスカはそこでクリスに犯されたのだった。
マヤが持ち込んだワイヤレス式小型ビデオカメラで着替えの様子を中継され、普通の「外向けの」会話を交わしながらのストリップを室外のクリスにじっくり鑑賞された。
さらに着替えを終えると「新郎の友人」に確認してもらうという名目でクリスが招き入れられた。
大げさなまでの(とはいえ、事実アスカの晴れ姿はそれに値するものだった)クリスの賛辞に苦笑しながら式場のフィッティング担当者が去ると、アスカはその場で貫かれるのだ。
「晴れの日」に備えて磨き上げられた極上のボディが巨根に犯されるさまを、彼女は大きな姿見で鑑賞させられることになる。
だが、彼女にとっての地獄はこれからはじまるのだ。
「衣装の確認」は長くて10分ほど、クリスが彼女を犯すのはその間だけ。
それでは貪欲なまでに肉欲の悦びに目覚めてしまったアスカが達するには短すぎた。
何食わぬ顔でペニスが引き抜かれ、ズボンの中にしまわれる様子を見せつけられると、アスカの瞳には涙が浮かび、子供のように「ウソ、うそ、どうしてくれないの?もっとシてよ!ね!お願い、お願いだからぁ」と駄々をこねてしまう。
フィッティング担当者が呼ばれ「次」の衣装を身につけるあいだ、アスカはほてった身体と高まってしまった熱情をもてあますことになる。
やがて「とても美しい花嫁姿」が完成すると、期待に満ちた声で「トモダチの」クリスを呼んでしまうのだった。
たとえそのペニスに貫かれることがほんの数分であることが分かっていても、重度のニンフォマニアと化した彼女には我慢できないのだった。
その後マヤだけが職場に引き上げ、クリスに送られて帰宅したアスカは涙ながらに懇願する。
「ここで犯して、お願い、イかせてください。シンジのことなんか気にしないで。彼はまだ帰ってこないですから。ううん。見つかってもいいの!見られてもいいの。だって、だって、だって、欲しいんだもん。せっくすしてほしいんだからぁ」
助手席に座ったままクリスへの口唇奉仕を強制されていた彼女は、婚約者との愛の巣で犯してくれと泣きながら頼むのだ。
しかしそれは許されない。
それどころかもう一度外出することを命じられる。
清楚なワンピースも脱ぎ捨て、首輪とハイヒール、そして季節はずれのコートだけを身につけることを許されて伊吹マヤの部屋へ向かうことを命じられる。
惣流・アスカ・ラングレーが、碇アスカがその命令に背くことなどできはしない。
たとえ「セックスするのはマヤが帰ってきてからだけどネ。それでもいいヨネ?」と言われても。
マヤが帰ってくる数時間のあいだ、肛門調教を受けさせられると聞かされても。
「んんっん」
ゼリーのような固さすらある精液の固まりが喉を滑り降りていく感覚に、アスカは全身を震わせた。
精神が白熱し、花弁が緩む。
誰よりも意識している美貌がだらしなく熔け、淫欲にまみれてしまう。
「さ、全部飲めた?」
マヤの声にこっくりとうなずく。その声に含まれる嘲りの成分になど気づきもしない。
「たくさん飲ませていただいたみたいね。お腹いっぱいになったんじゃない?」
「まだ……もっと、もっとほしいの」
「今日一日、ずっとおあずけだったものね」
「うん。あすか、ずっとガマンしたもん」
「もうオチンチンのことしか考えられないでしょ?」
なんどもなんどもアスカはうなずく。他のことなどもはやどうでもよかった。
死線を越えたことによって深まった「彼」との絆も、エヴァを操ることについてのプライドも。
「ふふっ。アスカったらきっと、ウエディングドレスを見ただけでオチンチンのことを考えちゃうようになってたりして」
天使を、いや女神を堕落させた昏い悦びを感じつつ、マヤはアスカを追いつめていく。
「さ、ファックしようか。マヤ、アスカ」
「は、はいっ!」クリスの呼びかけとともに伊吹マヤの声も表情も、床を這うクォーター美女のそれと同一となった。
「アスカ、シンジクンとはちゃんとセックスしてもらってますか?」
対面座位での長いディープキスののちにそう尋ねられたアスカは混乱する。巨大なダブルベッドの片隅には伊吹マヤが人形のように投げ出され、股間から白濁液を溢れ出させつつ白痴のような笑みを浮かべていた。
「え、あ、はい……してます。で、でも、そ、それはクリス『様』がそうしろと……」
最初はそうではなかった。
自分自身でも信じられないほど乱れてしまったことへの贖罪のために、そしてあの爛れた肉交を忘れさせてもらうために「本当に愛するもの」とのセックスのはずだった。
しかしその後、数回にわたってクリスに呼び出された彼女は生まれ変わってしまった。
最初はビデオ返却をちらつかされてのいやいやながらのセックスのはずだった。
しかしアスカは目前の光景に圧倒されてしまう。
クリスに招き入れられた玄関にはNerv技術部員の女子制服が折り畳まれておかれており、そのうえに染みつきの、愛液によるはしたない汚れがべったりと付いたショーツが無造作に載せられていた。
そしてクリスに呼ばれてアルコールを持ってきたのは全裸の伊吹マヤ。
彼女が「私ね、クリスさまのドレイなの。ドレイは服を着ちゃ駄目なの。だからこの部屋にはいるには服を脱がなくちゃいけないのよ」とにっこり笑って見せたとき、アスカは恐怖すら感じてしまう。
絨毯に膝をつき、ソファーにもたれかかるクリスへお酌するその姿は、彼女が完璧なまでに服従していることを物語っていた。
さらに男の膝の上にちょこんと腰掛けたマヤが言われるままに大股を開き、その前後の穴をクリスの極太の親指と人差し指がずぶずぶと入っていくさまを見せつけられると、アスカの常識は沸点に達してしまったのだ。
……こんな、ケモノみたいな関係があるなんて。
……こんな、オモチャみたいに、ドレイみたいに扱われて悦ぶなんて。
……あのときだけの、「パーティ」のときだけの、一時的なものじゃないんだ。
だがそんな驚きも疑問も、まさしく冒涜的に上へ突き立てられたクリスの右手中指に、マヤが自ら腰を下ろし、男の太い首にしがみつきながら卑猥きわまりない尻振りダンスを演じ始める現実の前では霧散してしまう。
……マヤ、マヤ!そんなコトしてていいの?アンタはもっと、違う女性だったでしょ?
優しくて、涙もろくて、少女趣味で、でも凛としていて、頭が良くって……。
目の前にいる伊吹マヤはそのどれとも違っていた。
しかしそのどのような伊吹マヤよりも幸せそうにアスカには見える。
震えるアスカとマヤの目が合った。
先に視線をそらしたのはアスカだった。
「マヤ」低い声でクリスが尋ねた。「この部屋ではドレイはどんなカッコウをするのがルールだ?」
「は、裸でいることです。服を……着ては……いけま……せん」息も絶え絶えにマヤが答える。
「今日、アスカはオレに抱かれに来たのだよネ?」
「ち、違う!……そうよ。そう」
「ビデオを返してもらうためにネ?」
「そう……そうよ」
「そうか。じゃぁアスカはオレのドレイだな!」
大声に気圧されるアスカ。得意げに説明するクリス。
「ここでオレとセックスするのは、オレのドレイだ。アスカはオレとセックスする。だからアスカはオレのドレイだ」
あまりに子供じみた論理にむしろアスカは圧倒されていた。
あまりに乱暴な言葉と欲望にまみれた目に身がすくんでしまっていた。
「マヤ、服を着たままのドレイがいるぞ」
再びアスカとマヤの目が合う。くすりと笑うマヤ。
ぬぽっ、とマヤの淫裂から指が引き抜かれ、伊吹マヤは絨毯へ崩れ落ちた。
しかしゆらりと立ち上がる。その瞳にアスカには理解できない光を宿して近づいてくる。
すっと手が伸びてアスカの制服のボタンが外されていく。
しかしアスカは抵抗できない。
「おいで、アスカ」その声と同時にアスカはふらりと前へ出る。
靴下さえも剥かれ、先輩奴隷に手を引かれて。
そこから先は甘美な悪夢となった。
口唇奉仕を要求され、巨大きわまりないその固まりに思わずひるむと鼻をつままれ、強引に唇を割られた。
喉奥深く突き込まれ、思う存分放出された。
嚥下できずに絨毯にこぼすと、イヌのように這わされてお尻をぶたれながら舐め取らされた。
自分の悲鳴に媚びが混じり始めていることにアスカは気づかない。
お尻をぶたれるたびに蜜が溢れ、紅茶色の叢がべったりと濡れてしまっていることも気が付かない。
ずん、と貫かれた。
声もあげられない。そのまま好き放題に突きまくられた。
持ち上げられ、膝の上に乗せられる。
悲鳴も上げられずにひゅうひゅうと荒く呼吸する唇を蹂躙された。
次第に肉体が順応していくと、そのさまを耳元で克明に描写された。
絶望のまま肉体だけを絶頂に連れていかれ、泣きじゃくっているところを再び犯される。
「恋人」碇シンジとのセックスするときの体位で。
アスカが卑劣な問いを拒絶することなどできなかった。
ごつい指で乳首をひねられると、アスカはお詫びの言葉とともに秘密を語り始める。
あの、最初は、お互いを見つめ合っての正常位です。いっぱい、いっぱい、キスしてもらって、舐めてもらってから……アタシ、コレがいちばんスキ……ああ、ああ、ダメ、スキじゃないオトコノヒトに、ああ、ずぶずぶって……ああ……だめぇ、オッパイいじりながら揺すらないでぇ……。
にかいめをするとき……は、アタシがぎゅっと膝を曲げて……恥ずかしいトコロが見えるくらい太股を拡げて、深く突いて……ああ、そうです。こんな姿勢です。ああ、深い、ふか、深すぎるぅぅぅッ!
さ、さんかいめ……あ、アイツが元気なときだけしかやらないど、お布団に座ったあいつと向かい合わせの姿勢で……ひ、ひぃぃぃッ!お、お腹の奥まで、助けて!ずんずん突かないでぇ……お願い!壊れちゃう。あああ、お、お尻のアナ、いや、いやぁ、いやぁぁ……。
愛おしい人とのセックスを強引に奪われて、愛おしい人を貶められつつ圧倒的な快楽で上書きされたアスカの精神と価値観は根底から覆されてしまう。
失神しても目覚めさせられ、泣きわめきながら高みへ連れていかれることがなんども続くと、正常な判断が下せなくなっていく。
あまりに屈辱にすすり泣きを漏らしても、伊吹マヤにそれこそが本当の「愛」なのだ。と優しく髪を撫でられて、そっと頬と額にキスをされると、自分の考えが本当は間違っていたのではないかと思い始めてしまうのだ。
悪夢の翌日、アスカはクリスの宿舎の前に立っている自分を発見する。
チャイムを鳴らしたときにドアを開けてくれたのは全裸のマヤ。
室内の熱気とフェロモン臭に脳髄を直撃されたアスカは朦朧とした人形へと化身していた。
言われるがままに玄関で制服を脱ぎ、きちんとたたまれた先輩のそれの隣に並べさせられる。
そのうえに、脱いだショーツを置くように命じられても、アスカはまったく反抗しない。
もちろん言われたとおりに、恥ずかしい白っぽい染みが見えるように置いて、マヤに頭を撫でてもらったのだ。
その夜のうちにアスカは徹底的に奴隷としての立場を教え込まれた。
美しい花嫁は屈辱的な行為と快楽がダイレクトに結びつくことを理解する。
恥知らずな行為をする自分が、とても美しいと思えるようになっていた。
最後に仕上げとしてアスカの飾り毛は剃り落とされ、その様子をビデオに撮影された。カメラマンは相田ケンスケだった。
無毛になった「コドモみたいなアスカ」を最初に犯したのはそのケンスケ。
「こうしたかったんだよ。あのときから、こうしたかったんだよ!」そう叫びながら腰を乱暴に振る彼の背中にアスカはしっかりとしがみついてしまう。
その唇をクリスに犯されながら。
行為ののち、どう言い逃れもできない「証」を躰に残されたアスカは陶然とした面持ちでクリスへの屈従を誓い、シンジとの別れを宣言した。
しかしクリスは告げる。シンジとの別れはクリスとの別れを意味すると。
蒼白になるアスカにマヤはくすくす笑って言う。
がんばって、アスカ。シンジ君に十分お詫びして、可愛がってもらえるように努力するのね。
だから彼女はとても従順な「妻」でもあるのだ。
もうじき夫となる恋人が帰宅すると涙ながらに謝罪して、「今日、アイツにされてしまったこと」を告白するのだ。
もちろん告白しないときもある。あまりにその行為がだれかの恋人として取るべきものではない屈辱的なことであるときなど。
でも、それは許されない。
碇シンジに促され、時にはお仕置きを受け(ある時など、裸に剥かれて官舎の外へ放り出されてしまった)ると涙ながらに告白する。
その告白のあいだにさらに躰を高ぶらせてしまう自分に絶望しながら。
そしてお詫びの「ご奉仕」をするのだ。
言われるがままの行為を、あるいは口にするのもはばかられるような行為を自ら。
やがて高ぶったシンジが肉体をぶつけてくると、心の底からほっとしてしまう。
「彼」が自分をまだ愛してくれていることを知って。
「御主人様」に捨てられずにすむことを知って。
「してます。シンジ……だんなさまとセックスしてます!」
「よしよし」
艶やかな髪を撫でられてアスカは涙を流してしまう。
「ちゃんとナカダシしてもらうんデスヨ。そうでないとワタシもナカダシできませんからね」
「ああ……クリス様にナカダシしてもらえる……クリスさまの赤ちゃんできちゃう……」
もはや彼女には、自分がなにをしているのかも理解できない。
シンジ相手に避妊していないことが、世間に対するアリバイになどなるわけもないことも理解できない。
ただ自分がいま、至高の幸福を得ていることだけは理解できるのだった……。
From:スワップ物考察スレ