FATAL MIND EVANGELION FANFICTION NOVEL
X-RATE GENESIS EVANGELION
Episode : X-RATE : 02-2
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「碇君。耳を塞いでは駄目」
「聞きたく無い、聞きたくない、助けて、助けてよ、父さん……」
「話はまだ終わって無いわよ」
お茶請けのお菓子をもそもそと食べるレイ。
貧血症の為か独り言を繰り返すシンジ。
歪な笑みをしつつも、自らもクッションを抱えて何かに耐えているアスカ。
宴の夜はまだ終わらない。
魅了の炎も、蝋芯が短くなっていてもなお、その勢いは増し、三対の瞳に訴えかけている。
───萌えよ。欲の情に身を浸し、自ら焦がす炎となりて闇の中に身を置かん───
「ここからよ、泥沼の世界になっていくのは」
「うわああああぁぁぁあああああっ!!」
シンジの叫びが、闇に木霊する。
嗚呼、穢れ無き三霊よ
今その炎に浮かぶ魅なる識は、夢か現か
狭間たるこの闇より身を投じ
輪廻永劫変わらぬ人の欲塊に触れ賜へ
真言の渦に身を浸し
五行心眼を以て御霊に納めよ
少年よ、淫話に浸れ
第弐夜・夜艶快談 〜惣流・アスカ・レングレーの場合〜 (後編)
掛け間違えたボタンは、元には戻らない。
その時のシンジの目は、栗鼠の様な小動物を連想させる。
その瞳でアスカを見上げている。一心不乱に。
「あ、アスカ…ぁ」
アスカはシンジの太股に足を乗せ、愛撫するかのように、否、愛撫そのまま、ジワジワと動かしている。
シンジは全裸。
アスカは胸の下着は付けずTシャツを。そして自分の持っているもので、出来るだけ露出の多い下着を履き、これ見よがしにシンジの目の前で見せている。
疼きと共に、下着の斜からは滴が薄く線を引いていく。
「あ、アスカ、もう…!」
自らの陰茎を擦る動きが早まる。
2度目になる絶頂が近付いている。
アスカはシンジの太股から足を離し、間もなく吹き出てくるであろうその鈴口に足の親指を充てた。
「いいわよ、出しなさい」
出来るだけ冷静を装う。それでも僅かに声が震えてしまう。
最初に見たシンジの射精の特に感じた動揺が再び迫っていた。
刹那、指に熱が吹きかけられる。
───出してる…一杯…
親指だけで受け止められる筈も無く、シンジの精液はアスカの足を塗り、そして隙間から飛び出したものは脹ら脛まで汚した。
2度、3度、脈打つ度にそれは吐き出されていく。
シンジは、苦しさと快楽と、そして懇願じみた目をアスカから離していない。
「一杯出たわね」
「は、はい…アスカ、さま…」
「“様”付けは止めて!!」
「す、すみま、せん…」
今している事は、そういった倒錯した世界の出来事だというのを何処かで自覚している。そういう世界では自分の様な立場の者には、敬称付けるものなのだろうが、アスカにとってどうしてもそこは越えてはいけない部分だと感じていた。
こういう事をしていたとしても、自分はそういう扱いをされたい訳じゃない。シンジをこういう扱いしたいのが本望ではない。
だが彼はこうして悦びを感じ、そしてまた自分も同じ。
謀らずとも苦笑が洩れる。
───イカれてる、アンタも、アタシも
「シンジ」
「…はい」
「アタシのココ、見てる?」
「……」
葵色のTバックの下着。自分が持っているもので、派手目のものはこれが限度だった。
自分で履いてもまだ幼さが残っているとさえ思える。
その下着、恥丘を唯一隠す部分の布を少しだけ絞りこみ、一部を晒け出す。
この僅かな動作をするにも、心臓は早鐘を打ち、下腹部の熱は更に高まっていく。
「見てるんでしょ?」
「…はい」
恥ずかしいと思う。顔から火が吹き出そうになるくらい恥ずかしい。だがそれは、見られている恥ずかしさだけでなく、見せている恥ずかしさが大きい。
誰にも見せた事の無いその恥丘を、シンジに見せているのは他でも無い自分。
溶けそうになる。
少し布をずらすだけで、音を立てて滴が太股を伝わっていく。
シンジの陰茎も、射精しきったと言うのに、精液にまみれながらもまだ脈打ち、堅立したままだ。
「…まだ、足りないの?」
足の指で、軽く摘む。
「ぅっ……」
「貪欲ね」
「……はい」
「イヤらしい」
「……」
「サイテーよね」
「……ぅぅ…ご、めん、なさい…」
「でもいいのよ」
布を全て横にずらす。
自らの手で淫口をシンジの顔の上で開くと、一筋の滴が糸を引いて彼の頬に堕ちた。
「もっと近くで見せてあげるから、もう一回してみなさい」
「…は、はい」
割れた。割れ堕ちた。頑なにその部分を死守してした部分が、呆気なく、一瞬にして剥がれ堕ちていってしまったのだ。
未通のこの躰に封印されていた淫鬱な欲望は、ここまで大きく、そして溢れ出し、今彼の彼の顔にひたひたと零れていく。
穢されるのでは無く、穢している。
彼を支配した訳じゃない、だがこうして彼を自らの世界に引き込もうとしている。
自らも、ある意味で弱者であると思っていた女と言う性。それが別なベクトルを向いた時、こんなにも、男よりも、業深きものとなって這い出てくるものなのだろうか。
汚されると思っていた自分が、その対象を汚している。
唯々それだけの事に、こんなにも膣内が疼く。
手が伸びる。もう躊躇すら無い。
自然と自らの陰核に指がふれ、その刺激が更にシンジの顔を汚していく。
「ふ…んぁ…!」
邪魔な下着。
もどかしくそれを途中まで下ろし、シンジの顎に引っ掛ける。片足も彼の肩に引っ掛け、荒い息が吹き掛かる様にする。
目の前で繰り広げられているシンジの痴態、自らの痴態。
自らの欲に溺れ、自らの為すがままに進んでいくこれは、何と甘美な事だろう。
彼は自分に触れはしない、触れてはいけない。
僅かに隔てたこの熱に魘された空間が、僅かに触れ合わないこのもどかしさが、互いを高みへと引き上げていく。
「んぅ…見てる、ぅ…シンジ?」
「す、凄く、濡れてる…っ」
「そ、うよ。アンタが自分でシてる所を見ながら…シンジの、顔の前で、んっ…アタシは何をしてる?」
「…うっ、ぅ」
「言いなさいよ」
「あ、すかも、じ、自分で…」
「もっと、ハッキリ、言いなさいよ、馬鹿シンジ、ぃ」
「お、おな…に…」
「何、よ?」
「あ、アスカも、オナニー、してる…っ!」
「良く、聞こえな、っぅ!いわ!」
「アスカが、僕の前で、オナニーしてるっ!」
「そ、そうよ!このアタシが!、んぁ…バカシンジの前で、誰にも見せた事のないココを!アンタの顔の前で、広げて…ふぅっぁ!……こんなに濡れてるのよ!」
軽く指で溝を撫でるだけで、まるでローションの様に指に絡まりつく腺。既にいくつか零れ堕ちているシンジの頬に、混ぜるように塗りたくる。
「どぉ?アタシにこうして穢されていくは?」
「あ、アスカぁ…アスカっ!」
「女の子に見られながら、自分でコスって興奮して」
「うぁ…ぁあっ!」
「目の前でこうして広げているのに」
「はぁッツ…ぁあっ…」
「触れる事さえせずに、自分でし続けてる」
「あ、すか…ぁ…っ」
「情けない男…っぁ…!」
───でも止まらない。底無しの様に溢れ出てくる!
陰核を溝口を、自分でも荒々しく思えるくらいに掻き乱していく。その度に堕ちる滴がシンジを汚す。それがまた欲望を高め、指の動きになる。
高まる、昇まる。
視界が濁り、同じ様に半ば融け掛けているようなシンジの目と合わせる。
───シンジ、気持ちいいの
それが声に出ない、出せない。
出てくるのは彼を陥れる様な言葉だけ。
「は、早く、んぁっ!そのナサけないものから、だ、出しなさい、よっ!」
「はぁっ…う、はぃ…っ」
「こ、このアタシが、こうして、見せてるのよ!さっさとイキなさい!」
はち切れそうな感覚。周りから押されているような、全ての方向に引っ張られる様な。
明確なのは、この自分の内から駆け上がる衝撃。
───早く!イっちゃう……!
動きを緩める事が出来ない。指は自分を犯す別の獣。
文字通り蹂躙し、その獣に呼び出される様に腺は垂れる。
「ふぅっ…んあぁっ!ぅあ、あ、っ!」
言葉を紡ぐ事さえ出来ない。僅かな視界の中で、自分を見つめるシンジの目。
「し、シンジ!シンジっ!」
「アスカ!も、もう…っ!」
初めはすごく冷たい感触。
今迄の熱と衝動が、たった一瞬にして針の先程の点に収束してしまったかのように、時が止まる。
静寂。
唯々、静寂。
「……っ!」
刹那、爆発する。
「…ぁあああああぁあぁぁっ!」
爆ぜる。
何もかもを削ぎ落としながら、内から外へ。冷却された水が沸騰するかのように四散していく。
吹き出る滴はシンジのそれと同じ様に、躰が打ち震えるのと同時に彼に吹き掛かる。
2度3度、指の形をした獣が更に呼び起こそうと、強く陰核を押さえ、4度5度と続いた。
誘われたのはそれだけではない。
───あ!違っ!
止める事も出来ず、それは勢い良く流れ出た。
「あぁああ!駄目ぇっ…ぇっ!」
押さえようとしても、指は意識とは別。押さえる所か陰唇を開き、まざまざとシンジにそれを浴びせかける。
彼の頬にある白濁がかった液に、尿が足される。
普段より多く無いそれは、直ぐに勢いが薄れ収束していく。それでも彼の顔に掛かるには十分すぎる量が出た。
「ぁぁ…ぅ…」
シンジの動きは既に止まっていた。
彼は目を瞑り、そのままゆっくり床へと崩れ落ちた。
「シンジ!ごめ……ん…」
アスカの声はシンジ届いていない。
シンジに恐る恐る触れてみる。
息はしている。まだ少し荒い。
彼の顔は
とても安らかな寝顔を呈していた。
ふと足に違和感を感じる。
足を僅かばかりずらしそこを見下ろすと、カーペットに蒔かれた彼の精液があった。
アスカはシンジの方をもう一度見る。疲れ切っているのか起きる気配は無い。
それを確認すると、まだ熱が燻っている紅い顔を、床に近付けた。
彼の零した滴を、震える舌で掬ってみた。
床とアスカが糸で繋がれる。
「……しょっぱい…」
●
“刷り込み”は既に落とされているのか、以前の記憶が戻っているのかは分からない。
監禁されていた時の影響かどうかも分からない。
シンジは自分からアスカに触れる事は無い。
ベッドに片足を上げ腰掛けているアスカの胸に抱えられながら、シンジは自慰をしている。
アスカもまた、シンジの頭を撫でながら自慰をしている。
「触ってみたい?でも駄目よ……」
シンジを壁に押しつけ、陰唇をシンジの太股に擦りつける。
耳朶を舌先で転がしながら、熱の籠もった息を撫でる様に吹きかける。
「シンジ、こんな事でも興奮してるのね」
ダイニングの椅子にシンジを座らせ、後ろ手を拘束する。
自らはテーブルの上で脚を開き、痴態を見せつけている。
半ば血走ったシンジの目が、アスカのその部分と顔を往復していた。アスカも融けた目でそんなシンジを観察している。
「んっ…少し触っただけで、出しちゃいそうね」
シンジの陰茎は激しく脈打ち、鈴口からはだらだらと半透明の滴が零れ落ちていく。
繰り返される自慰。
触れる事はあっても一つにはならない影。
自らを陵辱し、それを見せ合うだけ。
あくまでも擬似的に。
どこまでも擬似的に。
「アスカっ!」
「んぁ…んっ…ぁあっ!」
EPISODE:X-RATE:02-2 Nightmare Story - Restracted by Asuka
夢は現。
どちらかが始まれば、どちらかが終わる。
決して同時には存在しない。
二人はベッドの上。シンジは全裸。アスカはTシャツだけ着ている。
特に束縛するもは無い。
仰向けに寝ているシンジの上に、アスカは覆い被さっている。
「シンジ、アタシの膣中に入ってみたい?」
アスカの突然の問いに、シンジは呆けた顔をしたまま固まった。
「…」
だが彼からは、数分経っても返答は返って来なかった。
「……嫌?アタシじゃイヤなの?」
やはり声は返ってこない。だが、僅かばかり横に首を振るシンジを見た様な気もする。酷く曖昧な返事。はっきりしない。
完全に拒絶されている訳じゃない事に半ば安心しつつも、逆に自分を求めていない事に不安さえ覚える。
アスカはゆったりとした動作で髪留めを外し、シャツを脱いだ。
初めてシンジの前に全裸を晒した。
「シンジ」
唾を飲み込む音が響く。
「アタシ、裸よ。何も付けてない」
視線が胸から腰の辺りまでを一舐めし、またゆっくりと顔に戻ってくる。
「抱いても…いいよ?」
自分でも驚く程、素直に出てきた言葉。
別に物足りなくなった訳じゃない。倒錯していると自覚がありながらも、今までしてきた事が続いても、多分それなりに満足出来ただろう。
だが、別の違和感があった。
その違和感は日に日に増し、今こうして不本意ながら言葉となって出てきてしまった。
───抱かれてもいい。
シンジを好きかどうかは分からない。愛していると言えば嘘だろう。
だが少なくとも、自分の痴態を見て興奮しているシンジの姿を、愛おしいと思った事は多くある。今こうして言葉にさせてるのは、その衝動かもしれない。
躰は、まだシンジを知らない。
否、心さえもまだ分かっていない。
互いに晒け出したのは自分達の痴欲。
そこで何が得られたのかは分からない。何も得ていないのかもしれない。
ただ、ここにある真実は、
シンジに抱かれたいと言う気持ち。
「触っても…いいよ?」
自分でも驚くくらいに、しおらしく言葉を紡ぐ。
シンジの肩から腕に手を這わし、愛で、手首を柔らかく掴み、自分の胸の方へと誘う。
「ご、ごめん!アスカ!」
だが彼は胸に触れる直前に、その手を薙ぎ払った。
驚く。それしか出来なかった。
「だ、駄目だよ、駄目だよアスカ」
薙ぎ払われた手は中を漂ったまま動かす事すら出来ない。
期待に応えてくれる確証は無かった。それでも、多分、僅かな希望かもしれないが、応えてくれるというのもあった。
少なくとも、こうして否定されるとは思ってもみなかった。
シンジの陰茎は大きく鎌首を上げ脈動している。ちゃんと反応してくれている。
だから余計に、出てくる言葉はこれしかなかった。
「どう…して?」
シンジはアスカから目を逸らす。
よく見るとシンジは震えている。続いた声でさえ、絞り出す様な苦しさを言葉に乗せていた。
「僕は…駄目だよ」
「……シンジ?」
「駄目だよアスカ。僕は穢れているから…駄目だよ」
「……………………シンジ?」
刹那、戦慄する。
「ねぇ、アスカ。ミサトさんは何処行ったの?綾波は?」
悪寒が首筋を撫でる。
「リツコさんは?マヤさんは?トウジは?ケンスケは?父さんは!?……エヴァは?」
アスカもシンジから目を逸らす。彷徨っていた手を下ろし、何とか項垂れる自分を支える。
「それに……まだ良く思い出せないんだけど、これは何?」
シンジの躰の震えが増す。何かから逃れる様に頭を抱える。
「とても嫌なんだ、とても……。僕が、色々嫌な事をされて……。ねぇ、アスカ、知ってるの?」
応える言葉が見つからない。
「ねぇ、アスカ、知ってるの?これって何?僕に何かあったの?」
「知らないわよっ!!」
アスカを揺さぶるシンジを払い除ける。
「知らない、知らないわよ…ぅ……知らない…。アタシ、シンジの事、何も知らないのよぅ…」
「…アスカ?」
「知ろうと思ったから、知りたいから、だから抱かれたいと思ったのよ!」
アスカは乱暴にシンジの両手首を掴み、彼の頭上に固める。シンジは呆気にとられ、抵抗すら出来なかった。
長い髪に隠れ、アスカの表情は見えない。
「何よ!自分勝手に穢れてると思いこんで!自分勝手に駄目だと決めつけて……。アタシだって、アタシだって……」
アスカは脱ぎ捨ててある服から、ベルトを引き出してくると、それをシンジの手首に巻き付け、ベッドに堅く固定した。
そしてゆっくりとシンジを見上げる。
その目はシンジを睨んでいる。口元は上向きに歪んでいた。
「アタシがアンタにした事、忘れて無いでしょう?」
「……」
「足を舐めさせ、オナニー強要して、アンタの顔にアタシの厭らしい液を塗りたくり、それで興奮してアンタの前でオナニーしたのよ」
「……止めてよ、アスカ」
アスカは躰を翻し、自分の陰部をシンジの顔の前に持ってきた。そして今度はシンジの服からベルトを足首に巻き付ける。
「ほら、見なさいよ。アンタに見られてるってだけで、こんなに濡れてるんだから!」
「お願い、止めて、アスカ……」
「見なさいよ!ほら!少し広げただけで零れるくらいに濡れてるのよ!シンジに見られて!シンジのココを見て!」
脈打つシンジの陰茎を強く握る。小さく零れる音と共に、腺がアスカの手にまみれる。
「それでも抱かないってんなら……」
「アスカ、もう…」
「シンジ、アンタを犯すわ」
「アス…んっ!?」
シンジの口を塞ぐ様に股間を押しつける。握った茎に顔を寄せて、熱い息を吹きかけ、そしてその鈴口を舌の先で舐め取った。
「舐めなさいよ、シンジ」
「止…」
「舐めなさい!」
「…………はぃ」
シンジは恐る恐る舌を伸ばし、その周囲に淡く茂った所を、猫が毛繕いするようになだらかに均していく。
アスカも鈴口から亀頭へと舌を這わせ、唇で抱くように擦りながら口に含んでいく。
舌が陰唇をゆっくりと広げ、零れ落ちてくる腺を引き出す。
茎の根本をゆっくり擦りながら、口に含んだ部分を舌で転がしていく。
最初は徐々に、ゆっくりと、たゆたう様に。
───凄い、全然違う
指が別な獣になろうとも、やはりそれは自分のものから逸脱したものでは無かった。予想も付かない動き。何よりも自分ではなく、彼に愛撫されているという事実が、躰を痺れさせる。
それに口の中で脈動を繰り返す彼の茎。
想像していた奉仕的な行為とはまったく違う。
彼を刺激する度に反応を示すそれは、舌を伝って何とも言えない快楽を口の中に広げていく。それもまた、彼のものが口の中にあるという事が、脳を麻痺させているかのよう。
快楽を求める動きは、加速する。
「んふっ…んっ…ふ!うっ…ぁ!」
僅かしか挿っていない筈の彼の舌が、まるで胸の辺りまで突き刺すもう一つの彼の性器とさえ思える。
「ぷぁっ!ああっ!や、やぁっ!あっ!」
耐えきれず茎から口を離し、自分でも驚くくらいの喘ぎが洩れる。
だが手は止まらない。彼の液と自分お唾液まみれになったその陰茎を、亀頭から撫で回すように擦り続けた。
「うあ、んっ!や、やぁっ、あふ、溢れる、んっぅ!」
シンジの顔を穢していく自分の液。彼にされているという感覚が、いつもの倍以上吹き出させているようにも錯覚する。
アスカは惚けた目でシンジの陰茎をもう一度見上げる。自分の手で擦られ辱められているそれに、未練がましく舌を伸ばした。
口に含もうとしても、この突き上げる感覚に邪魔され、上手く出来ない。
大きくなっていく声を漏らしながら、鈴口の周りを舐め取るので精一杯だ。
───このままじゃ、厭!
吹っ切るように一気に躰を起こす。
そのまま体勢を入れ替えてシンジを正面に捉えた。
シンジの口の周りは、既に唾液も愛液も区別が付かないくらい腺にまみれている。
その様子を見ながら、ゆっくりと腰を落とし、陰唇をシンジの茎の腹に擦りつける。
「うっ…ぁ」
「はっん…シンジ」
「アスカ……もう……」
「シンジ、アタシのモノになりなさい」
少し腰を上げ直し、シンジの茎を逃さないように堅く握り、それを自分の方へと立てる。
躰が震える。
怖い。
どんな痛みが待ち受けてるのか、どんな悦びが待ち受けてるのか。
自らの指や彼の舌に触れているだけでも十分過ぎる快楽が得られているのに、彼そのものが入ってきたらどうなるのか。
───シンジに、狂うわね、多分
唾を飲み込み、大きく息を吐く。
「なりなさい……」
「あ、あす、か」
亀頭を溝口に充て。
一気に腰を落とした。
「……………………ぁあああっ!」
切り裂かれる。割れる。叩き付けられる。押し潰される。
ありとあらゆる痛みが、股間から突き上げられていく。
「……っ、ぅぅうっ!!」
シンジが破った。シンジが破瓜させた。
否、それをさせたのは自分。
今自分に痛みを与えているのは、自分自身。
涙がこぼれる。
痛いから。そう、心が痛いから。
躰の痛みは単なる行為の代償。胸の奥から溢れ出てくるこの涙は、別の所から沸き上がってきている。
───違う、こんな…
俯いた顔の先に、シンジと繋がった自分が見える。
自分の太股に伝う僅かな紅い筋。
ほんの僅かではあるが力が抜けていき、ゆっくりと腰はさらに下がっていく。繋がりの部分を隔てる空間は狭まり、そしてシンジの腰に堕ちた。
その刹那。
「あ、アスカ、ごめ…っ!」
更に痛みに追い掛けられると同時に、自分の膣内に入っているシンジの茎が大きく脈打ったのを感じた。
痛みの錯覚もあり、シンジのものは2倍以上に膨れあがったかのように、本当に裂けてしまうかとも思った。
「っっ!!」
声すら出せない。
理解するまで少し時間が掛かったが、その追ってきた痛みが何の所為なのか分かった。
自分の膣内に、シンジは射した。
───こんな…筈じゃ…
それ自体も衝撃だったが……。
痛みが徐々に引いていくと共に、更に涙の量は増えていった。
───本当は…本当は……
こんなカタチではなく
シンジに抱いて欲しかった。
シンジに女として甘えてみたかった。
シンジに脱がされ、シンジに愛撫され、シンジの腕に包まれ。
シンジに痛みを貰いたかった。シンジに傷つけて欲しかった。
シンジに
辱められたかった。
「どうして……」
シンジから隠す事すら考えられなくなり、自然とくしゃくしゃになった顔を彼に向けていた。
小さく零れる音と共に、繋がった部分から、精液が太股を伝って洩れている。
「好きなの……そうなっちゃったのに……」
まだ痛みは残っている。だから余計に、だがゆっくりと腰を上げ、また深く彼を挿れていく。擦れる度に、自虐的な痛みが湧き出てくる。
「本当に、抱いて、欲しいと、思ったのに…んっ!」
シンジの中から絞り出す様に、きつく締め上げ、動かし続ける。
痛みは増すばかり。
「アタシに、くぅっ、触れて欲しかった、ん、のにっ!」
動きを増す毎に、別の感覚が広がっていく。あの快楽の匂い。
少し萎え初めていたシンジの茎は、その刺激に反応して再び堅さを増して来た。
アスカは腰を動かしながらシンジの頬を両手で掴み、顔を近づけ、まだ零れ続けている涙をシンジに落としていく。
「うっ…ぁ…あす、か?」
呆けた視界の中に写るアスカの泣き顔。
それはとても純真で、少女で、愛おしくも思える泣き顔だった。
「アスカ……」
「サイテー」
「……って、何よ、この話」
流石にアスカは話疲れたらしい。気怠そうに首の付け根をぼりぼりと掻いて項垂れた。
「アナタの妄想。オチと同じくサイテーね」
二の句が継げない。
勢い任せに噺を続けたのはいいが、こんな陰鬱なものが自分の中から出てきたものかと思うと、更に疲れがどっと押し寄せてきた。
一方、レイの態度は微塵も変わらず、アスカに冷淡かつ的確な突っ込みを入れて、お茶を啜っている。
シンジは
三人称では無く当該者としてダイレクトに扱われた所為も手伝ってか、既に泡を吹いて悶絶している。彼がどこまで話を聞いていたかは定かでは無い。
それは兎も角として、内容の善し悪しは別にしても、過激度はレイの話よりも幾分か上回っているという根拠の無い自信がアスカにはあった。
シンジは反応すら出来ない状態になっているというのに、レイの変わらない態度に敗北感すら覚える。
自分自身でさえ、前側をクッションで隠してはいるものの、その下にある惨状は記しがたいものがあると言うのに。
本来なら勝負を保留にして、別のアプローチを考える所だが、流石に疲労は思考をも鈍らせる。
負けを認める訳では無いが、兎にも角にも今は終わらせたかった。
そもそも、何時勝負事になったのかと言う疑問すら持ち合わせて無い。
「しかしぃ…シンジをネタにするにしても、もう少しマシなのがあった筈なのに」
「酷い扱われ様ね、碇君。アナタと一緒に住むのは危険だと判断するわ」
「実践する訳無いでしょ!するんだったらもっと…」
「“もっと”、何?」
「な、何でも無いわよ」
「なら、私が連れてってもいいのね?」
「どうしてそうなるのよ!?」
実際、話した内容はまったくの虚無から生み出されたものじゃない。どこかしら願望や想いや、様々なものが含まれ、フィルターが掛けられ、こうした表現になったのは否めない。
アスカ自身、認めたくは無い事実として、心の片隅にそういう事がある事を受け止めているらしい。レイにしても同様だろうと、アスカは思う。
だがそれを口に乗せる事はせず、今はただ似たような欲を内に秘めているだろう宿敵を睨み返すだけだ。
「……疲れたわ」
ふと外を見やると、何時の間にか雷雨も過ぎ去っており、晴れ晴れしい陽が顔を覗かせ始めていた。
百鬼夜行の宴も終焉を迎え、空は深青から朱に染まりつつあり、雀は爽やかな朝の到来を唄い綴っている。
魅了の炎は最後の蝋を融かし、僅かな風に吹かれてその姿を再び闇の中に閉ざした。
「ふぁあぁ…流石に眠いわ。ここで寝る」
「そう」
「アンタ帰るんだったら外からロックして帰ってよね。おやすみ」
「……」
アスカはそう言うと抱えていたクッションを抱き枕代わりにして、倒れ込むように横になった。
それから数分経たずして、少女にしては大き目の、らしからぬ寝息を立て始めた。
揺すった所で暫くは起きそうに無い。
シンジの方も、多分輸血するまで昏睡状態のままだろう。
レイはその二人を再び見渡し、確実に起きないであろう事を確認すると、空になった湯飲みを脇に置いた。
そしておもむろに自分のスカートをたくし上げて、脚の方に視線を落とす。
「この座布団、もう駄目ね」
面積の3分の2近くが、何かに染められていた。
終夜
Writin' by Kanna Touru
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