Back Seat
Original text：引き気味
09
サードインパクトだと言われているものが何だったのかは、ヒカリには分からない。
ただ、気が付いたその時、同じように地面から身を起こそうとしている人々の何事か分かりかねたような顔と、眠りから覚めたばかりのように静まり返った町の風景は強く記憶に残っていた。
あの日、人類は滅びかけたのだという。
そして世界を救ったネルフのシンボルとして、親友のアスカはまさしく全世界的なアイドルとなっていったのだった。
その、華やかではあるがガラスのような傷付き易さ抱えた同級生が、見る見るうちにスターダムに押し上げられていく様を、ヒカリはずっと見詰めていたのだ。
テレビや雑誌に踊る満面の笑顔が、実は二級の花に過ぎないのだと知っていたことは誇らしくもあり、微笑ましくもあった。
華々しく喧伝される虚像に夢中になっている人々は知りもしない。
彼女と同じように繊細な心を胸に、常に傍らで共にあった少年に向ける笑顔こそが、アスカという少女が咲かせる、本当の薔薇なのだと。
◆ ◆ ◆ 「はっ、はっ、はっ、は―― ぁ、うぉおお……！」
獣のような雄たけびを上げて、鉄の無表情を貫いていた男がアスカにむしゃぶりついていった。
恭しく黒服の足元に傅いていた、その細い肩を突き飛ばす勢いで川縁の草地に押し倒す。
尻餅を付いたように『あぁん……』と上がった悲鳴には、男への媚びが多分に含まれていた。
その荒々しさを受け入れて、アスカは純白レースで淫らに飾った肢体を開いていく。
「せっ、セカンドチルドレン！ セカンドチルドレンの……お、おお、オッパイかよっ……！」
「ああっ、そんな……。あせらなくても……はぁぁん！」
甲高いけれど、鼻に掛かった甘ったるい声。
あのアスカがとは信じられないが、ヒカリとてもう知らないほど初心ではなかった。
女の子たちの間で囁き声に交わす猥談も当たり前の学校生活の内だし、たまには回し読みされる過激なグラビア雑誌に目を通す事もある。
そんな聞くだけで潤んでしまっているのだと伝えるような声だって、アダルトビデオの中には何度も耳にして、ドキドキと胸を鳴らせた事だってあった。
（ああ、なんてエッチな声なの……？）
自分もいつか好きな相手に抱かれて―― そう夢見る事はあっても、自分がそんないやらしい声を出す事があろうとはどうしても想像出来なかったのヒカリだったのだ。
それなのに、あのアスカが『くぅん……』と子犬のように男を誘う鼻声を洩らしていることは衝撃だった。
アスカこそ自分以上に純情な少女だと思っていたのだから、それは背信にすら思える。
「すげぇ、すげぇよ。セカンドチルドレンのオッパイを……俺が！ や、やわらけぇ……」
「あん……ああん。どうぞ、いくらでも好きになさって……。あっ、はっ。あ、アスカの胸を……存分にご賞味くださってぇ……」
「はは、本物だぜ……。やっぱガキだな。ちっけぇが……堪んねぇ揉み心地だぜ」
上ずった声。
老人に背後から抱かれながら、目を背けたくなるような「ショウ」の鑑賞を強いられているヒカリにも、男の興奮が伝わってくるようだった。
「い、いかがですか……。あ、アスカの胸は……？」
「最高だぜ。最高だぜ、セカンドチルドレン！ ははっ、もう硬くしてやがんのか？ いやらしいやつ……！」
「あっ……はぁん！ ううんっ……」
「ちっちぇのにコリコリさせやがって……信じられねぇ。コイツ本物なんだぜ！？ 本物の惣流・アスカ・ラングレーがよぅ……とんでもないドスケベだったってか！！」
「あっ、はぁっ、……お、仰る通りなんです……。あ、アスカは……お客様の仰るとおりの、す、スケベな娘で……ぇ、ひぃぃん！」
（あの人、きっと……）
これまでに抱いた「アスカ」と比べているのだろうかと思う。
アイドル＝アスカという少女が登場するだけで、あらゆるメディアの売り上げが伸びるこのご時世だ。
輝くような金髪に碧眼、未だ完全な大人への脱皮を果たさない境目の魅力を存分に引き出したグラビアから、小悪魔のようなウィンクで人々を魅了する世紀の美少女。
その幼い美貌に劣情を滾らせる者達がいれば、当然その吐き出し口を用意する者達もいるのは自明の理だった。
ヒカリ達中学生の手に入るような雑誌にさえも、その手の「アスカもの」を見つける事が出来るのだから、世間にはどれほどのフェイクが氾濫していることか。
大きく脚を広げて、裸の股間を指で開いて見せている「アスカ」や、犬の様に這った姿勢でお尻を突き出して何もかもを露に見せている「アスカ」。
誰がこんなものをと思うほどアスカには似つかぬどぎつい色をした股間からは、どろりと白い濁りを滴らせていて、それでもそんな裸に繋げられた良く見知った少女の笑顔はにこやかに微笑んでいる、そういったコラージュの数々。
救世の戦乙女の衣装として有名になった真紅のプラグスーツも人気で、赤いボディペイントに塗った裸の胸を大写しにしている「アスカ、居ます」だとか、「激似」といった売り文句を並べるビラが、街のそこらに貼られていることも少なくない。
いずれもアスカには見せられない代物だったし、目にしてしまえば烈火のごとく猛り叫ぶのが常だった。
『冗談じゃないわよ！ こんな恥知らずな真似を！ こ、このアタシが……、するわけ無いでしょうがッ……！！』
だが今、そのアスカが見せているのは、ヒカリの知らない―― そしてそれらの紛い物よりもずっとずっといやらしい貌だったのだ。
『ちゅばちゅば』と淫らな水音を立てて吸い付いている黒服の頭を優しく抱え込み、妖しく潤んだ目元はうっとりとピンクに染まっていて、薔薇色の唇は今にも舌なめずりしそうな程。
時折『あっ……』と小さく開かれたり、その隙間から見える夜にも艶かしい赤の舌先は、嬉しそうにわなないている。
それはヒカリの知らなかった、淫蕩な笑顔だ。
つい今しがたの自分が老人に狂わされてしまっていたように、あれもアスカの本心ではないのだと―― 強いられて作っているのだと信じたかったが、今のヒカリには自信が持てなかった。
それどころか、進んで犯して貰いたがっているとしか見えないアスカの様子には、自分が彼女の本物の笑顔を知っていると思っていたのは間違いだったのではなかろうかとさえ思えてくるのだ。
「んはあぁ……。とっても……、とっても気持ち良いですわぁ……」
組み敷かれた下からしなやかな両脚を男の腰に絡めさえして、純粋、清楚という言葉が似合うと思っていた美しい声で、その背徳的な行為を更にとせがんでいる。
そんな正視し難い痴態を見せ付けられれば、自分達を偽り続けていたのに過ぎなかったのではと、ヒカリが疑念を抑えられないのも無理はなかった。
（だって、だってあんなに……）
「ひんっ！ す、素敵です……。ああ、もっと吸って、アスカのオッパイを……あああ！ そ、そうです。引っ張って頂いても、良いんですぅ……！！」
ミドルティーンの張りのある膨らみを大柄な男の手の中にすっぽりと預け、揉みこねられて、啄ばまれて、時には歯を立てられもして。
喘ぎ、仰け反り、甘えた吐息に囁き返しているアスカは、どう見てもそうやって痴態を晒すことに馴れている。
そればかりでなく、興奮のあまりにか忙しない呼吸に長距離ランナーのように苦しげですらある年上の男を導いて、おぼつかない手元を正しく快楽の鍵穴にとリードしているのだとは、ヒカリにも見て分かる。
あんなにも激しく体中をまさぐられて、アダルトビデオの女優のような大人のオンナの仕草で受け止められるようになるのに、いったいどれ程の経験が要るだろうか？
そして、『びくん！』と仰け反らせた弓なりの頂上でツンと尖って、月明かりにもはっきりと浮かび上がるアスカの乳首は……！
疎開の前の皆が揃っていた頃、体操服への着替えの途中などで垣間見たような透き通ったピンクからは、大分沈んだ色をしていたのだ。
ぽってりと大きくしこり勃って、男の指で摘み転がされている―― それこそコラージュ写真の「アスカ」のような、爛れたオンナの乳首。
猥談の中でもよく聞いていたし、姉もふざけては言っていた。
『ヤり過ぎるとね、こことか、アソコとか……黒くなっちゃうのよぉ？』
ああ、それならば……。
それならば、断じてアスカは初めてでは有り得ない。
（なんて事よアスカ……。こんなの……私にずっと隠してたの？）
きっと、きっと……ヒカリの知らない間に経験して、昼の間は素知らぬ顔をし続けながら、これまでに幾度とも無くあの綺麗な躰でセックスに耽っていたのだろう。
あれはそんな男に馴染んだ―― 娼婦の笑顔だとヒカリの目には映るのだ。
『信じられないわよ』と、裏切られたとさえ思える憤りが胸に渦巻く。
「あ、アスカぁっ……！！」
―― 目が合った。
「ふぁあ……イ、イイわ、ぁ……あぁッ！？ ひ、ヒカリ……！！」
男のサングラスを投げ捨てたギラつく視線の前に大きく太腿を開いて見せて、今にもそのいきり立ったペニスを受け入れようとしていたその時。
草のベッドの上、Ｍの字型に太腿を抱え込んだ指先を伸ばして、月明かりにテラテラと濡れた花弁を摘み開きながら―― 。
「アスカぁっ！」
「ヒカリ……。ぁ、ああ、……イヤァァァ―――― ！！」
◆ ◆ ◆ 「駄目……！ そんな……。ああ、イヤよ。見ないでヒカリ、ヒカリーっ！！」
嘆くような親友の声を聞いた時、務めて目を背けようとしていた現実にアスカは醒めるように引き戻されたのだった。
ヒカリの黒い瞳が、浅ましい自分の姿を真っ直ぐに貫いてきている。
ベトベトの唾だらけに胸を吸われ、全身を乱暴に弄られ撫ぜ回されて、徐々に靄がかって来ていた脳裏からは陶酔が一気に打ち払われた。
汗ばみと、くちゃくちゃと男と交わしたディープキスに汚した唾液に濡れて、色っぽく紅潮していた頬からも青く血の気が引いていく。
「いやっ、いやぁっ！」
「なんだよこいつ……、急に暴れんなってっ……！」
「ああ、見ないで……。ヒカリの前でなんて、そんなの、そんなのダメよぉ―― っ！！」
「クソ……。今更、何言ってやが、るっ！」
「ヒィィッ！？」
急にしゃにむになってもがき始めたアスカに戸惑った男だったが、そこで何事かと様子を見ていられるほどの余裕も無かった。
抜けるように白く瑞々しい少女娼婦の肢体を蹂躙し、アスカがその身を火照らせるほどに香しく立ち上らせていた甘酸っぱい性臭を間近に吸い込み続けて、その悶える様と嬌声と、五感全てからの興奮で欲望は最大に膨れ上がっている。
鍛え上げていた筈の心臓はバクバクと破れそうな程の鼓動を打ち鳴らし、もはや一時の猶予もならないのだ。
触れえざる至高の美少女の肉体を、腹の底、子宮まで犯し抜いて味わなければ収まらない―― ！
細くくびれた腰がジタバタと暴れ回るのを力ずくで押さえ込み、充血を高まらせていた肉塊を鮮紅色の隙間から滑り込ませる。
華奢な少女の入り口は、そんな怒張をツルリと優しく迎え入れた。
「や、イヤァァァ―― ！！」
「うぉぉ……！ たまん……ねっ！ これがセカンドの―― 」
先端を含ませただけでヌルヌルと、擦り付ける媚粘膜の感触に天に登る心地だ。
快感に野太く呻きながらズブズブと腰を沈めていくと、アスカの叫びが一層切なく高まっていく。
「あ、ああ……。イヤ、イヤよぉ……こんなのは―― あ、あ、はぁぁぁ……！！」
「うぉ、さすがに締め付けやがる……こいつがセカンドのオマ×コ……！」
ほっそりと―― やはり１５の中学生少女らしい小振りのヒップを持ち上げさせて、男は更に結合を深くアスカの膣を抉った。
「あ、あうウッ！ いやあァァ！」
「最高だぜ……。へへっ、俺が犯してやってるんだ。セカンドの、惣流・アスカ・ラングレーをよぅ！！」
ネルフの保安部員としてなまじ身近に接する事がありながら、けっして手を伸ばす事の出来なかった、輝くような裸身を腹の下に、ついにそのパンパンに膨らんだペニスで挿し貫いているのだ。
逆三角形に整えられた金の叢が楚々と可憐な唇の縁を飾っていて、ふっくらと盛り上がった乳白色の土手肉をこじ開けた割れ目の奥で、えも言われぬ滑りらかな感触に包み込まれている。
それこそが、世界中の男たちが夢見るセカンドチルドレン、惣流・アスカ・ラングレーの膣の感触なのだ。
「へ、へへっ……可愛いオマ×コをしてやがるくせに、いい感じにほぐれてやがるじゃないか。ええっ？ こいつはさぁ……しっかり男の味を知ってやがったんだな！ そうだろっ、おらぁ！！」
昨日までの、グツグツと内奥に膨らむ一方だと身悶えしながらも職務だからと抑え込んでいたていた獣欲を、男はここぞとばかりに解き放った。
「はおっ！」
ドスッと一気に奥底をこづかれて、弾かれたようにアスカの形良く尖った顎が跳ね上げられた。
その一突きをズルズルと戻していくと、中の薄桃色の秘肉がめくれあがって、その抑えられていた入り口が解けたように甘蜜も溢れ出す。
幾度と無く犯され続けた快美感が呼び起こされたのか、ちょうど赤ん坊のように拡げられた下半身がガクガクッと震えはじめていた。
「いつもいつもお高くとまってやがって……、とんだ売女が……！ 悦がり泣かせてやるぜ。俺のチ×ポでよっ！！」
口汚く罵られながらも、目を瞑って耐えるアスカは言葉も無い。
汚されてしまったのはとうにの事だったし、老人の少女の全てを知悉した上で弱みも耐え難きもをネチネチと責め嬲る言葉に比べれば、何ほどのことでもないのだ。
ただ、親友の目の前で犯されるというと恥辱感と、自分の中にはめ込まれた牡の器官に確実に感じてしまっている妖しい高まりに、きっと浅ましく乱れてしまうだろうと分かってしまうのは、あまりに惨めだった。
はらはらと涙も頬を伝う。
それでも、グイと突き上げられれば『ああ……！』と思わぬ声が出てしまう。
『い……っ、イイ、ひぃぃ―― っ！』と望まぬ歓声を上げてしまう。
アスカのしなやかな下肢を割って入った男の腰が音を立てて、不可侵の聖なる柔肉の奥に向かって激しいピストンを開始していたのだった。
―― グチュッ、ズッ、ズチュッ、グッ、グップッ、グチュッ……！
「良いぜ、良いぜ……たまんねぇよ！ や、やっぱセカンドは最高だぜ。ガキの癖にキュウキュウ締め付けやがって……」
「うぁぅッ！ ぐっ、うっ、うふぅンんん……！ おおぅっ！！」
ドスドスと挿し貫き、打ち込んだ奥で攪拌するように膣粘膜を堪能して、組み敷いた美少女に哀れっぽい悲鳴を上げさせる。
小さめの、まだ未成熟の狭穴を壊しかねないほどの激しいピッチに、息も詰まるように打ち据えられるアスカの呻きも獣じみて、これ以上無い追い詰められ方だ。
滅茶苦茶に抜き差す内に浅瀬に乗り上げてしまっても、そのまま花弁もクリトリスも目くら滅法に亀頭に擦りまくって、一緒くたに蜜壷に押し込もうかという勢いだった。
「いやぁ……いやよぉ……」
「ふ、は！ うぉお……！ すげぇ。……へへっ、なんだよ嫌がって見せんのもサービスか？ 今、腰使ったろ？ いいぜ、もう良いから素直に悦がって見せてくれよ。オラァ！」
―― ズッ、ジュブブッ……！！
「あう！ あっ、やっ、激し……ああんンン……！！」
抽送のたびに華奢な肩が揺れ、さんざんにしゃぶられた乳房がプルンと汗を飛び散らせて、男の脳裏をまた熱くさせる。
繋がったままで更に腰を進め、くの字に折り曲げるような姿勢に圧迫しながら目の前の魅力的な膨らみに舌を伸ばすと、麓から敏感な頂にまでねっとりヒルのように舐め上げられて、アスカの悦がり狂った悲鳴が大きくなるのだ。
「ガキのくせにこんなに硬くしやがって……」
「ヒァぁ……！ ぁ、ンぁはっ！ あぐ、あうう……。ぅあ、はぁぁぁ〜〜ん……！！」
（ああ。ヒカリが、ヒカリが見てるのに……アタシ……）
切れ切れの息の下で、アスカは絶望に目が眩みそうだった。
ヒカリがまた、憎むべき老人に騙されリムジンに乗り込まされてしまった時、こうなるとは分かっていたのだけれども……。
それでも、調教を受け続ける日々にもどんなに辛い思いをしてでも隠し通そうとしてきた惨めな姿を、親友に見られてしまうのはあまりに辛かった。
自分はあの子の前では輝いていなければならなかったのに。
それを、よりによって見も知らぬ男に犯され、喘いでしまう姿を見せなければならないとは……！
「くくっ、あの歳でなんとも淫らな事だとは思わんかね？ ヒカリ君」
「アスカ……」
消え入りそうな呟きも軽蔑を帯びているように聞こえて、もはやアスカは親友の目を正視できない。
「なんでっ……、なんでこんな事に……っ、ひっ、くうぅッ！ うン……！ うああんン！！」
張り裂けそうな胸の痛みに涙しながら、それでも老人にたっぷりと手管を尽くして調教された躰なのだ。
肉唇をいっぱいにはだけて沈み込んでくるペニスで、子宮の入り口に堪らないほど心地よい衝撃を与えられれば、ビリビリと甘い電撃が脳天まで突き抜け、感じ過ぎなほどの愉悦感を脳に送り込んできてしまう。
必死に辛抱しようと歯を食いしばっても、次の瞬間には抑え切れずに喜悦の声を漏れ出てくる―― どうにも自分に従ってくれない肉体にされてしまっている。
親友の嘆きが冷水の働きとなって取り戻した、いつもの誇り高くで明るいアスカで居たいと願う心も束の間に、今にも理性は吹き飛びそうなのが現実だった。
―― いや、そもそもから耐えられる限界などというものは無かったのかもしれない。
ただ、自分はまだ耐えようと思う事が出来ると信じたかっただけで。
ヒカリが見ているのだからと自分を鼓舞してみせた。
それをアスカは本当の自分の心なのだと信じたかったが、それこそが薄っぺらに過ぎないのだとも感じさせられる熱い疼きが、絶え間なく下腹から響いてもいるのだ。
「ふぁぁん……！ あふうっ、ファ、アァァァ……！！」
思う間にもグンッと子宮口を突き上げられ、アスカはまた雪肌の背を仰け反らせて嬌声を上げてしまう。
(あっ、はっ……！ や、やっぱり……。あ、アタシ……！)
男のペニスにこそがれる襞粘膜は、犯される快感のあまりと、それを否定しようと強情を張る理性の板挟みでひきつれるように戦慄いている。
肉裂の先端に覗かせた真珠もヌラヌラと濡れ光りながら敏感に尖り切っていて、『ズン！』と深く繋がった刹那、互いの下腹の間で押し潰される鋭い官能を、次のグラインドを、またその次のグラインドをと望んでしまう。
泡立つほどに煮えたぎる蜜壷。
股の間から自分の腹の中に撃ち込まれているこの灼くような剛棒を、もっと深く飲み込みたい。
咥え込んだ粘膜で締め付けて、その硬さを感じたい。
それはもっともっとと牡を求めてしまう、ままならない肉体が見せる本能の叫びだった。
はしたなく愛液を滴らせる花弁もジリジリと熱く、きっとそのだらしなさにふやけてしまったように赤く充血しているのだろう。
（だめっ、だめだわ……。ああ、とても我慢できないッ……！ ごめんヒカリ……。アタシは、アタシはもう……！！）
やはり……やはり、耐え切れそうには無かった。
なけなしのプライドが守ろうとする仮面を剥ぎ取ろうと、老人に犯し抜かれて認めさせられた―― 自分の中に潜んでいたのだと知らされた、淫らなアスカが手を伸ばしてきている。
鏡を見るように歪んだ自分の顔が、さっさと認めてしまえとあざ笑っている。
それは好きでもない男が相手でも、股を開いて誘わずにはいられない、浅ましいセックス奴隷の惣流・アスカ・ラングレーなのだ。
『ああ……』と、絶望の溜息に涙が零れ落ちた。
「おらっ、おらっ、どうだ! 清純そうな顔をしやがって、随分色っぽい顔をするじゃないか……！！」
「ひン……ん！ やぁぁ、深ぁ……い！ だっ、だめぇぇぇ〜〜〜〜！！」
腹の上から押し退けようと力を込めていた筈の両手も、いつの間にか黒いスーツの胸元を握り締めていた。
「い、いゃァ……、許して……」
親友の眼前で犯し抜かれる強烈な恥辱感が、ブルブルを身を捩じらせている。
しかしその一方で、拒もうとしながらも幾度と無く剛棒を秘裂深く受け止めさせられていたアスカは、甘え泣いては腰をめぐらせ、もはや濃厚な交わりに飲み込まれるばかりでもあったのだ。
高々と捧げさせられたヒップをがっしりと掴まれ、トロトロと喜悦の涙を溢す花芯にこれでもかとねじ込まれる砲身で今にもクライマックスを迎えてしまいそう。
瞼の裏にはチカチカと火花が飛び始めていて、なにより自分の深い部分が撃ち込まれる淫欲の迸りを待望していた。
「いひっ、イっ……だ、ダメっ……！ ヒカリが……、ヒカリが見てるのよ……！」
このままでは、また自分を支えていた何かを致命的に破壊されてしまう―― 。
ままならぬ無力感は恐怖と連れ立って襲い掛かり、竦み上がったアスカの心に叫ばせていた。
「ダメェ！ ダメなのぉ……！ あ、アタシ、そんなされちゃったらっ……！！」
「ほんとうのアスカ」がどこにも居なくなってしまう。
いよいよ徹底的に壊されてしまって、あの大切な少年の笑顔も思い出せなくなってしまうかもしれない……！
それだけは―― 、
（絶対、いやぁぁぁ〜〜〜！）
軋むような悲鳴を上げて、またプライドも何もかもひびだらけになってしまった精神が、怯え怖がった唇をわななかせ、誰かの救いを求めさせていた。
「助けてっ！ ああ……お願い！ 助けてぇ……！！」
哀れっぽく、見も世も無くアスカは泣き叫ぶ。
「こんなのイヤぁっ！ ……ふぁ、あうう……！ ふっ、うぐぅぅっ……や、やぁよぉ……」
―― 助けて。アタシが壊されてしまう前に、アタシを助けて……！！
「お願いっ！ お願いぃぃ〜〜ッ！！」
脆い精神のギリギリにまで追い詰められ、必死に伸ばした手の先には―― 、
「くっくっく……。よく分かっているじゃないか、アスカ君」
そんなアスカの心情を見透かしていたような老人が、くぐもった笑いを立てていたのだった。
「どうしてよ……。アスカ……」
ヒカリは信じていたのだ。
アスカの心の中にはあの少年が居ると。
助けを泣き叫ぶアスカは、きっと彼の名を呼ぶだろうと。
それなのに……！
「ゆ、許して……。ああ、お、お慈悲をッ……！ っハ！？ あぐぅううっ！ おおう……！！」
「くそっ、こいつ……！ お前を抱いてんのは俺なんだよ、アスカぁっ！」
自分のペニスで悦がり泣かされている筈のアスカが、他の男を呼んでいる。
男はその苛立ちをぶつけようとでもする程にガムシャラになって、少女のヌルヌルの淫口へと叩きつける腰の動きを、更に更にと激しくしていく。
まるで自分を見ろと、最も原始的な方法で己を女に刻み、躰の中に直接喚き立てるかのように。
しかし、それでもアスカは叫ぶのだった。
「ああっ、あんっ！ ヒイぃいィィん―― ン！！ ごっ、ご主人様！ お、お慈悲を、お慈悲をぉっ……！！ お願いですぅぅ……！！」
処女を奪い、痛みと快楽で叩き込まれた隷属の心が、恋心をも消し飛ばして叫ばせるのか。
それとも肉体が淫らに染め替えられていったほどに、乙女の心も奥深く穢されていたのか―― 。
アスカは嗚咽交じりの切迫の叫びで、愛しいシンジでは無く、憎むべき凌辱者の名を呼んでいたのだった。
今、救いを求めるべきは誰なのかと。
それこそがアスカに残されていた最後の聖地であったかもしれないのに。
「うぉぉっ、くそぉぉ……！」
「はぅアァァァ―― ！！ ハ、ァ、かは……ハ、冬月様ァァァ〜〜〜……！！」
裏返った悲鳴が夜の川辺にあたり憚らず響き渡り、男の腹の下でアスカの背筋がピィンと突っ張った。
ぐ、ぐ、ぐーっと切なく捩じらされる金の眉根。
カッと目を剥いた端からは、大粒の涙が零れ落ちていく。
幼さを残した美貌を悩ましく歪めて。
灼熱の精を子宮に受けられる悦びと、心の底をも破壊されるかという恐怖と絶望とにねじれた絶頂を遂げさせられてしまって、アスカは絶息の叫びを上げながら崩れ落ちた。
◆ ◆ ◆ 「なんて……。なんて、アスカ……」
虚ろに宙を見上げるサファイアの瞳は、口の端から垂れる涎と共に白痴めいていて、そんな変わり果てた親友の姿にヒカリは躰の芯からの震えを感じていた。
夜空に向けて高く開かされた美脚の付け根からは、ドロリと注ぎ込まれた白濁が大量に零れ落ちているのが見えたが、黒服の男はそれでもまだ収まりが付かないのか、また腰を振り始めている。
「さて……」
「ヒッ―― ！」
黙って一部始終を眺めさせていた老人が、ヒカリを抱き寄せて囁いた。
その手はまた、ねっとりと裸の胸を揉み始めている。
小振りな膨らみにもじわと冷えた汗とは裏腹に、凄惨な凌辱の一部始終を目撃した純朴な少女の心臓はバクバクと飛び出さんばかりに打ち鳴らされていた。
睫毛を震わせながら見詰めるヒカリの視界には、腹を丸めるようにして秘部を持ち上げさせられたアスカの裸ばかりがクローズアップされていて、他の何もが目に入らない。
男のザーメンをドロドロにこびり付かせた赤い茂みの下に、黒い肉柱が互いの恥毛をグチュグチュと粘っこく張り付かせながらピストンを打ち込んでいる。
アスカは虚脱した表情のままカクカクと顎を揺らしていて、何もその目には映してはいないようだった。
自らを天才美少女だと高らかに称していた自信も知性も感じられない―― その無残な姿に怯えながらも、それでもヒカリは目を離せないのだ。
その姿が明日の自分だと予感しているからなのか、それとも汚辱に塗れたクォーター美少女の姿に、１５の幼い心を捉える妖しい―― そして倒錯した何かを見出したのか。
あまりの光景に耳鳴りのような鼓動が脳裏を掻き乱し、音を立てて引いていくような貧血は眩暈をも感じさせていながら、 それでいて躰中の神経はやけに研ぎ澄まされているよう。
男の荒い息遣いから、真っ赤に腫れあがったアスカの秘唇が立てる卑猥な交合の水音まで、細大漏らさず聞こえてくる。
そのセンシティブさは異常に思えるほどで、老人のカサカサの掌の中心で転がされる小粒の乳首も、ヒリヒリと痛いほど過敏になっているのだった。
「良く見ていたかね？ あれが今日からの君の先輩の姿だよ」
「あ、あぁあ……」
『ニチ……』と、股間に伸びた指に中へとめくり入れられて、ヒカリは自分がしっとりと濡らしてしまっていた事に気付かされた。
「君も、同じ様に調教してあげようじゃないか……」
奥へと潜り込んでくるその指一本にわなわなと背を仰け反らせて、抗う気力は、今のヒカリには残されていなかった―― 。