「はーい、ノゾミちゃん。それ、見せてくれないかなぁー」
 浴室の壁に反響し、不思議なエコーのかかった声にうながされた少女は、さきほど父親に渡された「それ」をレンズに向かって両手でそっと差し出した。
 それはきらきら輝くリングがアクセントになっている奇妙な下着だった。
 それは黒い合成皮革製のT-バックショーツのような形をしていたが、ちっぽけなデルタ部の前後にはシリコン製とおぼしきピンクの二本の棒が生えている。
 その棒は大きさこそ違いはあれど、勃起した男性器……ただしその鰓は不気味なほどに立ち上がり、幹には怖気を催すほどぷっくりと盛り上がった血管が這っていた……を模している。
 早熟な少女でもちらと見ただけで青ざめてしまうはずのそれを、小学校高学年になったばかりの少女は虚ろに幸福な笑みを口元に浮かべながらレンズの前へ捧げた。
 その身体には一糸もまとわない姿で。
 そのすぐ足下に姉のヒカリが全裸のままタイルにへたり込み、父親にシャワーで身体を洗われている様子を気にもせず、少女は、洞木ノゾミは「それ」をビデオカメラの前に披露する。
 「ね、ノゾミ、それ、なにかな?」
 あたし、絶対に変だ。撮影者はちらと考える。カレシに見せられたAVみたいなセリフを……妹に……それも小学生に……言ってる。
 しかし彼女はそれを止めることができない。
 浴室で全裸になった妹たちと父親の姿を撮影することを。
 ついに「目覚めて」しまった末妹に淫らきわまりない言葉を投げかけて、その反応を愉しむことを。
 「さ、お姉ちゃんに教えて。そ・れ・は・な・に・か・な?」洞木コダマの喉はからからだった。
 こくりとうなずき、ノゾミは可愛らしい声でレンズに向かって答えるのだ。
 「だぶる……ぺにす……ばんど……」ツインテールの少女は頬を染めてさきほど父親に教えられたばかりの言葉を答える。
 無意識のうちにノゾミの小さなお尻がくりんと動いた。
 「……それはなにを……するもの……ですか?」コダマはファインダーから目を離すことができない。ぞくぞくと背筋を這い上がる背徳感に心を灼かれ、しかしどこかが冷静なまま妹に質問する。
 「おんなのこどうしで……せっく……す、するもの……」
 「だれとだれがセックスするの?」
 「ボ……ク……とヒカリ……おねぇちゃん」
 ……あ、あ、アタシ、妹にこんなこと言わせてる。ああ、ああ、もうぬるぬるが溢れて……。
 「ノゾミはヒカリお姉ちゃんをどうしたいの?」
 ふるっと女子小学生は躰を震わせた。
 「あ、あのね」その瞳には欲情と征服欲が確かにあった。「ボ、ボク、これでヒカリおねえちゃんにおしりのせっくすをおしえてあげるの。これで、これでおねえちゃんのおしりをずぶずぶずぶーってしてあげるの!だって、だって、おしりでせっくすするのってすごく、すごくはずかしくって、すごくぞくぞくして、すごくキモチいいんだよぉ」
 ああ、とヒカリが悲痛な声をあげた。だがそれも、父親が手にしたシャワーヘッドがしどけなく拡げられた太股の奥、さきほどカメラの前で300CCのグリセリンとともに排泄を強要されたアナルに温水を勢いよく浴びせかけるとたちまち少女は抵抗心を失ってしまう。
 ヒカリは父親にしがみつき、弱々しい声で「ゆるして、ゆるして……」とつぶやくことしかできない。
 瞳に隷従の色を宿らせて、全身をピンクに染めた洞木家の主婦を自認していた一四歳の少女は泣きじゃくることしかできない。
 あれほど惨めで恥ずかしい行為を強制されたときも、たっぷり何度も絶頂を迎えさせられた秘園を指でいじくられると「ああ、ああ、お父さん!お父さん!お父さん!」と絶叫しながらイってしまったことを父親だけでなく姉にも、妹にも知られてしまった彼女は、父親に言われるがまま従順に腰を浮かし、尻穴にシャボンつきの指をねじ込まれてゆるゆる動かされて甘泣きするのだ。
 残酷で甘美な予感に胸を震わせつつ。



−二〇一六年初春・ヒカリ、菊門開花−






 献身も自己犠牲も、涙ながらの「約束」も、いっさいが反故にされていることを洞木ヒカリが知ったのは、ほんの数時間前だった。

 父親の思わせぶりの言葉に誘導され、同い年の少女なら、いや、普通の女性なら絶対に望まない恥ずかしく下劣な姿勢でのセックス……妹と寝起きする自室の二段ベッドの上段(それは妹のノゾミがいつも幸せな夢を見ている場所だ)に四肢を固定され、目隠しされたうえに大音響のヘッドホンで聴覚まで奪われて、ぶるぶる震える器具で玩ばれつつずぶずぶ犯される……をヒカリは自分から「お願い」する。
 それもこれも、末妹のノゾミが汚されないようにするための哀しい努力だった。
 自分や姉のように、ノゾミが父親の性欲処理の対象として、もういない母親の代用品として身体を提供しなくてすむための努力だった。
 職場での過大なストレスのためか最近ひどく性欲過剰な父親のほのめかしに青ざめたヒカリは、そのまだ半熟といってもよい青い肉体を使っての奉仕することを決意していた。
 父親の歪んだ欲望がこれ以上暴走しないよう涙ながらに願いつつ、同級生の少女たちには想像もできないような行為を受け入れたのだった。
 だから少女は受け入れることができたのだ。
 父親のペニスも、指も。
 それによって気持ちよくなってしまうことも。
 ずぶりずぶりと動く父親の腰とときにシンクロするように、ときにぶつけるように自分自身の薄い腰を動かし、狭い肉洞をきゅっきゅっと蠢動させてしまう自分の反応も。
 子宮に熱く濃い精液を叩きつけられることも、その瞬間にどうしようもない女としての幸福感を得てしまうことも。
 同級生には絶対に聞かれたくない恥知らずな声で、「お父さん!ああ、ヒカリのおっぱい、もっと、もっと意地悪にしゃぶってぇ!ああ、ああ、こりこりされるとアタマのナカが真っ白になるぅ!」と叫んでしまうことも。
 それもこれも、小さなノゾミを守るためだと思えば受け入れることができたのだ。

 しかしノゾミのベッドの上で拘束され、オシリの穴の中でぶるぶる動く淫玩具に小刻みなあえぎを漏らしていたヒカリは知る。
 さっき父親に与えられた屈辱的でそれゆえにどうしようもなく天井知らずの絶頂感の余韻にひたっていた少女は、その聴覚を遮っていたフルボリュームの音楽がいつしか終わり、代わりに可愛らしくいやらしい声が耳に届いたそのとき、自身がしがみついていた幻想がとうに崩壊していたことを知る。
 だが少女は必死で幻想にしがみつこうとする。
 「や、やだぁ……お父さんったらぁ……。『コダマお姉ちゃん』といやらしいコトしてるなんて……」
 奇妙に明るく、甘えた声をあげてしまうのだ。
 「ひどいよぉ、コダマお姉ちゃんったら、お父さんといっしょにこんな意地悪するなんて。もう、ひどいなぁ」
 父親からの答えはない。その代わりに鼻にかかった、せっぱ詰まった子猫のような声がヘッドホン越しに聞こえてくる。
 「あ、ああ、ああん!ヒカリおねえちゃんったらずるいよぉ!こんなにイイこと、ボクに内緒でお父さんとこっそりしてるなんてぇ……」
 ヒカリは声も出せずに全身の力を振り絞って暴れる。もちろん無駄だと分かっていながら。
 少女は逃れることができない。
 彼女の四肢はベッドの柱に結びつけられ、男の玩具であることを甘んじる姿勢から逃れることができない。
 目隠しを取ることもできないまま、「父親にバージンを捧げることができた幸せ」を父親に促されるまま叫ぶまだ幼い声を聞かされるのだ。
 ヒカリの全身から力が抜けた。こどものように泣きじゃくる。
 ぎしり、ぎしりと梯子をだれかが登ってきても少女は「ひどい、ひどいよぉ、お父さん、約束したのに……」と泣き続けていた。
 しゃくり上げる身体をぎゅっと抱きしめられた。
 父親のペニスで何度も絶頂へ連れていかれ、汗みどろになった肌に密着したのもまた素肌だった。
 だがそれは、父親のそれのようにたるんだ、ざらざらした感触ではない。
 信じられないほど滑らかで熱く、とてもいい匂いのする肌だった。
 背中に回り、ぎゅっと抱きしめる腕はとても細く、しなやかだった。
 彼女の尖りきった胸の先と触れ合う膨らみは、まだ微かではあったが明らかに女性のものだった。
 彼女が大きく開かされている太股に絡みついているのは、ヒカリよりも幼い少女の太股だった。
 そしてヒカリの太股にこすりつけられ、ぬるりぬるりと前後しはじめた熱く柔らかい粘膜は……少女の淫裂なのは間違いなかった。
 その細くしなやかな腕がヒカリの後頭部へ回り、彼女を闇に閉じこめていた目隠しを外す。
 「ああ、ああ、ああ……」泣きじゃくる少女の目の前にいるのは、どんよりとした歓喜の表情を浮かべる洞木ノゾミ。ヒカリがなんとしてでも守ろうとしていた妹だった。
 「あは、ヒカリおねえちゃん、すごくえっちなカオしてるぅ」ツインテールの女子小学生はとろけるような笑みを浮かべ、姉の顔にキスを浴びせる。
 制止の声をあげつつ顔をそむけても、耳たぶを甘噛みされて淫らな言葉……ノゾミが父親のペニスを舐めしゃぶるのが大好きであること、お尻の穴を悪戯されるときはいつも大声でよがってしまうので脱いだばかりの自分の女児ショーツをくわえさせられていることなど……をささやかれるとヒカリは抵抗できない。
 ヒカリの全身から力が抜け、すすり泣きながら妹の愛撫を受け入れる。
 数分後、洞木家の二女と三女は同じ男性にたっぷり仕込まれたとおりに、一心不乱にねろねろちゅぱちゅぱと舌を絡ませて唾液を交換しつつ、尖った胸の先をこすり合わせては歓びの声をあげていた。
 だからヒカリは気付かない。
 さらにもう一人がベッドに上ってきていることに。
 だからそれは唐突で、強烈で、魂がぐずぐずになってしまうほど気持ちのいい衝撃だった。
 「あ、あああ……かはぁ……ッ」
 一瞬意識が飛んでしまったヒカリの唇から涎がしたたった。それを妹は美味しそうに舐め上げ、そして笑う。
 「お姉ちゃんてば、ほんとーにお父さんのオチンチン、大好きなんだねー」
 「ちがう……の……こんなの……間違ってる……の。わたしはノゾミを……のぞみ……だけ……は……きゃふぅぅン!」
 涙混じりのヒカリの声が歓喜にまみれた。父親がぐいぐいと腰を揺すりはじめたのだった。
 「お姉ちゃんのウソツキ。ボクはもう分かってるんだから。お父さんのオチンチンってばすっごくステキなんだからね」
 「ノゾミぃ!ノゾミぃぃッ」姉の身体ががくがくと震え、ぴぃんと硬直したのちがっくりと弛緩した。彼女の心を支えていたなにかが折れ、洞木ヒカリは妹の前で屈辱的な絶頂顔を披露してしまう。
 だか少女の父親は硬さを保ったままのペニスでずりずりごりごりと、絶頂明けの敏感になった媚粘膜を擦り上げてヒカリをさらに絶望的な快楽を与えてやる。「ごらん、ノゾミ。ヒカリはとっても気持ちよさそうだろう?」
 「う、うん」ノゾミは泣き悶える姉の吐息にうっとりと酔っていた。
 「そう、大好きなんだよ。ヒカリはパパとのセックスが大好きなんだよ。だからパパがノゾミと仲良くなるのを邪魔したんだよ」
 「ちがう……の……ちがうの……ノゾミ……わたしはノゾミのため……あ、あああ、ああっ!はぁぁ……ン、ふぅぅぅッ!あ、ああ、あああぁ……」
 「ウソツキ、お姉ちゃんのウソツキ。そんなにキモチよさそうな顔してるのに、『ノゾミのため』なんて言うんだぁ」ノゾミはくすくすと笑う。そして振り返り、小学生とは思えないほどねっとりとしたまなざしで父親を見上げた。
 「ね、お父さん、ボクにもおちんちんちょうだい。ボクのお尻のアナと前のアナ、お父さんのオチンチンでぎっちぎちにして……ね」
 家族思いの父親に否やはない。
 今日「感動的な」貫通式を済ませたばかりのノゾミの淫芯と、背徳の関係に溺れてしまったヒカリの雌花とを、彼は交互に突いてやるのだ。
 強烈なまでに窮屈で熱い小学生の肉裂にペニスをねじ込んで小さな唇から漏れる涙声を愉しみ、ゆるりゆるりと腰を送ってノゾミが姉の身体にぎゅっとしがみついて震えるさまを鑑賞する。
 狭隘な幼裂からずるりと強引に肉棒を引き抜いてノゾミに艶めかしい悲鳴を上げさせておいてから、その湯気が出そうに熱い牡器官を姉の中へとずぶりと挿入し、無意識のうちにねっとりと男性器に絡みつく娘の肉襞が与えてくれる快美感を味わうのだ。
 そしてまた、姉の泣き声に発情してしまった小学生を貫いて、「ああ、ああ、お父さんのおちんちんすごい!ボク、ボク、溶けちゃう。ボクが溶けちゃうよぉぉ」と泣き叫ばせる。
 それがまた、しっかりもの「だった」姉をさらに昂ぶらせることを彼はもちろん分かっている。

 やがて姉妹は父親に命じられるとおり、彼女たちの子宮が父親の性器でノックされる回数を涙ながらに声を出して数えるようになる。
 「数えるのをやめたり、間違えたら、もうそこでおしまいだよ」とささやかれると眉根を悩ましく寄せた表情で、せっぱ詰まった甘い声で「いち、にぃ、さん……」とつぶやくのだ。
 愛らしく哀れな姉妹は気がつかない。
 そうすることによって彼女たちのなかで、自分を貫くものの存在がさらにさらに大きくなっていくことを。
 そうすることによって彼女たちはもう、自分を貫くものをさらにさらに強く意識してしまうことを。
 「いち、に、さん、し、あ、いや、お父さん……まだ……」
 「いち……に、さん……し…………ご、ろく、しちっ!はちぃっ!ひぃぃン」
 「お父さんたら、ノゾミをこれ以上!ノゾミが泣いてるわ!」
 「……じゅうに、じゅう……さん、じゅうし、じゅうごぉ!じゅうろくっ、じゅう……しちぃぃ……」
 「ひどい!ひどい!お父さん!ノゾミだけなんて!わたしにも!わたしにもぉ!お、お父さん!あああン!いちっ、にぃぃッ!さん、し、ご、ろくぅぅ、しちぃ……」

 姉妹の淫らな輪唱はヒカリの失神という形で終わる。しかし父親は彼女に安らぎをまだ与えてくれない。
 妹との「こすりっこ」ですっかり敏感になった乳首をぎりぎり摘まれて、涙ながらの目覚めを迎えさせられる。
 そうなったところで姉にぎゅっとしがみつき、熱い吐息を漏らす妹のアナルをずぶずぶと貫いてやるのだ。
 次女が涙ながらに守ろうとした末妹が尻の快楽にとろけ、酔い、恥ずかしくもおぞましい言葉を小さな唇から漏らすさまを、姉にしっかり認識させてやる。
 自分が守ろうとした末妹が姉の知らない快楽にすっかり溺れてしまっていることを彼女に理解させてやる。
 アナルセックスの快楽に狂乱する小学生の妹と密着しているうちにさらに体温を上昇させてしまった身体、それもとびきりに敏感な腋下をちろちろ舐め回し、甘い汗を吸う舌の感覚と口髭にくすぐられる感覚でヒカリが自己憐憫に陥る暇すら与えないようにしてやる。
 「おしり、おしりあついの、とけちゃうの、ボク、ボクとけちゃうの……」と虚ろにつぶやく女子小学生の熱く、ゴムのようにペニス全体を締め付ける直腸内に溜まりに溜まった精液をたっぷり注ぎ込んでやったのちに、ヒカリにも同様の快楽をおしえてあげると宣言する。
 ああ、と妹想いの優しい姉は甘い吐息を漏らした。

 ふたたびノゾミがヒカリの唇をついばむ。
 先にぬるりと舌を出し、相手のつやつやした歯茎をねぶりはじめたのはヒカリだった。



◆ ◆ ◆




 洞木コダマは生徒会の書庫にいた。
 正反対の性格にもかかわらず、なぜかコダマとひどく馬が合う才色兼備の生徒会長。その会長と相思相愛の書記長クンにどこか固い口調で「お手伝い」を頼まれたのだった。
 なぜ頼まれたのかは分かっていた。
 だから彼女は書記長クンに密着してどこかかすれた声でささやくのだ。
 「ね、しょきちょーくん、またコダマにイタズラしてほしいな……」
 そうなのだ。
 昨日、生徒会長が帰宅していることも、書記長がたった一人だということもを知りながら「ねぇ、会長いる?」と生徒会室を訪ねたときに、少女は歪んだ願望を叶えたのだった。
 「ふーん、そうなんだー。あれ、これなに?」と無邪気に笑って、書記長のすぐ目の前で大きなテーブルに上半身を預ける。
 すぐ後ろに座っている書記長からは、膝上一五センチのスカートの中身が丸見えであることを知りながら。
 「あ、もう、手が届かないー」くりくりとお尻を振った。ピンクのちょっとハイレグ気味のショーツに書記長の視線を痛いほど感じながら。
 だから背後からのしかかられたときには、甘い勝利の声をあげてしまったのだ。
 「ふふっ、えっちなんだ……」
 「誘っておいて、誘っておいて!」かちゃかちゃとベルトを外す少年にコダマは微笑する。
 「いっぱい、いっぱいしてね。会長にしたこともないこと、コダマに……してね」
 ショーツが膝まで下げられる。ずぶりと貫かれる。
 洞木コダマは甘い声をあげた。

 だから今日も彼女は呼ばれたのだ。
 暗い部屋で少年に密着し、耳元でささやくと抱きしめられ、唇を奪われた。
 くるりと身を翻す。
 「そんな、会長とでもできることじゃなくって……ね?」
 くすくす笑って背中を向け、「んしょ」っとショーツをくるりと剥いて、ミニスカートを持ち上げる。
 少女らしい弾性と、娼婦のような淫らさを兼ね備えたヒップが非常灯に照らされる。
 立ったまま貫かれた。
 乱暴に書架に押しつけられて腰を叩きつけられた。


 コダマの携帯が鳴ったのはそのときだった。


 「二人の妹に父親がなにをしたのか、これからしっかりものの次女がどんな快楽地獄へ堕ちるのか」を携帯電話で聞かされ、帰路のあいだ妄想と予感で全身を火照らせ悶えさせ、帰宅したときにはミニスカートの中のショーツをとろとろにしていた長女は熱に冒されたような表情で「準備」を行った。
 生真面目な妹の尻穴をほぐすための卑猥で卑劣な玩具とローション。さらにその妹のプライドを決壊させる悪魔の薬液も。
 それに妹を犯すための器具にビデオカメラ。
 ……きっとあのコ、もう戻れなくなるんだ。
 長女は昏い予感にぞくりと震えた。
 ……生真面目でしっかりもののヒカリが、お尻のセックスを教え込まれて。
 ……しっかりもののあのコが、お尻でイけるようになるんだ。ケモノみたいな声をあげて、パパとのアナルセックスに夢中になるんだ。
 コダマは口元を歪ませた。
 ……そうよ、そうよ、「お姉ちゃんと妹の代わりにパパの妻になる」んだったら、お口も、アソコも、後ろのアナも、パパに捧げないと駄目なんだから。
 彼女が浴槽に適温のお湯を張りゼリーを溶かし込んだころ、父親に腰を抱かれたヒカリがふらふらと浴室に現れる。
 「愉しんでね、ヒカリ」妹に笑いかける姉の表情はひどく朗らかで空虚だった。



◆ ◆ ◆




 「じゃぁノゾミちゃん、『オチンチン』の準備しようね」
 ファインダー越しにコダマは妹に呼びかける。こくりと素直にノゾミはうなずき、姉に促されるままにタイルにぺたんと腰を落とし、体操座りの姿勢を取った。
 両手で大事にペニスバンドを捧げ持ち、疑似男性器をぺろぺろと舐めはじめる。父親のペニスを喉奥深くに突き込まれるとエクスタシーを感じてしまえるほど早熟な女子小学生は、小さな唇をいっぱいに開けて唾液をいっぱいに溜めた口腔にシリコンペニスをじゅぶじゅぶと突き込みはじめる。
 十分に潤滑剤が塗りつけられたところで、彼女はそれをゆっくりと幼い胎内へと沈めていく。
 「あ、はぁ……おっき……ぃ……」
 どこか遠くを見つめながら、自らの手で自分を犯すのだ。
 張型が根元までおさまったところで父親に呼ばれ、のろのろと四つん這いのお尻を突き出してきっちりとベルトを締めてもらう。小さなお尻にぎちりと食い込むベルトの感覚にノゾミは甘い声をあげた。
 「よかったね。ノゾミ、すっごく立派なオチンチン生やしてもらって」
 「ああ……ボク、これで……ヒカリおねえちゃんのお尻の『初めて』を……」
 浴室の鏡に映った自分の姿にノゾミは陶然とする。
 女としてはまだ蕾の……胸の膨らみもまだまだで、腰のまろみも、太股の張りも控えめな……中性的な身体の中心から反り返っているのは、色こそピンクだが醜悪なまでに血管が浮き上がった凶暴な男性器なのだ。
 無意識のうちにノゾミの小さな手のひらは「彼女の」男根を撫で回していた。
 「あ……」膝立ちの彼女のお尻がぺたんとタイルに落ちた。
 「ノゾミったら、オトコノコになったとたんにオチンチンで一人遊びをはじめちゃうのね」
 「だって、だって、だってぇ」涙目でノゾミはカメラをこっちへ向ける長女を見上げた。
 「気持ちいいんでしょ。オチンチンをしこしこしごいたら」
 「うん、うん、ボク、ボク……うごかすと、なかで、なかでうごいて……」
 「我慢できないんだぁ。ノゾミったら」
 「だって、だって、だってぇ」
 「いいのよ。ノゾミ『くん』。好きなだけオチンチンいじっちゃっても」
 「う、うん!そうする!コダマお姉ちゃん』小学生の表情が喜色に輝き、姉が準備したローションをとろとろと垂らしながらペニスをしごき立て始めた。
 その姿を、その表情を、長女のカメラは克明に捉えていく。
 「そうよ……上手ね、いつもパパのおちんちんをいじってるんだね、ノゾミは。あ、そうだ。『ヒカリおねえちゃんのアナルをぶっすりやる瞬間』を想像しながらオチンチン触ると、もっと気持ちよくなれるわよ」
 ヒカリとノゾミの両方が同時に悲鳴を上げた。
 姉は悲痛で、しかし被虐の歓びの混じった声を。
 妹があげたのは、純粋な快楽があげさせた雄叫びのようなものだった。
 コダマは微笑む。「そう、そうよ、ノゾミ。すごく気持ちいいでしょ?本物の男の子達もそうなのよ。ノゾミのクラスの男の子達も、すっごくいやらしいことを考えながらオチンチンしごいてるのよ」
 「ああ、ああ、ああ、ボク、ボク、ボク……」
 「女の子座り」したまま疑似ペニスをしごいていた少女は背中を反り返らせた。そしてそのまま今度は背中を丸めてひくひくと痙攣する。
 ここ数週間で大人びた仕草……上目遣いや流し目で異性を見つめるまなざしや、無意識のうちにゆっくりと唇を舐める表情が増え、体育の授業でのダンスではクラスメイトの女子とは明らかに異なる腰遣いを披露して、同級生男子をどきりとさせている洞木ノゾミは姉を「オカズ」にペニスをいじっていた。
 そのまだおぼつかない手つきが、同級生男子のそれ……洞木ノゾミの「どきりとする表情と仕草」を思い浮かべながらおこなうもの……とそっくりであることなど思いもよらずに。

 やがてそのときがやってくる。
 妹が「オトコノコのオナニー」に興じているあいだタイルに敷かれたウレタンマットに横たわり、乳児がおむつを替えてもらう姿勢で大小のシリコンボールが連なったアナル調教用のスティックを抜き差しされて泣きむせんでいたヒカリの身体が父親に抱え上げられ、幼児のように浴槽に浸けられた。
 ぎゅっと密着するくらいに抱き寄せ、父親のたぷたぷするお腹に贅肉一つ無いしなやかな身体を押しつけたままで口舌淫戯に没頭させられる。
 とろりと表情を切なくさせて父親の首に手を回して鼻を鳴らすヒカリは、正常な判断力をもはや失っていた。
 父親の指がお湯の中でゆっくりうごめき、お湯よりもさらに熱いヒカリの襞奥を掻き回し玩ぶころには、尖りきった胸を父親の胸板にこすりつけて泣きじゃくっていた。
 指を抜かれ「自分で入れてごらん」ささやかれると感涙にむせびながら腰を浮かせ、父親のペニスに入り口の位置と角度を合わせる。うしろから回った父親の両手が、くちりとヒカリの秘裂をくつろがせると、少女は幸せな笑みを浮かべつつ湯船の中で父親の肉棒をくわえ込む。
 ペニスをずっぷり埋め込まれたままゆるりゆるりと湯船の中で揺すられて、全身を撫で回されて、愛らしい表情にキスを浴びせかけられた洞木ヒカリはうっとりと悶え泣いた。
 「ああ、らめぇ、きもちよすぎるの。ああ、ああ、らめぇ」とクラスの委員長としての尊厳もなにもかも投げ捨てて、お下げを揺らして歓びの歌を奏でるのだ。
 愛娘が父親とのセックスに我を忘れてしまっている様子に微笑んだ彼は、乱れる姉から視線を外せないまま人造ペニスをこすり立てている末娘を呼んだ。
 促されるまま湯船に入り、あんあんあえぐ姉の背後に位置する。
 「あ……え?」ヒカリの胎内からペニスが抜かれ、汗みどろの肢体が持ち上げられた。ぽっこりと張りつめたお尻が水面から姿を現す。
 「ノゾミ、キスしてあげなさい」
 ヒカリが声にならない悲鳴を上げ、父親の首にかじりつく。
 妹が小さな舌をいっぱいに伸ばし、姉のアナルを舐めはじめたのだ。
 唾液をいっぱいに乗せた舌で、その皺のひとつひとつを丹念に舐め、ほっこりひくついたところで今度は穴そのものを舌でノックする。
 「ひぃ、いや、いや、いやぁぁぁ!ノゾミ!ノゾミ!ノゾミ!」
 唾液を流し込まれてじゅるじゅると啜られた。おぞましさのあまりヒカリの意識は遠くなる。
 音を立てて舐められ、しゃぶられ、中まで舌にねぶられる。
 お湯の中でヒカリの爪先が纏足のようにすぼまり、ぶるぶると震えていた。
 ノゾミによるヒカリへのアナル舌奉仕は十分以上続いた。
 もうそのころには悪夢の快楽に魂を飽和させたヒカリは一切の抵抗を放棄している。
 ふたたび少女は父親に抱きかかえられ、ふたたびペニスで深く貫かれる。
 なんの躊躇もなくヒカリの両手が父親の背中に回った。
 「さ、お姉ちゃんをパパと一緒に抱っこしよう」呼びかけられたノゾミは輝く裸身を姉に密着させる。
 背中から感じる膨らみと尖りの感触と、腰のあたりにこつこつ当たる男根の感覚にヒカリはもう拒絶の声をあげることもできない。それどころか妹の小さな手のひらが前に回ってふっくらと勃起したヒカリのクリトリスをいじり、父親の指がお尻を悪戯しはじめるとたちまち彼女は意味のない歓喜のあえぎをあげはじめた。
 だから菊座に埋め込まれた指が二本になり、それがピースサインよろしくにちにち拡げては回転するようになっても、ヒカリは悩ましいあえぎ声をあげることしかできない。
 妹の指が与えてくれる気持ちよさと、うなじや肩に浴びせかけられるキスに、父親のペニスが子宮口をノックする幸福に、彼が飲ませてくれる唾液の味に酔っていた。
 その指が抜かれ、ふっくらとくつろいだ後孔がすぼまる前に左右の臀丘がぐいと割り裂かれても、ヒカリは幸福な笑みを浮かべていた。
 「さぁ、ノゾミ、おいで。お姉ちゃんのアナルを犯しなさい」と言われた妹が、腰を落として模造の牡茎でヒカリの菊門をノックするまではだらしなく口元から涎を垂らしていた。
 そこにゆっくりとねじ込まれる。
 父親の介添え付きで、両手でしっかりとペニスを支え、真剣きわまりない表情で腰を進める妹に。
 「ああ、あああ、あああッ」
 先端がみしりみしりと入ってくる感覚に半狂乱になる。悪夢の抱擁をふりほどこうとする。
 しかし父親ががっしりと少女の腕を掴み、抵抗は封じられてしまう。
 「お姉ちゃん、息を吐いて。『はぁっ』て吐いて。そうすれば楽にオチンチンが入ってくよ」ヒカリが守ろうとした妹は残酷なアドバイスを耳元でささやく。瞳を征服欲にたぎらせながら、腰を少しずつ突き上げてゆく。
 「入らない!入らないよぉっ!こんなおっきなもの、入らないよぉ!ノゾミ!許して、ゆるして、ゆるしてぇぇ、おねえちゃんこわれちゃうよぉ、おしりがこわれちゃうよぉ」
 「ほら、ゆっくり深呼吸して。ね?お姉ちゃん」
 「ゆるして、ゆるして、おねがい、おねがい……」
 妹の手が姉の腰へ回り、ふたたび肉芽を探り当てた。
 親指と人差し指でぎりりとつまみ上げる。
 「ひぃぃン!!!」肺にため込んでいた空気が一瞬のうちに放出される。
 「そう、そうだよ。そんな感じ!」わずかに進んだペニスの感覚にノゾミはにっこり微笑んだ。
 「ほら」
 感じやすい肉真珠がまた虐められた。お下げを振り乱してヒカリがのけぞる。
 だが、彼女のアナルは一瞬緩み、妹のペニスが進むのをまた許してしまう。
 「お、おおお……か……はぁ」
 「コツが分かってきたみたいだね。お姉ちゃん」征服者の口調で妹がささやいた。「じゃ、この調子でいくよ、ほら!」
 「いや、いやぁ……ゆるしてぇ……」
 許されるわけなどない。
 ヒカリの敏感なクリトリスは妹の可愛らしい指先で拷問される。
 そのたびにヒカリは泣きながら息を吐き出して尻穴を緩めてしまう。
 そうして妹はくすくす笑い、着実に人工ペニスを姉のアヌスへ打ち込んでゆく。
 やがて姉は屈服する。
 「いや、いや、いや、く、く、くりとりすにいじわるしないで。いうこときくから、いうこときくから!」と絶叫すると妹の「ほーら、吸って……ゆーっくりはいてー。ほら、つん、つん、つん、ってはいってくでしょ?だーめ、吐いてるあいだは息を止めないー」というくすくす笑いの声に涙しながら、号令に合わせて荒い腹式呼吸を行うのだ。
 可愛らしい唇からピンク色に舌を突きだし、口元から涎をたらたらこぼしつつ「あ、あ、はあああーっ、うっ、ふぅぅぅ、ふぅぅぅん!」と獣のように呻いて、妹のペニスをアナルへ受け入れるのだ。
 邪悪に逆立った傘部がついにヒカリの括約筋のリングの中へぬぽりとはまり込む。ノゾミは歓喜の声を、ヒカリは絶望の声をあげた。
 「ほら、はいっちゃったー。もうだいじょうぶだよ、お姉ちゃん。あとは気持ちよくなるだけ」
 くすくす笑い、ノゾミはかけ声を再開する。
 「ほーら、いっぱいに吸ってー。ゆーっくり、はいて、、はいてー。ほーら、ぬるっ、ぬるって入っていくよ」
 「ああっ、あー、あーっ、あはぁー」
 妹想いの姉はもはや妹の従順な人形だった。
 ついにノゾミのペニスが根元まで埋め込まれる。ヒカリは全身を濡れそぼらせ、ぶるぶる震えて父親にぐったりともたれかかっていた。
 ノゾミも熱を持った頬を姉の滑らかな背中に押しつけて息を荒げていた。抵抗する姉の尻を犯しているうちにぐねぐねと動いたペニスのもう一方の突起は妹の媚襞を掻き回し擦り上げ、彼女に牝の悦びをも与えていたのだった。
 そこで父親は提案するのだ。ノゾミ、今度はおちんちん、動かしてみようか、と。
 ヒカリはもう、震えることしかできない。
 彼はにっこり微笑み、末娘に声をかける。
 「ひぃぃッ!」ヒカリが鳴いた。ノゾミが腰を引いたのだ。
 身体が裏返るような苦痛と、原始的な排泄の快楽を脳が味わっているあいだに、ずぶりと奥へ突き込まれる。
 「お、おおおおおぅッ」全身が跳ね上がる。が、父親にがっちりと腕を固められて逃げられない。
 そのまま軽く持ち上げられる。父親のペニスにご媚粘膜を擦られ、後ろに突き出したお尻をさらにノゾミにごりごりとえぐられた。
 妹にがっしり掴まれた腰を前へ送られた。
 子宮を突かれる感覚に、再びの排泄感にヒカリの思考は真っ白に溶けた。
 脊髄を這い上がる快楽は少女の唇を割り、家中に響き渡るエロ声をあげさせた。
 だがもう止められない。止められるはずなどない。
 器械体操のようにくいくいと妹に腰を送られ、前後の穴から与えられる快楽を覚え込まされてゆく。
 今日父親に犯され、次に張り型をくわえ込まされた幼膣の快楽に目覚めてしまった妹が、自身の快楽を得るためにさらに積極的に大きく腰をスライドしはじめてもヒカリはそれを受け入れるしかない。
 「ひ、ひぁ、ひぃぃぃ、だめ、だめになる、ひかり、だめになる、あたし、こわれちゃう、きもちよすぎてお、おおおおおしりなおあなよすぎてしんじゃう、まえもまえもまえもまえもきもちよすぎてしんじゃう」
 その声が妹の衝動にさらに火を付けてしまうことなど理解もできずに、洞木ヒカリは絶叫しながらがくがくと全身を震わせるのだ。


イラスト:目黒腹蔵さん「2016年初春・ヒカリ、菊門開花」


 ……ああ、もうじきバッテリーが切れちゃう。
 洞木コダマはぼんやり考えていた。
 ……バッテリーが切れたら、ファインダーの映像も切れちゃうんだよね……。
 そうなれば、彼女は肉眼で「それ」を見つめるしかない。モノクロの非現実的なちっぽけな電子ファインダーの映像からではなく、「それ」を直視するしかないのだ。
 そのときコダマは完全に理解するのだろう。
 いま目の前で展開されている淫獣たちの行為が間違いなく現実で、その登場人物が彼女の姉妹であり、彼女の父親であることを。
 そしてそれは、いま彼女が維持している客観性……現実との距離感……を失うことになるのだろう。
 そのときコダマは、この淫らな宴に飲み込まれてしまうに違いない。
 ヒカリを犠牲とした負い目が、ノゾミを堕落させてしまった恐怖が、「友達の、それも仲がいい友達のカレシとセックスしているとき」だけ快楽を得ることができるほど歪んだ快楽を父親に植え付けられてしまった彼女の被虐性に火を付けてしまうのだろう。
 ヒカリのアナルを貫いているノゾミのペニスを口で清め、今度はそれで自分を犯してくれと懇願するかもしれない。
 今度はヒカリに「パパにペニスの味をたっぷりおしえてもらった」自分のアナルを犯してくれと言い出すかもしれない。
 二人の妹に前後を貫かれ、父親の肉茎を喉奥深くでくわえ込み、家族の団欒のよさを再確認するかもしれない。


 ……ああ、もうじきバッテリーが切れちゃう。

 モノクロの電子ファインダーの中では、ヒカリがアナルで絶頂を迎えようとしていた。




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Original text:FOXさん
Illust:目黒腹蔵さん