シンジ「な、なんてことしてるんだよ！アスカ……ち、父親は誰なんだよ！？」
悲鳴まじりの声を振り絞りながら問い詰めるシンジに、アスカはけろっとした顔で、幼なじみの顔を指さす。
シンジ「へ、ぼ、僕？」
身に覚えのない指名にうろたえるシンジを見て、アスカはくすっと笑った。
アスカ「学生寮で伝統の停電パーティがあってさ……すごいのよ、これがもう。真っ暗な女の子の部屋に色んな男が入れ替わり立ち替わり。ああ、鍵を掛けるのは勿論マナー違反なのよ。……アタシはたまたまミスキャンパスとかに選ばれてたんで、大勢から目をつけられてたみたいね。」
「明け方まで顔も見えない十数人の男子学生のお相手に励んだもんだから、大当たり。だから、本当の父親は分からないのよ。心当たりありそうな男に当たったら、どいつも日本のボーイフレンドに面倒みてもらえって言うし」
「そりゃ向こうから父親だって名乗り出てくる奴も、多かったけどね。もう他人じゃなくなっただろってお尻撫で回しながら、臭い息を首筋に吹きかけられるだけで幻滅よ」
『あの晩、アタシと「他人じゃなくなった」男はこのキャンパスに大勢いるんだから、あえてアンタを選ぶ理由がないわよ』と片っ端から袖にした、という。
「何人かはストーカーみたいになったんで、手切れ金代わりに何発かヤらせてあげたけど。トラブると面倒だしね」
何人か童貞を捧げてくれた子がいたらしいんだけど、そういう子はのぼせちゃって、アタシのこと大好きになっちゃったのよ、と嘆息する。
カトリックの強い土地柄で堕胎など論外で、アスカにもそのつもりはなかったという。
「ほーら、赤ちゃーん。初めて会うパパでちゅよー？これからはシンジがあなたのパパでちゅからねー」
赤ちゃん言葉で大きなお腹を優しくなでさすりながらアスカは将来の家族設計を夢見てほほえんだ。