ヒカリ日記
また、ある朝しゃこしゃこと音を立てながら、少しばかりきつめのミントの香りが上顎から鼻腔に上り、やがて寝ぼけた脳みそを覚醒させていく感覚を味わう。
鏡の中に自分で眺める洞木コダマは、歯ブラシを咥え、裸にシャツ一枚だけ引っかけたあられもない姿だ。
引退するまでの陸上部生活で焼いた首までの小麦色と、白いままの乳房のコントラストが未だにくっきりとした、そんな裸身。
父親に借りた、丈の合っていないシャツ。ボタンもはめず前を全開にしてしまっているのは、いくら女ばかりの所帯でも慎みに欠けようか。
しかし、巨乳―― というほど恵まれてはいないが、ブラ無しでシャツを羽織っても立派に胸の形を盛り上げてくれるこのバストは気に入っている。
そんなことを眠気の払いきれない頭でぼんやりと考えながら、なんとなく脇腹に手が伸びた。ポリポリとかいてみる。
僅かなかゆみ。あせもでも出来かけているのやもしれない。
なにしろ、布団に入ってもまず汗をたっぷりかいて、そのまま拭きもせず寝てしまう生活が続いているのだから。
とは言え、微かな赤みを帯びたこれはよく見ると別のもの、父親に吸い付かれた跡だった。
「……んっ」
手をそのまま下腹にやって翳りの部分を確かめれば、ヘアにこびりついて乾いた昨晩の精液が。
「―― パパもタフだよね」
コダマは知っていた。
昨夜は父親との褥だった自室から起きて、階段を下り、洗面所に続く廊下を行くその間にも、充分に聞えていたのだ。
妹と父親の上げる、朝っぱらからのくぐもった声は。
すぐ下の妹のヒカリ。生真面目一本槍に育った子だったのに、受験を控えた姉に代わってその「役目」を務めると言い出した健気な妹は、今朝も朝食の準備をしている最中に求められたのだろう。
野太く妹の名を呼ぶ唸りに、悩ましく切れ切れの叫びで返す切羽詰まったやり取り。加速の一方の応じあい。
キッチンのドアの前を通った時が一番大きかったのなら、その声から察するに、皿を並べる前のテーブルが現場で違いない。
エプロンを付けたまま―― 胸ぐらいはその下ではだけさせられているかもしれないが―― 突っ伏して、後ろからスカートをまくり上げられてアタックを受ける真っ最中。といったところか。
いくらお堅い性格をしたヒカリでも、あの父親の太くゴツゴツとした肉棒で貫かれてしまえばもう堪るまい。
年端もいかない、実の娘。そこを処女を奪うところからはじめて、もう学校にいる間中もセックスのことが頭から離れないぐらいにおかしくしてしまった実績を持つ父親だったし、されてしまった実感がコダマにはある。
あれを上手いと言うのか。セックスが強いと言うのか。
たしかに、コダマが我慢できず学校で増やしたセックスフレンド達の誰に股を開いていても、父親ほど力強いピストンで子宮を叩きのめしてくれる男はいなかった。
末の妹のノゾミに至ってはまだたったの十一歳なのに、既に早々と、先に女にされたヒカリ以上の淫乱に目覚めさせられつつある様子なのだ。その手際は尋常ではない。
「抑えようたって、我慢できないもんね。そりゃ、らしくもない声出してアンアン啼いちゃったりするわ」
一家四人の分の支度をするのと、父親の性欲を受け止めるのと、同時にこなすのはいかにも面倒そうではある。
けれども、ヒカリももうこれが初めてでもない。こんな生活にだって慣れてきているのだし、きっとしくじることなく―― 自分たちがキッチンに揃う頃には朝食を揃えていてくれる筈だ。
「ほんと、悪いわよねぇ。……ン、あん……。わたしも、受験が終わったら、だから―― 」
なんだか自分も堪らなくなってきたコダマは、痕跡を確かめていた手をそのまま、パンツも履かない丸出しの股間ではしたなく遊ばせはじめていた。
そうして鏡を横目に壁にもたれ、改めて濡れはじめていた膣に送り込む指を一本、二本。揃えてぬちゅぬちゅと抜き差しさせる動きと、咥えたままの歯ブラシで磨く動きと、いつのまにかシンクロさせてしまいながら一頻り。
じわと染みだした程度の潤いが、たちまち秘毛に覆われた肉の狭間に満ち、溢れ出していく中へ指沈めていれば、すぐにその歯ブラシがうとましくなった。
「あぁ……、ぁ、んぁン……。いい……」
折角、声をいくらだしても支障のない家の中なのに、気持ち良く喘ぐ邪魔でしかない。
快楽にたやすく流れ、安直に本末転倒へ至るこの自分の傾向。コダマも自覚していてしかし、今さら直そうとか封じていようとかは考えていなかった。
「ンッ」
さっそく包皮から顔覗かせて指を求めているクリトリスは、はじめて抱かれたあの中学生の日からのセックス漬けの数年間について、なにかにつけ雄弁だ。
濃くなったと思う媚肉共々の色付き。敏感になったし、同じ位いじりやすい大きさになった。
それがろくにヘアも生えない年頃から、女らしく胸も膨らんだ18歳になったのだから当たり前といえる範囲のものなのか。着替え中の同級生達の間に混ざるとつい横目であちら、こちら、と窺ってしまうほどには、気になっている。
けれど、実際ずっと気持ち良くなれるようになったのだから、良いじゃないか。とも思うのだ。
「んふ。ボッキ、してる」
わくわくしながら指先に蜜を絡め、くりゅと転がせば、思った通りの甘美な電流が下半身をガクガクとさせてくれる。
性欲の強さを、父親ばかり笑えない。でも、それがだから?
「……ヒカリみたいに、いちいちカマトトぶってるのもねぇ。かえってきっついだけでしょーに」
指を突っ込んでいる先に、自分が分泌したのとは明らかに違う粘りがまだたっぷりと残っているのを数時間ぶりに確認して、コダマはにんまりと顔蕩かせた。
「正直に生きてる方が、楽よ、ヒカリ」
そうやって、うがいのタイミングなどはすっかり逃して。かといって飲み込む気にもならず。まぁいいやと口の端から涎として垂れ流れるに任せ夢中になっていると、滴りはコダマの裸の胸の谷間を随分だらしなく汚しつつあった。
それが更にまだ臍の方へ伸びていこうとしたぐらいの頃合いに、ドアが慌ただしく開け放たれて。随分と焦った顔のヒカリが服を大きく乱したまま入ってきたのだ。
「んんっ、んぅぅぅ〜っっ!」
「おお? っとと」
口元を抑えたまま飛び込んで来たヒカリは、そのまま姉を脇にどかす勢いで洗面台に顔を伏せていた。
「なに? 飲まされたの?」
うえっ、ええっ、と口を開けて舌を突き出して、その上にねばりつく濁った粘液を吐き出してしまおうとしている。
「こ、こっふ……かしへ。お、おねえひゃん」
「ああもう、ほら。台所の水道でやりゃいいのに」
呆れたように言うコダマに涙の浮かんだ目だけで抗議を返しつつ、妹は必死にうがいを繰り返す。
「うえ、こっちもちょっと飲んじゃったじゃない。吃驚させないでよね」
「だ、だって……」
かつてのコダマと同様、14の身空であっても中年盛りの相手を務めるに充分な仕込みを、既に終えている妹だ。この期に及んで精飲ごときに慣れないということはあるまいから、さてはまた、ぶつけられた獣欲の激しさが、無茶な域に達してしまっていたのだろう。
目一杯慌てていたらしいヒカリは気付かなかったようだ。
自慰の真っ最中を見られたかと密かに狼狽していたコダマは、胸の中でほっと安堵の息をついた。
一緒に父親に抱かれて、その悦がり顔を見られたり、命じられるまま姉妹同士で性器を舐めたり愛撫したりしてもいるのだが、さすがに一人でオナニーに耽っていたところへ踏み込まれるのは気恥ずかしい。
助かった、と胸を撫ぜ下ろす。
そうすると今度は逆に、悪戯の虫が首をもたげだすのがコダマだった。
妹に渡したのとは別のコップで口をゆすいで、歯磨きは終わりにしてしまう。
「んふ、ヒカリぃ〜?」
「な、なに、お姉ちゃん」
その声の調子だけで嫌な予感と悟れるのは、姉妹の仲だからに違いない。たじろいだ様子。こちらも直前の背徳的な交わりの痕跡露わな格好を今更に気にしたように、エプロンの胸の辺りなど取り繕いつつ、姉の顔を見上げる。
コダマはそこに、頬にたっぷり擦り付けられたままでいる獣欲の名残を見出していた。
(好きだもんね、パパったら)
目に浮かぶ。
深く咥えさせたまま、気持ち良くドクドクと射精して。その後はまだ噴出を終えない肉柱をつややかなピンクをした唇から引き出して、辛そうにしている顔に、頬に、脈動が続く亀頭をなすりつけていく。
しごいて最後の一滴まで絞り出すようにしながら、血の繋がった十代の少女に向かって、見るも穢らわしい精液のペイントを施していくのだ。
こいつは俺のものだと、犬か何か動物がマーキングをするのにもどこか似ていて。しかし同時にされるこちにも不快なばかりではなく―― 。
年頃なれば肌の手入れにも一際気を使う顔が、普段は小便を垂れ流しているのと同じ汚らしい器官の先を押し付けられる。
目蓋を閉じて受け止めるすぐそこで、押し当てられる熱を持った生硬さから頬肌との隙間に『びゅく、びゅく、びゅく』と、脈打つ都度次々に噴き出してくるぬめり。
どろどろと鼻筋を頬をしたたり流れていく感触が、時には目を開けることも出来ない目蓋の上からも伝っていく。
生臭さとで合わせて強烈な汚辱感を覚えるが、濃厚な性臭は同時に頭の芯を痺れさせる。
苦く、気持ち悪く。喉につかえるばかりで飲み下して気分の良い物じゃない。そんな父親の精液が、妹が必死に吐き出して、洗面台の排水口に流されていくばかりなのを見ていると何故か、
(……勿体無い)
そんなおかしな気分さえ湧き上がる。
「ねぇ、ヒカリ」
「な、なに」
つうっと指先にそれをなぞって、コダマは囁いた。
顔寄せた距離は、互いに息が掛かるほど。
同性同士、姉妹にしても近すぎる。と共に、ことこの洞木家の姉妹に限っては、同じ実の父親という家族中たった一人の牡に屈服させられた牝同士、性奴隷同士の姉妹達に限っては、妖しく胸を高鳴らせてしまう距離。
ヒカリが咄嗟に身構えてしまうのは、本来ならあり得ぬキスへの予感さえ過ぎるからだ。同性愛への興味などカケラもなかった彼女が、実の姉や妹と深く舌を絡め合った記憶は一度どころではない。
けれどこの時、コダマが伸ばしたのは妹の口蓋を犯す舌先ではなく、頬の精液を拭ったばかりの指先だった。
「……まだ、残ってるじゃない」
「え、ええ? う、うん、だから顔も洗わなくちゃ。あ、洗わなくちゃいけないから……。お、お姉ちゃん?」
―― もったいないでしょう?
とうとう言ってしまった、その言葉。独り言めいてもいる囁きで。
今気付いたように、姉の剥き出しにした形良い乳房とそこから繋がる両脚の付け根の翳りまで、メリハリあるヌードに顔真っ赤にさせたヒカリは、次の瞬間に完全に対応し損ねてしまっていた。
にゅっと伸ばされて、口の中に押し込まれていた姉の指に、である。
「んぅッ!? ンッ、ンンゥ……!」
無論、その指の腹にはたっぷり、ヒカリの頬からこそぎ取られた父親の精が乗せられていた。
「ね、ヒカリ。パパが、最後まで飲んでしまいなさいって昔っから教えてるでしょ。それなのにこっちまで逃げてきて吐いちゃったりして……」
私の代わりに、私がしていたみたいに、パパのお嫁さんの役をするんでしょう? と。
「ふぁ、ぁ、ああぉ……ぉ……、おねえ……ひゃぁん……ン、ンンゥッ」
「ほら、ほらヒカリ。まだ残ってるわよ。ぜんぶ、ちゃんと」
―― 味わいなさい。そう耳元に言い添えて、コダマは妹が嫌も応もなく生臭い苦みを口内全体で味わえるよう、手伝ってやっていた。
もがく舌に突き付けて、指ごとくるませて、『ン、ンン! ンンー!?』と息苦しそうにするのも許してやらず。
許して貰えないと理解したヒカリが、くちゃくちゃに顔を歪めてしまって必死にしゃぶると、また頬から残りの白濁をすくってしゃぶらせて。
いつしか、コダマの指の動きはつい先程までと、ヒカリに邪魔されるまでのそれと、とても似通ったものになっていた。
まるで、少女のもう一つ唇に似た淫らな器官にあからさまな肉の悦びを求め、抜き差しさせていたかの如く。
またあたかも、歯磨き粉を乗せたブラシを満遍なく歯に当てていくかの如く。舌と歯の間にも、唇と歯の隙間にも。右の奥歯から左の奥歯まで、精液を乗せた指の腹を歯茎になぞらせて、左右に走らせて、ぬるぬる、ぬるぬると。
愛しい妹の口の中いっぱいに、父親の味をまぶしてやる。
そばかすの浮いた純朴な顔を哀れっぽく追い詰められたものに変えて、苦しそうな呻きで指しゃぶる荒い鼻息。間近にしているとそれは、本当にセックスの時に似てしまっていた。
不覚にも、中途半端に慰めたばかりだった秘部が疼き出す。
(やばいな〜。妹のエロ顔見て、欲情しちゃうんだもん)
ふっ、ふぅっ、ふうぅっっ、と息を乱しに乱しきって腕の中もがいているヒカリが、本当に愛おしかった。
だからその胸を、キッチンで父親が―― 先程からドアのところに立って、ニヤニヤとこっちを眺めている彼が―― していたように、精液がしみを作っているエプロンの上からねっちりと揉んでやるのも、とても自然なことのように感じられたのだった。
「うふふ。パパのせーえき、もう残しちゃだめよ?」
「……ンンッ、う、うんっ。……わひゃっ、っハッ、はぁっ、はっ、わかった……から。分かったから、お姉ちゃん……もうっ」
「そぉ? それじゃ」
―― 後は、ごゆっくり。
「けほっ、けほっ、っえ? ええっ。おとう、さん……?」
鏡越しに背後の父親に気付いて、呆然と呟いたヒカリは、姉の腕から解放されるのと同時、くたくたと床にへたり込んでしまっていた。
その父親は、まだ出掛ける支度もせず裸のままにいる股間を、隠しもしていない。一度放ったばかりとは思えぬくらい隆々とそそり立せて、コダマと入れ替わりで歩み寄る。
日頃から性欲の強い父親だが、家族で一番長く抱かれているコダマには分かった。あれは相当に興奮したご様子だな、と。
きっと、コダマが演じた愛戯の様を気に入ってくれたのだろう。
早くもまた貫かれたらしく、コダマの背中を追うように上げられた妹の悲鳴から量れば、今朝二度目の父親の射精が、引き替えにヒカリに腰が抜ける程の歓びを与えるだろうことは疑いない。
羨ましいし、妬けるけれども。きっと多分、この自分の働きも気に入ってくれたに違いないのだ。
「ごほーび、期待しちゃってもいいよねぇ。ふふふ。……あ、でも朝食の準備は大丈夫だったのかな?」
それでもいたって上機嫌に、コダマは家族皆で楽しい時間を過ごすことが出来るこの週末の夜に、胸を躍らせることが出来た。
Original text:引き気味@北京之春
From:エロ文投下用、思いつきネタスレ(4)