-MODEL- ある朝の光景
Original text:FOXさんあらあら、アスカちゃんたらスケッチブックを忘れちゃったのね。
幼馴染みに蹴飛ばされるような勢いで(床に転がっているクッションはその名残だろう)碇シンジが学校へ向かったあと、彼の部屋に掃除機をかけようとしたユイは少年のベッドの上にスケッチブックが残されていることに気が付いた。
ごく普通のスケッチブック、その表紙には「ASKAの記録」とだけ書かれていた。
それが誰の字であるか碇ユイにはすぐに分かった。
カヲルくん、アスカちゃんもモデルにしてるのね。それとも、アスカちゃんに強引に要求されたのかしら。
くすくすと彼女は笑う。おそらく後者であろう。だから少女は幼馴染みに自慢するためにわざわざスケッチブックを持って来たに違いない。よほど勢い込んでいたのか、椅子を勧めても座らないくらいだったのだから。
まぁ、わたしみたいな『おばさん』なんかよりもよっぽどいいモデルかもね。
息子の同い年の少年なのだから、カヲルくんもきっとわたしのポートレイトを描くよりもやりがいがあるに違いないわ。
息子のクラスメイトとは思えない会話をする美しい少年が自分を題材に描いた3枚の絵を思い浮かべながらユイは思う。
その絵の中でユイはごく普通の、どこにでもあるような普段着を着て微笑んでいた。あるときはソファーに腰掛け、あるときは壁にもたれ。
その表情が枚数を経るごとに微妙に異なっていくことに、自分の夫は気づいているだろうか。
そう、どこか微妙に女を感じさせる表情になっていくのだ。
そのような表現すら可能な渚カヲルという少年は間違いなく天才なのだろう。ユイは結論した。
そんな天才のモデルを「おばさん」が勤めるのだから、モデルをしているあいだの消耗が激しいのは当たり前かもしれない。
時間の経過がおかしくなるのも、すごく疲れて、夢すら見ないほどに眠りをむさぼってしまうのは当然なのだろう。
そんなに疲れているのに、深夜にふと目を覚ましたときに我慢できないうずきに耐えかねて、隣のベッドで鼾をかく夫に聞こえないよう(あんなに疲れているのだから、起こすなんて可哀想)にシーツを噛みしめつつ、おんなの泉を指で掻き回してしまうのは不思議だけれど。
少し頬を染め、ユイは好奇心とかすかな罪悪感を感じながらベッドの上のスケッチブックに手を伸ばし、ページをめくる。
そこにはユイがよく知っている少女が、ユイがあまり見たことのない表情を浮かべて描かれていた。
ある時は制服で、ある時はお気に入りのワンピースで。
……そうなのね。アスカちゃんもこんな表情をするようになったのねぇ。
ある種の挑戦的な、蠱惑的な表情をかすかに浮かべてポーズを取る惣流家の一人娘にユイは感慨にふける。
うちのアレにはこんな顔なんてしてみせないでしょうねぇ。甲斐性なしだし。アレは。
ユイは苦笑する。彼女の息子がそのような甲斐性を持ち合わせているのなら、だいたい母親が自室を勝手に掃除するようなことを許すわけなどないのだ。
「ほら、サボっていないで。あと1ページみたらお仕事おしごと」
そうつぶやく彼女の指が止まった。
息が止まる。
鼓動が速くなる。
「そ、そんな……なに……これ」
そこにあるのは未成熟ながら美しく、躍動的なトルソーだった。
ショートパンツの少女がタンクトップをスレンダーな上半身から脱ぎ捨てようとしているスケッチだった。
その表情はかろうじて口が見える位置まで捲り上げられているタンクトップシャツが隠しているために分からない。
だが、その表情は快楽に耐えようと必死になっているに違いないことが、ユイには見て取れる。
なぜなら、まだ全体的なボリュームは足りないものの、魅惑的なかたちを保ったその双丘、その先端の果実が痛々しいまでに屹立してしまっているのだから。
タンクトップを掴んでいるその指が、複雑に入り組んだまま布地を握りしめ、ぎゅっと噛みしめた唇がなにかに耐えていることは明白だったから。
なめらかで贅肉ひとつ無いミルクを溶かし込んだような肌をしたお腹の筋肉が、女の芯から押し寄せてくる快楽のパルスに耐えるために緊張してしまっていることが、快楽を知ったことのあるおんななら分かるように描かれていたから。
そして、ユイには少女がどんな表情をしているかだけではなく、彼女がなんという名前を持った少女なのかも分かってしまう。
……このシャツは、この家でジュースをこぼしたときに洗濯してあげたことがあるわ。
……この少しだけ覗いている髪の毛、これは赤みがかった金髪なのに違いないわ。
それに、それに。
ホックを外されてファスナーを引き下ろされて、無防備に開け放たれたショートパンツも見覚えがあった。
可愛らしいおへそが丸見えになるショーツ、スポーティなチェック柄のそれはユイが一緒に買い物に行ったときに買ってあげたものだ。
「アスカ……ちゃん」
ユイは絶句する。
スケッチブックの中の惣流・アスカ・ラングレーは淫らなトルソーと化していたのだった。
タンクトップを脱ぎ捨てる途中で、ショーツの前から侵入した誰かの指が与える刺激に耐えられなくなって、ひくひくと躰を痙攣させながら硬直していたのだった。
……エプロンのポケットで携帯電話が鳴っていた。
無意識のまま耳に押し当てる。
「やぁ、ユイ」「彼」は朗らかに言った。「『イク前に全部脱げたらお仕置きせずに返してあげる』って約束したんだ。だけど彼女、普段とは違ってぐずぐずしててね。ショートパンツの上からなのに、もう夢見心地で。服を脱ぐはずなのに、自分でオッパイを弄りはじめちゃうんだもの」
ユイはページをめくった。
そこにあるのは健康的ですらりとした太股、そしてぴったりとしたショートパンツ姿の少女の下半身。
そして、その下半身をそっと撫で上げる「芸術家の指」。
そして、お漏らしでもしたかのように濡れている太股と太股の付け根の布地、太股を伝う粘度をもった液体。
「だから、手伝ってあげることにしたんだ。ボタンを外して、ショーツを脱がせてあげようと、ね」
あの指がおんなの部分に触れれば、どのような効果を現すのか。
碇ユイははっきりと思い出す。
「ああ……」ぺたんと床に腰が落ちた。
「手を入れたら、もうドロドロに熱くってね。処女なのにひくひくさせていたっけ。このあと、『お仕置き』としてお猿さんみたいなお尻になるまでぶってあげたんだ。でも、逆効果だったかも。お漏らししながらまたイッちゃってねぇ」
「なぜ……。なぜ……」
「罰だよ。ユイ」「彼」は穏やかに説明した。「ユイには命じてあったはずだよ。『オナニー禁止』って」
「だって、だって……」人妻であり、一四歳の少年の母であるユイは駄々っ子のように首を振った。
「だから、昨日はユイじゃなくってアスカちゃんをモデルにしたんだ」
「そんな、そんな……ひどいわ……カヲルくん……。だって、だって……ひくっ」
「我慢できないのかったのかい?ユイ」
彼女は涙をこぼしながらなんどもうなずく。
「ユイの心の中に迷いがあるから、まだちゃんとした奴隷になれないんだよ。だからボクはユイをちゃんと愛してあげられないんだ。分かった?」
「うん、うん、わかり……ました」
……言い訳のいいペットになろう。あのひとに、カヲルくんに、奴隷として、肉欲の対象物として振る舞うように命じられたのなら、なんの迷いも持ってはいけないのよ。
……きっとそれは、とても素敵なことなのだから。
碇ユイは虚ろな瞳を浮かべたまま、よどんだ心で決心する。
「本当に分かっているのかなぁ」カヲルの苦笑混じりの声が遠くから聞こえる。「腰をぐりぐり動かして、シンジ君のクッションで遊んでいるユイが」
彼女は下を見る。
ユイの下半身はまだそのときでも貪欲に、床に転がっていたクッションにまたがったまま前後に動き、濡れそぼったショーツのなかで恥知らずに突起した女芯をこすりつけていた。
「ああ、ああ……ご、ごめんなさい。でも、でも、でもぉ」
マンション中にその声が響くのではないかという恐怖など彼女には全くない。
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