LHS廚さんの、ヒカリさん初プラグスーツ体験ネタ
- 435 :LHS廚@本編 :06/02/28 22:54 ID:???
- 玄関を開けた後は、もう目を閉じても移動できる一連の流れ。
お邪魔します、と一言告げながら、靴を揃えて。
最初突き当りを右の曲がって、目の前の小さいドアを開けて私を確認するペンペンに軽く手を振って。
お風呂場に通じる扉を一寸すぎた所でもう一度曲がり、左手で親友の部屋の襖をノック。
「はーい」という声と一緒に出てくるはずの彼女は……出てこない?
「アスカ? 出掛けちゃったのかな」
葛城さんも居ない、ということは、当たり前だけど彼と私の二人っきりだということ。
その瞬間、ファンファーレと一緒に浮かんだのは、安心して奥手な恋人にその間だけでも甘えられるという事で。
心の中に出来上がっていく小さい揺らぎに後押しされながら、今度は反対側の部屋をノック。
「シンジ君? えっと、アスカ、本当に居ない……の?」
ライバルのようでそうじゃない、そんな親友に一寸だけ張り合うように、最近呼ぶようになった、彼の名前。
でも、返事が無くって。
不安になった私は、それでも「開けるよ」と一声言ってから、襖を空けた。
目の前に居たのは、ベッドにちょこんと座って写真で何時か観たアスカの「制服」を抱きしめそうになってる恋人の姿。
嫉妬の固まりになった私は、お決まりのせりふと一緒にバッグを叩きつけた。
「不潔よぉぉ!」
これが私、洞木ヒカリが恋人である「真紅のウエットスーツを持った碇シンジ」を気絶させるまでに要したプロセス。
……馬鹿。
- 436 :LHS廚@本編 :06/02/28 22:57 ID:???
「痛い痛いいたいっ」
「ほら、動いちゃだめよ」
彼の額に付いた怪我を消毒して、絆創膏をはっていく。
バッグの角が命中したせいで、ハの字型にそれが付いているのは一寸可笑しいけど。
笑う訳にはいかない。 他の女の子に気持ちを明け渡すことは、許さない。
「さて。 これ、アスカのユニフォームよね」
「う、うん。 プラグスーツって、いうんだけど」
「隣のアスカの部屋から……」
「ちょ、ちょっとまってよっ」
気絶から回復するまで15分。 説明を受けること5分。
鈴原と相田君も連れて行ったというアスカのEVAの受け取り。
その赤い機体の中へ入らざるを得なかった時。
パイロットだからと彼女に渡されたらしいもの。
「じゃ、これはその時の?」
使い捨てじゃないとはいえ、男の子が来たスーツを着る事をアスカが拒否したために、そのまま破棄される筈だった物を。
その頃から気付いている素振りを見せている葛城さんに、悪戯をしている笑顔と一緒に渡されたらしいの。
機密に関する部品を外されたのを『記念として持ってればぁ?』ってからかいながら。
「……それでね、今日女の子と付き合ってる男の話を聞こう、っていう話になって、僕も引っ張り出……」
なんか全てを覗かれてる気がして、仕方が無くなってきちゃった。
もしかしたら私も監視されてるのもしれないな、関係者だもの。
「……それでね、自分以外の女性に関するものが……」
葛城さんってそういう話に目がないらしいっていうのはアスカから聞いてるし。
「機密に引っかかると言われてるからゴミとして捨てちゃう訳には行かないし、何よりアスカに返したら間違いなく『アンタ何かに使ったのよっ!』って、言われも無い責めを受けそうだし」
それにしても、アスカってこれ、何時も着てるのよね。
一寸だけ、興味もあるし。
- 437 :LHS廚@本編 :06/02/28 22:57 ID:???
- 「でも、これって存在自体が機密みた……って、洞木さん?」
「ねぇ、シンジ君。 ………これって、今この状態でも着れるの?」
「え? う、うん。 『プラグスーツとしてはもう使えなくしてあるけど、それ以外は特に問題なしよ。
取り合えず、あなたと同じくらいの背丈の人が着るだけなら特に問題ないわ』ってリツコさんが」
ということは、赤木さんもこの事を知ってるみたい。
大きく開いた口に飛び込むのは、一寸だけ嫌だけど。
「今、着れる? 私、着てみたい」
うん、着てみよう。
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「はっくしゅんっ」
「あらリツコ、風邪?」
「……噂だと信じたいわ。 体調管理は万全だと自負してるもの」
「じゃあ、案外シンちゃんだったりしてね。 あの時した悪戯に今頃……」
「引っ掛かってるって事? 彼がもう一度着るかしらね」
「あら、シンちゃん以外も着れるわよ? だから機密部品外してもらったんだし」
「はい?」
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「あ、下着は着ないほうが良いよ? 最初の訓練の時恥かしかったから脱がないまま着てひどい目にあったから」
「う、うん」
「じゃ、僕は後ろ向いてるから」
なにかか微妙な肌触りの生地の服。
修学旅行で着たウェットスーツのイメージかな、と思っていた感触は、印象より滑らかな皮のような印象なの。
両足をそっと差し入れて、私より一寸だけ大きいアスカの靴と足首あわせて。
踵を踏ん張っておかないとちょっとたわんで引っ掛かるから、と言う説明にあわせて「んしょ」と声をあげて腰までスーツ引っ張り上げた。
- 438 :LHS廚@本編 :06/02/28 22:58 ID:???
そこで足をいったん止めて、腕の分に取り掛かる。
生地自体が伸縮するのは教えて貰っていたけど、最初からサイズの判らない服を着るのは一寸だけ、調子が狂うわね。
さらに数分かかって体全体を収めて、磁石みたいな吸着式の留め具をつけて。
……あ。
「えっと、もう振り返って良いよ、シンジ君」
そう言われて始めて、彼は私の方を振り返った。
私に余計な誤解を支えたくなかったのか、ぎゅっと目をつぶってるのが少し嬉しくて、おかしかった。
「とりあえず、ちゃんと着て、閉めてみたけど」
「それじゃあ、ここを押して?」
私を後ろから抱きしめるようにして、顔を出したシンジ君が左手首を挟むようにある一対のスイッチを、荒々しさとは無縁そうな細めの指で示す。
「それじゃあ……どっちを押すの?」
「親指と人差し指で、挟むようにして、同時に押すんだ」
軽く一呼吸をして、興味を満たすべくスイッチを入れた瞬間。
『この馬鹿シンジぃ!!』
「「ひゃはぃっ」」
- 439 :LHS廚@本編 :06/02/28 22:58 ID:???
『帰って来てないんだったらそこに居ないかも知れないけど、ヒカリが今日泊まりにくる予定だったのよ。
もし、この連絡がアンタの耳に入った後、これから彼女がウチに来たら謝っといて。
残念だけど、お泊り会は中止にしなきゃなら無くなったことを話しておいて欲しいの。
今日急な訓練が入って帰れるか判らなくなったからって……判ったわねっ!』
ああ、ビックリした。 やっぱりアスカの声は大きすぎるわね。
なんて言うのか、自信があるのは羨ましいと思うんだけど、やっぱりこう言う時には大きな声じゃない方が嬉しい。
「え、えっと。 ちょっと、驚いちゃったね」
「……そ、そうね………って」
「どうしたの?」
いつの間にかしゅるしゅると体にまとわり付いた布は、信じられないくらいに薄くなって、私のラインを全く隠すものじゃなかった。
下着よりはるかに判りやすくなったラインを、私はしゃがんで隠す。
「な、なんで冷静に見てられるのぉ!」
「だ、だって、綾波もアスカもその格好で何時も動くから、慣れちゃって」
「バカァ!」
その時は大したことじゃないと思っていたの。
一回スイッチを押しただけ、それにシステムが反応しただけ。 ただ、それだけだと。
- 440 :LHS廚@本編 :06/02/28 22:59 ID:???
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気を取り直してそれから五分位、立ってみて、歩いてみて、屈んだり背伸びをしたり。
最後にラジオ体操を一通りやってみて取り合えず満足した私は脱ごうかと思って、ふとある事を思い出す。
シンジ君はこのスーツを私が着る少し前に使った、彼が着た直後に着ているという事。
勿論、汗のにおいや潮の匂いとか全くしないから、機密部品とか言うのを外す前に、間違いなく洗われてる筈なのに。
アスカの色のはず、なのに。 男の子の、シンジ君の想いが『色』として着けられていくように、錯覚しちゃう。
彼に抱きしめられてるような気になってくる。
「あ」
「え? な、なに?」
二週間前、階段の踊り場でした初めてのディープキスの後、何度か感じ始めるようになった興奮。
スーツの股間に当たる部分から漏れ広がるように、流れていく。
女の疼き。
目の前で何も知らずに首を傾げる彼にまだ知られたくない、私の影。
お互いが相手を心の底から想って……慰めていることは知ってるし、知られてる。
- 441 :LHS廚@本編 :06/02/28 22:59 ID:???
判っていても、彼の『成長』は私ほどじゃ、無いとおもうの。
毎日って訳じゃないけど、それでも。 ふとした時にこみ上げる切なさを、快楽に置き換えて少しだけ晴らすようになった私は、どんどんのめり込んでいたから。
あのとき感じた甘美な記憶がきっかけになって、私自身気が付かなかった心の奥を掘り出していく。
朝、アスカを迎えにくるフリをする度に、だらしない格好で居る葛城さん。
そんな想いは無いとしても、シンジ君は彼女の肌を見る。
お昼、水筒に入れていた麦茶を飲むアスカ。
そんな想いは無くても、彼女の姿は絵になって、沢山の男の子を魅了してる。
夕方、綾波さんが私達の前を通って、時として二人を連れて地下へいく。
彼女、最近シンジ君を気にするようになってるみたいだし……。
- 442 :LHS廚@本編 :06/02/28 23:00 ID:???
「どうしたの?」
気が付いたら、目の前にシンジ君の顔。
何時もの状態になった私を心配してくれたんだと思う、でも今の私には逆効果。
普段の彼とは全くちがう、真剣な顔。 私だけが見れる顔。
それは、私が彼のすべてを独り占めしている瞬間であることを教えてくれるけど。
彼を求めたくて仕方がなくなっている私には逆効果になってしまう。
私は勝手知ったると言う法則にしたがって台所に駆け込んだ。
自分の暗い部分が彼に知られるのが、とても嫌だったから。
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取り合えず台所に行った理由が欲しかった私は、シンジ君が好むほうじ茶を淹れてあげたかった、と言う事にして、早速準備を整えた。
その途中で顔を冷たい水で洗ったり、頬に風を当てたくてエアコンの送風口の傍に移動してみたり。
脱いでしまった方が早いのは判っているけど、しっとりと濡れてしまったあそこのあたりを見られるより、落ち着きが無いとシンジ君に思われるほうが、まだマシに思えて仕方が無かったし。
その後も、微妙に変な状態が続く。
「え、えっと。 急須、滑らない?」
「う、うん。大丈夫」
リビングで向きあう中学生と似非ダイバー、と言う姿はノゾミが見たら代わって?と言ってくれるか疑問な姿。
- 443 :LHS廚@本編 :06/02/28 23:00 ID:???
さらに言うなら。
程なく、私はこの選択が最悪の方向へまっしぐらに向かっていると気が付くの。
水分を取り続けると言うことはどう意味を持つのかも。
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最初の合図は、携帯電話の呼び出し。
「はい、シンジで……ミサトさん、どうしたんですか? そんなに慌てて。 え? あ、はい。
それじゃ、体調が回復するまでアスカの付き添いってことになるんですね?
帰って来れそうなのは……あ、はい。 明日の午後一時頃ですか。 判りました、お休みなさい」
「何か、あったの?」
説明をし始めた瞬間、シンジ君は真っ赤になりつつ説明してくれる。
『二日目』で体調が悪くなっている状態だったのに、急な訓練を受けることになったアスカが
労いにきてくれた加持さんの前でいいところ見せようとした結果、過労で気絶しちゃったらしくて。
万が一と言うことを考えた葛城さんの提案で、一晩体調を観た後、帰ることにしたというの。
それは、私と彼が一つ屋根の下で泊まる、という事。
付き合っているんだから、ある意味を持たせてしまうことは判ってるのに。
帰ってしまおう、という発想がわかない。
ただ、彼のそばに居たかった。
- 444 :LHS廚 :06/02/28 23:07 ID:???
- 取り合えず、全体の30パーセントぐらいな上に、エロがほとんど入ってない、という短編です。
本編ではあのスーツ、どう処理したんだろう?が発想の源の。
ところで引き気味さん、投稿限界って何行でしょうか?
前教えてもらった気もするんですが、すっかり忘れてしまって。
- 445 :PDX. :06/02/28 23:13 ID:???
- >>LHS廚さん
そう来ましたか(笑)
たしかに、ヒカリにしてみればシンジがアスカのプラグスーツを手にしているなんて、「不潔よぉ!」ものでしょうな(^_^;
From:エロ文投下用、思いつきネタスレ(6)