スライド式のドアが圧搾空気音とともに開き、聞き慣れたヒールの音が響いた。
 「話って?」
 息せき切ってたずねる声に、部屋の主は黙ったまま振り向きもせずに紙切れを手渡す。
 むっとしながらもそれを一読。
 そして彼女は絶句する。
 「【ライン】が……一週間で【ライン】が二つも潰されたの?」
 「そうよ」
 「そのうち一つは……シングルナンバー!【ライン04】!ここって北米本部直轄でしょ」
 「そうね」
 「ちょっと!そんな馬鹿なことってないわよ!」葛城ミサトは【ライン】指揮官としてのそれでなく「ミサト先生」の口調で叫ぶ。
 「あそこの守りは鉄壁のはずじゃなかったの?この第三新東京に勝るとも劣らないって豪語してたくせに」
 「でも、違ったみたい」部屋の主はふぅっと煙を吐き出すと、猫のイラストが描かれた灰皿で煙草をもみ消す。「それとも過信しすぎたのかしら」
 「どういうこと?」
 「彼らね、解析のためにデータを外へ出したの。もちろん相応の偽装したうえに、ダミーを混ぜて分散処理したみたいだけど」
 「ゲノム解析なんて……【ライン】の中でできるでしょうに!」その声は、驚きを通り越して怒りすら感じられた。
 「すべてのコードをマッピングをしたかったみたい。馬鹿ね……自分たちがなにを造っているのかを、どうしても知りたかったのかしら」
 「いくら偽装したって……『蛇』からすれば子供騙しにすぎないのに……分からなかったのかしら」
 「そうね。でも、いいこともあるわ」ミサトの親友は微笑を浮かべた。「あれ……『蛇』も真のターゲットがどこにあるのか知らないことは分かったわ」
 首を傾げるミサトに彼女の微笑はさらに大きくなる。
 「だって、【ライン04】はダミーだもの」
 「は?」
 「フェイクよ。彼らが扱っていたものは『適格者』ではなかったの。どこにでもいる普通の存在。もちろん当事者たちはそんなことは知らされていないけど」
 「じゃぁなんでリツコがそれを知ってるのよ」
 「それは秘密」ふふ、と金髪の女医は笑った。「いずれにせよ……『蛇』は【ライン04】の存在に気づいた瞬間に潰しに出た……。ただそれだけ」
 「それらしいデータを扱っていただけで狙ったってワケ?」
 「たぶんそう」
 「馬鹿ね……」ミサトは嘆息した。「自分たちがダミーだと知っていたらマッピングなんてしようと思わなかったでしょうに」
 「でも、老人たちはナーバスになっているわ。さっき司令に『ダイレクトクロス』を指示したみたい」
 「駄目よ!」ミサトは叫んだ。「絶対だめ。ただでさえ問題があるのよ。それは見ただけで分かるじゃない。リツコ!あなただって分かってるくせに!」
 「そうね。私もそう思うわ。司令も『リスクが大きすぎる』と拒否したし」

 ……でも、
 ……あの人が考えているのはそんなことではないわ。あの人が考えているのはもっと違うこと。

 赤木リツコは薄く笑った。そして、その笑みを崩さずに葛城ミサトへ告げる。
 「じゃ、なにをすればいいか、あなたには分かっているわね」
 急激にミサトの表情が硬いものとなった。
 「わかっているわね?」
 「……ええ」
 ミサトはうなずいた。
 「他に手はないのよ。『ダイレクトクロス』を避けて目的を果たすのは」
 「でも……気が重いわ。時間をかければ、こんな非道なことなんて必要ないのよ……少なくとも片方は」
 「その時間がないのよ。そして、タイミングがなによりも重要な要素なの。葛城ミサト。あなたはあれを……『蛇』を見たんでしょ」
 ミサトは深くため息をつく。
 「あたしが見たのは『蛇』じゃないわ。その忠実たる僕……『使徒』……それも最下級の……あたしはそのときの……たったひとりの……もう、二度と見たくない。あれは……あれはそういうものよ。あれを倒すためなら……どんなことでも……どんなことでも……」
 「正当化されるわ。分かっているならいいわ」
 無意識のうちにリツコの視線はバインダーの表紙に書かれた文字を飛び飛びに追っていた。
 「始めましょう。義務を果たすのよ」
 黙ったままミサトは向きを変え、うつむいて部屋を出ていく。
 ミサト、あなたはずるいわ。
 このプロジェクトの事実上の統括責任者である赤木リツコは思う。
 ……ミサト、あなたがこれを楽しみはじめているのは分かっているのよ。
 あなたが毎夜、自分の犯した罪を悔いつつ、下着の中へ指を這わせていることを知っているのだから。
 絶頂のあとの自己嫌悪に涙しつつ、まだ消えない炎を鎮めるために、引き出しの中の器具へ手を伸ばしていることを。
 リツコはゆっくりと首を振り、ほほえむ。

 ……だって、わたしもそうなのだから。

 立ち上がるとバインダーを再び書架へ戻し、彼女は自室を出る。

 それの表紙には「BINDER」という文字だけが書かれていた。



 BINDER 第二話





 ぱたぱたと足音が聞こえ、心配そうな声がドア越しにかけられた。
 「ね?ね?だいじょうぶ?」
 「あっ……大丈夫。き、決まってるじゃない。ちょっと落ち着きたいだけ」
 だが、その言葉が返ってくるまでに数秒の時間が費やされている。
 「……本当に大丈夫?……その……こういうのって……らしくないし……」
 「え?だ、大丈夫だって。全然へーき!」
 「そう……でも、ごめんね。わたし、あの子たちを止められなかった……委員長なのに……」
 「いいの、そんなのヒカリのせいじゃないわよ。悪いのはあいつら……とアタシ」
 「でも……でも、気分が悪いのなら校医の赤木先生のところに行ったほうが……ね?一緒に行く?」
 「いいから。ほら、授業始まっちゃうよ。アタシも落ち着いたら教室へ戻るから……ね?」
 うん、分かった。でも、本当につらいのなら保健室へ行くんだよ。洞木ヒカリはなかば納得いかない表情でうなずき、なんども振り返りながら教室へ戻っていく。

 軽やかな足音が次第に遠ざかっていき、自分以外の気配のなくなったトイレの個室で惣流アスカは吐息を漏らす。
 そして、おずおずと指を伸ばした。
 秘所に指先が触れ、ゆっくりと浅瀬へ差し込まれる。
 そこはひどく熱く、ぬめった指を前後させるたびに、くちゅくちゅと淫らな蜜音を奏でる。
 その音はアスカの耳にはひどく大きなものに聞こえ、思わず少女は指を止めようとする。
 だが、一度中断を余儀なくされたからだろうか、浅瀬をかき回す指は彼女の意志を裏切り全く止まろうとしない。
 「くぅっ!」
 ゆっくりと少女の上体は後ろへ倒れていき、ミルクを溶かし込んだように滑らかな太股はさらに恥知らずに拡げられる。
 短めのボックススカートは臍が見えるまでまくれ上がり、14歳の女子中学生が身につけるにはカットが大胆なショーツはすでに右脚から抜き取られ、左膝のあたりに絡まっている。
 「う、うくぅ!」
 奥歯を食いしばっているにもかかわらず、甘い泣き声が彼女の口から漏れた。
 知らぬ間に、指は一本から二本に増えている。

 こんなの、こんなの変!

 惣流アスカは自分の肉体の裏切りがいまだに信じられない。

 こんなこと!こんなことって!
 学校でこんな……オナニーなんて!それも授業中に!
 ……こんなこと、お風呂やベッドの中でしか(それも明かりを消して!)やったことがなかったのに!
 絶対に……変。
 あいつらが、あのバカクラスメートが、ゴシップにしか興味がないおしゃべり女たちがヒソヒソとささやいていたあの言葉。
 あれが、あれがいけないのよ!


……ね、ね、知ってる?知ってる?
……あの綾波さん、昨日体育教師に教官室へ連れ込まれてイタズラされて……ヤられちゃったんだって。
うっそー!
マジ?
レイプされちゃったんだ……。かわいそう。
うわー、あの優等生な「お人形さん」が……ぶっすりヤられちゃったんだ。
かわいそー。

 「事件」の翌日もちゃんと学校に出ていた綾波レイが「体調不良で」休んだ(アスカはそれが体育教師のせいではないことを知っていた。レイの生理がいつも重いことは、なかば碇家の一員でもあるアスカにとっては常識だった)その日、今まで誰も口にしなかった噂がどっと吹き荒れたのだった。

綾波レイは犯された。
レイの穴という穴は陵辱された。
でも最後には彼女も悦び、全身を使って「おねだり」していた……。
ついには、美味しそうに男のものに舌を這わせていた……。

 アスカはその噂を聞くたびに噂をささやく本人と、それを面白がっている聴き手の両方に喧嘩を売ってまわった。
 腹が立ってしょうがなかったのだ。
 アスカにとって、レイは一種の「天敵」のような存在であったし、誰にも心を許さないはずのレイが、アスカの幼馴染みであるシンジにだけは心を開いているらしいこともしゃくの種だった(シンジとの「腐れ縁」が2年ぽっちしかないレイよりもアスカのほうがずっと長いことも、そう思わせる理由の一つだった)。
 それでも、彼女は我慢できなかった。
 綾波レイという少女がひどく脆い存在であることをアスカはもちろん知っていたし、なによりもそんな噂を流されてはぎりぎりのところでレイを救い出した自分(とシンジ)の活躍が否定されているようなものだったからだ。


……そうだったんだ。
……「なにもしらないわ」って顔をしてたけど……。
……しっかりやられちゃったんだ……綾波さんってば……


 しばらくは黙っていたものの、やがて我慢できなくなったアスカは一挙動で席を立ち、つかつかと歩み寄るとものも言わずに彼女たちの頬を張った。
 当然、教室内は大騒ぎになった。
 自分の無責任な言動をさておいて、アスカを非難する女生徒。
 もう一度ひっぱたいてやろうとするアスカを洞木ヒカリがなんとか押しとどめるが、学級委員長のヒカリでさえアスカの剣幕にただおろおろするだけだった。
 もし、アスカの幼馴染みである碇シンジがその場にいれば、状況は変わったかもしれない。
 彼ならばアスカに罵倒されながらも、彼女を無理矢理連れ出すなどしてなんとかこの場を納めただろう。
 だが彼はその場にいなかった。
 音楽奨学金の審査を受けるため、第一新東京へ母親である碇ユイと共に一泊二日の予定で出かけていたのだった。
 だから、騒ぎはひたすら拡大する。
 そして、気がつくとアスカは孤立していた。
 いたたまれなくなったアスカは心配するヒカリを振り切って、普段使われていない校舎のトイレへ駆け込んだのだった。

 荒い深呼吸を繰り返しながら個室の鍵を閉めたとき、彼女は異変に気がついた。
 動悸が全く収まらないのだった。
 いや、ちがう。
 これは廊下を駆けたからじゃない。
 これ、あのときと一緒だ……。
 一人のとき、生暖かい夜。
 オナカの下のほう……あそこがじんじんするとき……。

 アタシのカラダ、火照っている……。

 今までアスカがそんな気分になったことがなかったわけではない。
 そしてそれを鎮める方法を知らなかったわけではない。
 ヒカリが姉のコダマからこっそり「借りてきた」とても刺激的なレディースコミックや「アブナイ」動画を見せてもらったとき、長電話の時に話されるどこから仕入れてきたのか分からない誰かの「経験」は少女をひそかに高ぶらせた。
 だが、それはあくまでも一時的なものだったし、そのコントロールも容易だった。

 だが、今度のそれはコントロールが全く効かなかった。
 むしろ、それは次第に増幅されていく。

……ヤられちゃったんだって。

……ぜーんぶ剥かれたそうよ。

 嘘よ!嘘つき!なにも知らないくせに!
 レイは無事よ!無事だったんだから!

 少女は脳裏に響く声を即座にうち消す。

 ……確かに、ひどい悪戯をされたけど……。

 磁器のような頬を上気させて、体育教師の愛撫を受け入れさせられていたレイの姿がフラッシュバックする。
 彼女は椅子に腰掛けた体育教師の膝に乗せられ、人形のように自在に姿勢を……もちろん、男がレイに取らせるのはどれも淫らなポーズばかりだ……変えさせられていた。
 すらりとした太股を撫で上げられて、下着の底をゴツゴツした指でなんどもこすられていた。
 あのおとなしくて、物静かな少女は、そのたびに鼻にかかった切ない声を上げていた……。

 ……あんなこと、あんなことされたら……。
 全く抵抗できない状態で、他人の指にクリットをごりごりとこすり上げられたら……。
 次第にしこってきたアレを……摘まみ上げられたりしたら……。

 「ひん!」
 アスカは泣き声を漏らす。
 無意識のうちに彼女の指は自分自身のクリトリスを摘み上げていた。
 彼女が抱いた妄想通りに。
 彼女が抱いた妄想通りの指遣いで。

 その指は彼女をもっとも感じさせるタッチで肉芽を刺激する。
 「あ、あっ、ダメ……」
 惣流アスカは快楽を全くコントロールできない。それどころか自分自身の指が作り出す淫らな刺激はさらに淫らな妄想を生み、やがて少女を白日夢へ導いていく。
 親友のヒカリの気遣いも、アスカにとってはもはやよけいなお世話だった。
 それは彼女の欲望の火を鎮めるどころか、中断による禁断症状を起こさせたのだった。

 ヒカリの気配が消えると同時に、アスカは狂ったように自慰を再開する。
 その脳裏にはクラスメートたちの早熟な噂話が蘇っていた。


……ねぇねぇ。知ってる?綾波レイがロストバージンした体位、知ってる?
……知ってるはずないでしょ?
……あ、アタシが聞いた話じゃさ……エキベン……って言うのかな?向かい合った姿勢でさ、抱っこされたまま入れられて、部屋の中をどすどす歩くセンセイにしがみついて、あんあん鳴いてたそうよ。
……うわ、アンタなんでそんなに詳しいのよ!
……隣のクラスのコがさ、職員トイレを使ってたときにセンセイたちがそう言ってるのを聞いたんだって……。


 嘘、ウソ、そんなの嘘!
 アタシとシンジが飛び込んだとき、あいつはズボンも脱いでいなかったわ!
 レイは、レイはひどいことされたけど、そんなことまでされていないわ!

 だが、アスカの脳裏には浮かぶのだ。

 ソックスとローファーを残して全裸に剥かれた綾波レイのまだ少年のような桃尻が割り裂かれ、まだ飾り毛も生えそろっていないそこに黒々とした、ゴツゴツとした肉棒が出入りするそのさまが。
 小柄で華奢な肉体を、軽々と抱えられて挿入されるその体位ゆえ、レイが憎むべき陵辱者の首に手を回し、まるで相手が恋人であるかのように抱きつかねばならないそのさまが。
 男がゆっくりと足を踏み出すたびに、少女の躰を上下に揺するたびに、その結合部からは愛液と処女の証がポタポタと垂れるさまが。

 ……ちがう、そんなこと……されていない!
 ……どうして、どうしてこんなひどいことを考えてしまうの?!
 アスカは心の中で叫ぶ。
 しかし、彼女の友人であると同時に、幼馴染みの従姉妹である少女がただの欲望のはけ口とされ、玩具とされるその妄想は、アスカの欲望をさらに加速するのだ。
 彼女は思い描く。
 彼女がもし、レイを救えなかったらどうなっていたか。

 あのいつもクールでもの静かで、ときにアスカが怒り出すほど慎重だったはずの少女は、逃れられない罠に落ちていただろう。
 きっと綾波レイはいまでずっと怜悧で冷ややかな態度を取り続けていた教師に、淫らで屈辱的な「教育」を受けさせられていただろう。
 恥辱に涙しつつも膂力では絶対にかなわない男にねじ伏せられて、綾波レイはその肢体をむさぼられていただろう。
 ……ああ、ああ、あのレイが、アタシがひるんでしまうくらい意地っ張りのところがあるあのコが……。
 くちゅくちゅと自らの花心を玩んでいる少女は思うのだ。
 そんなレイが、とってもえっちなお人形にされるまでには、どんな目にあわされるのかしら?
 なんどもなんども、「イヤ」って言っても無理矢理気持ちよくさせられてしまうんだわ。
 肉体のうずきに負けて、恥ずかしいコトを言わされてしまうんだわ。
 恐怖と苦痛に負けて、自分自身を貶めるポーズを取ってしまうのよ。

 そのとき、レイはどんな涙を流すのだろう。
 そのとき、レイは誰の名前を呼ぶのだろう。
 でも同時にその姿は、ひどく美しいものにちがいない……。

 彼女の見る夢はしだいに現実感を増していき、彼女の記憶を塗りつぶしていく。



 男の膝の上で三度目の絶頂を迎え、そのあとも弾力のあるみずみずしい肌の感触をたっぷり楽しまれた綾波レイが身につけているのは、太股を伝った蜜を吸収してさらに色濃く染まったソックスとローファー、そして木綿のショーツだけだった。
 しかし、そのショーツも本来の目的を果たしていない。
 正気を失うほど感じさせられ、さらに三度無理矢理絶頂へ達せられるまで少女の秘所を覆っていた木綿のショーツは、失禁したのではないかと思うほど濡れそぼっていたのだった。
 「ははっ!どろどろだな、綾波のココは」
 耳元でささやかれた少女は頬を上気させたままいやいやをする。
 「ちがうってか?こんなに濡らしといてまだそんなことを言うのか?ええ?」
 体育教師の膝に乗せられ、腰を突き出したポーズで大きく開脚させられた少女はひくりと身体を痙攣させた。
 「見ろ、コレを、綾波のワレメまで見えてるじゃないか」
 少女はがくがくと陵辱者の腕の中で悶えてしまう。ついに淫行教師の指が下着越しとはいえ、レイの乙女の秘所へと達したのだ。
 男はその指をゆっくりと動かした。濡れた布地が彼女の「構造」にぴったりと張り付き、清楚だった下着は卑猥そのもののオブジェとなった。
 そこを執拗にいじり回される。少女は唇を噛みしめるのが精一杯だった。
 ひょい、と男の指がクロッチの隙間から横合いに侵入する。
 「ああっ!」レイが悲鳴をあげた。泣きながら男に慈悲を乞う。
 教師はにやりと笑って少女の秘裂へ指を進める。
 「うわぁ、綾波のココ、信じられないくらいにキツキツだなぁ。先生の指、第一関節も入らないぞ」
 「……あ、ああ、ゆるし……て……」
 「大丈夫だ。先生がじっくりほぐしてやるからなぁ。それに」
 レイの初花へ侵入していた中指がが彼女の目の前に現れる。
 「ほらぁ」少女の唇にその指がちょんと当てられ、離れてゆく。
 するとそこには粘液の橋が架かってしまう。
 「あ……ああ……」アルビノ少女の唇から絶望に染まった吐息が漏れる。
 半開きになった桜色の唇にその指が侵入する。
 「おらッ、お前の『汁』だぞ、どんな味がするか確かめるんだ」
 抵抗も逡巡も許されなかった。
 綾波レイは泣きじゃくりながら男の指をしゃぶり、自らの粘液の味を認識させられてしまう。
 さらに教師の左手が彼女の花弁へと侵入し、「おらぁ、レイ、お前、先生の指で処女膜突き破られたいのか?」とささやかれると、可愛らしい表情を絶望色に染めてそれは熱心に男に指をしゃぶりはじめる。
 言われるがままにちゅうちゅうと吸い、命じられたとおりにれろれろと舌をからませる。
 下半身から押し寄せる未知の感覚に、幼い官能を刺激されながら。


 「ん、んんっ!」
 いつのまにかアスカの左手はブラウスの中へ侵入し、ブラジャーの中へ潜り込んでいた。。
 「あはっ、はっ……」
 慣れた仕草でアスカの指は一四歳にしてはボリュームのあるバストを揉み始める。もちろん、右手も休んではいない。親指でまだ包皮に護られたクリトリスを刺激しながら、人差し指と中指で肉壺をかき回す。
 「うっうっう……くっ」
 当然のことながら、まだ未成熟な肉体に蓄えられていく快楽によって、白日夢はさらにその質量を増していく……。



 ようやく男の抱擁から解放されたレイを待っていたのは過酷な命令だった。
 彼女は自分自身で下着を脱ぎ、股間のクロッチに付いた染みがよく見えるように拡げたまま「捧げるように」体育教師に命令されたのだった。
 「いやぁ……そんな……お願いです。そんなこと……させないで……させないで……ください」
 あまりに屈辱的な命令にレイは泣きながら懇願するが、淫行教師は全く受け入れない。
 ぐいとプラチナブロンドが掴まれ、乱暴に引き寄せられる。
 「い、痛い!」
 「オラァッ、なに甘えたこと言ってるんだ。また『お仕置き』してほしいのか?」
 脅迫とともにつかんだ髪ごと華奢な頭部がぐらぐらと揺すられる。
 少女のまろみをおびた尻がぴしゃぴしゃとはたかれる。

 今まで受けたこともない乱暴な体罰は反射的に服従の言葉を彼女に叫ばせる。
 「……ああっ……許して……脱ぎます。脱ぎますから……ひどいことしないで……」
 レイはもはや、男の言葉に反抗することはできなくなっていた。この一時間足らずのうちに行われた「特別授業」によって、学年トップクラスの美少女の思考は完全に麻痺させられていた。
 紅の瞳から涙を流しながら、彼女はショーツに指をかけた。すすり泣きとともにゆっくりと、ゆっくりと下着が降ろされていく。だが、その悲壮な決意も長続きしない。
 すぐに屈辱と羞恥に耐えられなくなった少女は動きを止めてしまう。
 「おい、グズグズするな!なんだったらおい、先生が剥いてやってもいいんだぞ。その代わり素っ裸のまま廊下へ放り出してやるからな!」
 レイが躊躇するたびにが教師は吠え、淫らな脅迫を下卑た笑い声とともに吐く。
 身を震わせ、泣きながらレイは稚拙なストリップを再開し……そしてしばらくして中断する。
 懇願と脅迫が数回繰り返されたあと、ついに締まった足首から下着が抜かれた。

 「おい、ちゃんと見せるんだぞ。綾波レイ」
 できるわけなどなかった。
 そんな恥知らずなことが、少女にできるわけがなかった。

 レイは何度も躊躇したあと、顔を背けながら健康的なデザインの下着を握りしめ、体育教師へ差し出した。
 しかし教師は満足しない。満足するわけがない。
 彼が望んでいるのは、少女を完全に屈服させること。
 少女が自分の命令に絶対服従することだった。

 「綾波ぃっ!」教師は怒鳴る。ぱん、と彼女の頬が鳴った。二度、三度。
 「先生はな、お前がぐしょぐしょに濡らしたところがよーく見えるように、てめぇの手でパンツを広げな!って言ってるんだ!それも、オレから目を逸らさずにだ!分かってるのか!」
 恐怖が最後の理性のかけらを吹き飛ばす。
 レイはかちかちと歯を鳴らし、嗚咽を漏らしながら教師が逐一指示するとおりに下着を裏返し、まだ体温の残るそれを男の目の前に広げ、とどめに強制された台詞を涙ながらに復唱させられる。
 「わ、私……綾波……レイは……いやら……し……い……生徒です。毎晩オ、オナニー……している……から、男の人にいじられるといっぱい感じて……ああっ……感じて……しまいました……。はぁっ……ど、どうか、その証拠を……ご覧くだ……くださ……い」
 男はにやりと唇を歪め、本来純白であるはずのそれにつけられた生々しい染みの色と形、匂いについて細かく品評する。
 そして、教師はクロッチに吸収されずに滴となった粘液を指ですくい、ひどく大きな音を立ててそれをしゃぶった。
 それから、ゆっくりと唇を舐める。
 「……ちょっと酸味が多いな。綾波レイの『女汁』は」
 「あぁっ!お願いです……そんなこと……そんなこと……言わないで……」
 「先生はな、本当のことを言っているだけだ。本当のことを言ってなにが悪い?」
 「あぁっ、ああ……あぁっ……」

 だが、その想像を絶するやりとりのあいだも少女は目を伏せることも、瞳を閉じることも、もちろん耳をふさぐことも許されない。
 両手を前に伸ばして自分の下着を、それももっとも恥ずかしい箇所をひろげ、男を見つめたままでさらし続ける姿勢を保つことを強制されるのだった。
 ほっそりとした肩が恥辱と疲労で震え始める。
 彼女が許されているのは、ただその神秘的な紅の瞳からとめどもなく涙を流し続けることだけだった……。

 数分にわたって屈辱的な姿勢を強制された綾波レイの体力が限界まで近づいていることを確認すると、体育教師は名残惜しげにぐっしょり濡れたショーツを奪い取った。同時にレイのおとがいをつかみ、ぐいと引き寄せる。
 「あぐぅっ!」
 あえぐ彼女を抱きかかえその口中に下着を詰め込んでゆく。
 もちろん、その舌に当たる部分がもっとも濡れそぼった部分となるように注意して。
 それからゆっくりとズボンのベルトを外し、下着もろともそれを脱ぎ捨てると、綾波レイの妖精のような美しい肉体を乱暴に抱え上げ、そそり立った肉棒を美尻の割れ目に沿って擦りつける……。



 「んふぅッ……ああっ……き、気持ち……いぃっ!!」
 くちゃくちゃ、ぐちゅぐちゅ。
 「あ、ああっ、と、止まらない、止まらないよぉ……」
 綾波レイと学年の人気を二分する美少女、惣流アスカは自らの想像に溺れていた。
 くちゃくちゃ、ぐちゅぐちゅ。
 アスカの指は快感を得るために貪欲に動き回った。
 「あ、あん!ダメ、こんなの……変、変なのぉっ!」
 やめようとは思うのだ。
 こんなことはおかしい。とも思うのだ。
 だが、彼女はやめられない。
 授業中に教室を抜け出しての自慰行為を止めることができない。

 本当は、落ち着くつもりだったのだ。
 一人になることで、深呼吸をすることで怒りではなく欲望を鎮めるつもりだったのだ。
 だが、結果は全く逆のものになっていた。
 目をつぶるとその光景が浮かぶのだ。

 綾波レイが蹂躙されるさまが。
 時に「天使のような」という形容詞がつく美しい少女が、噂通りに屈辱的な行為を受け入れさせられるさまが。
 同性でさえ時に保護欲をかき立てられる可憐な一面を持つ綾波レイがその純潔を失うまでに、どのように追いつめられたかを……。
 アスカでさえも時々息をのむときがある美少女、レイが暴虐にすすり泣きながら、自身のショーツを銜えさせられた屈辱的な光景を……。
 儚い美しさを持つ肉体が教師の思うままに屈曲させられ、貫かれる状況が……。



 「どうだ。レイ。初めてのチンポだ。よーく味わうんだぞ」
 体育教師は少女を揺さぶり、逆ハート形の尻をぴしゃぴしゃと叩く。
 「んぐっ……む!むぅっ!」
 悲鳴を上げたくても、レイの可憐な唇はうめき声しか発せない。痛みと屈辱をレイが表現するには、シャギーのかかったプラチナブロンドを振り乱すか、紅の瞳からは涙を噴きこぼすしかない。
 もちろんそれはただ男を楽しませるだけであったが。

 綾波レイの口中に押し込まれ、唾液を吸った木綿のショーツは口中でふくれあがり、彼女の苦鳴を完全に封じていた。
 苦痛と痛みに歯を食いしばるたびに、いくら吐き出そうと努力してもできない下着はレイは塩味を帯びた自分の体液を味わわせ、それは彼女をさらに絶望させる。
 「レイ、いいぞ、お前はいい。締まるし、熱いし、ヒダの感じがまたいいぞ!綾波、お前はココは絶品だな。先生は嬉しいぞ!まぁ、狭すぎてチン○全部が収まらないのは残念だが……なに、お前くらい優秀な生徒なら、今日のうちにきっちりくわえ込めるくらい上達するだろうけどな」
 「むぅッ、あおッ、んんんうっ!」
 男の脇腹あたりでかくかくと揺れていた少女の脚がぴん、と伸びて痙攣する。
 滑らかなレイのヒップを撫で回していた体育教師の指が堅く窄まった菊門をノックしたのだった。
 「おや、ここも感じるのか?こりゃいいぞ。先生の楽しみがまた増えたな!」
 「おおッ……ッぐふあぁ……ッ!」
 彼女は全身から脂汗を噴き出しながら、プラチナブロンドを乱れさせる……。



 ……ああっ!レイ、かわいそうなレイ!
 ……あんなゴツゴツしたすごいもので、バージン奪われちゃうなんて!
 ……あんなすごい体位でいっぱいに銜えさせられて……まだ三分の一も残ってるのに……それも全部入れられちゃうの?
 ……アタシだったら……アタシだったら……。
 ……いやらしいコトで頭の中を真っ白にされて、ぶたれて、脅されてしまったら。
 ……きっと、きっとレイと同じにされてしまうわ。
 ……嫌がりつつ、涙を流しつつ、恥ずかしい、いやらしい命令に従わされてしまうのよ……。

 「くひぃ!」
 どんなに我慢しても快楽の声が惣流アスカの唇からは漏れてしまう。
 リズミカルな指遣いははだけた彼女の肌から甘い体臭を立ちのぼらせる。

 レイが男の玩具とされた。
 恐怖と屈辱に泣きながら、今まで感じたこともない快楽を与えられた。
 純潔を奪われ、気も狂うような恥辱を味わわされた。

 もはやそれはアスカにとって紛れもない「現実」だった。
 あちこちでささやかれ続けた綾波レイの美貌への本質的な憧れと反感を根元に持つ淫靡な噂は、アスカの精神の底へ澱のようにたまり、やがて無視できない質量となって少女を支配していた。

 そう。
 惣流・アスカ・ラングレーは綾波レイを犯していたのだった。
 その白昼夢の中で。
 自らの指で造りだした淫らな幻夢のなかで。



 「むぐぅっ!あぐ!」
 子宮まで響く衝撃にレイはうめいた。
 レイを貫いたまま室内を歩き回っていた男が勢いよく椅子に腰掛けたのだった。
 両腕の力を振り絞って、自分を征服する肉棒からなんとか逃れようとする。だが、男に抱えられ、揺さぶられ、突き上げられた少女の肉体は疲労困憊していた。
 レイはなかばで力尽き、逆に憎むべき男の上半身へがっくりと躰を預けてしまう。
 もちろん、全く硬度を失わない男の凶器をさらに深く銜え込んだままで。
 全身を桜色に染めぐったりと男に身をまかせた綾波レイの抱き心地を楽しみながら、体育教師は彼女の顎を持ちあげ、その言葉を封じていた下着をずるずると引き出す。
 「けほっ、かはぁっ、けほっ……」
 歯形がつくほど噛みしめられ、唾液をたっぷり吸い込んだショーツを口内から取り出されても、疲れ切った顎の筋肉と、痺れた舌はレイが明確な言葉を発することを拒んだ。
 少女は欠乏した酸素を補うために涙をこぼしながらなんども深呼吸を繰り返す。まだ未発育の双丘がわななき、大きく上下する。

 「レイ、どうだ。初めてのセックスは。気持ちよかったか?」
 彼女がようやく落ち着いたのを見計らって教師は声をかける。
 少女はなにも答えない。顔を伏せ、ぽたぽたと涙を流しながら口をつぐんだままだ。
 「ひぃっ!」
 男が腰をおおきくあおったのだった。太股を割り開き、中年男性にまたがってその剛直をなかばまで埋め込む姿勢を強いられていたレイは苦鳴を上げる。
 「オラッ、どうなんだ?え?」まだ彼女が男の支配下にあることを強調するようにさらに腰が振られた。
 「……あ、あっ……い、痛いです。痛いんです……もう許して……」
 「そうだろうなぁ。初めてだし、こんなキツイ穴に、こんな太いのをねじ込まれたんだから。もちろん痛いだろうなぁ」
 涙ながらの懇願を無視し、頬に張り付いた美しいシャギーを弄びながら教師は笑う。
 「そりゃ悪いことをしたな。よし、せっかくだから、先生がプレゼントをやろう」
 彼は椅子に座ったまま手を伸ばし、引き出しからチューブを取り出した。そのチューブには白地に赤い葉が描かれている以外、なんの表記もなかった。
 「処女喪失記念として綾波レイには最高の快楽をプレゼントしてやろう。間違いなしに、とびっきりに最高のやつをプレゼントしてやるぞ。気が狂っちまうくらいのやつをな」
 不気味な宣告に少女はおびえ、もう一度男の支配から抜け出そうとあがく。
 だが、滑らかなヒップを軽く押さえられただけで、彼女の抵抗は封じられる。
 「こらこら。そんなに嫌がるな。先生はな、聞き分けのいい生徒にはとことん尽くすタイプなんだぞ」
 「……あ……たすけて……たすけて……」
 片手で蓋を外し、チューブの中身を人差し指に絞り出す。
 そしてそれを、ココア色にすぼまったレイの菊門に塗りつける。
 「ふぁっ!や、やめて!」
 レイが再び暴れ始めた。未知の感覚におびえ、青ざめている。
 「そ、そこはイヤ!先生!い、いやです!……あぅッ!き、気持ち悪い!!」
 だが、教師の左手はレイの尻肉をぐいと割り開いた。
 にゅるん。
 「かはぁっ!」
 ついにぬるりとクリームが塗られた人差し指が侵入する。
 少女の抵抗が不意にやんだ。完全に硬直している。
 それをよいことに男の指はアヌスの中をあるときはぬるりと一周し、ある時は直腸壁に沿ってゆるゆると前後させ、クリームを丹念に塗り込んでいく。
 「これはな、綾波」目を見開いたまま痙攣する美少女を見上げながら教師は説明する。「もちろん直接塗っても効くんだ。でもな、やっぱり直腸から吸収したほうがより効果的らしいぞ。頭のいいお前なら分かるだろ。皮膚から吸収するより直腸壁からの吸収のほうが効き目が早いってことを」
 「吸収……な……なに、なになの……これ」
 「これはお前を幸福にする薬だよ。綾波レイ。これはお前に本物の絶頂を教えてくれるんだ」
 「クスリ!い、いやぁっ!……助けて!……ダメ……あ……いや、そんなの嫌、お願い……いや……クスリはいやぁ……」
 前門を剛直で串刺しにされ、アナルを指で犯されている少女は、ぶるぶる震えながら慈悲を乞う。
 もちろん、そのはかない願いはあっさりと拒絶される。
 「そんなに嫌がるなよ。お前をキモチよくするクスリなんだぞ。他人の親切は感謝しながら受け止めるもんだ。まぁ聞いたところじゃ塗りすぎて気が狂ったり、これなしでは生きていけなくなるオンナがいるくらいすごいらしいがなぁ」
 「……いやああっ!!……お願い、お願い、クスリだけはやめて……言うこと聞きます。もう……もう逆らいませんから!クスリは……クスリだけはやめてぇ……」
 「そう言っていられるのも今のうちだよ。もうじき、お前はお前じゃなくなるんだ。いや……違うな」
 指を勢いよく引き抜き、少女に悲鳴を上げさせてから男は言った。
 「お前はな、生まれ変わるんだよ。オレが望む綾波レイに」
 それは恐ろしい宣告だった。
 「お前は変わるんだ。普段は清楚で済ました顔をしていても、スカートの中はオレのチンポを欲しがっていつも濡らしているような生徒になるんだよ。オレのモノをハメてもらうためなら、いつでも、どこでも、オレのいうことをどんなことでもする淫乱中学生になるんだ」
 さらに数分の間、泣きながら慈悲を乞うレイのすぼまりの内部へ男はクリームを教育者としての熱意をもって塗りつける。

 一五分たった。
 最初の変化は声だった。
 「あ、ああ……ひ……ひぃっ……ああ……」
 アナルを攻められるたびにあげていた苦悶の声が、次第に鼻にかかったものになったのだった。
 「あ、ああん……ぬくっ……」
 自分の吐息が甘いものに変化したことに気づいていただろうか。
 「どうした?レイ?
 何か言おうとした彼女の唇からつうっ、と涎が垂れた。
 「どうした?ヨダレ垂らして?物足りないのか?」
 「ち、ちがう……あっ、あああああっ」
 男の舌がレイの限界まで勃起した乳首を舐め上げたのだった。
 「どうだ?指で触られるよりもずっといいだろ?」

 いいなんてものではなかった。
 言葉も出せないほど、その快楽は大きなものだった。
 ……く、狂っちゃう。
 恐怖を感じるほど、その快楽は鋭いものだった。

 男はにやりと微笑むと軽く腰を突き上げてレイの蜜壷をペニスでかき回す。彼女は鳴き、大きくのけぞった。蜜壺から熱い白く濁ったしたたりがとめどもなく分泌されていた。
 「う、嘘!あ、熱い!熱い!ああっ、ああっ、あん、ああっ」
 「ほうら、効いてきただろ」
 リズミカルに腰を上下させながら教師は邪悪にほほえんだ。アナルを貫いている人差し指を軽く曲げ、後ろの門と前の門を隔てる薄い肉壁を男のペニスの輪郭に沿って擦り上げる。
 「んぁああっ!だめぇ!」ずん、と背筋を衝撃が駆け上がり、レイの思考は白熱した。
 「ああっ、助けて……ひぎぃっ!、あ、ああっ、くぅ……」
 堰を切ったように綾波レイの口からよがり声がほとばしる。瞳は次第に焦点を失い、もやがかかりはじめる。
 少女の意志とは関わりなく、桜色の唇から発せられるその声は悦びに満ちあふれていた。普通の一四歳の少女なら決して奏でることができない淫らな音楽が綾波レイの唇から発せられる。
 男の腰の動きと独立して、ついに彼女の腰が前後に動き始める。
 「助けて!こんなの……いやぁ!あ、ああん」
 「気持ちいいくせして上品ぶってるんじゃねぇぞ。自分でクリをこすりつけてヨガってるくせに!」ぐいぐいと乱暴なストローク。
 「あ、うううっ!」
 数十回の衝撃ののち、ついに男の剛直は少女の胎内に完全に収まる。
 レイの肉道は限界まで拡張され、子宮口は乱暴にノックされていた。
 だが、もうレイの上げる声は悲鳴ではない。今まで誰も聞いたことのない歓喜の声だった。男にしがみつき、一心不乱に腰を降り始める。
 「あん、ああっ、あ……変になっちゃう、変になっちゃう……」
 「気持ちいいか?綾波レイっ」男は吠えた。
 「ああっ、ああ……ああっ」
 「だったら言いな!『綾波レイはセックスが大好きです。これのためなら何でもやります』ってな。そうしたらお前、先生が好きなだけイかせてやるぞ」
 「ああっ、ああ……ああっ……嫌、そんなこと……言えな……い」
 最後の理性を振り絞ってレイは唇を噛みしめる。ここでそれを認めれば、もはや自分は堕ちるしかないことを彼女は本能的に知っていた。

 だが、
 「ああっ!」レイは叫んだ。
 男の動きが激しくなったからではない。男の動きが止まったのだった。
 さらに、レイの意志とは関わりなく動こうとする腰も体育教師の左手一本で押さえ込まれ、たったそれだけで少女の動きは完全に封じられた。
 もちろんレイの下腹部あたりの燃えるような感覚は収まる気配はなかった。男の肩に乗せていた手が勝手に外れ、右手が乳首へ、左手がクリトリスへ伸びる。

 しかし、
 両手とも触れることはできなかった。

 体育教師に軽く払われ、両手首をまとめて握られて自由を失った。
 もはや、綾波レイが快楽を求める方法はなくなった。
 自分自身の欲望を認め、男にそれを告白する以外には。

 「正直にならないと、続きはしてあげられないな」
 レイの呼吸が荒くなった。

 助けて、と言っていたはずなのに。
 やめて、と言っていたはずなのに。

 そうだ、そう言っていたのだ。
 こんな男から逃れたいと思っていたのだ。
 こんな卑劣な人間に……負けるわけにはいかない。
 刺激が途絶えたことにより、わずかに理性を少女は取り戻す。

 だめ、負けちゃだめ……。

 レイは歯を食いしばる。
 瞳を閉じる。
 深呼吸を繰り返す。

 「彼」の微笑みを思い出す。
 同い年の従兄弟を、少女がひそかに好意以上のものを抱いている少年の笑顔を。

 認めないわ……
 こんな人間の言うことなんて……。
 こんな屈辱、きっと我慢できる。いつか終わるはず……。

 ……え?
 ……なに?
 どうして、私の口は動いているの?
 この叫び声は……だれのもの?

 誰かが叫んでいた。
 大声で乞い願っていた。

 さらなるセックスを。
 さらなる快楽を。

 「気持ちいいんですうっ!すごくいいんです!!だから、だからお願い!続けて!……い……いいえ、違うの!続けさせて!腰を振らせてください!綾波レイはセックスが大好きです。これのためなら何でもやります!シてくれるんだったらどんなことでもやります!……言いました。言いましたからク、クリトリスいじらせて!オッパイをさっきみたいにしゃぶってください!噛んでください!お願い!さわらせて!じんじんするの我慢できないんです!お願い!お願いだからぁっ!気持ちよくさせてください!もっと激しいせっくすをください!」

 それは紛れもない綾波レイ自身の声だった。

 ……嘘……どうして……どうして……。
 レイの瞳から涙がこぼれ出す。
 それは、敗北を認める涙だった。

 「よく告白したな。えらいぞ」
 ひどく穏やかな声とともに腰を押さえていた手が放され、少女の両手は自由になる。
 「ご褒美だ。好きなだけ気持ちよくなっていいぞ」

 その言葉と、レイの動きはほとんど同時だった。
 クリトリスへ手が伸びるのと、
 乳首を指先が摘み上げるのと、
 腰が淫らな円運動を描き始めるのは。
 綾波レイは泣きじゃくりながら快楽をむさぼり始める。

 やがて、ずんずんと突き上げられるような衝撃が始まったとき、少女の涙は歓喜のそれに変化する。

 巨大な快楽が綾波レイを翻弄していた。
 少女は突き上げられ、揺すられ、乳首とクリトリスをいじくられた。
 全身を撫で回され、唇をむさぼられ、アナルにいたずらをされた。
 たったその数分で理性も、常識も、そしてプライドも白熱する脳から消え失せた。
 残されたのは途方もない快楽だけだった。
 レイは、とろけていた。


 ……これは「ご褒美」だ。
 ……いいか、これはお前がセンセイの言うことを聞く素直な生徒になった「ご褒美」だ
 ……「ご褒美」の意味、分かっているな?

 揺すられながら、抜き差しされながら、舐められ、甘噛みされながら、少女の耳には繰り返しその言葉が吹き込まれた。
 快楽で理性をとろとろにされてしまったレイにとって、それはやがて絶対の真実として定着する。
 少女は男にかじりつきながら、今までの態度をなんども悔い、反省の言葉を繰り返す。
 その償いとしてどんな命令でも従う素直な生徒になることを誓う……。

 やがて、初めてのセックスで普通の女性が得られる数十倍の快楽を与えられた第三新東京中学校のアイドルは、もはや綾波レイとは異なる存在に変化する。
 その魅力的な肢体だけは綾波レイと同一の、セックス人形となっていた。
 可憐な、スレンダーな肉体を持つ性のための愛玩動物となっていた。


 「あ、ああん!好きです、これ、好きです!奥まで、奥までゴリゴリいってるの!お、おしりもいいです。もっと抜き差ししてぇっ!ああっ、ぬ、抜かれるとき、すごく気持ちいいの!」
 たずねられもしないのに綾波レイは淫らな言葉を叫び続けていた。
 腰と膝を使って身体を上下させ、長いストロークでの刺激を楽しみながら。
 教師は勝利の笑みを浮かべつつ、さらにだめ押しをする。
 「レイお前、先生のこと好きか?」
 哀れな犠牲者の答えには全く躊躇がなかった。
 「す、好きです!大好きです!レ、レイは先生が大好きです。だって……こんなにキモチいいコトしてくれるんですもの!ああぁっ、大好きです!きもちいいっ!」
 レイは本来憎むべき陵辱者にひしと抱きつくと、情熱的なキスを浴びせかける。そして男が求めるまま舌と舌をからめ、男の唾液を流し込まれると喉を鳴らしてそれを飲み下すのだ。

 すらりとした少女の脚がさらに快楽をむさぼるために男の腰に巻かれ、抱え込んだ。
 ぎゅっと恥骨を男へ押しつけ、さらにハイピッチで腰を振る。
 まだ未成熟な子宮を突かれるたびにに、彼女の精神はとろけてゆく。

 綾波レイは、いま、とてもしあわせだった。


 「変、変なんです、ああっ、先生!ああ!おかしくなる!」
 全身を汗にまみれさせながら悶えるレイのトーンが十五分もたたないうちに変わった。それを合図に男は上下運動を回転運動にスイッチする。
 少女の奏でる音楽がさらに変化した。
 あともう少しだ。あともう少しで「刷り込み」が完成する。
 教師はラストスパートをかけた。
 「イきそうか?レイ?」
 「は、はいっ!あ、あ、あっあっあっあっあっ……い、いきそうです……」彼女はすがるような瞳で男を見た。「い、い、いかせて……ください……いきそう……なんです。おねがい……します」
 男にまたがり、突き上げられながら受けた「教育」どおりの従属的な言葉遣いで彼女は教師にお願いをする。
 答えはさらに激しい突き上げだった。
 同時に鍵状に曲げた指がさらにハイスピードでレイの菊門を出入りする。
 初めてのセックスで彼女は途方もない高みへ連れて行かれた。
 「ちゃんと言うんだぞ、さっき教えたとおりにな」
 「は、はいっ!先生!あ、あ、あっ、あ、ああっ!い、い、イきます!レイ、レイはイきますうっ!お、お情けをください……レイに、いっぱい、いっぱいください!!!」
 若々しい肉体が大きくのけぞり、男の腰を抱えていた脚がほどけ、つま先までがぴん、と伸びた。
 そして全身が痙攣する。

 同時に体育教師も己の欲望を解放する。もちろん、綾波レイの胎内にだ。
 どくん、と肉棒が震えた。固形のように濃い精液がレイの子宮を直撃し、それを満たしていく。
 「熱い!あ……熱い!いっぱい!いっぱい入ってくるぅっ!……いいっ!すごく熱い!」
 さらに大きくレイはのけぞり……。


 ばん

 ドアが開かれた。
 目の前が急に明るくなり、大きく光景が開けた。

 「惣流・アスカ・ラングレー!」

 そこには学校の保険医であり、生物担当の教師でもある赤木リツコが冷ややかなまなざしでこっちを見ていた。
 「あなた、なにをやっているの?こんなところで、授業中に」
 「あ、あああ…………い。いや……あぁああっ!」
 だが、レイと同時に……白昼夢の中のレイと同時に……絶頂を迎えようとしていたアスカは肉体の反応をコントロールできない。
 「あ、あああっ、ダメ、あっ!み、見ないで!」
 大きく広げられた太股がびくびくと痙攣し、全身が大きく震えた。
 「おねがい!お願いだか……あああぁっ!駄目ぇぇぇっ……!」
 校医の目の前でクオーターの美少女、惣流・アスカ・ラングレーは絶頂を迎えたのだった。


 「ああっ……いやぁ……いやぁ……」
 泣きじゃくる少女を見下ろすその目は冷ややかだった。
 「廊下まで響く声だったから、いったい誰かと思ったら……」
 薄く笑った表情をいっさい動かさずにリツコは言った。
 「あなただったとはね。アスカ」
 「あ、ああ……」あまりに屈辱的な状況に、勝ち気な少女も返す言葉がない。だいたい、あまりに強烈な快楽のために息が上がってしまっていた。
 赤木リツコは淡々と事実を述べた。
 「天才少女の誉れも高い惣流・アスカ・ラングレーがトイレの中で、オナニーして……」
 「ゆ、許して……」
 「廊下まで聞こえるほどのよがり声をあげて」
 「だって、だって……」
 「おまけに教師に見られながら、絶頂を迎え……」
 「いや、いやぁ……」

 リツコはわざとらしくため息をついた。
 「そのうえ、お漏らし?」
 そうなのだ。
 惣流・アスカ・ラングレーの膀胱は異常な快楽と状況に耐えられず、緊張を失ってしまったのだった。
 絶頂を迎えたアスカの股間からは湯気が出るほどの液体がほとばしっていたのだった。
 「違う、こんなの、こんなの……アタシじゃない……ひぐっ、ひくっ……」

 気丈で美しい少女はプライドをずたずたにされ、屈辱のあまりむせび泣く。
 紺碧の瞳から涙があふれ出し、細い肩が震えた。

 「心配しなくていいのよ。アスカ」
 顔を上げたアスカの目の前にリツコの笑みがあった。しかし、膝をついて少女を見つめるその微笑みに暖かさは一欠片もない。
 「心配しなくていいのよ。ちゃんと、カウンセリングを受ければね」
 「ひぁっ!」
 少女は声を上げた。力なく広げられたままの内腿がすぅっと撫で上げられたからだった。
 みずみずしい張りのある太股をマニキュアが塗られたリツコの整った指が這い回る。それはゆっくりと、ゆっくりと動き回りながら、アスカの絶頂を迎えたばかりの花園へ滑り込む。
 「あああっ……あひぃ!」
 アクメを迎え敏感になったアスカのそこは、女の構造を知り尽くした同性の指が与える刺激に耐えられない。
 ぶるぶるとふるえながらアスカは大きくのけぞった。
 すっ、とアスカの足首に絡まったパンティが抜き取られ、白衣のポケットにしまい込まれた。

 「あ、駄目。返して!」
 「そんなことを気にしている場合?」
 「あっあっあっあああん……」

 コリコリと少女の宝石が摘みあげられ、わき出た粘液が塗りつけられる。
 あっという間に二度目の高みへ連れていかれた。

 「あっあっあっあああっ……んんっ!」
 よがり声を噴きこぼす少女の唇が女医に奪われた。軽く、ついばむように唇同士が触れあう。それだけでアスカは身を震わせた。
 さらにリツコの舌がアスカの敏感な唇をちろちろと刺激した。もちろん、下半身への愛撫は続けたまま。
 「ああっ、あっあっあっ……くふっ!」
 再びアスカは絶頂を迎える。
 そのさまを見つめるリツコの瞳は、あくまでも冷ややかだった……。

 もやのかかったままのアスカの脳裏に女医の声が響く。
 「カウンセリング、受けるわね?それとも、お母様をお呼びして、担任と、教務主任とあなたとの四者面談のほうがいい?」
 「!」

 四者面談などされたら学校中に自分の痴態が知れわたってしまう!
 自分は学校中の誰からも「変態アスカ」として噂され、嘲笑されてしまうのだ!
 そんな状況にプライドの高い自分が耐えられるはずがない!

 だが、リツコの言う「カウンセリング」も少女にとって最悪の恥辱と屈辱を与えることは明白だった。
 いまだに赤木リツコの両手はアスカの内腿に入り込み、成長途上ながらつんと張りつめたヒップを撫で回しているのだから。
 そう、この美しい女医はアスカにもはや逃げ場がないことを、わざわざ知らしめていたのだった。もちろん自分のレズビアンとしての衝動もあっただろうが。
 熱に侵されたように飛び飛びになる意識の中でも、本来聡明なアスカはそれを明確に理解していた。

 だから、答えは決まっていた。
 最初から。
 言われるまでもなく。

 「……お願い……ママには言わないで……」
 「そうね、ドクトル・キョウコもそれを望まないでしょうね。愛娘が授業を抜け出してトイレでセンズリかいていて、おまけにその現場を押さえられたなんて」
 「いやぁっ……言わないで!お願いだから言わないで!」
 「じゃぁ、カウンセリングを受けてくれるのね?」
 「……はい」
 「正直にすべてを話すのよ。あなたのためなのだから」

 ちがう。絶対にちがうわ。そんな理由じゃない。このひとは……もっといやらしくて……邪悪。
 ……でも、逆らうことはできない。

 「……はい」
 「誰を思い浮かべたのか、ちゃんと教えてもらえるわね?これはあなたの心の傷がなにかを知るためなの」
 「……あ……ああ……」
 「そうそう、『その人』がどんなことをされたのか、『その人』がどんなことをしたのかも……正確にね」


 もう、逃げられない。
 アタシは、虜にされた……。
 これからは、えっちでいやらしいオシオキが待っている……。
 アタシが見た、淫夢のように。
 その夢の中の、綾波レイのように……。
 アタシも……造り変えられてしまうのね……?

 惣流・アスカ・ラングレーは暗く甘美な想像を絶望しつつ受け入れる……。


 「じゃぁ、行きましょうか」
 赤木リツコはアスカの手首をつかみ軽々と立ち上がらせると、まったく無防備な彼女を保健室へと引き立てていく。
 つぅっ、と少女の股間からあらたな蜜があふれた。
 それはやがて滴となり、アスカの乱れた歩調に従って点々と廊下にシミをつけていく……。



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Original text:FOXさん